μ’sと仮面ライダーの物語   作:シーチ

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はい、116話です。

今回は書くのが難しいエピソードだったので、いつも以上に苦労しました。なので、今回は特にガバガバな文になってしまっているかもしれません…すみません!

では116話、スタートです!


116話 だから、私は…

〜三人称視点〜

 

「優くん…」

 

蓮の家から自宅に帰ってきた希は、ふと優の名前を呟いた。

 

「まさか優くんが1度死んでて、別の世界の優くんとこの世界の優くんが1人になってたなんて、思ってもなかったな…記憶がなくなってたらしいし、昔のウチのことを覚えてなくて当然やね…この前思い出してもらえたのは、奇跡やね…」

 

そう1人言葉を発した希。

 

「優くんは、ずっと1人でその悩みを抱えてたんやね…」

 

 

『けど、これだけは信じて欲しい。優はみんなを騙そうとしたわけじゃないんだ…ただ、話したら嫌われるんじゃないかって、ずっと悩んでたんだ…』

 

 

希はその時、優たちが転生者だと蓮から説明を受けた時に言われた言葉を思い出した。

 

「そんなことで、ウチらが優くんを嫌うわけないよ…優くん…まさか、もう会えないなんてことないよね…私たち、絶対に優くんを生き返らせることが出来るよね?」

 

希は普段の関西弁ではなく、素の希の口調で目に涙を溜めながら言った。その言葉は、どこか自分自身に問いかけるように…

 

「私、まだ優くんに言えてないことがあるんだよ?小学生の頃会った時からずっと…あの時も言えないまま離れ離れになってしまった…また言えないままお別れなんて、絶対にいや!だから、ウチは…」

 

 

 

 

 

「優くん…」

 

希と同じく、家に帰ってきた花陽は、自室で1人優の名前を呟いていた。

 

『花陽。』

 

「モモタロスさん…それにみんなも…」

 

花陽の部屋に、砂状態のモモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスが入ってきた。

 

『すまねぇ…俺たちにあの怪物を倒せるぐらいの力があれば、優を死なせるようなことなかったのに…』

 

「モモタロスさんたちは悪くないよ。私が、弱かったから…だから、ずっとモモタロスさんたちにも迷惑かけちゃって…」

 

『それは違うよ、花陽ちゃん。』

 

「えっ?」

 

ウラタロスに言われた言葉に、思わず聞き返した花陽。

 

『ボクたちは花ちゃんのこと、すっごい強いと思ってるよ!』

 

『せや。俺らはお前が強いと思ったから、一緒に戦うって決めたんや!』

 

「リュウタロスさん…キンタロスさん…でも、私には戦うほどの力は…」

 

『強いつっても、ただ戦う強さってわけじゃない。お前は気弱で大人しいが、いざって時には自分の意志を曲げない強い芯を持ってる。俺たちは、そんな花陽だから一緒に戦うって決めたんだ!』

 

「モモタロスさん…」

 

『それは、きっと優くんも同じなんじゃないかな。優くんも、花陽ちゃんが強いって思ったから一緒に戦ってる。優くんが本当に危険だと感じてるなら、絶対に花陽ちゃんに戦わせたりしないと思うよ?』

 

「っ…!」

 

ウラタロスの言葉を聞き、花陽の表情が少し明るくなる。

 

『花陽が強いってのは、俺らも優も感じてる。せやから、自分の力をもっと信じ!』

 

『花ちゃんたちμ‘sなら、きっと優を生き返らせることができるよ!』

 

キンタロス、リュウタロスも花陽に励ましの言葉をかけた。

 

「そうだよね…それに、今は不安になってる場合じゃない…花陽たちは、また優くんに会いたいんだ!だから、私は…」

 

 

 

 

 

そして、ガリュサと別れた絵里は眠った亜里沙をベットまで運んでから、リビングの椅子に座っていた。

 

「くっ…」

 

絵里は悔しそうに手を強く握り、唇を噛んでいた。

 

「あの時、あの怪物が優のボトルを壊そうとしたことに気づいたのに、私は動けなかった…私が動けていれば、優がまた死ぬことはなかったのに…!」

 

絵里はそう言い、悔しさのあまり軽く机に手をぶつけた。

 

「優はずっと自分が転生者だということがみんなに知られたらって悩んでたのに、結果みんなが知ってしまうことになった…ごめんなさい…優…」

 

そう言った絵里の目から、涙がポロポロと零れ落ちた。

 

 

『何泣いてんだよ?』

 

 

「優…?」

 

その時、絵里を慰めようとするような優の声が聞こえた。

 

「って、そんなはずないわよね…」

 

しかし、優がいるわけない。これは正真正銘、絵里の空耳。しかし、絵里にはその言葉に聞き覚えがあった。

 

「そういえば、優と初めて会った時も…」

 

 

『お前、1人なのか?こんな所で、何泣いてんだよ?』

 

『あなたは…?』

 

『俺?俺は仮野優!よろしくな!』

 

 

「あの時、優と出会って私は救われた。そうだわ。私は昔から、優に助けられっぱなしだ…今は泣いてる場合じゃない!優に恩返ししたい!優ともっと一緒にいたい!だから、私は…」

 

 

 

 

 

「真姫ちゃん、おかえり。」

 

「ただいま…」

 

家に帰ってきた真姫は、出迎えにきた母に小さな声で挨拶を返した。

 

「何かあったの?元気ないわよ?」

 

「えっ?あっ…うん、ちょっとね…」

 

「そう…」

 

何かを察したのか、真姫の母親はそれ以上言及しなかった。

 

「晩御飯出来てるわよ。」

 

「ありがとう…」

 

真姫はそう答え、リビングに入った。

 

「真姫、帰ったのか。」

 

「パパ?今日は早いわね。」

 

真姫の父は病院の医院長を勤めているため、普段の帰りは遅い。

 

「あぁ、今日は仕事が早く終わったんでな。お前は最近帰りが遅いようだが、何かあるのか?」

 

「っ!別に、何んでもないわ…」

 

真姫のスクールアイドル活動は、父に内緒で始めたこと。そんな父にスクールアイドル活動のことがバレてしまうわけにはいかないため、父の言葉に真姫は少し戸惑いながら答えた。

「そうか…」

 

 

それから、夕食を食べ風呂を済ませた真姫は、自室に戻った。

 

「ねぇ、キバット。」

 

『なんだ?』

 

真姫は近くで羽を休めているキバットに声をかけた。

 

「キバットは、知ってたの?」

 

『優が転生者だってことか?』

 

「うん…」

 

『いや、それについては俺様も初耳だ。まっ、あいつの姉ちゃんが女神だから、何かしらあるとは思ってたが…』

 

「優香さんが女神だってことは、知ってたの?」

 

『あぁ。なんたって、俺様は父ちゃんのデータから、優の姉ちゃんに生み出されたからな。だから、優の姉ちゃんが女神だってことは知ってる。』

 

「なるほどね…」

 

『それで、本当は他に何か言いたいことがあるんじゃないのか?』

 

「えっ?いや、それは…」

 

『怖いのか?明日、優を蘇らせることができなかったらって…』

 

「……私は…私たちは、スクールアイドル活動でも、戦いの中でもずっと優に助けられてきた…蓮や秀夜がいるとしても、私たちだけであの強い敵と戦いながら、優を蘇らせることが出来るか分からない…」

 

『なるほどな。じゃあ逆に聞くぞ。真姫は、μ‘sのみんなは、なんで優を助けたいんだ?』

 

「なんでって…理由なんて、沢山あるわよ…」

 

『じゃあ、その中で1番の理由ってなんだ?』

 

「1番の理由…もっと優と一緒にいたいから。優、蓮、秀夜、μ‘sのみんなと一緒にいたいから!」

 

真姫の本心からのその言葉を聞いたキバットは、少し笑ってから答える。

 

『だったら、それでいいだろ?』

 

「えっ?」

 

『真姫がそう思ってんなら、そのために思う存分戦えばいい!真姫、俺様はお前に感謝してる。』

 

「えっ?」

 

『俺様は人間じゃない。元々俺様たちキバットバットの一族は、本来ファンガイアのクイーンに仕えているんだ。』

 

「えっ?そうだったの?」

 

『あぁ。でも、父ちゃんもじいちゃんも人間を守るために戦っていたんだけどな…俺様は父ちゃんたちと違って優の姉ちゃんに生み出された。でもその後、財団Xに攫われた。そこにはファンガイアもいたし、俺様はファンガイアと共に戦わされるのかと思った。』

 

「じゃあ、なんで私の前に現れたの?」

 

『それは、財団Xから逃げることが出来たからだ。なんでか分からないが、さっき蓮の家で会ったボインのねーちゃんに逃がしてもらったんだ。』

 

「蓮の家で会ったボインのねーちゃん…?ってガリュサのこと?」

 

『あー、確かそんな名前だったな。』

 

「あなた、そんな認識してたのね…」

 

キバットのガリュサに対する認識に、真姫は呆れてそう言った。

 

『俺様から見て、人間というのは不完全な存在だ。人間は感情で動き、罪を犯したりもするからな…でも、その感情は時に人を強くする。俺様はそんな人間が、羨ましかった。』

 

「キバット…」

 

今まで聞いたことのなかったキバットの本心に、真姫は感銘を受けていた。

 

『そんな人間の心を持つ仲間と共に戦っている父ちゃんやじいちゃんも羨ましかった…そんな時、真姫は俺様と一緒に戦ってくれるって言ってくれた!だから、俺様は真姫に感謝してるんだ!』

 

「キバット…それは私も。私に戦う力を、人を守るための力を与えてくれたあなたに感謝してる。だから、その…あっ、ありがとう…//」

 

『真姫…お前なら大丈夫だ。優を助けたい、一緒にいたいって強い気持ちを持って戦えば、絶対に大丈夫だ!絶対に、優を復活させることができるぜ!』

 

「そうね!頼もしいコウモリさんもいるしね。じゃ、そろそろ寝るわ。」

 

『えっ?ちょっ、真姫!さっきのもう1回言ってくれよ!』

 

「もっ、もう言わないわよ!//(優…普段は恥ずかしがってこんなこと言わないけど、私はまだまだあなたと一緒にいたいの!)」

 

心の中でそう願った真姫は、手を強く握った。

 

「だから、私は…」

 

 

 

 

 

『もしもし?』

 

「ごめんね、蓮くん。忙しい時に、急に電話かけて。」

 

家に帰り、入浴と夕食を終えた凛は、蓮に電話をかけていた。

 

『大丈夫。それで、どうしたんだ?』

 

「うん…ちょっと、蓮くんの声が聞きたくなって…」

 

蓮には見えていないが、顔を赤くしながら凛は言った。

 

『へっ?俺の声を?』

 

その言葉を聞いた蓮も、顔を赤くする。

 

「うっ、うん…ダメ?」

 

『いやいや!俺も、凛の声、聞きたかったし…』

 

「そっ、そっか…!」

 

この2人は、何時も赤面しながらイチャイチャしないと話せないのか、と読者の皆様に思わせたところで、凛の声色が真剣なものに変わって蓮に話しかける。

 

「明日の作戦、成功できるかな…?」

 

『……それは、正直分からない…そもそも今回の作戦が成功する確率も低いらしいし、フィンディッシュが邪魔してくるかもしれない…今の俺たちで、フィンディッシュが倒せるかどうか、分からないしな…』

 

「……そうだよね…」

 

蓮の言葉に、凛は更に不安に思う。

 

『って、さっきまでは思ってた。』

 

「えっ?」

 

『俺たちはこれまで、スクールアイドル活動の中でも、戦いの中でも、何度も困難に陥った…でも、そんな困難を、何度でも乗り越えてきた!そんな俺たちなら、今回だって大丈夫だ!』

 

「っ!」

 

蓮の言葉を聞き、凛は目を見開いてハッとする。

 

『って、今は根拠の無い理由しか言えないから、あんま説得力ないかもしれないけどな…』

 

「ううん、そんなことないよ!凛もそう思うにゃ!ねぇ、蓮くん。」

 

『ん?』

 

「これからも、凛と…凛たちと一緒にいてくれる?」

 

『あったりまえだろ!俺も、秀夜も、もちろん優も、もっとμ‘sのみんなと一緒にいたいと思ってる!』

 

「蓮くん…!ありがとにゃ!」

 

電話越しで見えてはいないが、今の蓮の顔が満点の笑みだということが、凛には何となく伝わった。

 

『こちらこそ、俺たちにマネージャーを任せてくれて、ありがとな!じゃ、そろそろ…』

 

「うん!また明日ね、蓮くん!」

 

凛は満面の笑みでそう答え、電話を切った。同じく電話越しで顔は見れないが、それは蓮にも感じられたことだろう…

 

「(凛とかよちん、真姫ちゃんがμ‘sに入った時は、まだ穂乃果ちゃん、ことりちゃん、海未ちゃんの3人と、マネージャーの優くんだけだった…でも、それからにこちゃん、絵里ちゃん、希ちゃんが加入して、蓮くんと秀夜くんもマネージャーになってくれた…凛たちが今こうして、スクールアイドル活動が出来ているのは、優くんがずっと凛たちや、色んな人たちを守っていてくれたから…今度は凛たちがそれを返す番。)」

 

「だから、凛は…」

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

妹のこころ、ここあ、虎太郎を寝かしつけたにこは、風呂に入って息を一つ吐いた。

 

「優…あんた、ずっと1人でそんな秘密抱えてたのね…それなのに、にこたちのこと気遣ってくれたりしてたのね…」

 

そう呟いたにこは、ふと2年生の頃のことを思い出した。

 

 

〜回想〜

 

「あっ…えっと、矢澤だっけ?」

 

茜が優を連れてきてからしばらくしたある日、にこが夕飯の買い出しをしている時に優と会った。これで優と会うのは二度目だ。

 

「あんた…確か、優だったかしら?あんたも買い物?」

 

「あぁ。夕飯のな。そういう矢澤も、夕飯買いに?」

 

「えぇ、そうよ。もしかして、あんたが夕飯作ってるの?」

 

「まあな。姉ちゃんは仕事の時が多いし、大体は俺が作ってる。姉ちゃんと妹の3人暮らしだから。」

 

「へぇ…大変ね。」

 

「まぁ、世話してもらってる姉ちゃんや可愛い妹のためを思えば、大変でもないよ。そういう矢澤は?」

 

「私も妹たちの夕飯作らないといけないの。マ…お母さんは仕事だから。」

 

「矢澤も大変だな…」

 

「私も可愛い妹たちと弟のこと思えば、どうってことないわよ。」

 

すると、優のスマホから着信音が鳴った。

 

「あっ、ちょっと悪い…もしもし?優奈?」

 

優はにこに一言言ってから電話に出た。どうやら、妹の優奈からのようだ。

 

「うん、うん…あぁ、分かった。大丈夫だ、楽しんでこいよ。」

 

しばらく会話して、優は電話を切った。

 

「どうかしたの?」

 

「あぁ、妹が今日は友達の家で夕飯食べてくることになったから、晩御飯いらないって…今日は姉ちゃんも仕事で帰ってこないし、買い物する前に知れてよかった。」

 

その時、再び着信音が鳴り響く。

 

「あっ、私にも電話だ…もしもし?」

 

今度はにこの携帯のようだ。

 

「えぇ!?分かりました!すぐ行きます。」

 

「矢澤?どうかしたのか?」

 

電話の最中驚いていたことを疑問に思い、優は電話を終えたにこに尋ねた。

 

「弟の虎太郎が幼稚園の友達とトラブルになって、怪我しちゃったみたい…」

 

「えっ!?」

 

「早く行かないと…でも、妹たちの夕飯も作らないといけないし…」

 

悩んでいるにこを見た優は、少し考えてある提案をする。

 

「……俺でよかったら、夕飯作りに行こうか?」

 

「はぁ?」

 

「ほら、俺の妹今日は友達の家で夕飯食べてくるって言ってたから…」

 

「いやでも、会って2回目のあんたにそんなこと頼むわけには…」

 

にこは遠慮半分、ほぼ初対面の優を信用していいのかという疑念半分で断ろうとしたが…

 

「……やっぱり、お願いしていいかしら?」

 

今は虎太郎のことも心配だし、にこの数少ない信頼出来る友人である茜が信頼する優のことを信じて、頼むことにした。

 

「もちろん!矢澤は早く、弟の所に行ってあげて。」

 

「えぇ!」

 

にこはそう答え、慌ててスーパーから出ていった。

 

 

 

ピンポーン

 

「はーい。」

 

優がにこから聞いたマンションに到着すると、小学3、4年生ぐらいの姉妹が出迎えてくれた。

 

「初めまして、俺は仮野優。君たちのお姉ちゃんの矢澤…じゃなくて、にこちゃんが急用で2人の夕飯作れないから、代わりに来たんだけど…」

 

「あっ、あなたがお姉様の言っていた方ですね!」

 

「お姉ちゃんから電話で聞いたよ!私は矢澤ここあ!こっちが双子のお姉ちゃんの…」

 

「矢澤こころです。よろしくお願いします、お兄様!」

 

「あっ、あぁ…よろしくね。(あの矢澤の妹なのに、随分礼儀正しいな…)」

 

優は突然のお兄様呼びに少し戸惑いながらも、笑顔で挨拶を返した。

 

「どうぞ、お上がりください。」

 

こころに言われて、優は家に入らせてもらった。

 

 

「もう日も暮れてきてるし、2人ともお腹すいてるんじゃないか?」

 

「うん!お腹すいたぁ!」

 

優の問いに、お腹を押さえながらここあが答えた。

 

「よし!じゃあ早速作るよ。そういえば、2人ともアレルギーとかあるか?」

 

「私もここあもないです!」

 

「分かった。じゃあ、ちょっとだけ待っててね。」

 

そう言って、優は2人の頭を撫でる。

 

「はい!」「うん!」

 

 

 

そしてしばらくして…

 

「はい、お待たせ。」

 

「カレーだ!やった!」

 

優が作ったカレーライスを見て、目を輝かせる2人。

 

「2人ともカレー好きか?」

 

「はい!大好きです!」

 

「私も大好き!」

 

「そりゃ良かった。さぁ、冷めないうちにどうぞ。」

 

「「いただきまーす!」」

 

手を合わせてそう言い、カレーを食べ始めた。

 

「んん!美味しいです!お兄様!」

 

「うんうん!凄い美味しい!」

 

「それは良かった。」

 

「お兄様は食べないんですか?」

 

「えっ?俺?(でも、今日は姉ちゃんは天界の仕事だし、優奈も友達の家…どうせコンビニとかで買ったもの食べることになる予定だしな…2人がいいって言うなら、俺も食べてくか…)じゃあ、俺も食べようかな。」

 

そう言い、優はご飯とカレーを更に盛り付け、

 

「いただきます。」

 

こころとここあの正面に座って食べ始めた。

 

 

 

それから全員が食べ終わると、優は使った食器類を洗い始めた。

 

「お兄様!何かお手伝いできることはありませんか?」

 

「私も手伝うよ!」

 

「えっ?じゃあ、俺が洗った食器とかの水を拭き取ってくれるか?」

 

「分かりました!」「分かった!」

 

そう答え、2人は言われた通り食器類を拭き始めた。

 

「2人とも偉いな。手伝ってくれるなんて。」

 

「いえ!食べさせてもらったんですから当然です!」

 

「(本当にしっかりした子たちだな…矢澤がしっかりとしているということなんだろうな…それに比べて、(うち)の優奈と来たら…)」

 

 

『お兄ちゃんご馳走様!じゃあ私ゲームの続きしてくる!』

 

 

「(って感じで、ご飯食べたら部屋に直行だしな…俺ももう少し厳しくした方がいいんだろうか?…………いや、無理だな。)」

 

 

「よし、これで最後!ねぇねぇ、お兄ちゃん遊ぼうよー!」

 

「ダメですよ、ここあ。宿題しないと。」

 

洗い物が終わり、遊ぼうと誘うここあにこころが注意する。

 

「えぇー…」

 

「じゃあ、宿題やってから遊ぶのはどうだ?わからないとこがあったら、俺が教えるからさ。」

 

「ほんと?じゃあやる!」

 

ということで、わからないところは優に聞きながら、こころとここあは宿題をやり始めた。

 

 

それから宿題を終わらせた2人は、優とおままごとなどで遊んでいた。そんな風に優と過ごしている間に時間は進み、にこが虎太郎を連れて帰ってきた。

 

「お姉様!虎太郎!おかえりなさい!」

 

「お姉ちゃん!虎太郎!おかえりー!」

 

それに気づいたこころとここあは、玄関の方へ出迎えに行った。

 

「ただいま。こころ、ここあ。ちゃんと良い子にしてた?」

 

虎太郎をおんぶしながら、にこが聞いた。

 

「もちろん!宿題も終わらせたよ!」

 

「えっ、宿題終わらせたの?」

 

「はい!お兄様が教えてくれました!」

 

「そう…いろいろ悪かったわね。」

 

こころたちから話を聞いたにこは優に言った。

 

「いや、2人とも凄い良い子だったから助かったよ。」

 

「そう…」

 

にこは安心したように呟いた。

 

「虎太郎くんは大丈夫だったか?」

 

「えぇ。幼稚園で遊んでいたブロックを友達が横取りしてきて、その時友達に取られたブロックが虎太郎の頭に当たったのよ。怪我と言っても大したことないそうよ。」

 

「そうか、良かった…」

 

「ほら、虎太郎。お兄さんに挨拶して。」

 

にこはおぶっている虎太郎にそう言う。

 

「ボク、コタロー…」

 

「俺は仮野優、よろしくね。ほら、2人ともお腹減っただろ?2人も夕飯食べたらどうだ?」

 

「悪いわね。じゃあ、頂くわ。」

 

優は皿にご飯とカレーを装い、テーブルに置いた。

 

「いただきます…」

 

にこと虎太郎はスプーンにカレーライスを掬い、口に運んだ。

 

「……美味しい…!」

 

「おいしー!」

 

にこも虎太郎も気に入ったようだ。

 

「それは良かった。」

 

「ねぇねぇ、お兄ちゃん!次は何して遊ぶ?」

 

「えっ?そうだなぁ…2人は何がしたい?」

 

「んー…じゃあ鬼ごっこ!」

 

「鬼ごっこは…家の中だから難しいな…また今度、外でしよっか。」

 

「本当!?絶対だよ!」

 

苦笑を浮かべながら優が提案すると、ここあは満面の笑みで喜んでいる。

 

「じゃあお兄様、このパズル一緒にやりませんか?難しくてまだ完成できてないんです…」

 

「よし、じゃあ一緒にやろうか。」

 

こころの言葉にそう答え、優たちはジグゾーパズルを組み始めた。そんな様子を見たにこは、こころとここあがここまで優に懐いていることに驚いていた。

 

音ノ木坂学院内でにこが内心1番信頼している茜が信頼している優だからと言っても、やはりまだあまり信用していなかった。いくらお人好しそうな優だからと言っても、適当に夕食を作って、こころとここあに食べさせて終わりだと思っていた。それなのに、食べ終えた食器類やテーブルは綺麗に洗ってあるし、こころとここあに宿題を教えて遊び相手までしているとは、にこは微塵も思っていなかった。

 

 

 

「ご馳走様でした。」「こちそーさまでしたー…」

 

「はい、お粗末さま。こころちゃん、ここあちゃん。ちょっと後片付けしてくるから、ちょっとだけ2人でやっててくれないか?」

 

残りピースの少なくなったパズルを中断し、優はこころとここあに言った。

 

「はい!分かりました!」

 

「うん!分かった!」

 

その言葉を聞いた優は、にこと虎太郎が食べ終えた食器類を片付けようとした。

 

「ここまでしてもらったんだから、後片付けぐらいにこがやるわよ。」

 

「じゃあ、俺も手伝うよ。2人でやった方が、早く終わるだろ?」

 

「……そうね。じゃあ、お願いするわ。」

 

2人は洗い物を始めた。

 

「今日は本当に助かったわ。ありがとう。」

 

食器を洗っている最中、にこが優に礼を言った。

 

「気にしなくていいよ。茜先輩から『にこちゃんはいつも妹さんたちや弟さんのお世話をしてて大変なの。』って聞いてたし。」

 

「茜のやつ…余計なことを…」

 

「でも、こころちゃんもここあちゃんと本当に良い子だな。矢澤の教育がしっかりしてる証拠だな。ちっちゃいのに凄いな、矢澤は。」

 

「なっ!?ちっちゃいは余計よ!そうだ…材料のお金、まだ払ってなかったわね。」

 

「あー、別にいいよ。俺も一緒に食べたからな。」

 

優自身、この家に来てからにこの家庭が決して裕福でないことぐらいすぐに気づいた。自分は一度死んだのに、女神である優香のおかげで何一つ不自由してない暮らしをしている分、夕食1食分の食費ぐらい良いと思ったんだが…

 

「そういう訳にはいかないわ。」

 

にこはそう断る。

 

「でも、そんな大したもの作ってないし…カレーだぞ?」

 

「あんた、もしかして(うち)が貧乏だからとか思ってる?」

 

「別に貧乏だとも、貧乏だからとも思ってないけど…」

 

「とにかく、それじゃにこの気が済まないの!」

 

「はぁ…茜が手を焼いてる理由がなんとなく分かったかも…」

 

決して意志を曲げようとしないにこに、優はため息混じりに言った。

 

「どういう意味よ?」

 

「もう少し人に頼ったっていいんじゃないのか?人の家の事情にまで口を出したりはしないけど、手伝えることがあるなら俺はこれからも手伝いたい。多分、茜もそう思ってると思うぞ?」

 

「……」

 

「人に頼ることは決して悪いことじゃないと、俺は思うけど?」

 

「……そうね、そうかもしれないわね…ありがと、優。」

 

「あぁ、矢澤。」

 

「にこでいいわ。」

 

「えっ?」

 

「矢澤じゃなくて、にこでいいわよ。」

 

「下の名前で呼ぶのか…?」

 

にこの提案に戸惑う優。

 

「何よ嫌なの!?」

 

「嫌ってわけじゃないけど…怖いというか、恥ずかしいというか…」

 

「茜のことは下の名前で呼んでたじゃない!(あれ?にこ、もしかして茜に嫉妬してる…?いや、まさかね…だいたい嫉妬する理由がないわ。)」

 

「いや、あれも最初は恥ずかしかったんだよ…でもまぁ、分かった。改めてよろしくな、にっ、にこ…」

 

「えぇ。よろしく、優。」

 

〜回想終了〜

 

 

 

「ったく、人に頼ってないのはどっちよ…バカ…」

 

当時のことを思い出してそう言ったにこの目は、少し潤んでいる。

 

「優がにこの事を下の名前で呼ぶのに躊躇った時、なんでか茜に対して嫉妬してしまった理由が今なら分かるわ…人って、失ってから大切なことに気づくのね…私は…にこは、ずっと優のことが好きだったのね…」

 

自分の気持ちを自覚したにこは、切なげな表情を浮かべる。

 

「スーパーアイドルにこにーが、恋をするなんて…それに、優は茜の彼氏なのにね…」

 

自身の気持ちに戸惑い、にこはそう呟いた。

 

「でも、今はそれは置いとかないと…明日の作戦は絶対に失敗できない!あの時、偉そうに頼ることは決して悪いことじゃないって言ったんだから、戻ってきたらもっとにこ達に頼ってもらうわよ!あんたには、返さなきゃいけない恩がまだまだあんのよ、優!だから、にこは…」

 

 

 

 

 

「お母さん、お願いがあるの。」

 

家に帰ってきたことりは、夕食の最中母に言った。

 

「どうしたの?」

 

「お母さんが理事長だからと言って、特別扱いしちゃいけないっていうのはもちろん分かってるんだけど…でも、大切なお願いなの!」

 

「そう…とりあえず話してみて。」

 

ことりの真剣な眼差しを確認して、ことりの母は持っていた箸を一度置き、話を聞き始める。

 

「明日の放課後、音ノ木坂学院を貸し切れないかな?」

 

「貸し切る?どうして?」

 

「実は、今日他の生徒や先生たち、お母さんも帰った後学校に怪物が現れたの。その戦いで、優くんが…死んじゃったの…」

 

「えっ!?仮野くんが…?」

 

「うん。でも、実は優くんは仮面ライダーにも変身してるし、普通の人じゃないの…だから、生き返ることが出来るかもしれないの。その作戦の実行には、優くんが死んだ音ノ木坂学院じゃないとダメなの…勝手なのは分かってるよ…でも、他の人を危険な目に遭わせないために他の生徒や先生たちが学校にいちゃダメなの…お願い!ことりは…ことりたちは、まだ優くんとお別れしたくないの!」

 

ことりの言葉を聞いた母は、そう…とだけ答えて目を瞑る。その状態で少し考えた母は、ゆっくりと口を開く。

 

「私は理事長。さっきことりが言ったように、娘であるあなたを特別扱いは出来ないわ。」

 

厳しい顔の母から出た返答を聞いたことりは、そうだよね…と答えたものの、その顔は暗く俯いてしまう。すると、母は表情を一変させて思いついたよう話し始める。

 

「あっ、そういえば明日の放課後は緊急の工事が入っていて、生徒や先生たちは帰ってもらうと通達してたわね…」

 

ことりはそんなのあったかと疑問に思う中、ことりの母は話し続ける。

 

「でも、その工事会社の人たちが明日はこれなくなったってさっき連絡が来たのよ。明日は放課後完全下校で生徒たちや先生が帰るのはもう変更できないから、こっそりと残っていた生徒がいても気づかないかもね…」

 

母がそう言い終わると、疑問に思っていたことりは言葉の意味に気づき顔を明るくした。

 

「お母さん…!ありがとう!」

 

「なんのことかしら?私は元の予定の通り動くだけよ。」

 

ことりの母はふふっ、と笑みを浮かべながら答えた。

 

「今から言うのは独り言なんだけどね…私は仮野くんたちが戦ってるのを見てることしか出来ないから、出来る限りのサポートはしたいの。」

 

「お母さん…」

 

「ことり、これだけは約束して。ことりも、μ‘sのみんなも、宮崎くんも、黒崎くんも、全員生きて仮野くんを連れ帰ってきてね。」

 

「うん!」

 

ことりの目をしっかり見つめて言った母に、ことりもしっかり目を見て答えた。

 

「ありがとう、お母さん。」

 

ことりは最後にそう言って、自室に戻っていった。

 

 

「優くん…ことりね、優くんが転生者だって聞いたのに、何も出来なかったのが凄い悔しかったんだ。1人で大きな秘密を抱えてずっと戦ってきた優くんの力になれないのが、本当に本当に悔しかった…多分優くんにそれを言っても、今一緒に戦ってくれるだけで充分だ。とか、俺は勝手に戦ってるだけだ。とか言うんだと思うけど…だったら、ことりはことりの勝手で優くんを助けたい!だから、ことりは…」

 

 

 

 

 

「優…あなたは本当に、1人でなんでも抱えすぎですよ…」

 

家に帰ってきた海未は、自室で1人そう呟いた。

 

「私の勝手な恋心のせいで暴走して優の命を狙った怪物がいても、あなたは私の気持ちを受け入れてくれた。本当に、嬉しかったです…そんなあなたを、私は信じています。」

 

 

『いつも信じてあげているのが、1番なんじゃないかなって私は思います。』

 

 

海未は先日会った泉比奈のことを思い出しながら言った。

 

「ですから、今は私たちのことを信じて待っていてください。必ずあなたを生き返らせます!ラブライブで勝って、その…返事も聞かなければなりませんし、ね。だから、私は…」

 

 

 

 

 

「優くん…」

 

自室で1人、穂乃果は優の名前を呟いた。

 

 

『ダンス、俺で良ければ教えるぜ!』

 

 

『あぁ、よろしくな!俺は仮野優だ!』

 

 

『歌ってくれ!俺にはこんなことしか言えないけど、お前達3人が、どれだけ辛い練習を重ねてきたことを俺は知ってる!だから、その努力を無駄にして欲しくない!それに、ここに1人は見てる人がいる!俺はすぐ側で見てるから!』

 

 

『穂乃果、ことり、海未、花陽、凛、真姫、にこ、希、絵里。改めて、俺をμ’sのマネージャーにしてください!』

 

 

 

穂乃果の頭にこれまでの優との様々な思い出が浮かんだ。

 

 

『みんな…俺のことはいいから、ラブライブ!…頑張、れよ…!』

 

 

「いいわけ、ないよ…優くんも、穂乃果たちにとって大切な仲間の1人なんだよ?ラブライブ優勝を目指すのは、優くんも一緒じゃないとダメだよ…!」

 

「穂乃果にとって、ことりちゃんも、海未ちゃんも、花陽ちゃんも、凛ちゃんも、真姫ちゃんも、にこちゃんも、希ちゃんも、絵里ちゃんも、蓮くんも、秀夜くんも…そして、優くんも、みんな誰一人欠けちゃいけない大切な仲間なんだよ!μ‘sが優勝するには、優くんの支えもないと嫌だよ!この12人みんなで優勝したい!だから、穂乃果は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、ウチは…」

 

「だから、私は…」

 

「だから、私は…」

 

「だから、私は…」

 

「だから、凛は…」

 

「だから、にこは…」

 

「だから、ことりは…」

 

「だから、私は…」

 

「だから、穂乃果は…」

 

 

『絶対に優(くん)を助ける!!!』




次回、μ'sと仮面ライダーの物語

「優くんにはまだ、消えてもらっちゃ困るものね。」

「よし、YF大作戦…開始だ!!」

─YF大作戦、始動

「……回りくどい言い方ですね。ここには俺と神様しかいないんですし、もうはっきり言ったらどうです?俺の死因が…」

─優の秘密


「あぁ、初めましてだったな。簡単に言えば、俺はお前の姉である優香の上司で、全女神を従える天界のトップ的存在。所謂、神だ。」


次回、『117話 神、登場』





今回はμ's9人の話を書きましたが、次回は死んだ優がある場所である人物と出会うことになります。

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