今回より4話にかけて、W編がスタートします。丁度10周年のW。現在風都探偵が連載中ですが、僕はまだ7巻までしか読めていないのでもしかしたら辻褄が合わないことが出てくるかもしれませんが、そこは温かい目で見て頂けると嬉しいです。
では122話、スタートです!
122話 Gの目的/風の街、風都
〜前回までのラブライブ!μ'sと仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 仮野優)
アイドル研究部の仲間たちや他の色んな人達の協力のお陰で、俺はこの世界に戻って来ることが出来た。それと同時に新たな力、ホープインフィニティを手に入れた。更に橋本拓真としての過去をμ'sのみんな、蓮、秀夜に話すことで、俺はみんなの優しさに改めて気づいた。
そして、俺は人を守る仮面ライダーとして、マネージャーとして再出発することを決意した!
そんな中、色んな人の記憶があったお陰でこの世界に戻ってこれた俺は、絵里に関するある事を思い出していた…
〜三人称視点〜
「さて、じゃあ君はそろそろあの街に向かってください。昨日も言いましたが、この任務が終わればしばらくは元の任務に戻ってくださいね。」
目の前のガリュサに向かって、そう言ったのは謎の男ジェフリー。
「えぇ。ただ、今日の任務が終われば一日休暇をくれるっていう話は、忘れてないわよね?」
「それはもちろん。明日は自由にしてもらって構いませんよ。」
そう答えたジェフリーに、ガリュサは満足気な笑みを浮かべた。
「それはそうと、あの組織のある情報を入手したんですよ。」
「あの組織っていうのは、あなたも前に所属していた1つ目の財団Xの事かしら?それとも、この2つ目の財団Xから抜け出した男が創った組織の事かしら?」
「後者の方ですね。」
「へぇ…それはとても貴重ね。未だに動きをみせないあの組織の情報なんですもの。」
ガリュサは少し驚いたように言った。
「それで、その情報って?」
「このUSBメモリに入っているんですが、ある計画についてのようですね…ですが、ロックがかかっていて今のところタイトルしか分かりません。そこで、あなたはあの街での任務の空き時間に、これのロックが解除できないか試して欲しいのです。向こうの拠点を使ってもらって構いませんので。」
そう言って、USBメモリをガリュサに差し出すジェフリー。
「相変わらず人使いが荒いわね。まぁいいわ。」
そう答え、ガリュサはUSBメモリを受け取った。
「ありがとうございます。」
「ところで、その計画のタイトルって…?」
「えぇ…確か、『仮面ライダー、リーパー計画』。そう表記されていましたね…」
「仮面ライダー、リーパー…?ということは、やっぱりあの組織もライダーシステムを開発していたのね。それにしても、不気味な名前ね…」
計画名を聞いたガリュサが最後にそう言葉を零すと、ジェフリーはよく理解できなかったのか不気味?と聞き返す。
「いえ、なんでもないわ。特に深い意味もないでしょうしね。それじゃ、私はそろそろあの街…風都に向かうわ。」
「えぇ、よろしくお願いしますね。メモリの方は、もう被験者に渡しているんでしょう?」
「えぇ。既に少し暴れたようよ。やっぱりあのメモリの能力は強力ね、楽しみだわ。」
不敵な笑みを浮かべ、ガリュサはその場から立ち去って行った。
〜side out〜
〜side 優〜
俺が生き返って2日…橋本拓真としての過去をμ'sのみんなに話した翌日、俺は朝から駅に来ていた。俺を生き返らせるための作戦に協力してくれた翔太郎さんとフィリップさんにちゃんとお礼を言うため、風都に向かうためだ。それに、どうやら2人も俺に話したいことがあるそうだ。
ラブライブ!の最終予選も近い中、復帰してそうそう練習を休むことにはなるが、みんなの練習のサポートは蓮と秀夜に任せて向かうことにした。
はずだったんだが…
「いや、なんでいるんだよ…」
何故か改札の前で、秀夜、絵里、ことり、花陽が待っていたのだ。
「今日練習あったはずだろ?なんで4人がここにいるんだよ?」
「それがね…先月末に期末テストあったでしょ?」
絵里の言葉に俺はコクリと頷く。
「それで穂乃果と凛が、取っちゃったのよ…」
「取った…?……ってまさか…!?」
絵里の言葉を聞いた俺の頭に、嫌な考えが浮かんだ。
「多分、そのまさかよ。穂乃果と凛が、赤点を取っちゃったのよ…」
俺の嫌な考えが当たってしまい、俺は思わず手で頭を押さえてしまう。
「マジか…」
「一学期の時に赤点回避してからのテストも、全部ギリギリ大丈夫だったんだけどね…」
それでもギリギリなのな…
ことりの説明に俺は内心突っ込んだ。
「それで、ラブライブの最終予選も近いし、理事長の配慮で今日の夕方に軽いテストをして合格点を超えるだけで、とりあえず良くなったの。」
「それで今日凛ちゃんと穂乃果ちゃんは、海未ちゃんのお説教を受けながら勉強することになったんだ。」
絵里と花陽の言葉を聞いて、俺は苦笑いするしかなかった。
「それで穂乃果の勉強を海未が、凛の勉強は真姫が見ることになったんだけど…蓮とにこも赤点ギリギリでね、蓮は凛と同じく真姫に、にこは希に見てもらうことになったのよ。」
蓮もにこも赤点ギリギリだったのかよ…まぁ、ギリギリでもしっかり赤点は回避してるってとこは、にこらしいけどな…
「それはわかったけど、4人はなんでここで待ってたんだ?」
俺のその問いに、ことりと花陽が説明し始める。
「それがね…私も穂乃果ちゃんの勉強の手伝いしようと思ったんだけど、ことりは穂乃果を甘やかすので今日は私一人で見ます。って海未ちゃんに言われちゃって…」
「私も…花陽は凛を甘やかすからダメよ。って真姫ちゃんに言われちゃったんだ…」
あー、なんか凄く納得してしまった…
「それで、せっかくだし俺たち4人も、優と一緒に翔太郎さんたちにお礼を言いに行こうと思ってな。」
「そういう事か…それならそうと、連絡ぐらいしろよな…」
「まっ、ちょっとしたサプライズにしようと思ってな…」
そう言いながらニヤッと笑みを浮かべている秀夜を見た俺は、ため息を一つ着いた。
「まぁ、事情はわかったよ。じゃあ行くか!」
それからしばらく電車に揺られ、俺たちは風都までやってきた。
「「うわぁっ…!でっけぇ(おっきい)風車!」」
風都のシンボルタワーである風都タワーを見た俺とことりは、同時に言葉を発した。
「ふふっ…穂乃果もここに来た時同じことを言っていたわ。」
その様子を眺めていた絵里はそう言って微笑んだ。
俺もなんだかんだで一緒に活動を始めてもうすぐ1年になるし、ことりに関しては幼馴染だしな…ふと出る言葉が似てきたのかもな。
『いやーっ、今日もパンが美味い!』
いや、それはなんか嬉しくないな…
俺は穂乃果が毎日のように言っている言葉を思い浮かべながら、そう考えた。
「確か、この中で翔太郎さんに依頼に行ったのは、絵里だけだったっけ?」
「そうよ!道案内は私に任せて!」
自信満々でそう言った絵里に案内してもらい、俺たちは鳴海探偵事務所に向かうのであった。
何故だろう…なんか、とても嫌な予感がする…
そして案の定、今日二度目の俺の嫌な予感が的中してしまった。
「あれ?おかしいわね…こっちだったはずなんだけど…」
自信満々で俺たちを案内していた絵里だったが、途中から顔色が変わり焦りだした。まぁ、簡単に言えば迷ったのだ。
二度目の合宿の辺りから絵里のポンコツな面が段々と見え始めてたとはいえ、まさか本当に迷うとは…生徒会長でμ'sを認めないって言ってた頃の絵里からは考えられなかったなぁ…
「絵里ちゃん、もしかして…」
「まっ、迷ってないわよ!迷ってない!ちょっ、ちょっと考えてただけよ!」
ことりに疑念の目を向けられた絵里は、焦ってそう答えた。
「いや、そんな焦ってたらバレバレだから…迷ったなら素直にそう言えよな。今どきスマホで調べれば一発なんだから…」
呆れながらそう言った俺は、スマホの地図アプリで鳴海探偵事務所を調べた。
「ほら、出たぞ。って……こっから真逆なんですけど?」
「翔太郎さん、こんにちは。」
「おー、よく来たな!」
それから俺たちは、地図アプリ通り道を引き返して何とか鳴海探偵事務所に辿り着いた。
「ちょっと座って待っててくれ。フィリップも呼んでくるから。」
俺たちは翔太郎さんに言われた通り、探偵事務所の入ったところにある赤いソファに俺と絵里とことりが、その隣に用意してくれた2つの椅子に秀夜と花陽が座った。
すると、帽子が飾られている扉が開き、フィリップさんが現れた。
「やぁ、昨日はあまり話す時間がなかったから、改めて久しぶりだね。優くん。」
俺はフィリップさんに挨拶を返すため立ち上がる。
「はい。お久しぶりです、フィリップさん!翔太郎さんも!」
「おう!生き返ったばっかで言うのも変だが、元気そうで何よりだ。μ'sのみんなも、改めてよろしくな。」
翔太郎さんの言葉に、μ'sを代表し絵里が「はい。」と答えて2人は握手を交わす。
「そういえば、一昨日からずっと気になってたことがあるんですけど、いいですか?」
ふと何かを思い出したことりが、そう言った。
「どうした?」
翔太郎さんはことりの方に振り向いて、そう言葉を返す。
「翔太郎さんとフィリップさんって、二人で一人の仮面ライダーに変身してますよね?あれってどうなってるんですか?」
「あっ、あーそれのことか…」
「そういえば、前に優くんも蓮くんと変身してたよね?」
過去に俺と蓮もWに変身していた事を思い出して言った花陽の言葉に、翔太郎さんは少し驚いている。
「あー、確かエアー…エアー…?なんだっけ…?エアーポッツ?と戦った時のこと?」
「エアスな…」
ことりの間違いに俺は呆れ混じりに言った。
ことりがそんな間違えするなんて珍しいけど、なんで敵をイヤホンと間違えるんだよ…しかもそれならポッズだしな…
「あー、私あれ欲しいのよね…ことりも欲しいの?」
いや絵里、それ以上に突っ込むとこあるでしょ!
「それよりことり、今はWの仕組みについてだろ?」
「あっ、そうだった!えへへ…ごめんなさい。」
これ以上話が脱線しないため言った俺の言葉を聞き、話の議題を思い出したことりは顔を少し赤らめながら言った。
その様子を見て声を出して翔太郎さんが笑っていた。
「翔太郎さん?」
「いや、悪い悪い。なんか安心してな、優にもちゃんと仲間がいるところを見れて。」
「えっ?」
翔太郎さんの言葉を疑問に思った俺は、つい聞き返してしまう。
「ほら、前にあった時はダチになろうって言った弦太郎に対して、その…ちょっと素っ気なかっただろ?」
少し言いにくそうに言葉を詰まらせながら、翔太郎さんが聞いてきた。
「あっ…いや、その…あの時はまぁ、いろいろあって…」
今の俺にとっては少し黒歴史みたいに感じていることを聞かれ、言葉を詰まらせながら答える。恐らく、今の俺の顔は少し赤くなってることだろう。
「まぁその…あれだ、近いうちに弦太郎にも会いに行ってやれ。心配してたぞ、優のこと。」
「弦太郎さん…ありがとうございます、また顔見せに行ってきます。」
一人で勝手に人と関わるべきじゃないと考えていた俺が、本当に色んな人に心配をかけていたことを俺は改めて実感した。
「そういえば、Wについてだったよね?」
フィリップさんが元の話に戻そうとそう言い、Wについての説明を始めた。
〜〜〜〜〜
「とまぁこんな感じで、僕の意識が翔太郎の身体に移って、二人で一人の仮面ライダー、Wに変身しているんだ。」
それからWについての説明を受けたのだが…
「えっと…」
その説明に、ことり、花陽、絵里、秀夜全員がぽかんとしている。正直な話、Wに変身したことのある俺ですら原理についてはよく分かっていない。
「まっ、一回聞いても分からないよな…百聞は一見にしかず、なんて言うが、俺なんて何度も変身してるけど未だに全部は理解しきれてねぇからな…」
翔太郎さんも頭をポリポリ掻きながら言った。
「さて、そろそろここに来てもらった本題に入ろうか?」
持っている本をパンっと音を鳴らして閉じ、フィリップさんが言った。俺たちはそんなフィリップさんの方に向き直る。
「今回来てもらったのは他でもない、財団Xの件について色々分かったから、直接話したいと思ってな。」
薄々そうだろうとは思ってたが、翔太郎さんの言葉を聞いて未だ多くの謎に包まれている財団Xの存在に近づけるかもしれないと思い、心臓がドクンッと音を鳴らした。
「まず…最初に言っておくが、今から話すことはこれまで戦ってきた優たちには、ちょっとショックなことかもしれない…」
翔太郎さんは息を一つ吐き、ゆっくりと話した。
俺たちにとって、ショックなこと…?
「実は、財団Xは今3つに分裂した状態だ。」
「3つに分裂…?」
確かにそれが本当なら、敵が増えるという意味でかなりショックだな…
「あぁ…フィリップ、説明頼む。」
翔太郎さんに「あぁ。」と答え、フィリップさんが説明を始めた。
「僕達が財団Xの存在を掴んだのは7年ほど前だけど、本当はそれ以上も前から暗躍していた組織なんだ。勿論、結成当初は1つの組織として活動していた。」
「それが、今は3つの組織に…?」
「あぁ。もう優くんたちも知っているとは思うが、今君たちが戦っている財団Xは本来この地球にはいない、天界にいる女神たちと手を組んでいる。」
「っ!?知ってたんですか…?」
俺は驚き、慌てて聞き返した。
「僕の脳内には、
地球の本棚で、そこまで調べることが出来るのか…ってことは、まさか…!?
「もちろん、君が女神の力で別の世界から転生してきた人間だってことも調べ済みだよ、優くん。」
やっぱり…それも分かってるのか…
「悪いな、優。勝手に調べたりして…」
申し訳なさそうに翔太郎さんが言った。
「いえ、大丈夫ですよ。」
その言葉に、俺は笑って返事した。
「それで、その3つに別れた財団Xっていうのは?」
秀夜がそう聞き、フィリップさんが話を戻す。
「その元々一つだった財団Xから、10数年ほど前ある男が脱退した。その時は多数の女神が地球に降りてくる前だったが、その時から地球にいる女神も少し存在していたようだ。その男はその内の何人かの女神と手を組み、第二の財団Xを立ち上げた。」
俺は反乱が起こる前から女神様がこの世界にいたことに驚いた。
「でも、それじゃ二つですよね?」
秀夜の問いに、フィリップさんが頷きながら答える。
「三つになったのはつい最近、2年ほど前の事のようだ。しかし、その理由についてはキーワード不足でまだ分かっていないんだ。」
「二つ目の組織については、まだ何の手がかりも無い…そこで聞きたいんだが、優たちがこれまで財団Xと戦ってきたなかで、もう一つの組織について何か手がかりは無かったか?」
「もう一つの組織…」
「あっ!仁がこの世界に来た時戦ったのって、財団Xとは違う組織だったよな?」
翔太郎さんの言葉を聞いて考えていた秀夜が、仁がこの世界に来た時に戦った組織のことを思い出した。
そういえば、あの時グラスが…
『スーツを着た男…?見ての通り、私たち財団Xは白服を着ているので、財団Xではないでしょう。心当たりがないこともないですが、正確には分かりませんので、今は私の口からは言わないでおきましょう。』
とか言ってたな…心当たりあるってことは、何か関係はあるのかもしれない。ということは、ニュートがいた組織が3つ目の組織なのかもしれないな…
「どうした?何か知ってるのか?」
「そういえば以前、並行世界からある仮面ライダーを連れてきて、その仮面ライダーの持つパンドラパネルっていう物を奪おうとしてた連中と戦ったことがあるんです。それについて財団Xに聞くと、別の組織だが以前関わりがあった、というようなことを言ってたんです。」
「なるほど…確かに、その組織が3つ目の組織の可能性があるね。もう少し詳しく、その組織について教えて欲しい。」
俺の言葉を聞き、フィリップさんは顎に手をつけながら言った。
「そうですね…あの組織の人間は、財団Xとは対照的に黒いスーツを身にまとってましたね。あと、敵幹部の女が、財団Xの女も変身していたデビュラーという怪人に変身してましたね…」
とりあえず思い付く2つを挙げた。そして更に考えると、ある一つのことを思い出した。
「そういえば、その組織の敵についてなんですが…普通財団Xのドーパントやヤミーなどの敵にしろ、財団Xと関係のない他の敵にしろ、ダブルやオーズ、俺が変身するインフィニティなど、どんな仮面ライダーでも倒せるじゃないですか?」
「あぁ、そうだな。」
俺の言葉に翔太郎さんはそう言って納得し、フィリップさんも横で頷いている。
「でも、その組織が送り出した敵は、その仮面ライダーの力でしか倒せないらしいんですよ…」
「その仮面ライダーの力でしか…?」
「例えば、その時の敵はビルドっていう仮面ライダーの敵のスマッシュだったんですけど、インフィニティに変身して戦っても倒せず、ビルドの力を使って倒したんです。」
「その仮面ライダーの力でないと倒せない敵…興味深いが、実に厄介だね。」
「ダブルにしか変身できない俺たちが、その組織の別のライダーの敵といくら戦っても倒せないってことだもんな…」
苦い顔を浮かべ、フィリップさんと翔太郎さんは呟いた。
「そうなんですよね…俺たちも並行世界から来た仁がビルドの力を持ってなかったら、太刀打ち出来ませんでしたから…」
「なるほどな。とりあえず、今貰った情報も頼りにまた色々探ってみるか…」
翔太郎さんがそう言った時、探偵事務所の扉が大きな音を立てて開いた。
「翔太郎くん!フィリップくん!」
扉を開け手入ってきたのは女性。その女性は焦った様子で2人の名前を言った。
「亜樹子?」
亜樹子、と呼ばれた女性はドアから事務所内の段差を駆け足で降りて翔太郎さんの元まで来ると、俺たちの方を見る。
「あれ?もしかして依頼人?」
「いや、まぁ前の依頼人だな。ほら、亜樹子がフィリップと調査に出かけてた時に来たって話しただろ?今日は色々と他の件の報告をするために来てもらったんだ。」
俺たちについて聞いた亜樹子さんに、翔太郎さんが説明する。
「あー!聞いてるよ!君たちも翔太郎くんたちと同じ仮面ライダーなんだよね?私はこの事務所の所長の、照井亜樹子。よろしくね!」
笑顔でハキハキとした声でそう言われた俺達も、笑顔で挨拶を返しながら頭を下げる。
「それより随分と焦っていたようだけど、どうかしたのかい?アキちゃん。」
「あっ!そうだった大変だよ!ドーパントが暴れて、大勢の人たちが倒れてるの!」
「何!?」
「翔太郎さん!」
亜樹子さんの報告を聞き、翔太郎さんと俺は頷きあって探偵事務所を飛び出した。その後ろを追って、秀夜、絵里、ことり、花陽も飛び出した。
「はっはっはっ!素晴らしい!この力で俺は、組織を復活させそのトップに立つのだ!」
俺たちが現場に到着すると、全身白くもやもやした煙のような見た目で、黄色い複眼の怪人がいた。しかもその見た目のように、体から白い煙がふわふわと上がっていた。そんな謎のドーパントが、いかにも悪が言いそうなセリフを叫んでいた。
だが、問題はその周りで倒れている老若男女問わない大勢の人。
「こんな大勢の人を…」
「アァ…?なんだ貴様ら?」
俺たちに気づいたドーパントは、首をねっとりとこちらに回し低い声で言った。
「この街の人を泣かすヤツらは許さねぇ…!」
ドーパントの問いには答えずそう言った翔太郎さんは、ダブルドライバーを腰に巻き付けた。
「行くぜ、フィリップ!」
翔太郎さんはこの場にはいないフィリップさんの名前を呼んだ。恐らく、ダブルドライバーを巻きつけたことで、探偵事務所にいるフィリップさんと会話をしているのだろう…
その様子を見たドーパントはピクリと反応したため、それで翔太郎さんの正体には気づいたようだ。
「お前ら、仮面ライダーか?しかもそのドライバー…お前が風都の仮面ライダー、ダブルかァ…」
『ジョーカー!』
翔太郎さんはジョーカーメモリを起動させた。
「「変身!」」
翔太郎さんが変身と掛け声を言った瞬間、本来翔太郎さんにしか聞こえないはずのフィリップさんの声も重なって聞こえたような気がした。
『サイクロン!ジョーカー!』
翔太郎さんは転送されてきたサイクロンメモリを差し込み、更にジョーカーメモリも装填しドライバーを展開させた。そして翔太郎さんとフィリップさんは、仮面ライダーW サイクロンジョーカーに変身した。
「行くぜ。はぁぁぁっ!」
Wはドーパントの方へ走り出し、戦闘を開始した。
「優!ぼうっとしてないで、私たちも行くわよ。」
Wの戦闘に気を取られていた俺は、絵里に言われはっと気がついた。
「あっ、あぁ。そうだな、行こう!」
そう言って、俺はインフィニティドライバーを巻き付けた。
「あっ、悪い…俺、この前使ったメモリーコネクトってカードの影響で、しばらく変身できないんだ…」
「あっ、そうなのか…よしっ!俺のために使ってくれたカードだし、ここは俺が頑張らないとな!」
秀夜の言葉にそう答え、オリジンデータボトルを取り出した。
『オリジン!』
「「「「変身!」」」」
『CAST OFF』
『ガンフォーム』
俺は仮面ライダーインフィニティオリジン、ことりは仮面ライダー龍騎、絵里は仮面ライダーカブト、花陽は仮面ライダー電王 ガンフォームに変身した。
『スペシャル召喚 インフィニティソード!』
『ソードベント』
俺はインフィニティソード、ことりはドラグセイバー、絵里はカブトクナイガン クナイモードを取り出し、近距離戦でドーパントに攻撃していく。電王は少し離れたところから、デンガッシャー ガンモードでドーパントを撃っていく。
「はぁっ!」
俺がドーパントに斬りかかると、攻撃が命中したはずのそのドーパントは消え、その場にはさっきまでやつが体から出していた煙がふわふわと舞い上がってるだけだった。
「どういうことだ…?」
消えたドーパントに困惑し俺たちが行方を探してると、Wの背後にドーパントが現れ、首を掴んだ。
「くっ…!?これまた、トリッキーな能力を使う、ドーパントだな…」
「翔太郎さん!」
俺はドーパントの手からWを救出しようと、インフィニティソードを構えるが…
「動くな!」
そう叫んだドーパントは、俺が今いる位置からインフィニティソードをどう振り下ろしても、Wを巻き添えにしてしまう位置で捕まえている。要は、人質だ…
人質を取られたことで動けない俺たちだが、その中で一人、絵里はゆっくりと手をベルトの右側へ動かそうとしていた。恐らく、クロックアップでWを救い出すつもりのようだ。
しかし、それを見逃さなかったドーパントは、空いている手で絵里に少し触れた。それに気づき、絵里はビクッと震える。
「絵里!」
「あぁ…そういえば、お前はクロックアップとやらが使えるって組織が言ってたな…」
っ…どうにかして絵里とWを助け出さないと…
「……理由は知らないが、まー、一人ぐらいならいいか…」
そう意味の分からない言葉を一人呟いたドーパントは、「ふっ…」と笑ってから言う。
「絢瀬絵里…お前は厄介だ、そこで倒れてる人間たちと同じようにしてやる。」
そして、ドーパントは絵里に触れている手を絵里の顔の前に移動させた。
「っ…」
その瞬間、絵里のベルトからカブトゼクターが外れた。
「絵里!?」『絵里ちゃん!』
強制変身解除してしまい、その場に倒れた絵里を咄嗟に抱えた。
「おいっ、絵里!?絵里ぃぃぃっ!!」
俺は必死に声をかけるが、絵里は意識を失ってしまっている。
「何しやがった!?」
怒りを顕にした翔太郎さんが、ドーパントに言った。
「へっ…だったら、お前も同じようにしてやる。」
絵里と同じようにドーパントがWの顔の前まで手を動かすと、ダブルも強制変身解除して倒れてしまった。
〜side out〜
〜三人称視点〜
「翔太郎!」
その頃、鳴海探偵事務所ではWが変身解除してしまった影響で意識が戻ったフィリップが、飛び起きて翔太郎の名を叫んだ。
「フィリップくん!?」
その様子を見た亜樹子が驚いているのを気にも止めず、フィリップは悔しそうに、固く握りしめた拳を地面に叩きつけた。
〜side out〜
〜side 優〜
「翔太郎さん!」
その倒れた翔太郎さんを、ことりと花陽が抱える。
「っ…てめぇ…何が目的だ!」
俺のその言葉に、ドーパントは少し笑って答える。
「俺の目的か?まあいいだろう、教えてやる。俺はこの力を使って、ミュージアムを復活させる!!」
「ミュージアム…?」
「そうだ。ミュージアムを復活させ、園崎の代わりに俺が新たなトップに立つ!そのためにはまず俺の力を知らしめて、財団Xに認められるのさ!」
そう豪語するドーパントに、俺の怒りは更に大きくなった。
「そんなことのために…無関係な人を何人も…?絵里も翔太郎さんも、そこに倒れている人たちも、それだけのために襲ったのか!」
「あぁ、そうだ。まっ、別にいいだろ。どうせ普通の、くだらない人生を送る人間ぐらい襲ってもな。偉大なるミュージアムの復活ための犠牲になるんだからな!」
「……ことり…絵里を頼む…」
俺は倒れてる絵里をことりに頼み、ホープデータボトルを取り出した。
『ホープ!』
俺は仮面ライダーホープインフィニティに変身し、ドーパントに飛び蹴りを浴びせた。しかし、それを先程のように煙を残して消え、俺の背後に現れ、俺に触れようとしてきた。恐らく、絵里や翔太郎さんの意識を失わせたのと同じことをしてくるつもりだろう。
「っ!?気づいてたのか…」
しかし、最初から背後に回ってくることを予想していた俺は、ドーパントが伸ばしてきている手を止めるため、手首を掴んだ。俺はこのドーパントに対する怒りのあまり奴の手首を掴んでいる手の力を更に強め、そこからドーパントのエネルギーを吸収していく。
「っ…!?これは…力が吸収されていってる、だと…!?くそっ……っ!?」
ドーパントは再び消えて俺から逃れようとしたのだろうが、出来なかった。
「なんで、消えられないんだ…!?」
「このホープインフィニティがお前に触れている限り、お前の能力は使えない。」
「くそっ!」
俺はドーパントを掴んだまま、取り出したインフィニティソードでドーパントを斬り裂いた。
「俺は、約束したのに…」
さっきの攻撃で倒れたドーパントを再び掴み上げながら、俺はそう言った。
「アァ?」
なんの脈絡もなく突如こぼした俺の言葉に、ドーパントが低い声を漏らす。
「絶対に俺が守るって、約束したのに…!」
誰にも見えない仮面の下で、俺は歯を食いしばりながら言葉をこぼした。
「それに、絵里だけじゃない…くだらない野望のために、関係のない何にもの人を襲ったお前を、俺は絶対に許さないッ!!」
俺はその言葉を言い終わるのと同時に、掴んでいるドーパントを蹴り飛ばした。
「へっへっへっ…いくらお前が俺を許さなくても、お前の仲間も、他のやつらももう助からねぇんだよォ!」
「本当にそうか…?お前のメモリをメモリブレイクすれば、倒れてる人たちも元に戻るんじゃないのか?」
「あぁ?何夢見たこと言ってやがる。そんなわけないだろ。」
「何…?」
最初はそう疑問の声を漏らした俺だが、ある考えが頭に浮かんだ。
そうだ…よくよく考えれば、このドーパントを倒したからって絵里たちが元に戻るとは限らなかった…最近現れる敵は、ニュートのように敵自身を倒せばその能力も解除されたり、解決するための何かが現れることがほとんどだった。思えば、それはただ幸運だっただけだ…普通なら、そんな都合のいいことなんてない。
「もうお前に、その女を助ける術はない!はっはっはっはっはっ!!」
現実を突きつけられた俺は、手の力がぬけてインフィニティソードを地面に落とした。その隙に、高笑いしながらドーパントは煙となって消えた。ドーパントが消えたその場所を、放心状態の俺はただ見つめることしか出来なかった…
μ'sと仮面ライダーの物語
「さぁ、検索を始めよう。」
「俺に質問するな。」
「ガス・ドーパント、反撃といかせてもらうぞ!!」
次回、『123話 Gの目的/サイクロンの力』
これで決まりだ。
という事で、W編1話でした。W編1話にして、翔太郎がまさかの意識不明状態に…果たしてどうなるのやら…
という事で、今回はこの辺で…次回は明日の18時に投稿予定です。そちらも是非ご覧下さい。お気に入り登録、評価や感想なども是非よろしくお願い致します。ではまた次回、お会いしましょう。