μ’sと仮面ライダーの物語   作:シーチ

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はい、119話です。

皆さん、長らくお待たせしてしまい本当に申し訳ありません…最近本当に忙しくて、いつの間にか今年最後の日…これは投稿せねば!と急いで投稿しました。

あと、今回の話の序盤回想シーンが多いです。正直、これまでの話の振り返りなので飛ばしても大丈夫です。

では119話、スタートです!



119話 希望の力

〜side 優〜

 

「わかりました。ありがとうございます!」

 

綾乃さんに別れを告げ、俺はゲートに入った。そこには、虹色に光る空間が広がっていた。

 

「これは…?」

 

すると、俺の目の前に壊れたはずのノーマルデータボトルに似たボトルが浮かんでいた。

 

「とりあえず、進むか…」

 

俺はデータボトルを掴み取り、歩みを進めていく。

 

 

『あなたにはこれから、転生してもらいます!!』

 

 

「ん…?これって、確か姉ちゃんと初めて会って、転生しろって言われた時の…」

 

突如俺の目の前に姉ちゃんと初めて会った時の映像が浮かび上がり、その映像は俺の中に吸収された。

 

 

『あれ?なんで私お姉ちゃんの部屋で?まぁ、いいや!お兄ちゃん!おはよう!』

 

 

これは…優奈と初めて出会った時…

 

すると、その映像も俺に吸収されていく。

 

 

『僕は宝生永夢、聖都大学附属病院の小児科研修医なんだ。』

 

 

『ありがとう!良かった〜じゃあ改めてよろしくね!』

 

 

『今日から共学化試験生として、この音ノ木坂学院に入学することになりました。仮野優です。よろしくお願いします!』

 

 

それに、永夢さんと初めて会った時、茜の生徒会の勧誘を受けた時、俺が音ノ木坂学院の共学化試験生になった日のこと、俺がこの世界に来てからの記憶が流れ込んでくる。

 

「もしかして、元の世界に帰るために、俺が転生してからの記憶を…?」

 

俺の予想通り、その後も次々と俺が転生してからの様々な記憶が流れ込んできた。

 

 

 

 

 

挿入歌 SENTIMENTAL StepS

 

 

 

 

 

『やろう!歌おう!全力で!』

 

『穂乃果…』

 

『だって、そのために今日まで頑張ってきたんだから!歌おう!!』

 

『穂乃果ちゃん!海未ちゃん!』

 

『えぇ!』

 

3人だった頃のμ‘sの、初めてのライブの時…

 

 

『私、小泉花陽と言います!1年生で、背も小さくて、声も小さくて、人見知りで、得意なものも何もないです…でもっ、アイドルへの想いは誰にも負けないつもりです!だから、μ’sのメンバーにしてください!』

 

 

『それで、2人はどうするの?』

 

『『え?どうするって、えっ?』』

 

花陽、凛、真姫がスクールアイドルをやると決意した時…

 

 

『いい、アイドルってのは笑顔を見せる仕事じゃない!笑顔にさせる仕事なの!それをよーく、自覚しなさい!』

 

にこに仲間が出来た時…

 

 

『でも、今更私がスクールアイドルやりたいなんて言えるわけないわよ…』

 

『そんなこと、ないんじゃないですか?な、高坂?』

 

絵里がようやく本当の気持ちに気づいた時…

 

 

『占いで出てたんや。このグループは9人になった時、未来が開けるって。だから、付けたん。9人の歌の女神。μ’sって。』

 

μ‘sの名付け親であり、9人が巡り会うきっかけを作った希が、満を持してμ‘sに加入した時…

 

 

『なんかね、この服を着ているとできるっていうか、この街に来ると不思議と勇気が貰えるの。もし、思いきって自分を変えようとしてもこの街ならきっと受け入れてくれるような気がするんだ!だから、好きっ!』

 

作詞に悩んでいたことりが、自分の気持ちに気づいた時…

 

 

『ゆっ、優くん!』

 

『東條先輩…あの…』

 

『『ごめんなさい!』』

 

希と仲違いしてしまっていた時…

 

 

『変身!』

 

『えっ、優くんが仮面ライダー!?』

 

『えっ、嘘!?』

 

『優くんが怪物と戦っている仮面ライダーだったなんて…』

 

俺が仮面ライダーということを、みんなが知った時…

 

 

『クロノス…お前を攻略する。』

 

『乗ってやろうじゃねぇの!』

 

『全てのバクスターをぶっ潰す!』

 

『人類の未来のために!』

 

『俺たちは戦う!』

 

永夢さんたちと協力して、クロノスを倒した時…

 

 

『あなたがそんな人だとは思いませんでした…最低です…あなたは…あなたは最低です!!!』

 

ことりの留学をきっかけに、穂乃果と海未の関係に亀裂が入った時…

 

 

『さぁ、皆さん!ご一緒に!』

 

『μ‘s!ミュージックスタート!』

 

再び集結したμ‘sが、講堂でライブした時…

 

 

『これは、ただのデータボトルじゃねぇんだよ!これには、俺と優、凛たちμ’s…そして、咲姉ちゃんと優香さん、みんなの想いが詰まったボトルだ!だから、絶対に負けない!』

 

新たにマネージャーに加入した蓮が、再び戦うと決意した時…

 

 

『ほら、今は誰も見てないわ。今は、遠慮なく泣いていいのよ?弱音ぐらい、私が聞いてあげる。胸ぐらい、私が貸すわ。だから、はい。』

 

絵里に転生者だと話した時…

 

 

『だって、私はお兄ちゃんがいるから、ずっと幸せに暮らしてきたんだよ。自分が危険な目にあったとしても、人のために仮面ライダーとして戦ったり、厳しいけど私のために勉強教えてくれたり、どんなに忙しくても、私や忙しいお姉ちゃんのために家事をしてくれたりしてくれるお兄ちゃんが…例え本当の兄妹じゃなくても、ずっと大好きだよ!』

 

本当の兄妹じゃないと知った優奈と、本当の兄妹以上の絆を再確認出来た時…

 

 

『最初に言っておく。俺はかーなーり強い!』

 

『テディ。』

 

これまで戦ってきたレジェンドライダーである桜井侑斗さんと野上幸太郎さんの強さに、圧倒されてもっと頑張らないとと思うきっかけになった時…

 

 

『私、このままでいいと思うんだ。A‐RISEがすごくて、私達もなんとか新しくなろうと頑張って来たけど…私達は、きっと今のままが1番良いんだよ。だって、みんな個性的なんだもん!普通の高校生なら、似たもの同士が集まると思うけど、私達は違う。時間をかけてお互いの事を知って、お互いの事を受け入れ合って、ここまでやってこれた。それが一番、私達の特徴なんじゃないかな?』

 

『私はそんなµ’sが好き!』

 

穂乃果がμ'sの魅力に気づいた時…

 

 

『俺はこの力を正義のために使う!こんな俺でも、仮面ライダーとして認めてくれるやつもいる。そいつの、期待に応えるためにも!』

 

敵だった秀夜が、正義のために仮面ライダーに変身すると決意した時…

 

 

『俺は、そんなことないと思う。ポッピーやパラドみたいに良いバグスターもいると思う。お前も、そんなバグスターになれると思うぜ。』

 

『俺が…』

 

ラビリーも人間と共に生きているバグスターになると、仲間になった時…

 

 

『エボル、フェーズフュージョン。完了。』

 

『俺たちの強さは、宇宙最強だ!』

 

並行世界から来た石動仁と共に、謎の敵に立ち向かった時…

 

 

『だが、これを使えば、お前はこれまで通りじゃいられない。お前に、その覚悟はあるのか?仮野優。』

 

『…えぇ、もちろん。俺は、誰かを守ることが出来るなら、自分がどうなろうと、どんな力にだって手を伸ばします!』

 

『……そうか。だったら、これをお前に授ける。』

 

始まりの男である葛葉紘汰さんに、極ロックシードを授かった時…

 

 

『私には、人を守るために傷ついている優が、どれほど辛い思いをしてるのか、想像もつきません…でも、私たちは少しでも優の力になれたらって思っています!私たちは隣で一緒に悲しんだり、一緒に楽しんだりするぐらいしか出来ないかもしれません…でも…それでも、私たちは少しでもあなたの力になりたいんです!だから、元に戻ってください…!』

 

 

『優くん、決して君を死なせたりしない!俺は、この手で掴める命があるなら絶対に掴む!優くんの暴走も、止めてみせる!あの時、あいつが止めてくれたように…』

 

 

プトティラコンボに変身して暴走した俺を、海未と映司さんが必死に止めてくれた時…

 

 

『優くんが昔どんな人だったとか関係ない!ことりは、今の優くんといる日々が好き!優くんたちに支えてもらいながら、μ‘sの活動をしてる日々が大好きなの!たとえ、優くんが暴走しちゃっても、優くんが…怪物になっちゃったとしてもそれは変わらない!』

 

『何があっても、優くんはことりたちの仲間だよ!』

 

勝手にいなくなった俺をμ‘sのみんなが探し、ことりが涙ながらに言葉をかけてくれた時…

 

俺が転生してからの全ての記憶を吸収すると、俺の前にある物が出現した。

 

「これは…?」

 

俺が手に取ったそれは、以前蓮がサンダーフォームに変身する際咲さんから貰っていたネイチャーギアに酷似した物だった。ただ、色が緑ではなくインフィニティのベースカラーである水色に変わり、中央にはインフィニティのシンボルマークである『∞』が記されていた。

 

そういえば、咲さんがネイチャーギアを蓮に渡した時、それには転生してからの蓮のデータが入ってるって言ってたな。じゃあ、これには俺が転生してからの記憶(データ)が入ってるということか…ならこれは、インフィニティギアと言ったところか…

 

それにしても…

 

「この世界に転生してから俺が出会った人は、本当に温かい人ばかりだな…それなのに俺は、1人周りを見ずに戦って、勝手にいなくなって…本当に、馬鹿野郎だな…」

 

さっき吸収した記憶を振り返りながら、一人そう反省していると…

 

「まっ、それがお前らしいけどな。」

 

「えっ…?」

 

誰も居ないはずの空間の中で、突然声が聞こえ驚いて振り返る。

 

「…!?おっ、俺…?」

 

そこには、毎朝洗面時に見ている顔…この俺、仮野優と同じ顔をした人物が立っていた。

 

「俺の顔を見て自分かと反応してくれるなんて、なんか嬉しいな。ほれっ。」

 

そう言って、俺の顔の男は手鏡を投げ渡してくれた。「それで自分の顔を見てみろ。」と言われ、鏡越しに自分の顔を見てみると、その顔はもう1年半ほど見ていなかった転生前の俺…橋本拓真の顔があった。

 

「なんで…?」

 

「今俺たちは元の俺たち、仮野優と橋本拓真に分離している。どうしても話したくて、神様にお願いしたんだ。お前が意識を失っている間に、こそっとな。」

 

そう説明した俺こと優。ここ一年いつも見てる自分の顔が目の前で話してることに違和感を覚えながら、神様なら出来るか、と俺は納得した。

 

「あっ、この状態でははじめましてだな、拓真。と言っても、一年以上自分だったから、あんまそういう感覚にはならないけど…」

 

「確かに、毎朝見る顔だったしな…」

 

「さてと、この先を通ればお前は…いや、俺たちは生き返ることが出来る訳だが…その前に、お前に言っておかなければならないことがある。」

 

真剣な表情で言った優に、俺は緊張して冷や汗を垂らす。

 

「ありがとう。」

 

「えっ…?」

 

俺の勝手な行動で再び死んでしまったことについての非難かと思っていた俺は、思いもしなかった言葉に思わず声を漏らす。

 

「俺はお前に、本当に感謝している。いくら姉ちゃんの力が足りなくて拓真の体ごと転生出来なかったからと言って、俺の魂や記憶まで融合して生き返ってもらったのは完全に俺の我儘だからな。」

 

「いや…でも俺はお前のおかげで転生出来たのには変わらないし、お礼を言うのは俺の方だよ。それなのに、俺の勝手な行動でまた死んでしまった…本当にごめん!」

 

俺は頭を下げて言った。

 

「頭を上げてくれ。多分、俺でもああしたと思う。穂乃果たちを守るために。元は違うが、今は俺はお前、お前は俺の一心同体だからな。」

 

「そうだな。」

 

笑みを浮かべて言った優の言葉に、俺も思わず笑みを浮かべて答えた。

 

「さてと、姉ちゃんから聞いたと思うが、俺にはこの世界でやり残したことがあるんだ。でも、拓真はそれがなんなのか知らないよな?」

 

「あぁ、聞いてないな…」

 

「拓真は最近、昔の俺についての記憶を取り戻し始めただろ?」

 

優の言葉を聞き、俺にも思い当たる節がある。

 

「あぁ、小学生の頃希と会っていたこととか…」

 

「今回話す機会を儲けたのは、拓真にお礼が言いたかったのとは別にもう一つ、記憶を取り戻し始めたことだし、そのやり残したことのヒントをあげようと思ったからでもあるんだ。」

 

「ヒント?答えじゃダメなのか?」

 

俺の目の前にいる優自身は、やり残したことについての記憶が失われてないというような口ぶりを聞き、ふと疑問に思って聞いた。

 

「答えは言えないな…生き返って自分自身でしっかり思い出さないと、どこか他人事のように思えてしまうかもしれないだろ?」

 

「なるほど…言われてみれば、確かに…」

 

「さてと、じゃあヒントを言うぞ。心して聞いてくれ。」

 

心して、なんて言われて少し緊張しながら次の言葉を待つ。

 

「仮野優は死ぬ前に、μ‘s9人全員と会ったことがある。」

 

「えぇ!?μ‘s9人!?希以外にも会ってる人はいるかも、とは少し思っていたが、まさか全員とはな…」

 

「とは言っても、希と絵里を除いた本人たちが、俺と過去に会っていると思い出すのは不可能に近い。だから、今回直接話すことにしたんだ。」

 

なるほどな…ってん!?なんか今、しれっともう1つ重大な情報言わなかったか!?

 

「本当は俺の事情に拓真を巻き込みたくなかった…本当にすまない。」

 

「何言ってんだよ。もう1年以上同じ体で過ごしてるんだぞ?今となっては、死ぬ前の優の問題も、俺の問題みたいなもんだろ?気にすんなよ、水臭い。」

 

言ってる途中自分でも恥ずかしくなった俺は、優から目線をそらし頬を掻きながらそう言った。っていうか、俺はもう気にならないが、同じ体で過ごすって第三者が聞いてれば凄い気持ち悪いだろうな…

 

「そう言って貰えて助かる。本当にありがとう!」

 

優は笑顔で礼を言った

 

「さて…そろそろ、大切な仲間たちが待つ世界に帰らなきゃ、だろ?」

 

「あぁ、そうだな!」

 

優に言われ、俺はそう答えて元の世界に帰る扉のある方に歩き出そうとしたが…

 

「あっ、その前に一ついいか?」

 

優が俺を呼び止めたので、俺は足を止める。

 

「一つ、頼みたいことがあるんだ。」

 

その言葉に続き、俺は優からあることを頼まれた。

 

 

 

 

「そんなことで良ければ、お易い御用だ。」

 

「悪い、ありがとう!」

 

優からの頼みを聞き入れた俺は、再びゲートの出口の方を向かう…

 

「あっ、優!」

 

前に今度は俺が優を呼び止めた。

 

「ん?」

 

「今までありがとう!それから、これからもよろしくな!」

 

俺がそう言って笑うと、優も笑って答える。

 

「あぁ!こちらこそ、これからもよろしくな!」

 

そして、俺と優は同時に虹色の空間から出る扉をくぐった。

 

 

 

と、思ったら何故か扉をくぐる瞬間に爆発し、何かに体当たりしました。いや、もっと安全にくぐらせろよ!?

 

 

 

「ゆっ、優くん!?」

 

「待たせたな。」

 

爆煙が晴れ突然現れた俺の姿に、穂乃果たちは驚き、数秒して涙ながらに歓喜の声を上げる。

 

いってて…ってかなんで扉くぐる瞬間に爆発するんだよ!?その爆風でフィンディッシュにぶち当たるし、何とか爆煙が晴れる前に立ち上がったから良かったものの…やっぱ、こういう時はカッコつけて登場したいってのが男じゃん?

 

当たりが感動ムードに包まれてる中、俺は内心登場の仕方に悪態ついていた。

 

まっ、何はともあれ戻ってこれてよかっ

 

「ぐぉっ!?」

 

俺が戻ってこれたことにほっとしていると、μ‘sのみんなが俺に飛びついてきた。

 

「ちょっみんな!?」

 

「もう…どれだけ心配したと思ってるの!」

 

そう言った穂乃果の顔を見ると、目に涙を溜め、頬を赤く染めていた。他の8人や蓮、秀夜、姉ちゃんたちを見ると、同じく涙を流したりしていた。

 

「みんな…本当に心配かけたな。悪い。」

 

「まぁ、それは今に始まったことではありませんし…」

 

「とにかく優くんが戻ってきてくれて、本当に良かったよ!」

 

海未とことりが、笑顔で俺に言ってくれた。

 

「でも、本当に心配したのよ。」

 

「そうやね。だから優くんには、これからもっと一緒にいてもらうよ?」

 

絵里と希が、流した涙を拭き取りながら言った。

 

「真姫ちゃんだって、優!って泣きながら心配してたんもんねぇ?」

 

「なっ、泣いてないわよ!それはにこちゃんの方なんじゃないの!?」

 

いつもの様に弄るにこの言葉に、顔を更に赤くして反論する真姫。

 

「あはは…2人とも元気になって良かったにゃー!」

 

「そうだね。にこちゃんも真姫ちゃんも、ずっと元気なくて泣きそうだったもんね。」

 

その光景を笑いながら見ている凛と花陽が言った。花陽の言葉を聞いて、にこと真姫は顔を赤くして「はっ!?」と反応していた。すると、花陽が「まぁ、それは私たちみんななんだけどね…」と付け足した。

 

すると、蓮と秀夜がゆっくりと近づいてきて…

 

ポコッ

 

と、軽く俺の頭を殴った。

 

「ったく…どれだけ心配したと思ってんだよ…」

 

「ほんと、もう二度と死ぬんじゃねぇぞ。」

 

「あぁ、ありがとな。」

 

俺が蓮と秀夜にそう答えると、ドンッと俺の背中から誰かが抱きついてきた。

 

「優くん…良かった…本当に、良かった…」

 

俺に抱きついてきた姉ちゃんは、涙ながらにそう言っていた。俺はゆっくりと180度回転し、姉ちゃんを抱きしめ返す。

 

「姉ちゃん…本当にごめん。それと、ありがとう!」

 

「うんっ!お帰り、優くん!」

 

「ただいま。」

 

笑顔で言ってくれた姉ちゃんの言葉に、俺も笑顔で返した。

 

「どうやら、作戦は成功したようだね。」

 

「本当に良かったぜ。」

 

姉ちゃんから離れた俺にかける声が聞こえて俺が振り返ると、そこにはフィリップさんと翔太郎さんが立っていた。

 

「フィリップさん!?翔太郎さん!?」

 

「2人とも今回の件を聞いて、作戦中のフィンディッシュからのボディガードを引き受けてくれたんだ。」

 

俺がそれに驚いていると、蓮が説明してくれた。その言葉を聞き、改めて2人を見ると、頬や腕に傷がついていた。

 

「フィリップさん、翔太郎さん、本当にありがとうございます!」

 

「気にしなくていいさ。」

 

「ライダーは助け合い、だからな。」

 

「いつまでお喋りしている…!」

 

すると、倒れていたフィンディッシュが起き上がり、戦闘態勢に入っていた。それに気づき、俺が一歩前に出る。

 

「優くん…」

 

そんな俺を心配するように、穂乃果が呟いた。

 

「大丈夫だ。今度は絶対に死なない。だから、ここは任せてくれ。」

 

穂乃果は死ぬ前の俺との表情の違いに気づき、「うん!」と返事した。

 

「フィンディッシュ、今度こそお前を倒す!」

 

「ふんっ…一度俺に殺されたくせに、よくそんな大口を叩けるものだな。」

 

「悪いが、今の俺はこの前とは違う!」

 

「まあいい。今度はせいぜい、俺を楽しませてから死んでくれよ。」

 

「悪いな。お前は楽しむ暇もなく、俺に倒される。」

 

そう言った俺の隣に姉ちゃんが来て、俺が死んだ際に落としたインフィニティドライバーを渡してくれた。

 

「ありがとう、姉ちゃん。」

 

俺はインフィニティドライバーを腰に巻き付けた。

 

「神様、使わせてもらいます!」

 

俺はそう言い、神様から貰ったデータボトル…ホープデータボトルを取り出した。ホープデータボトル…なるほどな、だから希望になってやれ、か。

 

俺は一度深呼吸し、ホープデータボトルのレバーを入れ、構える。

 

「変身!」

 

『ホープ!』

 

インフィニティドライバーにホープデータボトルを差し込み、カバーが閉まる。そして、俺の姿が白く変化していく。

 

顔の複眼は『∞』の形を表し、赤く染められている。複眼の中心から伸びている金色の装飾は二本から三本に増えている。

 

両肩の五角形のアーマーは星型に変わり、それぞれの頂点から伸びている線は中点で交わっている。色は端から白、赤、水色、黄色、銀色に変わっている。

 

胸部には『∞』の形をした『インフィニティサークル』が黒い線で象られており、中は金で塗られている。両肘両膝のアーマーは銀から金色に変わっている。

 

両腕には金色の装飾が施されており、そこから細長い円形の棒が肘辺りまで伸びている。両太ももには水色、赤、黄色、白、銀色の五本の線が伸びており、両膝下には銀色で『∞』と斜めに象られている。

 

そして、白いボディとは対極的な黒いマントが、背後でなびている。

 

「仮面ライダー、ホープインフィニティ!俺の強さは、超次元を超えた!」

 

俺は新たな姿、仮面ライダーホープインフィニティに変身した。そして俺は、一瞬でフィンディッシュに近づき殴る。

 

「ぐっ!?速い!?だが、パワーは俺より劣っている。その程度の力、ならば…!」

 

俺の速さに驚いていたフィンディッシュは、俺に向かって手をかざす。すると、俺に重力がのしかかり身動きが取れなくなる。

 

「なるほどね…だったらこっちは…」

 

そんな中、俺が指を鳴らすると、フィンディッシュの重力操作がなくなった。

 

「何!?」

 

「このホープインフィニティの能力の1つは、相手の特殊能力を打ち消すことが出来る。」

 

驚いているフィンディッシュに、俺はマスク越しに笑みを浮かべながら説明した。

 

「なら、特殊能力を使わなければいいだけだ!はぁぁぁ!」

 

叫びながらフィンディッシュは俺に急接近し、殴ってくる。俺はその手を掴んで防ぐ。

 

「あぁぁぁぁ!っ…何!?」

 

すると、俺が掴んでいるフィンディッシュの手から、エネルギーが俺の方に吸い寄せられてくる。俺の体内に入ったそのエネルギーは、インフィニティサークルに溜まっていく。

 

「ホープインフィニティのもう1つの能力。それは、相手のエネルギーやライダーエナジーを吸収し、己の力とすることが出来る。」

 

「くっ…!」

 

俺の言葉を聞いたフィンディッシュは、慌てて後ろに下がる。

 

「今度はこっちから行くぞ!」

 

そう言い、俺は新たな召喚カードをアタックバックルに入れた。

 

『スペシャル召喚 インフィニティバスター!』

 

俺は黒い新たな武器、インフィニティバスターを召喚した。

 

「はぁぁぁ!」

 

俺はインフィニティバスター 大剣モードでフィンディッシュに斬り掛かる。

 

「はぁ!やぁ!オラァ!」

 

俺は3度斬りつけ、それによりフィンディッシュは吹き飛んでいく。

 

「次はこれで…」

 

俺はモードチェンジさせ、インフィニティバスター 大砲モードで起き上がったフィンディッシュを撃った。

 

「ぐぁぁぁっ!?」

 

「これで終わりだ。」

 

俺は新たな必殺カードを取り出し、アタックバックルに入れた。

 

『スペシャルアタック!ホープフィニッシュ!』

 

「はぁぁぁ…」

 

俺は必殺技待機の構えをし、上空に飛んだ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

俺は上空から下降し、フィンディッシュを蹴り込む。

 

「こんな所で…こんな所で…終わる訳には…!ぐぁぁぁっ!?」

 

フィンディッシュはそう言葉を残し、少し爆発を起こし消滅した。

 

「ふぅ…」

 

フィンディッシュを倒したことを確認した俺は、息を吐き出し変身解除した。

 

「やったね!優くん!」

 

満面の笑みの穂乃果たちがそう言いながら、俺の元に駆け寄ってくる。

 

「あぁ、そうだな。」

 

そんな穂乃果たちに、俺も笑顔で答えた。

 

「優!」

 

そこに、後ろの大きな装置から、バグスターウイルスのオレンジ色の粒子が出てきた。その粒子は段々と人型を形成していき、ラビリーの姿になった。

 

「ラビリー!お前も協力してくれてたんだな。ありがとう!」

 

「何言ってんだ。俺たちは相棒だろ?助けるに決まってる!」

 

「そうだな!ありがとう!」

 

ラビリーと俺が話していると、ある人物が近づいてくる。

 

「フフフ…また一段と強くなったみたいね。」

 

「ガリュサ…」

 

近くにいたガリュサが俺に話しかけてきた。こっちに戻ってきてから気づいてはいたが、邪魔する様子もなかったのであえて触れずにいた。

 

「ゆっ、優くん。ガリュサさんは、今回の作戦に協力してくれたの!」

 

「そうか…それについては礼を言う。」

 

ガリュサを見た俺の険しい表情を見た穂乃果が慌てて説明してくれ状況を理解した俺だが、もちろん警戒している。

 

「別にいいわ。私も自分やボスの目的のために動いてるだけだから。それよりも、過去についてはもう大丈夫なのかしら?」

 

「あぁ、まあな…」

 

「そう。まっ、これからもせいぜい足掻きなさい。」

 

そう言ったガリュサは、俺に何かを投げ渡して去っていった。

 

「これは…」

 

ガリュサが俺に投げ渡してきたのは、レッドメモリーデータボトルだった。なるほど…これのおかげで、茜といた時の記憶もあったのか…まっ、今回ばかりはあいつに感謝だな…

 

ん?ってか元はと言えば、あいつが俺の記憶を元に戻したのが原因じゃん!いや、まあいつかは思い出さないといけないことだったし、やっぱり少しは感謝しとくか…

 

「優くん!」

 

「ん?」

 

内心ガリュサについて突っ込んでいると、穂乃果の声が聞こえた。それに反応して俺が振り返ると、μ‘sのみんな、蓮、秀夜、姉ちゃん、ラビリーが立っていた。

 

『おかえり!』

 

全員が声を合わせて、俺に言った。

 

「っ!ただいま!」

 

俺は目に涙を溜めながら答えた。

 

 

こうして、俺は再び仲間の元に帰ることが出来たのだった!




次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!

『話すよ、俺の過去について。』

─ついに明かされる橋本拓真の過去…

次回、『120話 拓真の過去』



はい、というわけで次回、生き返った優がついに(橋本拓真の方の)過去が明かします。そして、次回は年明けてからの投稿となります。

ということで、今年も読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!今年は投稿ペースが一気に落ちてしまったので、来年は今年よりも投稿できるように頑張っていくので、是非読んでください!お気に入り登録、評価や感想などもよろしくお願いします!

今年一年、本当にありがとうございました!来年もよろしくお願いします!

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