ようこそ電撃世界へ!いや、俺電撃使えないんだけど・・・。   作:A i

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第五話です。
だんだんと登場人物が増えてきて楽しくなってきました。
ただ、読者様を置いてけぼりにしてひとり楽しくなっちゃっていないかスゴイ不安!!笑
ただただ楽しんで貰えていることを祈るのみです。

今回からようやく異能力っぽいところが出てきますのでそれもお楽しみに!!

ではどうぞ!!


真の邂逅

四号館のトレーニングルームは大きく、縦100メートル横55メートルを誇る。

ちょうどサッカーのコートと同じぐらいの大きさだ。

ここでは模擬戦闘や能力値の測定などが行われている。

模擬戦闘などはこの大きなトレーニングルーム全体を使って行われる。

障害物も設置され、あたかも実戦のようなリアルな戦闘を体験できる。

しかし、今日は模擬戦ではなく、部屋の至る所に配置された最先端機器を駆使した能力値の測定だ。

ここでの成績はもちろん記録され、学内序列CRにも当然影響してくる。

生徒達はできるだけ良い成績を取りたいので皆やる気満々で今日を望んでいる。

 

能力値はランク分けされており、非能力者のFが最も低く、F E D C B A Sの順番に能力は高くなる。

更に細かくA(エー)AA(ダブルエー)AAA(トリプルエー)と、三つに分かれるが、アルファベットが増えれば増えるほどに上位の能力であると思っていただきたい。

ただ、この高校の生徒がいくら優秀だとはいえランク上位の者は限られており、最高ランクのS到達者にいたってはこの学園に五人しかいないと言われている。

その五人の力はまさに突出していてこの学園には比肩する者はいない。

そこで、誰がそう呼び出したかは定かではないが、彼ら五人のことを尊敬と畏怖の念を込めて“五賢帝”、とそう呼ぶ。

 

もし、近藤が本当に上を目指していくのであれば“五賢帝”は避けては通れない敵であるがまだまだ先の話であった。

 

目下は、自分がどれぐらいの力を保有しているのかを測らなくてはならない。

俺も自分の力を正確には把握できていないので良い機会である。

目一杯測定してもらおう。

 

この能力値測定では大きく分けて三つの観点が測られる。

一つは力の大きさ。

どれだけの威力を持っているか、どれだけのエネルギーを持っているかのこと。

二つ目は正確性。

能力のコントロールのこと。

三つ目は速さ。

これは能力を発現させるまでの時間。

 

以上三項目を以てして評価を付ける。

 

俺たち重力学専攻一年生の平均能力値はDだそう。

 

見渡すと、皆この平均能力値を目標としているみたいだ。

 

「よっしゃ!俺能力値DDだった!」「マジかよ・・・俺Eなんだけど・・・。」「俺も・・・。」

 

と、結果に一喜一憂している姿が見える。

あんなに自分の能力値を口に出して恥ずかしくないのか、と思わずにいられないのだが当の本人達はいたって楽しげに話しているので彼らはあまり恥ずかしいとは思っていないのだろう。

彼らは「恥」の文化をどこかへ置き去りにしてきたのだろうか・・。

ああ、あはれなり。

心の中で合掌していると、横にいる近藤が俺に話しかけてきた。

 

「おい、竜崎。早く並びに行こうぜ、時間が無くなっちまう。」

 

「分かってるよ・・・。」

 

近藤に急かされながら、測定所の列に並ぶ。

測定を終えた生徒が皆銘々の表情を浮かべて部屋から出て行くのをボーと眺めていると、逆にトレーニングルームに入ってくる生徒の姿が目に映る。

流れる銀髪、涼やかな表情、日本人離れした美貌。

朝方、最悪の邂逅を遂げた人物の登場に俺は目を見開くと、向こうも気づいたらしい。

 

「あっ・・・・・。」「あ・・・・。」

 

互いに人差し指を向け合い、次の瞬間、言葉を吐き出した。

 

「銀髪毒舌女!!」「変態男!!」

 

うん?聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ?

変態男って、あいつまだ俺が椎名さんの手を握っていたこと根に持ってんのか。

俺はあまりにも不当なあだ名に反論を試みる。

 

「おい、変態男ってなんだ!まず、俺は変態じゃねー。」

 

「そっちこそ、銀髪毒舌女ってなによ!私のどこが毒舌なのよ。」

 

「どこもかしこもだよ!」

 

俺が声を荒らげそう答えると、朝比奈は考え込むようにあごに手を添える。

しかし、次の瞬間には表情に不敵な笑みが浮かび、辛辣な言葉を次々に浴びせ出した。

 

「まあ確かに、変態であるあなたには少し厳しい言葉遣いになってしまっていたことは認めてあげる。でも、それはあなたが私の椎名を汚い便所のような手で、彼女の美しく繊細な柔肌を犯そうとするからよ!あなた以外にこんな事を言ったりなんてもちろんしないわ。よって、あなたは死刑!Q.E.Dね!」

 

「めちゃくちゃだ・・・・。」

 

屈託無い笑顔を浮かべて胸を張る朝比奈に俺は呆れてものも言えない。

すると、近藤が俺の肩を揺すり、焦ったような様子で聞いてきた。

 

「おいおいおい!お前なんで朝比奈さんと知合いなんだよ!」

 

「いや、俺もよくわからん。行きがかりというかなんというか。」

 

俺が近藤の質問にしどろもどろになって応えていると、朝比奈はすたすたと俺たちに近づいてきた。

悔しいが、銀髪をたなびかせた彼女の歩き姿は異様に様になっている。

近藤なんて俺との会話もそこそこに見惚れまくり。

鼻の下が伸びまくっている・・・・キモい。

対して、朝比奈は不敵な笑みを口元に浮かべつつ俺に人差し指を突きつけ、最後の毒を吐く。

 

「あと、椎名にはあのあと三回手洗いさせたから、ね?」

 

「酷すぎだろ・・・。」

 

パチンとウィンクを決める朝比奈のその顔は言葉とは不釣り合いなほどに愛らしく見えた。

だが、愛らしさと比例して心のダメージもすさまじいことになっている。

笑顔って凶器にもなるんだ、知らなかったぜ!!

 

朝比奈は俺が心に傷を負った姿を見て満足そうにほほえむと列には並ばず、誰も使っていないスペースにある一画へと向かう。

 

「おい、お前どこ行くんだ?ここで能力値測らねーの?」

 

俺が大きくそう叫ぶと、彼女は余裕の笑みを浮かべつつヒラヒラと手を振りつつ答えた。

 

「いーのいーの。」

 

「・・・・・・?」

 

俺も近藤も首をかしげていたがそうこうしているうちに近藤の順番が回ってきたようで彼は肩を回しつつ気合いを入れる。

 

「よーし、やるぞ!」

 

「まあ、がんばれ。」

 

「おう!」

 

ガッツポーズで答える彼に俺も同じく答えた。

 

近藤は能力値測定官に学生証を渡し名前を名乗る。

 

「重力学専攻、近藤一です。」

 

「近藤君ですね。では測定を始めますが、IDは持っていますか?」

 

「はい。」

 

そう言って近藤は銀色の指輪を見せた。

そう、これが彼のInjection Device 通称IDである。

このIDと呼ばれる装置は「グラビトン」因子を受け取って力を具現化する装置だ。

人によって形が違うので一様には言えないが、近藤のように指輪などの形にしている者が多い。

使い勝手も良く、そしてなんといっても力のイメージがしやすいのである。

 

どういうことかは見てもらった方が速い。

 

近藤は緊張しているのか目をつむり、大きく深呼吸をしてから手を前方へと突き出す。

 

地面には“五キロ”と書かれた鉄球が置かれている。

今回の測定ではこの鉄球を20メートル先のあの印のところに持って行く、というものになっているみたいだ。

古典的でありながらももっとも正確に能力を測れるとして今でも使われている。

 

俺は腕組みをしつつ近藤を見守っていた。

 

すると、カッと目を見開いた近藤。

それとほぼ同時に鉄球が動き出す。

近藤は額に汗を浮かべつつ、手を突き出して鉄球を運んでいる。

五秒ほどで印からわずかにそれたところに鉄球が着地した。

 

これだけの動きでなんの能力が分かるのだ、というと言ってしまえば“すべて”であった。

 

まず、俺たち重力使いがどのように力を発揮しているかを簡単に説明する。

俺たち「グラビトン」因子保有者は脳波によって「グラビトン」因子を操作している。

脳内で物理法則を展開して、「グラビトン」因子に関数を託し、IDへと入力。

物理現象を引き起こすためのすべての関数が入力されて、初めてIDから重力が出力され、己の思い描いた物理現象が具現化するのである。

よって、脳内での関数の展開、計算の速さ、正確性が能力発現の速さ、正確性を決め、脳波の出力が、力の大きさとなる。

 

今回の鉄球の動きは「力の大きさ 正確性 速さ」の三点をすべて評価できるようになっていた。

まず、IDの因子感知から物理現象発現までの時間経過で“速さ”。

鉄球の移動速度によって“力の大きさ”が。

最後に鉄球の置かれた位置で“正確性”が分かるようになっていた。

 

要は、これらの能力は訓練の多寡によって決まるのでしっかりと努力を積めば成績はドンドン上がっていくことだろう。

 

近藤が自分のIDをスキャンに通すと結果がプリントアウトされて出力される。

 

「うーん、・・・。」

 

あごをさすりながら神妙な顔で戻ってくる近藤に俺は声をかける。

 

「おい、近藤。どうだった?」

 

「見てくれCCCだったぜ!」

 

さっきまでの神妙さはどこへやら。

満面の笑みで結果を俺に見せつける近藤。

 

「なんだよ、便秘の時みたいな顔してたから能力値Fでもでたのかと思ったぞ。」

 

「なわけあるか!」

 

笑う近藤を俺は軽く小突き測定所に向かう。

すると近藤が拳を上げて「頑張れよ」と言ってきたので俺も「おう」と答えながら拳を合わせた。

 

能力値測定官のもとに行き、学生証を渡す。

 

「重量学専攻一年竜崎理です。」

 

「竜崎君ですね。ではIDは持っていますか?」

 

と聞かれたので正直に答えた。

 

「いや、技師に調整してもらっているんでないです。」

 

「おい!!なんでだよ!!」

 

「あん?なんだよ近藤。」

 

振り返ると鬼の形相で突っかかってくる近藤。

 

「お前バカなのか!?普通持ってくるだろう、今日は。」

 

「忘れたんだから仕方あるめーだろ?」

 

「いやいやバカなのか?お前はバカなのか?」

 

「バカとはなんだバカとは。大馬鹿者のお前にだけは言われたくない。それに大体IDもってこいなんて学年便りに書いてなかっただろ?だから、俺は悪くない。社会が悪い。」

 

「なんだその中学生の言い訳の出来損ないみたいなのはー!!」

 

まるで自分のことのように頭を抱えている近藤。

だが、そろそろ、後ろの人たちにも迷惑なので手で押し返し、能力値測定官にIDを借りる。

 

「すみません、貸し出し用のID貸していただけますか?」

 

「ええ、どうぞ。」

 

銀製の指輪型IDを嵌め、鉄球の前に向かう。

一応、呼吸を整えるために深く息を三回吸って吐いてしてから、手を伸ばす。

目を閉じ、鉄球の移動させるイメージを強固にしたのち、俺は刮目し力を解放した。

 

すると、鉄球は目にもとまらぬ速さで移動し、音もなく動きを完了している。

終点の位置も印の上ドンピシャ。

今、俺にできる最大限の能力を解放したといっても過言ではない。

 

俺はふぅー、と詰めていた息をはき出しながら後ろを振り返ると、そこには目を丸くした近藤がいた。

 

口をあんぐりと開け、目を見開く彼はいつにもまして滑稽である。

俺は笑みを浮かべて近藤を呼びかけるが反応がない。

 

「近藤・・・。近藤?」

 

何度目かの呼びかけでようやく反応を示す。

 

「・・・・・・・・・・・・・・竜崎。」

 

「ん?」

 

「お前・・・・めっちゃすげーじゃん!!早すぎて見えなかったぞ、俺には。」

 

「お、おう、そうか。」

 

自分のことのように嬉しがる近藤の様子に俺は少し引き気味に答えた。

こいつの声は響くのでフロア中が俺に注目している。

多数の目から逃れるために俺はIDをスキャンにかざし結果を出力。

すると、横合いから近藤がひったくるように俺から結果を奪った。

 

「な・・・・なんじゃこの能力値・・・。」

 

そうつぶやくのもムリはない。

当の本人である俺でさえも少し驚いているのだから。

 

結果はこんな感じ。

 

力の大きさ BBB

正確性   AA

速さ    S

 

総合評価  AA

 

うん、ビビるね、普通は!!

近藤なんて白目向いて泡を噴いてる。

器用な奴だ。

 

そんな俺たちの騒ぎ方がこれほど大きいともちろん騒ぎを聞きつけた野次馬が群がってくる。

 

「うわ!まじかこれ。」「さすが変態男。」「うんやっぱり変態ね。」「変態。」

 

というように俺の能力値を褒めそやしている。

うん?後半の方はなんか誹られている気がする。

 

だがまあ、とりあえず、恥ずかしながらも俺の成績で場は大いに盛り上がっていた・・・。

 

そのときだった・・・・。

 

ズドーン!!

「きゃっ!」「なに?」「今のなんの音?」「大砲・・・?」

大砲でも撃ったかのような音が部屋に響き渡り騒然とする。

 

俺は今音のした方に嫌な予感を感じながらも近づいていくとさっき朝比奈が入っていったブースだった。

ちらりと中をうかがうと。

 

ズドーン!!という爆音が再度鳴り響き思わず両手で耳をふさいでしまう。

音のした方を見ると、朝比奈が左手を前に突きだしたままこちらに流し目を送ってきている。

いかにも、勝気な表情に少々むかつきながら俺は軽口を叩いた。

 

「お前、何してんだよこんなところで。つーかさっきの爆音何?おなら?」

 

俺の末尾の言葉を聞くと、朝比奈は耳まで真っ赤にして猛抗議する。

 

「信じられない!どこまでデリカシーのない男なの、あなたっていう人は。やっぱりあなたは真性のド変態だわ。」

 

「違うわ!」「竜崎さん女の子に向かっておならはダメですよ?」

 

俺も敢然として言い返していると、朝比奈の背後から声が聞こえた。

見知った顔がひょっこり覗く。

まじめメガネっ娘の椎名さんだった。

 

「こんにちわ、竜崎さん。」

 

「お、椎名さん、こんにちわ。こんなところにいたんだ。」

 

「はい、いました。雷ちゃんのデータを収集しないとダメだったんで。」

 

椎名さんは柔和な笑顔を浮かべながら、胸に抱いた何かのカルテのようなものをコツコツとペンで叩く。

 

「そうなのか。でも、なんでこんなブースで?」

 

「それはですね・・・。」「私が最強過ぎるからよ!」

 

椎名の後を引き取るようにかぶせてきた朝比奈。

両手を腰に当て、エッヘンと胸を張る朝比奈だったが要点を得ないので椎名さんに説明を求める。

 

「どういうこと?」

 

「あ、はい。つまりですね、雷ちゃんの能力値、特に力の大きさですね。これが高すぎてあちらの測定方法では正確な値が出せない、と言うことだったのでこちらの特殊緩衝材に鉄球を打ち込むという方法で計測していたって事なんです。」

 

「そういうこと!」

 

パチコーンとウィンクを決める朝比奈はとても可愛らしいのだが今はそれどころではなかった。

奥に見える黄緑色のスライムのような塊が椎名さんが言った特殊緩衝材であろう。

で、そこに打ち込まれた鉄球はスライム状の緩衝材に10メートル近くめり込み、衝撃のすさまじさを物語っている。

俺はその様子をあんぐりとしながら見ていたが、どうしても気になることがあったので質問する。

 

「あれで測定できないっつーと、ランク的にはどうなるんだ?」

 

「えーとですね・・・。」

 

椎名さんがカルテに目を落とし、確認すると顔を上げた。

 

「はい、雷ちゃんの力の大きさはランクSSSですね。」

 

「と、トリプルエスぅううう!?」

 

俺の結果がかすむほどの衝撃的な結果だ。

ランクSSSの項目が一つでも存在するなんて普通あり得ないぞ。

こいつ、学園内でも最強の部類なんじゃねーのか・・・?

 

俺の嫌疑は運悪くも当たってしまう。

 

「もちろん、総合評価もSです。」

 

「なっ・・・!」

 

「当たり前よ、だって私学内序列CR二位だもん。」

 

「・・・・・・。」

 

もはやリアクションすら取れない。

 

これこそが俺と朝比奈雷、通称“雷の女帝”との真の邂逅であった。

 




いかがでしたか?
色々と新たな設定が出てきてややこしいですが楽しんで貰えてますかね?
がんばってわかりやすくしようとしているんですがなかなか難しい。
でもこれからもがんばりますので応援よろしくー。
ではまた次話でお目に掛かりましょう。
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