μ’sと仮面ライダーの物語   作:シーチ

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はい、106話です!

恐らく、今回が平成最後の投稿になると思います!

では106話、スタートです!


106話 トランプライダーズ

〜三人称視点〜

 

「はっ!何!?くっ…」

 

始はカリスアローでレンゲルを撃ち抜こうとするが、トータスアンデッドに邪魔される。

 

「始!くそっ、俺が変身さえ出来れば…っ!?」

 

悔しそうに声を漏らす橘に、バットアンデッドが襲いかかる。それを避けるため後ろに下がった橘は、その衝撃でポケットに入っているギャレンバックルを落としてしまう。しかし、そんなことはお構い無しに再びバットアンデッドが襲いかかってくる。

 

「たぁぁぁぁ!」

 

そこに、優に3枚のラウズカードを渡したすぐ後の希が駆けつけ、バットアンデッドに体当たりして橘を守る。

 

「お兄さん、大丈夫?」

 

「あっ、あぁ…君は?」

 

「ウチは東條希。仮面ライダー、ブレイド。」

 

「ブレイド!?」

 

「あれ?これは…ってことはもしかして、これお兄さんの?」

 

橘が落としたギャレンバックルを見た希は、希が持ってるダイヤのラウズカードを見せながら橘に問う。

 

「何故君がこのラウズカードを?」

 

「敵の組織が落として行ったんよ。持ち主の人と会ったら返そうと思っとんたん。ちょうど良かった、これお兄さんに返すね。」

 

「あぁ、ありがとう。」

 

希からラウズカードを受け取った橘。その後、希はブレイバックルにスペードのカテゴリーAのラウズカードを入れて、腰に巻き付ける。

 

「変身!」

 

『turn up』

 

希は仮面ライダーブレイドに変身した。

 

「本当に君が、ブレイド…」

 

「行くで!」

 

橘が驚いている中、希は始に襲いかかっているトータスアンデッドと戦闘を開始した。

 

「とにかく俺も…」

 

橘は目の前にいるバットアンデッドの方を向き、ギャレンバックルにダイヤのカテゴリーAのラウズカードを入れ、腰に巻き付けた。

 

「変身!」

 

『turn up』

 

橘は仮面ライダーギャレンに変身した。

 

「はぁ!」

 

橘は走り出し、バットアンデッドに殴りかかる。

 

その橘から少し離れたところで仮面ライダーカリス、相川始とレンゲルは、それぞれの武器がぶつかり火花が散る。

 

『バイオ』『チョップ』

 

始はカリスアローから出したツタでレンゲルを拘束し、そのまま引き付けて強力なチョップを食らわせた。

 

「くっ…ならば!」

 

『バイト』『ブリザード』

『ブリザードクラッシュ』

 

「はぁぁあ!」

 

レンゲルは冷気を放ちながら挟み蹴りを放とうとするが、

 

『リフレクト』

 

カリスはバリアをはり、跳ね返した。

 

「これで終わりだ。」

 

『フロート』『ドリル』『トルネード』

『スピニングダンス』

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

始は竜巻を起こしながら浮遊し、回転蹴りを放った。それにより、レンゲルはバックルが外れ、強制変身解除に至り倒れた。

 

「こいつは返してもらうぞ。」

 

カリスは落ちているレンゲルバックルを拾い上げ、そう言った。

 

「くっ…ぐぁぁぁぁぁ!」

 

すると、レンゲルに変身していた男は苦しみだし、粒子となって消えた。

 

「何?ぐっ…!?」

 

その事に驚いた始だったが、その直後何者かの攻撃を受けた。

 

「お前は…!」

 

「カテゴリーK…」

 

始を襲ったのはスペードのカテゴリーK、コーカサスビートルアンデッドだ。その事に、バットアンデッドと戦っている橘も驚く。

 

「何故剣崎が封印したはずのあいつが…!?」

 

「さっきのレンゲルが、リモートってカードを使って封印を解いたんです!」

 

驚く橘に、トータスアンデッドと戦いながら説明する希。

 

「しかし、レンゲルを倒した今、リモートの能力も切れるはず…なのに何故…」

 

「恐らく、財団Xが改造でもっ…はぁ!したんだろう…」

 

会話の途中でバットアンデッドを吹き飛ばし、距離を取った橘。

 

「橘さん!」

 

そこに、もう1人ある人物が現れる。

 

「睦月!?」

 

現れたのは、上城睦月。かつて仮面ライダーレンゲルに変身していた男だ。

 

「どうしてここに…」

 

「たまたま通りかかったら、アンデッドがいたんで駆けつけました。俺も戦います!」

 

「でもっ!」

 

「今の俺は昔と違います!相川さん、バックルを!」

 

「あぁ!」

 

始は睦月に、レンゲルバックルを投げ渡す。睦月はレンゲルバックルにクローバーのカテゴリーAのラウズカードを差し込み、腰に巻き付ける。

 

「変身!」

 

『OPEN UP』

 

睦月は仮面ライダーレンゲルに変身した。その前には、トータスアンデッド、バットアンデッド、コーカサスビートルアンデッドの3体のアンデッドが構えている。

 

そして、変身した睦月の隣に、希たちも並び立つ。ブレイド、カリス、ギャレン、レンゲルの4人の仮面ライダーが並び立った。

 

「お二人さん、これを。」

 

希は睦月と橘に、カテゴリー7、8の封印前のダイヤのラウズカードを渡した。

 

「よし、行くぞ。」

 

4人のライダーは走り出し、希と始はコーカサスビートルアンデッドと、橘はバットアンデッドと、睦月はトータスアンデッドと戦闘を開始した。

 

 

 

『スタッブ』

 

「おりゃあああ!」

 

打撃力を強化したレンゲルラウザーで、トータスアンデッドを突き刺す睦月。

 

「はっ!やぁ!」

 

更にレンゲルラウザーで殴り、突いていく。睦月の攻撃に、押されるトータスアンデッド。

 

「何年も戦ってなかったけど、体はあんまりなまってないな…よしっ!」

 

『ラッシュ』『ブリザード』『ポイズン』

『ブリザードベノム』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

睦月は上空に飛び、冷気を出しながら着地と同時にトータスアンデッドに、レンゲルラウザーを突き刺した。更に、レンゲルラウザーから毒を吐き出した。そのダメージで、トータスアンデッドのアンデッドバックルが開き、睦月はラウズカードを投げ封印した。

 

 

 

『バレット』

 

橘はバットアンデッドへ、ギャレンラウザーから、強化した弾丸を放っていく。

 

『アッパー』

 

「はぁぁ!」

 

更に、腕力を強化し、強力なアッパーを放った。

 

「これで決める。」

 

『ドロップ』『ファイア』『ジェミニ』

『バーニングディバイド』

 

橘は上空で2人に分身し、炎を纏った両足でバットアンデッドにキックを決めた。そして、倒れているバットアンデッドを封印した。

 

 

 

『スラッシュ』

 

『トルネード』

 

「やぁ!」

 

希は斬れ味の増したブレイラウザーで、コーカサスビートルアンデッドを斬りつけるが、腕のバリアで防がれてしまう。始もカリスアローから風を纏った矢を放ったが、それも防がれてしまう。

 

『タックル』

 

「はぁぁあああ!!」

 

希はコーカサスビートルアンデッドに向かって、思い切りタックルするが、それも効かない。

 

「あのバリアをなんとかせんと…」

 

「同時にあの盾を狙ってみるぞ。」

 

「そうやね。」

 

『ビート』

 

『チョップ』『バイオ』

 

始はコーカサスビートルアンデッドを拘束し、自分たちの方へ引き寄せてくる。

 

「やぁぁぁぁ!」「はぁぁぁぁ!」

 

そして、引き寄せてきたコーカサスビートルアンデッドの盾に向けて、希と2人でダブルパンチを浴びせた。それにより、少し盾にヒビが入った。

 

「よし、このまま一気に…やぁぁぁぁ!」

 

希はコーカサスビートルアンデッドの盾を殴り、更にもう一発、もう一発と続いて何度も殴る。

 

「やぁ!やぁ!はぁぁ!」

 

希の連続攻撃に、怯んでいくコーカサスビートルアンデッド。

 

「たぁぁ!」

 

最後に思いっきり希が殴り、ついにコーカサスビートルアンデッドの盾を壊すことに成功した。

 

「やった!」

 

「喜ぶのはまだ早い。トドメを決めるぞ。」

 

「あっ、はい!そうやね。」

 

『フュージョンジャック』

 

『エボリューション』

 

希は仮面ライダーブレイド ジャックフォームに、そして始は、仮面ライダーワイルドカリスに変身した。そして、始はハートの13枚全てのラウズカードを融合させた。

 

『スラッシュ』『サンダー』

『ライトニングスラッシュ』

 

『ワイルド』

 

「やぁぁぁぁ!」「はぁぁぁぁ!」

 

希は走り出し、コーカサスビートルアンデッドとすれ違い様にブレイラウザーで斬り裂き、その逆から始がカリスアローで斬り裂いた。その攻撃の影響で、コーカサスビートルアンデッドのアンデッドバックルが開いた。

 

「よし…あの、これを。」

 

希はコーカサスビートルアンデッドを封印し、そのラウズカードを始に渡した。

 

『スピリット』

 

そして、始はハートのカテゴリー2、スピリットラウズカードをスキャンし、相川始の姿に戻った。それに続いて、希、橘、睦月も変身解除した。

 

「始と協力したとはいえ、まさかカテゴリーKを封印するなんてな…中々強いな、君。」

 

「ウチなんて、そんな…」

 

「自己紹介がまだだったね。俺は橘朔也だ。」

 

「俺は上条睦月です。」

 

「相川始だ。」

 

「あっ、改めてウチは東條希です。」

 

「ところで、何故君はブレイドのバックルとラウズカードを持っている?本来は長いこと会えていない、俺達の仲間が持っている力だ。場合によっては…」

 

「ちょっ、ちょっと待って!多分これは、その仲間の人が持ってる物とは違う。これは元のブレイバックルとラウズカードをコピーして作られた物って、前に聞いたんや。」

 

「そうか。しかし、何故そんなものが…」

 

「うーん…それは、ウチにもよう分からんのよ。そういえば、さっき言ってたお仲間さんって、剣崎さんのこと?」

 

「…!?けん「剣崎を知っているのか!?」

 

驚いて橘が聞こうとしたのを遮って、焦って始が聞いた。

 

「うっ、うん…昨日、さっきのレンゲルが現れて、その時ブレイドに変身して助けてくれたんや。ウチと同じ姿に変身したから、よく覚えとるよ。」

 

「昨日!?」

 

「なら、今も剣崎さんは、この近くに…どうします?橘さん、相川さん。」

 

「……俺はあいつと会うわけには…」

 

「とにかく、今はまだ封印していないアンデッドが先決だ。それに、剣崎が戻ってきているのも、アンデッドを封印するためかもしれないからな。」

 

迷う始に、そう促した橘。

 

「じゃあ、希ちゃん。俺たちはこれで。」

 

「はい。ありがとうございました。」

 

橘、睦月、始の3人は希と別れて走っていく。しかし、始は途中で立ち止まり、希の方に再び戻ってくる。

 

「東條希。お前のアンデッドとの融合度数がどのぐらいかは知らんが、万が一お前が剣崎程の融合度数なら、このまま変身を続けると、元のままではすまなくなるかもしれない。それでも、お前は戦うか?」

 

「……うん。ウチには、どうしても守りたい人がいるんや。その人は、自分の命のことなんて考えもしないで、人を守ることだけを考えてる。だから、そんな彼の力に、少しでもなりたい。だからウチは、誰かに…たとえその彼に止められても、人を守るために戦う!」

 

「そうか…俺はもう、剣崎のようにアンデッドになる人を、出したくはない。だが、今のお前を何故だか信じたくなった。剣崎と同じ、ブレイドに変身するお前を…」

 

「ウチを、信じる…?」

 

「あぁ。そうだ、こいつはお前が持っておけ。」

 

始はさっき封印したスペードのカテゴリーKのラウズカードを、希に渡す。

 

「多分、剣崎はもう俺と会おうとしないだろうからな。また剣崎と会ったら、返しておいてくれないか?それまでこのカードをどう使うかは、お前の自由だ。」

 

「えっ…?それってどういう…」

 

そんな希の言葉には答えず、始は去っていった。

 

「……ありがとう、始さん。ウチは、あなたが信じれる人になれるかはわからんけど、頑張ってみるよ。」

 

始の後ろ姿を眺めて、希は小さく、強く言った。

 

 

 

「すまんな、勝手にラウズカードを渡して。」

 

「いや、俺はいいんだが…お前はいいのか?」

 

戻ってきた始に、橘にそう聞いた。

 

「どういうことだ?」

 

「剣崎の時は、13枚全てのラウズカードを揃えたことで戻ったが、もし希ちゃんがキングフォームに変身したら、お前はまたジョーカーになる恐れが…」

 

「大丈夫だ。根拠はないが、そう言える。これ以上、剣崎の努力を無駄にしたくはないからな。」

 

「そうか…」

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 優〜

 

翌日…

 

「好きだ!愛してる!うわぁぁ、こんなんじゃないよねぇ…!」

 

穂乃果の家に、μ's9人と俺たちマネージャー3人が集まり、ラブソングについて話し合っている時、穂乃果が自分の恋愛のイメージを伝えてはみたものの、中々しっくりとこなかったようだ。

 

「まっ、まぁ、間違ってはないわね…」

 

苦笑を浮かべてそう言った絵里を、真姫はどこか怪しげな目で見つめている。

 

「はぁ…ラブソングって、難しんだね…」

 

「ラブソングは結局のところ、好きという気持ちをどう表現するかだから、ストレートな穂乃果には難しいかもね。」

 

「ストレートというより、単純なだけよ。」

 

せっかく絵里がやんわりと言ったのに、そんなストレートに言ってやるなよにこ…

 

「と言うにこっちも、ノート真っ白やん。」

 

「うわっ…これから書くのよ!」

 

「まあまあ、じゃあ参考に、恋愛映画でも見てみない?」

 

「恋愛映画かぁ…」

 

 

 

ことりの提案で、恋愛映画を見ることになった俺たち。映画は愛し合うことが認められない2人が禁断の恋をする、という、まあ定番って言ったら定番な話。そんな映画も、最後の盛り上がりを見せている。

 

「うぅ…可哀想…」

 

涙を流しながらそう言った花陽。絵里、ことりも涙を流しながら映画に夢中。それとは真逆で、退屈だったのか穂乃果と凛、更に蓮も夢の中だ。真姫もどこか興味なさげに映画を見ているが、その隣のにこはというと…

 

「うぅぅぅ…ぬわぁによ、安っぽいストーリーねっ…」

 

口では文句を言っているが、ボロボロと涙を流している。

 

「涙出とるよ。それにしても、秀夜くんがああなるのは、なんか意外やね。」

 

希が指さした方向には、花陽たちと同じく感動で涙を流している秀夜。

 

「あー、あいつ意外とロマンチストなんだよなぁ…」

 

「うっ…うるせぇよ、くぅ…」

 

「うぅ…くぅ、うぅぅ…」

 

そんな中、感動とはまた違う、怯えたようにうずくまっている人物が1人…

 

「海未ちゃん?なんで隠れてるの?怖い映画じゃないよ。」

 

「ぞうよ、こんな感動的なジーンなのに…」

 

「分かってます!恥ずかしいっ!あ、あぁぁ…ひぇぇぇぇ…」

 

「「「あぁ!」」」

 

そして、とうとうお待ちかね?のキスシーン。2人が口付けを使用としたその時、

 

ピッ

 

海未がテレビの電源を切り、電気をつけた。あちゃー、1番の見せ場が…

 

「はぁはぁ…」

 

「海未ちゃん!」

 

「恥ずかしすぎます!破廉恥です!」

 

「そうかな?」

 

「そもそもこういうことは、人前ですべきものじゃありません!」

 

「うぇ…?」

 

「なんだ…?」

 

「終わったにゃ…?」

 

眠そうな穂乃果、蓮、凛が目を覚ました。

 

「穂乃果ちゃん、開始3分で寝ちゃってたね。」

 

「ごめぇん…のんびりしてる映画だなぁって思ったら、眠くなっちゃって…」

 

「中々映画のようにはいかないわよね。」

 

「っていうか、映画よりももっと身近に、恋愛経験がある人がいるでしょ。」

 

にこがそう言うと、全員が『えっ?』と声を上げる。

 

この中で恋愛経験って、まさか…

 

「優。あんた、茜と付き合ってたんでしょ?」

 

やっぱり…

 

「いや、まあそうだけど、別に大して話すようなこととかないぞ?」

 

「でもでもっ、付き合ってたなら、キスとかしたんでしょ?」

 

穂乃果がそう俺に詰め寄って聞いてきた。

 

「……いや、その…………………//」

 

「えっ?なんて?」

 

「だから…したこと、ないんだよ…キス…//」

 

 

・・・

 

 

『えぇー!?』

 

俺の返答に、海未を除く全員が驚いて声を上げる。海未だけは、「高校生の男女がキスなんて、破廉恥です…//」などと呟いている。

 

「なんでなんで!?」

 

「いや、なんでって言われても…」

 

「茜ちゃんからは誘われたりしなかったん?」

 

「茜のあの性格なら、積極的に言ってたと思うけど…」

 

茜を知ってる希と絵里が、そう聞いてくる。

 

「いや、まあなかったと言えば嘘になるんだが…その…いつも恥ずかしくて話逸らしてたんだよ…//」

 

「優くん…」

 

「ヘタレ…」

 

「まぁ、優らしいと言えば優らしいわね…(好きな人である優がキスしていなかったんだから嬉しいことなんだけど、これは茜が可哀想ね…)」

 

穂乃果、にこ、絵里がそう言ってくる。他のみんなも苦笑を浮かべている。っておい、にこ…ヘタレってなぁ…いやまぁ、その通りだよな…茜が死んだ今となっては、あそこでヘタレた俺を殴り飛ばしたい…

 

「とりあえず、もう一度みんなで言葉を出し合って…」

 

「待って!」

 

絵里の言葉を遮って、真姫が言う。

 

「もう諦めた方がいいんじゃない?今から曲を作って、振り付けも歌の練習もこれからなんて、完成度が低くなるだけよ。」

 

「でも!」

 

「実は私も思ってました。ラブソングに頼らなくても、私たちには、私たちの歌がある。」

 

「そうだよね。」

 

「相手はA‐RISE。下手な小細工は通用しないわよ。」

 

真姫に続いて、海未、穂乃果、にこも言った。

 

「でもっ!」

 

それでも絵里は、ラブソングがいいと言おうとした。しかし…

 

「確かにみんなの言う通りや。今までの曲で全力を注いで頑張ろ?」

 

最初にラブソングを提案した希本人が、そう言った。

 

「希…」

 

「今見たら、カードもそれがいいって。」

 

「待って希…あなた…」

 

「ええんや。一番大切なのは、μ'sやろ?」

 

「どうかしたの?」

 

その希の言葉に、疑問を持った穂乃果が聞いた。

 

「じゃあ今日は解散して、明日からまた練習やね。」

 

希がそう言い、今日は解散することになった。しかし、俺の中には気がかりなことが1つ…

 

なんで絵里は、あそこまでラブソングにこだわっていたんだ…?多分、それには希もなにか関わっている…仕方ない。こんなことするのはどうかと思うが、尾行してみるか…

 

そして、絵里と希の後をつけようと思い、2人が帰って行った方向に向かった俺。これじゃあ、俺が変態みたいだな…

 

絵里と希に追いつき、物陰に隠れようとした時、同じ考えだったのか真姫がいた。

 

「真姫?」

 

「優。どうしたのよ?こんな所に来て。」

 

「いや、多分真姫と同じ考えだと思う。」

 

「そう…」

 

俺は真姫と同じく物陰に隠れ、2人の会話を盗み聞きする。

 

「本当にいいの?」

 

「いいって言ったやろ?」

 

「ちゃんと言うべきよ。希が言えば、みんな絶対協力してくれる。」

 

「ウチには、これがあれば充分なんよ。」

 

1枚のタロットカードを取り出し、そう言った希。

 

「意地っ張り…」

 

「絵里ちに言われたくないなぁ…」

 

「どういうこと?」

 

2人の会話を聞き、真姫の口からそんな言葉が零れた。

 

ラブソング…恋…

 

 

『優くん、私…優くんの事…ううん、なんでもない…バイバイ、優くん。』

 

『─…またな!』

 

『ッ…!うん、またね!』

 

 

何故か突然、いつしか俺が見た夢がふと頭を過ぎる。普通夢なんて、すぐ忘れるものだけど、昔の記憶に関する夢は覚えていることが多い。

 

俺が考え込み、少しぼーっとしている間に…

 

「待って!」

 

真姫は我慢の限界で、2人に声をかけてしまった。

 

「前に私に言ったわよね!めんどくさい人間だって。」

 

「そうやったっけ?」

 

「自分の方がよっぽどめんどくさいじゃない!」

 

「気が合うわね。同意見よ。」

 

「そうだな。それは俺もそう思う。」

 

 

 

「「お邪魔します。」」

 

「遠慮せんと入って。」

 

それから俺たちは、希に案内され彼女の家にやってきた。

 

「お茶でええ?」

 

台所でお湯を沸かしながら、そう聞いてくる希。

 

「あっ、うん。」

 

「悪いな。」

 

そう答えた真姫と俺は、キョロキョロと希の部屋を見回す。すると、1つ気になる点が…

 

「1人暮し、なの?」

 

この家には、希以外誰か住んでる気配がないのだ。

 

「うん。子供の頃から、両親の仕事の都合から、転校が多くてね。」

 

「そう、なのか…」

 

「だから、音ノ木坂に来て、やっと居場所が出来たって。」

 

「その話はやめてよ。こんな時に話すことじゃないよ。」

 

絵里の話をそう言って止めた希。

 

「ちゃんと話してよ。もうここまで来たんだから。」

 

「そうよ。隠しておいても、しょうがないでしょ?」

 

「別に、隠していたわけやないんよ?えりちが大事にしただけやん。」

 

「嘘。μ's結成した時から、ずっと楽しみにしていたでしょ?」

 

「そんなことない。」

 

「希…!」

 

「ウチが、ちょっとした希望を持っていただけよ。」

 

絵里と希が話しているが、俺と真姫にはなんの話なのか全く検討がつかない。

 

「いい加減にして!いつまで経っても話が見えない!」

 

「どういうことなんだ?」

 

俺たちがそう聞いても、希はまだ話そうとしない。

 

「希!」

 

そう少し威圧的に言った真姫に、

 

「簡単に言うとね、夢だったのよ。希の。」

 

絵里が代わりに話し始めた。

 

「えりち。」

 

「ここまで来て、何も教えない訳にはいかないわ。」

 

「夢?」

 

「ラブソングが?」

 

「ううん。大事なのは、ラブソングかどうかじゃない。12人みんなで、曲を作りたいって。一人一人の言葉を紡いで、想いを紡いで、本当に全員で作り上げた曲。そんな曲を作りたい、そんな曲でラブライブに出たい!それが希の夢だったの。だから、ラブソングを提案したのよ。上手く、いかなかったけどね…」

 

残念そうに笑いながら、そう話す絵里。

 

「みんなでアイデアを出し合って、1つの曲を作れたらって…」

 

「言ったやろ。ウチが言ってたのは、夢なんて大それたものやないって。」

 

「じゃあなんなの?」

 

「なんやろうね…ただ、曲じゃなくてもいい。12人が集まって、力を合わせて、何かをうみ出せれば、それで良かったんよ。ウチにとって、この12人は奇跡だったから…」

 

「奇跡?」

 

「そっ。ウチにとって、μ'sは、奇跡…」

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「そっ。ウチにとって、μ'sは、奇跡…」

 

そう言った希は、昔の自分について語り始める。

 

 

「転校ばかりで、友達はいなかった。当然、分かり合える相手も。でも、そんな小学生の頃、1人だけ、友達が出来た。1人でいるウチに、何度も何度も話しかけてくれた子が…でも、その子とも転校ですぐに別れることになってしまった。それに、多分もうその人も、ウチのことなんて忘れてしまってると思う。」

 

「…!」

 

そして、時は過ぎ2年前…希が音ノ木坂学院に入学した時のこと…

 

『皆さん、はじめまして。絢瀬絵里といいます。よろしく。』

 

「初めて出会った。自分を大切にするあまり、周りと距離を置いて、みんなと上手くとけ込めない。ずるが出来ない。まるで、自分と同じような人に…想いは人一倍強く、不器用な分、人とぶつかって…」

 

 

『あのっ!』

 

『あなたは?』

 

『わっ、私…あっ…ウチっ、東條希!』

 

 

「それがウチとえりちの出会いやった。その後も、同じ想いを持つ人がいるのに、どうしても手をとりあえなくて…真姫ちゃん見た時も、熱い想いはあるのに、どうやって繋がっていいか分からない。そんな子が、ここにも、ここにも…そんな時、それを、大きな力で繋いでくれる存在が現れた。」

 

そう話す希の脳裏には、まだ3人だった頃のμ'sが浮かぶ。

 

「想いを同じくする人がいて、繋いでくれる存在がいる。必ず形にしたかった。この12人で、何かを残したかった。確かに、歌という形になれば、良かったのかもしれない。けど、そうじゃなくても、μ'sはもう既に、なにか大きなものを、とっくに生み出してる。ウチはそれで充分。夢はとっくに…」

 

そう言いながら希が持ったティーカップのお茶には、笑っている子供の頃の自分の姿が映し出された。そして、1人で夕食を食べていた頃と違って、以前µ’s9人とマネージャー3人で、ほむまんを食べたことを思い出す。

 

「1番の夢は、とっくに…だからこの話はおしまい。」

 

「って、希は言うんだけど、どう思う?」

 

絵里にそう聞かれ、真姫は絵里と一緒にスマホを取り出す。

 

「まさか、みんなをここに集めるの!?」

 

「いいでしょ。1度ぐらい、みんなを招待しても。友達、なんだから。」

 

「(友達…)」

 

そして、他のメンバーをここに呼ぶことになった。そんな中、優は何故か上の空。

 

「優、どうかしたの?」

 

「あっ、いや、なんでも…希、少しいいか?」

 

「えっ?」

 

 

 

全員揃うまで時間があるため、ベランダで話すことになった2人。

 

「希って、音ノ木坂に来るまでは標準語だったんだな…」

 

「あー、うん…そうなんよ。」

 

「あのさ、さっき言ってた小学生の頃の友達のこと、覚えてるか?」

 

「……うん。よく覚えとるよ。さっきも言った通り、その子はもうとっくに忘れてしまってると思うけどね。」

 

「ごめん!」

 

「えっ?」

 

「さっきの話聞いて、思い出した。俺と希、小学生の頃に会ってるよな?」

 

「優、くん…思い出した、の…?」

 

「あぁ。」

 

「うぅ…」

 

「希!?」

 

手で顔を覆い、涙を流し始めた希に驚く優。

 

「良かった…もう、思い出してもらえないと、思ってたから… 」

 

「希…本当にごめん。」

 

涙を流す希を、そっと抱きしめてそう言った優。そんな優の胸の中で、希はしばらく涙を流し続けていた。

 

 

「ごっ、ごめん…ウチ…//」

 

優から離れて、自分が想い人に抱きついていたことを自覚し、希は恥ずかしくなっていた。

 

「俺こそ、本当にごめん。ずっと忘れてて…」

 

今の優は、この世界で死んだ仮野優と、別の世界で死んだ橋本拓真の2人の意思が入っている状態。その影響で2人両方の記憶にリミッターがかけられていて、思い出せなかったのだ。だが、優にはそんなこと関係ない。自分が希のことを思い出せなかったことに、変わりはない。そんな罪悪感があるのだ。

 

「ううん。ウチも、こんな風に話し方変わってるから、仕方ないよ。あと、ウチずっと優くんに、言いたかったことあるんよ。」

 

「言いたかったこと?」

 

「うん。ウチ…ううん。私を助けてくれて、ありがとう!」

 

「えっ?」

 

「小学生の頃、1人でいた私に、優くんだけが話しかけてくれて、友達になってくれた。だから、本当にありがとう!」

 

「希…」

 

「良かった…小学生の頃も、高校生になって再会してからも、ずっと言えてなかったから。言えて、本当によかった!」

 

希は優しい笑みを浮かべて、そう言った。

 

 

 

こうして、仮野優は小学生時代の東條希について、思い出したのであった…




次回のµ’sと仮面ライダーの物語!

全員の言葉、想いを紡いで新曲のラブソングを作ることになったµ’s9人とマネージャー3人。そんな時、封印していない残りのアンデッドが優たちの前に…そして、希はそれぞれの想いを胸に、新たな力に覚醒するのであった…

次回、『107話 想いを紡いで…』





今回、ついに優が小学生時代の希のことを思い出しました。次回はそんな希が新たな力に覚醒します。

そして、前書きでも少し触れましたが、今回が平成最後の投稿になると思います。ここまで見てくださった皆様、本当にありがとうございます!

令和になっても、読み続けて頂けると嬉しいです!お気に入り登録、評価や感想、あと質問などもあれば頂けると嬉しいです!

では、また令和になっての初投稿でお会いしましょう!
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