ようこそ電撃世界へ!いや、俺電撃使えないんだけど・・・。   作:A i

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第十二話です。
敵の紅(くれない)はどんな過去を持っているのか。
椎名と朝比奈はいつもどんな感じなのか。
それを書いたお話です。

楽しんで読んでくれたら嬉しいです。
では、どうぞ!


紅と戯れ

「元生徒会役員・・・・?」

 

私は副会長の言葉に反応する。

すると、花園先輩が両手を組み、真剣な声音で答えてくれる。

 

「ええ、そうよ。この子は紅陽向(くれないひなた)。私たち三年生と同級生だった役員。」

 

「え・・・でも、それじゃあなんでここに・・・?」

 

私がスクリーンに映し出された写真を指さして問うと、副会長が怒気をはらんだ声で言う。

 

「わからない・・・・。」

 

何かを押し殺したその声に私はなんとか言葉を絞り出す。

 

「そうですよね・・・友達がこんなところにいるなんて思わないですよね・・・。」

 

私がそう言うと、沈痛な面持ちの土岐先輩がゆっくりと首を横に振って言う。

 

「違うの。椎名ちゃん。この子、死んだの・・・二年前のある事件で。」

 

「え!?でも、ここに・・・!」

 

私が驚きをあらわにして指さすが、土岐先輩も困ったような表情で言う。

 

「だから分からないのよ・・・どうしてこんなことになっているのか・・・。」

 

途方に暮れる先輩方。

同様に私も、頭の中の混乱が収まらないでいた。

 

どういうことなの?

死んだはずの人間がどうしてこの組織の構成員の候補に挙がっているの?

生きているはずのない人がどうやって今回の事件を起こしたの?

分からない分からないわ・・・。

 

誰もが驚き混乱している中、一人この沈黙を破る者がいる。

 

「でも、この写真かなり古くないですか?」

 

やはり、その声の主は雷ちゃん。

彼女は人差し指でスクリーンの顔写真を指さしながら疑問を口にしていた。

私たちはその指の先を見て納得したように頷き言う。

 

「確かに・・・二、三年前の写真には見えませんね。」

「ああ、十年は経っていそうだ。」

「ということは、紅さんじゃない?」

「だが、他人のそら似にしては似すぎている。」

「では、こいつは誰なんだ・・・?」

「分からない・・・。どうなっていやがる。」

 

先輩方は確かに、と納得する一方でやはり見知った友の顔に似過ぎているという点でまだ疑問が残るようだ。

だが、今の私たちには分かることがあまりに少なく、歴戦の先輩方でさえもこれ以上は手詰まりのようであった。

 

それからはひとしきり、他人のそら似である可能性を考えたり、更に情報が無いかと土岐先輩を中心にPCで検索をかけてみたりしたのだが、これら諸々の疑問を解決してくれるような有力な情報も見当たらず、すべての作業が一段落した時点で今日は解散となったのだった・・・。

 

 

 

「ああー!!なーんかもやもやするー!!」

 

生徒会室から寮へと帰る道中。

隣で歩く雷ちゃんが自分の髪の毛をクシャクシャとかき混ぜながら発狂した。

私はあまりにも素直に自分の感情を吐露する雷ちゃんに苦笑を漏らす。

 

「そうだね。あんまり進展無かったね・・・もう少し何か分かると思ったんだけど。」

 

「ホントそれ!なんか余計にややこしくなった気がする!どういうことよ。死んだ女の子が実は生きてるかもって!しかも、その死んだっていう事件については先輩達一向に口を割らないし・・・。」

 

不満そうにフン・・・!と鼻息を漏らす雷ちゃん。

だが、私も同感で、なにかを先輩達は知っていて隠している気がしてならない。

私たちには言えないような秘密があるのか・・・?

 

胸中、わだかまりだらけではあったが、雷ちゃんの気持ちを落ち着けるためにも私はほほえみながら言った。

 

「まあ、先輩達にしたら嫌な思い出なんだと思うよ・・・。言いたくない過去ぐらい誰だって一つくらいあるもんだよ。」

 

「そりゃそうだけど・・・。」

 

しかし、釈然としない様子の雷ちゃん。

そんな彼女の素直な様子に私は苦笑しながら言う。

 

「ま、私もなんか怪しいとは思っているから、今度生徒会に行ったときにはそれとなく聞いてみるよ。でも雷ちゃんはやめときなよ?」

 

「なんで?」

 

キョトン顔で首を傾ける雷ちゃんに、私は意地悪そうに笑って言う。

 

「雷ちゃん不器用だからめんどくさいことになりそうでしょ?」

 

「う・・・。否定はできないかも。」

 

言葉に詰まる彼女に私は笑いながら言う。

 

「でしょ?だからその辺は私がやっとくから、雷ちゃんは竜崎君のお見舞いに行ってあげなよ。」

 

「なんであいつが出てくんのよ!行かないわよ、絶対!」

 

「行きたいくせにー?」

 

「行きたくない!」

 

顔を真っ赤にしてそう抗議する彼女のあまりの必死さに私が笑い出すと、彼女も恥ずかしくなったのか更に顔を赤く染めてそっぽを向いてしまう。

 

「ふん・・・!」

 

「ごめんごめん。雷ちゃん。謝るから許して、ね?」

 

「むぅー・・・ホント椎名は性格悪いんだから。」

 

「ごめんって?」

 

私が手のひらを合わせて謝ると、彼女は横目に私の方を見ながらこう言った。

 

「プレミアムロールケーキ一個で許してあげる。」

 

「ふふふ、ありがと。」

 

「うん。」

 

私が彼女にほほえむと彼女も機嫌が直ったのか元気いっぱいになって。

 

「よーし、コンビニまでダッシュで行くぞー!!」

 

そう言って走り出そうとするので私も。

 

「おおー!!」

 

と叫び、沈む夕日に向けて二人で駆けだしたのだった・・・・。

 

 

 

 

私と雷ちゃんはおんなじ寮のおんなじお部屋に住んでいる。

お部屋はかなり広くて、二人が生活するのには十分すぎる空間があり、調度のセンスも私好みで基本的には何も文句が付けられない。

強いて言うなら、門限の時間をもう少し遅くしてほしい。

門限が七時なんて今日日、小学生でも聞かない。

せめて、これが九時になってくれれば言うこと無しなのになあ・・・。

でも言ってしまえばそれぐらいだ。

ご飯もおいしいし、ベッドもふかふかだし、お風呂も広くて使いやすいしであとは大満足だった。

 

「ふぅー・・・。」

 

大きく息を吐きながらベッドに背中から倒れ込む。

柔らかな感触に包み込まれ、身も心も弛緩する。

 

「ほにゃあ~・・・。」

 

「すっごい蕩けてるわね。椎名?」

 

柔らかな笑みを浮かべこちらを見下ろす雷ちゃん。

 

「うーん・・・今日はなんか疲れたんだよお~・・・。」

 

「私もぉー・・・。」

 

そうつぶやくと彼女もボフッと布団にダイブする。どうやら彼女もかなりお疲れモードのようだ。

そりゃ疲れるよね、朝からいろんなところに行って大変だったし・・・。

今であれば五秒と掛からず眠れる気がする。

しかし、ポカポカと陽気な天気だったのでかすかに汗で全身がべとついている気がする。

このまま眠れば起きたときに気持ち悪い想いをすることは確実だ。

 

「はあ・・・。」

 

私は大きくため息をつくと、汗を流すべく立ち上がる。。

 

「すぴー・・・すぴー。」

 

すると、すでに規則的な寝息を立てる雷ちゃんが横目に入った。

 

「もう寝てる・・・。寝かしといてあげよう・・・。」

 

そう決めると、私は脱衣所につながる扉の奥へと歩を進めた。

 

「ふぃー・・・生き返るー。」

 

私は体をシャワーで洗い流した後大きな浴槽に身を沈めていた。

少し熱めのお湯だったが、疲れた体にはこれぐらいでちょうど良い。

良い湯加減だ。

 

「ふわぁ・・・。」

 

湯につかりしばらくしていると全身のこわばりがなくなり、リラックスできる。

天にも昇る気持ちとはまさにこのことであろう。

 

「極楽極楽ー。」

 

そうつぶやきながらぷかぷかとお湯にラッコのように浮かぶ。

浮力が重力と釣り合い、無重力のようだ。

 

「はあ・・・最高。」

 

究極的にリラックスして油断していたそのときだった。

勢いよくお風呂場の扉が開かれる。

 

「椎名!」

 

「え!?」

 

私は生まれたままの姿でお湯に浮かんだままそちらを見る。

すると、こちらも生まれたままの姿の雷ちゃんが仁王立ちしている。

 

「ど、ど、どうしたの!?雷ちゃん寝てたんじゃ!?というか、前隠してよ!」

 

「ふっふっふー・・・ついにこのときが来たなあ。」

 

ワキワキと両手の指を閉じたり開いたりする動作を見せながらそんなことを言う雷ちゃんはかなり不気味だ。

じりじり、と歩み寄る雷ちゃん。

後ずさる私。

 

「い、雷ちゃん?」

 

私がそうつぶやいた、次の瞬間。

雷ちゃんが宙を舞い、私に飛びかかってきていた。

 

「天誅ーー!!」

 

「うにゃぁー!!」

 

バッシャーン!という大きな水しぶき。

 

「う・・・なにするのよ、雷ちゃ・・・ヒャアッ!!」

 

「今日はよくもからかってくれたなあ?意地悪な椎名にはこうだー!!」

 

そう叫んだ雷ちゃんは私のあんなところやそんなところをなで回す。

 

「や、やめてー!!」

 

「よいではないかー、よいではないかー・・・・ぐへへぐへへへ。」

 

悪代官のような台詞を吐きながら私の体をまさぐる雷ちゃん。

 

「雷ちゃんが壊れたー・・・!!」

 

「ぐへへ~~!!」

 

「戻ってきてよぉお、いかずちちゃぁあん!!」

 

私の悲壮な叫びが学園都市の夜にこだまする。

学園都市の終焉が近づいていることも知らず、美少女二人は無邪気に戯れる。

こうして私たちの一日は過ぎていく・・・。

 




いかがでしたか?
主人公が次のお話からは出てくるのでよろしくです。
では、また次のお話で会いましょう。
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