μ’sと仮面ライダーの物語   作:シーチ

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はい、123話です。

では123話、スタートです!


123話 Gの目的/サイクロンの力

〜side 優〜

 

ドーパントが逃げた後、倒れた人たちは全員病院に運ばれた。俺、ことり、花陽、秀夜は絵里が運ばれた病室にいる。

 

「くっ…」

 

解決策どころか、あのドーパントが何をしたのかも掴めなかった俺は、椅子に座り悔しさのあまり右手の親指の爪を、左手にぎゅうと押さえつけていた。

 

「待たせたね、優くん…」

 

そこに、ガララと音を立てて扉が開き、フィリップさんと亜樹子さんが入ってきた。しかし、相棒である翔太郎さんも意識不明なため、当たり前といえばそうだがフィリップさんも暗い。

 

「落ち込む気持ちは分かるけど、そんな暇はないよ、優くん。」

 

俺の肩に手を乗せ、フィリップさんが言った。

 

「あのドーパントは助ける方法がないと言ったが、まだそうと決まったわけじゃない。まずは、あのドーパントの正体を探ろう。」

 

「そうですね。まだまだ諦めるには早いですよね!」

 

フィリップさんだって辛いのに、俺は元気づけられてしまった。俺よりも何倍も長い間戦ってきた先輩はやはり凄い、俺は改めてそう感じた。

 

「さて、まずはあのドーパントについて検索してみよう。」

 

そう言ったフィリップさんは、両手を横に広げて目を閉じた。

 

「さぁ、検索を始めよう。キーワードは、『消える』。『意識不明』。ん…やはりこれだけのキーワードじゃ、なかなか絞れないね…」

 

俺たちには分からないが、フィリップさんが入った地球(ほし)の本棚では、あのドーパントについて検索が行われているようだ。しかし、フィリップさんは中々情報が絞れず苦戦してるようだが…

 

「……そうだ、あのメモリの流出源は確か…続いてのキーワードは、『財団X』。」

 

あのドーパントがガイアメモリをもらった組織である、財団Xをキーワードに追加したようだ。しかし、元々ミュージアムに資金援助をしていた財団Xに関わっているメモリも多いため、絞りきれない。

 

「まだダメか…他に何か、手がかりは…」

 

キーワードか…何かあのドーパントについての情報………そうだ!

 

「フィリップさん、確かあのドーパントって体から煙みたいなの出してましたよね。」

 

「なるほど、次のキーワードは、『煙』。」

 

そう言ってしばらくすると、フィリップさんが目を開いた。どうやら、情報が出たようだ。

 

「なるほど…あのドーパントのガイアメモリがわかったよ。メモリの名前は、『ガス』。そのメモリで変身したのが、さっき戦った『ガス・ドーパント』さ。」

 

「名前から察するに、ガスの力を使うってことですか?」

 

俺がそう聞くと、フィリップさんは「そのようだね。」と言って頷き、再び説明し始める。

 

「あらゆるガスの能力を使えるようだ。それに、ガス以外にも空気中の気体なども操れるようだ。翔太郎たちが倒れたのは、超強力な毒ガスの影響のようだ。あの毒ガスは排出されてからすぐに消えてしまうが、その一瞬の間に吸ってしまった人への影響がかなり大きいようだ…」

 

「毒を、消す方法は…?」

 

俺の言葉に、フィリップさんは苦い顔で首を横に振った。

 

「方法は書いてない…少なくとも現代の普通の医学じゃ、治す方法はない。それも、あの毒ガスを受けた人物は、毒を受けてから1日で死ぬ。」

 

「そんな…じゃあ、今日中になんとかしないと…」

 

落ち込んだ俺だが、そこで一つ考えが浮かんだ。

 

「そうだ…!レッドメモリーならもしかして…」

 

俺はレッドメモリーデータボトルを手に取って呟いた。

 

レッドメモリーデータボトルには治癒能力があるが、この力を手に入れた当初は俺の保持してるライダーエナジーが少なかったなどの理由から大きな傷や病気の治癒は出来なかった。でも、今ならもしかして…

 

「なにか思いついたのかい?」

 

「はい…俺の変身する姿の一つに、治癒能力を持ってる姿があるんです。強力な毒を除去できるかは分かりませんが、もしかしたらできるかもしれません…」

 

「……うん、確かにやってみる価値はありそうだね。」

 

俺はそう言ったフィリップさんに頷き、インフィニティドライバーを巻き付けた。

 

「とりあえず、やってみます。変身!」

 

俺はレッドメモリーデータボトルをベルトに差し込んだ。そしていつも通り変身していく…はずだったんだが、ベルトからレッドメモリーデータボトルが弾き飛ばされ地面に落ちた。

 

「ってて…」

 

「優くん!?」

 

「大丈夫!?」

 

倒れた俺にことりと花陽が駆け寄って声をかけた。

 

「あっ、あぁ…悪い、大丈夫だ。ってなんで…!?レッドメモリーズフォームに変身するために使用するライダーエナジーぐらいなら、まだ残ってるはずなのに…」

 

俺は変身出来なかったことを疑問に思いながら、落ちたデータボトルを拾い上げた。

 

「っ!?球体の部分が、白くなってる…?」

 

俺はデータボトルを見て驚いた。本来レッドメモリーデータボトル本体の上についている赤く炎を象ったような形をした球体が、白いただの球体に変わっていた。

 

「どういうことだ…?」

 

「詳しくはわからないが、緊急事態のようだね?」

 

「はい…この前まで変身出来てたはずなんですけど、何故か変身出来なくなってしまって…なんでだろ…」

 

「今は理由を考えても仕方ない。変身出来ないなら、別の解決策を考えるしかない。」

 

「そうですね…別の解決策、か…」

 

フィリップさんの言葉に、再び頭を悩ます。

 

「こうなったら、姉ちゃんの力を借りるしかないか…」

 

「優くんのお姉さん…ってことは、女神かい…?」

 

フィリップさんの問いに、俺は頷いて答えた。

 

「女神?優くんのお姉さんが?」

 

しかし、この場で唯一俺について詳しく知らない亜樹子さんが、その言葉を不思議に思い首を傾げている。

 

「えっ?えっと、いやぁ…その…」

 

それに俺が戸惑っていると、

 

「僕も聞いたことしかない話なんだけど、優くんのお姉さんは女神のように美しいらしいんだ。」

 

フィリップさんが上手くフォーローしてくれた。それを聞いて「私も会ってみたい!」とフィリップさんに話している亜樹子さんを見て、もし会って期待に添えなかったらどうしよう…と別の不安が生まれてしまったが…

 

それから俺は、一度フィリップさんたちに断りを入れ、病室から出て姉ちゃんに電話をかけた。

 

『もしもし優くん、どうしたの?』

 

「それが…風都でドーパントと遭遇して…」

 

 

 

〜〜〜

 

『そう、そんなことが…』

 

俺は諸々の事情を姉ちゃんに説明した。

 

「その…なんとか治療することは出来ないか?」

 

『そうねぇ…現代の医学じゃ治せないとなると、神なら何とかできるかもしれないけど私じゃ無理ね…と言っても、何もしない訳には行かないわ。とにかく私も、すぐ優くんたちのいる病院に向かうわ!そっちで何か解決策がないか調べてみる。』

 

「わかった!」

 

『あっ、でもちょっと待って。ドーパントが変身に使ったガイアメモリがあれば、何とか出来るかもしれない…メモリブレイクした状態でも大丈夫だから、回収しておいてくれる?』

 

「わかった、こっちは任せてくれ!解毒役の調査は頼む。」

 

俺はそう言って電話を切った。

 

「くそっ…さっき俺がドーパントの言葉に気を取られてなければ…」

 

そう呟いた俺は、拳を強く握りしめていた。

 

 

 

 

 

「どうだった…?」

 

俺が病室に戻ると、不安そうにことりが聞いてきた。

 

「今のままじゃ治す方法はないけど、あのドーパントが変身に使ってるガイアメモリがあれば出来るかもしれないらしい。」

 

「ガイアメモリか…それって、メモリブレイクした状態でもいいのかい?」

 

「はい、大丈夫みたいです。」

 

「よし…なら、とにかく今はあのドーパントを倒すしか方法はないようだね。倒れた人たちが毒ガスを受けたのは午前11時頃だから…リミットは明日の午前11時頃だね。それまでにドーパントを倒そう。」

 

「はい!」

 

俺がそう答えた時、病室の扉が開いた。

 

「残念だが1日もない。」

 

そう言いながら、赤い革ジャンを着た男性が入ってきた。状況が状況なため、俺と秀夜は警戒してことりと花陽を庇うように前に立った。

 

「竜くん!」

 

しかし、亜樹子さんが嬉しそうに男性に駆け寄り、抱きつきながら声をかけたので、知り合いだと分かりほっとした。

 

「今朝ぶりだな、所長。」

 

革ジャンの男性はそう言って、亜樹子さんの頭を撫でた。

 

「あの…あなたは?」

 

「俺は照井竜、風都署の超常犯罪捜査課に所属している。」

 

革ジャンの男性…照井さんは警察手帳を見せながら答えた。

 

って、警視!?見た目若そうなのに…

 

俺が警察手帳に書かれていた階級を見て驚いた時、亜樹子さんが照井さんの腕に自分の腕を絡ませ、肩に頭に乗せて言う。

 

「そして、私の旦那さんでもあります!」

 

満面の笑みで言った亜樹子さんを見て、さっきの所長呼びに不服そうだった理由がわかった。

 

「あっ、俺は仮野優です。よろしくお願いします。」

 

今度は俺が自己紹介すると、秀夜、ことり、花陽も続いて挨拶した。

 

「ところで竜くん、さっきの1日もないっていうのは?」

 

「昨晩、あのドーパントに4人の警察官が襲われ、内3人はあの毒ガスを受けている。時間は22時頃だ。」

 

「なら、今日の22時までに解決しなければならない、ということのようだね。」

 

顎に右手を添えながら考えていたフィリップさんが言った。

 

「とにかく今は、ドーパントを急いで探すしかなさそうですね…」

 

そう言った俺は、4枚のカードを腰のアタックバックルにスキャンし、ライオンハイパーメカアニマル、ホークメカアニマル、シャークメカアニマル、ペガサスメカアニマルを召喚した。

 

「あっ、その動物さんたち召喚するなら、ことりたちもやろっか?」

 

「そうだね!」

 

「俺もそれぐらいなら出来そうだな…」

 

俺がサポートメカアニマルを召喚したのを見て、ことりはシープハイパーメカアニマル、花陽はディアーハイパーメカアニマル、秀夜はバットハイパーメカアニマルを召喚した。

 

「みんな、お願いします!」

 

花陽の言葉を合図に、召喚したメカアニマルたちがドーパント捜索に向かった。

 

「優くん!今のは何だい?」

 

それを見ていたフィリップさんが、意気揚々とした様子で聞いてきた。

 

「あれはメカアニマルと言って、俺たちのサポートをしてくれるメカです。」

 

「おぉ!それは実に興味深い!是非調べたいところだが…」

 

興奮していたフィリップさんだが、この状況で聞くべきではないと思い引き下がった。

 

「とりあえず、僕たちも手分けしてドーパントを探そう。」

 

ということで、俺とフィリップさん、照井さんとことり、秀夜と花陽に別れてドーパントを探し始めた。亜樹子さんは病院に残ることになった。

 

 

 

「もしもし、穂乃果か?」

 

病院から出た俺は、ドーパントを探す前にフィリップさんに一言断りを入れて穂乃果に電話をかけている。

 

『優くーん!助けてぇ、海未ちゃんが鬼だよぉ!』

 

一番に穂乃果の叫ぶ声が聞こえてきて、少し耳がキーンとする。それから、電話越しに海未の叱咤する声も聞こえてきた。

 

「大変なところ悪いが穂乃果、緊急事態なんだ。」

 

『……どうしたの?』

 

真面目な話なんだと気づいた穂乃果は、海未から逃げ回るのを一旦止め、落ち着いた声で聞いてきた。

 

「実は、絵里が敵にやられて意識不明の状態なんだ…」

 

『えぇ!?じゃあ穂乃果達もすぐそっちに…』

 

「いや…悪いんだけど、穂乃果たちはそっちに残ってて貰えないか…?」

 

仲間の絵里が大変な時に残っていてくれ、なんて酷なことを言っているのは承知の上だが、恐る恐る提案してみた。

 

「今日のテストを乗り越えないと、ラブライブ!の最終予選には出場できない。もしそうなったら、絵里が目覚めた時悲しむだろ?絵里は絶対に俺たちが助ける!だから穂乃果と凛は、今はそっちで勉強を頑張っててくれないか?」

 

『わかった!こっちは任せて、絶対に合格するから!優くん、絶対にことりちゃんも花陽ちゃんも秀夜くんも、絵里ちゃんも一緒に帰ってきてね!』

 

「あぁ!約束する!」

 

そう答えて俺は電話を切った。

 

「すみません、お待たせしました。」

 

電話を終えた俺は、フィリップさんの元に戻ってきた。

 

「さてと…それじゃあ、ドーパントを探し始めるとしよう。」

 

フィリップさんの言葉に頷き、俺とフィリップさんは動き出した。

 

「あれ?そういえば、翔太郎さんがいなかったら変身出来ないんじゃ…?」

 

色々あって忘れていたが、フィリップさんは翔太郎さんと二人で一人の仮面ライダーWに変身するため、翔太郎さんがいないと変身出来ないはずだ。

 

「その通り、Wには変身出来ないよ。」

 

「Wには?」

 

俺がそう聞き返すと、フィリップさんはダブルドライバーではない、もう一つのベルトを取り出した。

 

「ロストドライバー…」

 

「これは翔太郎が使ってる物なんだけどね、翔太郎が気を失っている間だけ借りることにしたんだ。それに以前、僕もこのドライバーを使って変身したことがあるんだ。だから、これがあれば一先ず変身は出来るだろう。」

 

「なるほど…」

 

「ただ、変身出来たからと言ってあのドーパントに敵うかは分からない。」

 

「……その、こんな時にとても言い難いんですが…」

 

俺は恐る恐るフィリップさんに声をかける。

 

「どうしたんだい?」

 

「俺がさっき変身したホープインフィニティは、能力が強大な分ライダーエナジーという力を沢山消費してしまうんです。さっきの戦いでライダーエナジーを沢山消費しちゃって、もうホープインフィニティに変身する分のライダーエナジーは残ってないんです。」

 

「そうか…分かった。だったら優くん、君にもう一つ頼みたいことがある。これが、今回の作戦の要だね。」

 

「今回の作戦?」

 

それから俺は作戦の概要を聞いて驚いたが、あのドーパントを倒すには現状これが一番有効的だろうと思った。そして、作戦を実行するべく俺たちはガス・ドーパント捜索に向かった。

 

 

 

 

ごめん…絵里、守れなくて。お前のことも、あの時の約束も…絵里が目覚めたらちゃんと話すから、もうちょっと待っててくれ…

 

絵里も、翔太郎さんも、街の人々も絶対に助ける!絶対にガス・ドーパントを倒して、みんなが目覚める方法を見つけ出す!

 

 

 

俺は心の中で、そう強く誓った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side ことり〜

 

私、南ことりは風都で出会った照井竜さんという警視さんと一緒に、怪物を探している。

 

けど…初めて会った人だし、なんか怖そうだし、正直緊張しています…

 

「あっ、あの…」

 

私は照井さんの後ろをトコトコ歩いてる道中、緊張しながらも照井さんに声をかけた。

 

「なんだ?」

 

「今って、どこに向かってるんですか…?」

 

恐る恐るそう質問してみたけど…

 

「俺に質問するな。」

 

少し威圧感のある声でそう返されてしまい、私は思わずビクッとしてしまう。

 

「すっ、すまん…つい口癖で…」

 

そんな私の様子を見た照井さんは、焦ったように弁解してきた。見た目は怖そうだけど、やっぱり警察官で仮面ライダーだし本当は優しいのかな…?

 

「それで、どこに向かっているかだったな?」

 

そう聞かれたので、私はコクリと頷いた。

 

「昨日襲われた4人の内毒ガスを受けていない1人が、犯人について掴んだらしい。それで俺と同じ超常犯罪対策課の刑事がそれについての資料を用意してくれたそうだ。今はその刑事のところに向かっている。」

 

そう答えた照井さんは、再び歩き始めた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 秀夜〜

 

「探すと言っても、俺たちこの街のこと全然知らないしな…とりあえず、怪しそうなとこ見て回るしかないか…」

 

「そうだね…でも、絶対に絵里ちゃんも、翔太郎さんたち街の人も助けないとだね!」

 

「あぁ!」

 

俺と花陽はこの辺の土地勘が全くないので、とにかく虱潰しに探していくことにした。

 

「ふんっ…ぬぬぬぬぬ…!」

 

俺が河川敷を見回っていると、突然花陽の声が聞こえたため振り返った。

 

「って花陽、何してんだ…?」

 

花陽は何故かマンホールを開けようとしていた。

 

「ぬぬぬぬぬぅ…くぅっ…!」

 

「うぉっと!」

 

花陽が限界で力が抜けそうになっていたので、俺が慌ててマンホールを持ち支えた。

 

「流石にこの中には、いないと思うけど…とりあえずこれ下ろすぞ。よいっ、しょっ…!っとと…」

 

俺と花陽は一先ずマンホールを横にずらした。

 

「ふぅ…って、ん…?」

 

「秀夜くん?って、あれ…?」

 

マンホールに続く地下を覗いて言葉を零した秀夜に続き、花陽も中を覗くと、何かに気づいた。

 

「この下にある通路、妙に整備されてるな…電球がついてるみたいだし…」

 

「もしかして、本当にこの中に何か手がかりがあるとか…?」

 

2人は顔見合せて頷き合い、中に入っていった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜side ことり〜

 

「これが最近この街で暴れた怪物の情報をまとめた資料です。」

 

そう言って照井さんに資料を渡した中年の男性。右手に持ってるツボ押し器を肩に当ててるのが特徴的だけど、人当たりの良さそうなその男性は、刃野警部補。照井さんの部下の方で、同じく超常犯罪捜査課に所属していると先程挨拶を受けた。

 

「それから、これの最後の方に昨夜刑事を襲った怪物の情報もまとめてあります。」

 

そう言われた照井さんは、パラパラと資料を捲りさっきの怪物、ガス・ドーパントの写真が写っているページで止めた。

 

「……っ!もう奴のアジトまで掴んでいたのか…」

 

「えぇ、昨日怪物の攻撃を受けてなかった刑事がつけて行ったそうで…」

 

「そうか…わざわざ届けてもらってすまない。」

 

「いえいえ…それにしてもこんなに若い女の子と一緒なんて、隅に置けませんな〜。亜樹子の嬢ちゃんにバレたら、大変なことになるんじゃないんですか〜?」

 

刃野さんが私の方を見てニコニコしながら言ってきたので、思わず「へぇっ!?」と声を上げてしまった。

 

「冗談はよせ。それより、追い詰めたと言っていたガイアメモリの売人の件はどうなっている?」

 

照井さんは刃野さんの言葉に全く動じず、話を切りかえた。

 

照井さんのクールでしっかりとした性格からなのもあると思うけど、やっぱり一番は照井さんと亜樹子さんの間に信頼感があるからこそ、そうならないことが分かっているのだろうなぁ…私も、いつか優くんとそんな関係になれたら…

 

って、いけないいけない!今はそんな場合じゃないのに!一人妄想に浸りそうになりかけたところを何とか踏み止まり、2人の会話に耳を傾ける。

 

「あぁ…その件なら、自分の失態で取り逃してしまいまして…今真倉が追っています。申し訳ない!」

 

「失態?何があった?」

 

そう聞かれた刃野さんは、下げていた頭を上げて理由を説明し始める。

 

「それが…後一歩のところで、その売人が『ツチノコ!』と叫びまして…思わずそのツチノコを探そうとしてしまった瞬間に、逃げられてしまいました…」

 

「……そうか…」

 

えっ…?今時ツチノコに騙される人って、本当にいたんだ…

 

取り逃した理由を聞き、私は思わず顔を引き攣らせてしまった。これにも動じない照井さんは流石だなぁ…と思いながら照井さんの顔をよく見てみると、頬がぴくぴくと動いているのが目に付いた。

 

流石の照井さんでも、これには少し驚くみたい…すると、刃野さんの携帯電話から着信音が鳴り響き、「失礼します」と一言言って電話を始めた。

 

「またか…」

 

ボソッと呟いた照井さん。

 

「えっ?前にも、こんなことがあったんですか…?」

 

「あっ、あぁ…まぁ、ツチノコだったりUFOだったりに騙されていることは、何度かあったな…」

 

何度かなんだ…照井さんの言葉に、私は思わず更に苦笑してしまう。

 

「まぁでも、あれが刃野警部補のいい所でもある。みんながみんなそうでは困るが、警察官の中にはああいった真っ直ぐな刑事も必要だと、俺は思っている。」

 

そう言って少し笑みを浮かべた照井さんを見て、今回ドーパントについての資料を刃野さんに頼んだのが、ただ部下だからと言った理由だけじゃないことを理解した。

 

「警視、真倉が売人を捕まえたそうです。」

 

電話を切った刃野さんがそう言った。

 

「そうか。じゃあ、売人の方は頼む。俺はドーパントを追う。」

 

「了解しました、失礼します!嬢ちゃんもまたな。」

 

「はい!」

 

私に軽く手を振って言った刃野さんに、少し頭を下げて言葉を返した。そして刃野さんは去って行った。

 

それを見送っていた私の後ろで、照井さんは貰った資料を読んでいた。

 

「……ドーパントの正体は、後藤晴彦…7年前まではミュージアムに所属していた研究員だったが、組織崩壊してからは行方をくらませていたのか…それが今になってドーパントとしてミュージアムを復活させると暴れだした、か…」

 

そう呟いた照井さんは、誰かに電話をかけていた。

 

「フィリップか?ドーパントのアジトがわかった。」

 

照井さんは電話をかけた相手であるフィリップさんに、怪物のアジトについて説明してから電話を切った。

 

「悪いが君は、病院に戻って仮野の姉に現状の報告をして欲しい。」

 

「わかりました!気をつけてくださいね。」

 

私の言葉に頷き、照井さんはドーパントのアジトへ向かって行った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「ん…?ほぅ…よくここがわかったな。」

 

照井の情報からガス・ドーパント…後藤晴彦がアジトにしている廃工場を突き止めたフィリップは、彼のいる部屋に侵入した。

 

「だがちょうど良い。俺の目的にお前ら仮面ライダーは邪魔だ。ここでお前も殺してやる。」

 

『ガス!』

 

後藤はガスメモリを起動させ、服の襟を捲りそこに隠れていた生体コネクタに差し込み、ガス・ドーパントに変身した。

 

「お前は相棒がいないと変身出来ないんだろ?諦めて、大人しくその相棒と同じ毒ガスであの世に行くんだな。」

 

「ふっ…それはどうかな?」

 

そう言ったフィリップは、ロストドライバーを腰に巻き付ける。

 

『サイクロン!』

 

「変身。」

 

『サイクロン!〜〜〜♪』

 

起動させたサイクロンメモリをメモリスロットに差し込み、ロストドライバーを展開させたフィリップは、仮面ライダーサイクロンに変身した。

 

「ん…?どういうことだ、そんな姿になることは聞いていないぞ。」

 

「この姿になるのもかなり久しぶりだからね。僕は仮面ライダーサイクロンだ。行くよ。」

 

フィリップは高速でガス・ドーパントに近づき、風を纏った手で手刀攻撃を食らわせた。

 

「っ…!?速い!?」

 

「この仮面ライダーサイクロンはメモリ一本で変身する分、通称のW以上にそのメモリの能力に特化している。室内で風がない分本来より少し劣ってしまうが、自分で起こす風により高速移動が可能となるというわけさ。」

 

「くっ…ぐぁっ!?」

 

フィリップの説明を聞きながら立ち上がろうとしていたガス・ドーパントの背後から、斬撃攻撃を食らわせた人物が…

 

「照井竜!」

 

「待たせたな、フィリップ。」

 

右手にアクセルの専用武器、エンジンブレードを持ちアクセルドライバーを腰に巻いて現れたのは照井竜。照井はフィリップに向かって歩き出し、その際に剣先が地面に着いているエンジンブレードを引きずってキィーッと音が鳴る。

 

「さぁ、振り切るぜ。」

 

『アクセル!』

 

照井はアクセルメモリを起動させ、アクセルドライバーに装填する。

 

「変…身ッ!!」

 

『アクセル!』

 

アクセルドライバーのハンドルを回した照井は、仮面ライダーアクセルに変身した。

 

「行くぞ、フィリップ。」

 

「あぁ。」

 

まずフィリップが高速で動き相手を翻弄し、その隙に照井がエンジンブレードで斬り裂く。更にフィリップが蹴り飛ばし、ガス・ドーパントは壁際まで吹っ飛んだ。

 

「これで決める。」

 

『アクセル!マキシマムドライブ!』

 

照井はアクセルドライバーのグリップを握り、一気に飛んだ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

照井は下降しながら、ガス・ドーパントへ後ろ回し蹴りを思い切り放った。しかし、ガス・ドーパントは当たる寸前のところで気体化してフィリップの背後に回り、殴り飛ばした。

 

「しまった!?」

 

照井が着地してそう声を上げた時にはガス・ドーパントが背後に移動してきており、彼も蹴り飛ばした。

 

「さっきは少し油断したが、気体化出来る俺の前ではその程度の速さは無意味。だが、お前らは俺を怒らせた。今にそれを後悔することになるさ。ふっはははは!!」

 

そう高笑いしたガス・ドーパントは一旦落ち着き、両手を胸元ぐらいまで上げた。

 

「俺の最強の能力で、お前たちの息の根を止めてやろう。文字通りの方法で、な。」

 

そう言い、ガス・ドーパントは胸元にある両手を合わせ、パンっと音を鳴らした。

 

「「っ!?」」

 

その瞬間、フィリップと照井の体がビクッと動く。10秒をほど経つと、倒れている2人はもがき苦しみ始めた。更に10秒ほど経つと、変身まで強制解除されてしまった。

 

「驚いたか?このガス・ドーパントは空気中のあらゆる気体を操ることが出来る。今この部屋の酸素を全て抜いた。これでもう一分もすれば、お前たちの意識は完全に失われるだろうなっ!! せいぜい苦しんで死ぬがいい!!」

 

そう声を大にして言ったガス・ドーパントは、再び高笑いした。その時だった。

 

『エレキ・ON』

 

「ライダー100億ボルトブレイク!!」

 

突如現れた仮面ライダーフォーゼ エレキステイツが、ビリーザロッドでガス・ドーパントを斬り裂いたのだ。

 

フォーゼはエレキスイッチと、先程まで透明化するために使っていたステルススイッチをOFFに戻し、通常の仮面ライダーフォーゼ ベースステイツに戻った。

 

『ロケット!』

 

フォーゼはエレキスイッチを取り外し、代わりにロケットスイッチを装填した。

 

『ロケット・ON』

 

右手にロケットモジュールを出現させたフォーゼは、左腕でフィリップと照井を担ぎ、ロケットモジュールで一気に加速し飛び、部屋の壁を壊して外に脱出し2人をおろした。

 

「……っ!はぁはぁはぁ…助かったよ、優くん。」

 

「いえ、危険な賭けになってしまいましたけど、作戦大成功ですね!フィリップさん、照井さん!」

 

礼を言うフィリップにそう答えながらフォーゼは変身解除し、仮野優の姿に戻った。

 

「あぁ、そうだな。」

 

3人がそう話していると、先程のダメージでまだフラフラしているガス・ドーパントも外に出てきた。

 

「どういうことだ!?何故お前はあの空間で普通に呼吸していた!」

 

「そりゃ、俺が今変身しているのは宇宙服みたいなもんだからな。酸素がない空間でも、呼吸ぐらい出来るさ。だからフォーゼに変身して、途中で透明化した状態であの部屋に忍び込んだのさ。まぁ、5秒で忍び込んで隠れ、また透明化して5秒でお前の前に現れるのには少し苦労したがな…」

 

「っ!?まさか、俺が酸素を抜く能力を持っていることを知っていたのか!?」

 

「当たり前さ、僕が地球(ほし)の本棚で君に関する全ての情報を閲覧した。だから、君が空気中の酸素を抜くことが出来ることも、その能力はさっきまでいたような小さな部屋でしか使えないことも知っている。」

 

フィリップの説明を聞いたガス・ドーパントは悔しそうに唸る。そして、優が話す。

 

「だから、その能力を使えないように外に移動するために、俺たちが一芝居打ったってわけだ。後はお前を倒すだけだ。ガス・ドーパント、反撃といかせてもらうぞ!!」

 

 

 

 

 

その頃、ある場所にてガリュサはある男と話していた。

 

「ここは…?何故、私が…?」

 

「悪いけど、その質問には答えられないわ。ただ、あなたに頼みたいことがあるの。」

 

そう言って、ガリュサは男に二つのアイテムを手渡した。

 

「これは…」

 

「今、左翔太郎とフィリップが少しピンチに陥っているわ。それを使って彼らを助けるのも、助けないのもあなたの自由よ。ただ、あなたがここに留まっていられるのは2時間だけよ。」

 

 

 

ガリュサと話している男とは誰なのか…

 

敵である翔太郎たちの手助けを促しているのは何故なのか…

 

ガリュサの目的とは一体なんなのか…

 

謎は深まるばかりであった。

 




μ'sと仮面ライダーの物語

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

「全て…振り切るぜ!」

「お久しぶりですね。仮面ライダーW。」

次回、『124話 Nの復活/風を愛した男』

これで決まりだ。




という事でW編2話目、いかがでしたか?小説限定ライダーである仮面ライダーサイクロンというレアな姿も登場しました。このように、W編は少し思い切って書いたことが後いくつかございますので、お楽しみに!

そして最初に投稿した時、後書きと次回予告を書き忘れていて大変申し訳ございませんでした。

書き足した後書きのタイトルを見て頂ければわかる通り、タイトルの前半が『Gの目的』から『Nの復活』となっております。本来ダブルはひとまとまりの話中は、アルファベットの部分は変わらないんですが、今回は変えさせていただきました。どうしても変えたくて、どうしてもこの話はこれっていうのがあったんですよね…ですので、この小説オリジナル設定ということで(笑)

W編4話中、3つも前半の部分のタイトルを変えるのは結構欲張っちゃいましたね…

では今回はこの辺で…お気に入り登録、評価や感想なども是非よろしくお願い致します!ではまた次回、お会いしましょう。
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