ようこそ電撃世界へ!いや、俺電撃使えないんだけど・・・。   作:A i

13 / 13
第十三話です。
今回もまたもや新しいヒロイン登場です。
雷ちゃんのポジション危うし!
これからは彼女達の熾烈な恋も描けていけたら良いなあ、と思います。
最近バトルモノと言うよりもラブコメもの、といった感じになってきてしまっていますがどうでしょうか?
趣旨と違うじゃねーか、と思われるかもしれませんが、そこのところは寛容に許してください。ごめんね?笑
どうか楽しんで読んでくれたら嬉しいです。
ではどうぞ!


技師

窓辺から桜並木を見下ろしていると、大きな音を立てて病室の扉が開く。

視線をそちらに向けるとそこには一人の女の子が片手を上げていた。

 

「よ。」

「静・・・?」

 

突然の幼なじみとの再開に俺は口をポカンと開けて惚けてしまう。

すると、彼女は俺のその顔が気に入らなかったのか両手を腰へと当て、視線を鋭くさせて言った。

 

「なに、その顔は?来ちゃダメだったの?」

「い、いや、そんなことないぞ!」

 

俺は慌てて顔の前で手を振り、否定。

 

「ホント・・・?」

「ホントホント・・・。」

 

半眼で睨む静。冷汗を流す俺。

しばらく、眉根を潜め俺の様子をつぶさに観察していたが、フン!と鼻息をはき出しながら後ろ手に扉を閉める。

そんな彼女の様子を俺はキモを冷やして見ていたが、なんとか彼女の逆鱗に触れることはなかった、と胸をなで下ろした。

 

彼女の名前は工藤静(くどうしずか)。いわゆる幼なじみという奴だ。

 

彼女は昔からこうで、俺は彼女の地雷がどこに埋まっているかわからないのでいつもひやひやしていたものだ。

だけどかれこれ、十五年以上そんな調子なのだからよくここまでこいつとやってこられたと今になって自分の事ながら感心する。

 

しかし、ここまで見てきたとおり彼女の性格はだいぶキツいが、容姿だけなら抜群に良い。

小さな卵形の顔に、大きな黒い瞳がダイヤのように輝き、肌のきめは細かく極上の絹で紡いだようになめらかで白い。

更になんといっても目を引くのは、陽光にきらめくと紫紺にすら見える艶やかで豊かな黒髪だろう。

見慣れたはずの俺でさえ、彼女が動くたびに揺れるその長い黒髪には目を奪われる。

それほどに彼女の髪は美しかった。

これでスタイルが悪ければ天は二物を与えないのだ、わっはっはー!と笑い飛ばすこともできたのだが残念ながらその夢は破れる。

身長は167センチもあり、引き締まった脚や二の腕は健康的な溌剌さと女性的な曲線美を併せ持つ究極のシルエットを描く。

しかしながら細くしなやかな四肢に対して、胸とおしりは適度にむっちりと、ウエストはキュッと引き締まることで見事な女性らしいプロポーションを作り出し、もはや芸術作品の域に達している。

なんでモデルや女優業をやらないのか不思議だ。

 

――しかも、彼女の飛び込んだ世界は血と鉄と男の臭い漂う技師の世界。

 

この国でも有名な技師のところに弟子入りし、最近ようやく免許皆伝を取得した。

そしてその初のお客さんが俺、と言う訳なのである。

まあ、こいつの幼なじみであるから一番最初にお客として、IDの調整をして貰えることはやぶさかではないのだが、彼女はいささか俺に対してとげがあり、「入学前にあんたのIDよこさないとぶっ飛ばすから。」などと脅される始末。

そのせいで初日の能力値検査では借り物のIDでやらねばならなかったし、一昨日の戦闘でも使い慣れない予備のIDを使わざるを得なかった。

これでもし、調整がいまいちだった日にはついに俺はこの手を人の血で汚すことになる。

そうならないことを祈るばかりだ。

 

静は俺が横たわるベッドのそばに腰掛け脚を組む。

見下ろされる形になった俺は居心地が悪い。

 

「おい、静。」

「ん?」

「そこの椅子に座れよ。あんだろ椅子。」

 

俺が椅子を指さし指摘すると彼女はバカにし腐った顔で俺を見下しつつ言う。

 

「いいのよ。あんたの間抜け面を見下すことができるんだから。案外良い眺めよ?」

「おい・・・喧嘩売ってんのか?」

「あら、やるの?」

 

底冷えのする声でうっすらと笑う静。

先ほどまでの春の陽気が一転、凍てつく冬のようにあたりの気温が下がったように思える。

ガタピシ、と窓が突然音を立てた。

 

そんな彼女のあまりの迫力にちびりそうになりながら俺は首を振る。

 

「いいえ。」

「よろしい。」

 

嗜虐的な笑みを向ける彼女はなんだか心底楽しそうに見える。

人を震え上がらせて喜ぶとはこいつ真性のドSだな。

これならばいっそドMに目覚めたい。

そんな事を真剣に考えるほどには彼女は怖い。

美人が怒るとめちゃくちゃ怖いのはマジだ。マジで怖いから気を付けろ!!

 

しかし、そこでふと疑問に思うことがある。

それはそんな彼女がどうして俺の病室に来ているのか。

俺の事を虐げ、弱る姿を楽しみに来たわけではないはず・・・・ない、よね?

あ、あと断じて彼女ではない。

冗談でもそんなことを口にすれば、翌朝俺は東京湾の海の藻屑と化しているだろう。

うかつな一言が俺の寿命を縮めかねないのだ。

 

俺は細心の注意を払いつつ、おずおずと彼女に向かって問う。

 

「あの、じゃあなんで静は来てくれたんだ?」

 

長くしなやかな脚をひらりと持ち上げ組み替える静。

短めのスカートが少し持ち上がりどきりとしてしまう。

いつもならズボンしかはいていないのにどうしてスカートなんだ?という今はどうでもいいことに気を取られ肝心の答えを聞き逃しそうになった。

 

「あんたが心配だったからだよ、理。」

「・・・・・へ?」

 

あまりにも間の抜けた返事を返した俺にイラッとしたのか静はその整った顔を俺にくっつくほど近づけて今度はさっきよりも大きめの声で言った。

 

「だ、か、ら!あんたが心配だったって言ってんの!分かる?」

「お、おう。」

「恥ずかしい事何回も言わせないでくれる?」

「す、すまん・・・。」

「それだけ?」

 

至近距離で見つめる静に俺は戸惑いつつも言葉を探す。

 

「え、あ・・・・あのまあなんだ。そのありがとよ。」

「ふふ、どういたしまして。」

 

静の今日初めて見せる満面の笑みに俺は不覚にも目を奪われた。

いつもはクールで端正な顔が見せる、こんな可愛らしい笑顔。反則だろ・・・?

ぷっくりとした唇が艶やかで、キスしたら柔らかいんだろうな、とかほっぺを人差し指でプニプニ突っつきたいなあとか。

そんな邪な欲求が頭を一瞬にして駆け巡り俺は固まってしまう。

 

「おーい・・・どうした?」

 

面白いものでも見るみたいに無邪気に笑う静が俺の目の前で手を振る。

しばらく、反応できていなかった俺だが、彼女の様子が目に入ってきたことでようやく時間が動き出す。

 

「あ、おう。悪い。ぼうっとしてた。」

「あら・・・理。あんた少し顔が赤いよ?大丈夫?熱でもあるんじゃない?」

「いや、だ、大丈夫だよ!!」

「ううん。一応私に見せてみなさい。これでも少し医学をかじっているんだから。」

 

ポンと胸を叩き誇らしげな様子を見せる彼女。

確かに彼女は技師であり、医学の知識も修めているはずだが今回のはそういう病による者ではないと断言できる。

俺はジリジリと距離を詰める静から逃げるようにして後退する。

 

「静、待て。お前が診断する必要はない。」

「それは私が決めるわ。さあ、額を差し出しなさい。」

「いや、だから良いって・・・。」

「いいの!ほら貸して!」

 

残り数十センチの距離を一気に詰めた静の額が俺の額にピトッとくっつく。

彼女のひんやりとした額の温度が火照った体に心地良い。

 

「む・・・やっぱりちょっとあつ、い、わね・・・・。」

「・・・・・・。」

 

語尾に行くに従って消え入るように小さくなる彼女の声を不思議に思った俺はまぶたを持ち上げる。

冷静に考えれば当たり前だ。

だけど、そのときの俺には静の顔がほんの数センチのところにあることが本当に驚きで、あまりの衝撃に息をすることも忘れて彼女の美貌に見とれていた。

 

不思議なことに彼女の吐息の音すら聞こえる距離にあって俺の目には一つの毛穴すら見当たらないなめらかな肌。

長いまつげに縁取られた爛爛と輝く大きな瞳。

吐息を漏らすたびにプルンと震える柔らかな唇。

微かに香る彼女の匂い。

 

それらすべてが俺の脳髄を揺さぶったのだ。

これでどうにかなってしまわない方がおかしい。

 

「し、ず、か・・・。」

「ん・・・。」

 

うっすらとほほえみを浮かべた静は何かを感じ取りゆっくりと目をつむる。

俺の手が無意識のうちに吸い寄せられ彼女の肩に触れるその寸前。

大きな音を立てて扉が開かれた。

 

「竜崎!なにしてんのー!!」

「朝比奈!?」

 

怒気をはらんだ朝比奈の声に俺は我に返り、ツカツカと歩み寄ってくる彼女に驚きを表した。

 

「なんで、お前が!?」

「なんでもなにもないわよ!この私がわざわざお見舞いに来てあげたのに女を連れ込んで呑気にいちゃこらしているなんて。最低よ!変態!ゲス!痴漢!」

「おい待て誤解だ!朝比奈!お前からも言ってやってくれ静。」

 

俺一人が朝比奈に抗議していても埒があかないと思い、静の方に顔を向ける。

すると、静は先ほどまでの艶めいた印象なんてどこへやら。

涼しい顔で脚を組み朝比奈を睥睨している。

 

――これはなんて頼もしいんだ!

 

俺がそう思った矢先。

彼女はぐるりと顔を反転。

凍てつくような視線を俺に射る。

蛇に睨まれた蛙のように俺はすくんで動けない。

朝比奈も静同様に絶対零度の視線を向けている。

そして。

 

「理?この女は誰?」「竜崎?この女誰?」

 

二人の声が揃い破壊力も倍増。

窓ガラスが俺の恐怖を表すかのようにカタカタカタカタ、と小刻みに震えている。

こりゃダメかもしれない。俺はここで死ぬかもな・・・。

 

「「ねえ!?答えなさい!!」」

 

ズイズイ!と二人の顔が近づき先ほどとは違う意味で心臓がバクバク言っている。

 

「「ねえねえねえ!!」」

 

「勘弁してくれえー・・・・。」

 

情けない男の声が春の病院に響く。

その後こってり竜崎君は二人にいじめられましたとさ。

めでたしめでたし。

 

 




いかがでしたか?
今回は結構力入れてラブコメっぽく仕上げてみました。
ドキドキしてくれましたか?
こっからはこう言うシーンも盛り込んでバトルあり、ラブコメありの作品にしていこうと思っているので暖かく見守っていただけると嬉しいです。
ではまた次のお話であいましょう!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。