という事で、W編3話目。今回はなんとあの人が!?
では124話、スタートです!
〜side 優〜
「さて、後はお前を倒すだけだ。ガス・ドーパント、反撃と行かせてもらうぞ!!」
ガス・ドーパントの前に並び立った俺、フィリップさん、照井さん。
「ちっ…だったら、お前らァ!」
ガス・ドーパントがそう叫ぶと、鼻と耳にピアス、首にネックレス、指に指輪など、アクセサリーを何個も付けたガラの悪い男が2人現れた。
『コックローチ!』
『バード!』
2人の男は、それぞれコックローチ・ドーパントとバード・ドーパントに変身した。
「フィリップ、仮野。こいつらは俺に任せろ。」
『トライアル!』
「変…身ッ!」
照井さんは仮面ライダーアクセルトライアルに変身した。
「全て…振り切るぜ!」
照井さんはエンジンブレードを取り出し、二体のドーパントを連れて少し離れて戦い始めた。
「お前ら、何を勝った気でいる?俺の酸素吸収能力を防いだ程度で、相棒を失ってWへの変身能力も失ったお前が、あらゆる気体を操ることが出来る俺に勝てるわけないだろ!まぁ、たとえ相棒がいた所で何も変わらないだろうがな!俺の毒にまんまとやられた、あんな雑魚がいた所でな!!」
ガス・ドーパントの言葉を聞いた瞬間、フィリップさんの威圧感が強まった。
「翔太郎は確かにカッコつけようとして行動が空回りしたり、情に流されすぐに騙されたりしてしまったりハーフボイルドな所もある。ただ、彼は誰よりもこの街を愛し、この街を泣かせる者を許さない、僕のたった一人の最高の相棒だ!」
落ち着いている普段よりも何倍に張り上げた声の、フィリップさんのその言葉からは、翔太郎さんへの想いが強く感じられた。
「僕の相棒のことを侮辱した君を、この街の人々と僕たちの大切な後輩を泣かした君を、僕は…いや、僕たちは絶対に許さない。」
「フィリップさん…」
翔太郎さんとの相棒としての絆と、この街の人々への愛と、絵里の事を大切な後輩と思っているフィリップさんを見て、俺はつい彼の名を呟いてしまった。
「僕の相棒は翔太郎だけだ。ただし、一緒に戦う仲間はたくさんいる。優くん、この街の人を助けるために、仲間として一緒に戦ってくれるかい?」
フィリップさんはそう言って、翔太郎さんのダブルドライバーとメモリ3本を俺に渡してきた。
「はい!もちろんです!」
俺はそう答えて、受け取ったダブルドライバーを腰に巻き付けた。すると、フィリップさんの腰にもダブルドライバーが現れる。
『サイクロン!』
『ジョーカー!』
フィリップさんはサイクロンメモリ、俺はジョーカーメモリを起動させた。
「「変身!」」
フィリップさんがサイクロンメモリをダブルドライバーに装填させると、俺のドライバーにそのメモリが転送されてきた。俺はそれを差し込み、ジョーカーメモリも装填してドライバーを展開させた。
『サイクロン!ジョーカー!』
俺たちは仮面ライダーW サイクロンジョーカーに変身した。
「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」
「ミュージアムを復活させる俺に罪なんてあるか!!マスカレイド・ドーパント!」
ガス・ドーパントの掛け声と共に、20体程のマスカレイド・ドーパントが出現した。
「優くん、行くよ。」
脳内でフィリップさんの声が鳴り響く。
「はい!はぁっ!」
俺は風を纏った足で次々にマスカレイド・ドーパントを蹴り飛ばしていく。
『ジョーカー!マキシマムドライブ!』
ジョーカーメモリをマキシマムスロットに装填し、ボタンを押した。
「「ジョーカーエクストリーム!」」
数体のマスカレイド・ドーパントが集まったところにジョーカーエクストリームを放った俺たちは、着地して別のメモリを取り出す。
『ヒート!』
『メタル!』
『ヒート!メタル!』
仮面ライダーW ヒートメモリに変身した俺たちは、メタルシャフトでマスカレイド・ドーパントを次々に殴り倒していく。
『メタル!マキシマムドライブ!』
メタルシャフトにメタルメモリを装填すると、シャフトの両端から炎が吹き出した。
「「メタルブランディング!」」
炎を帯びたメタルシャフトで何体かのマスカレイド・ドーパントを倒したことで、残り僅かとなった。
「次はこれだ。」
『ルナ!』
『トリガー!』
『ルナ!トリガー!』
仮面ライダーW ルナトリガーに変身した俺たちは、トリガーマグナムを取り出した。
『トリガー!マキシマムドライブ!』
「トリガーフルバースト!」
トリガーマグナムにトリガーメモリを装填し、分裂した弾で残りのマスカレイド・ドーパントを全て倒した。
『サイクロン!ジョーカー!』
「これであとはお前だけだ、ガス・ドーパント!」
再びサイクロンジョーカーに戻った俺たちは、ガス・ドーパントに向かって走り出す。
「はぁっ!」
ガス・ドーパントに飛び蹴りを放った俺たちだが、気体化されて避けられてしまう。
「優くん、エクストリームで行こう。」
「えっ?でも、相手が俺だと流石にエクストリームはきついんじゃ…」
フィリップさんの言葉に、そう問いかけた俺。
「あぁ、変身できるかすら怪しい。本来エクストリームは、僕と翔太郎が完全調和することで変身出来る姿だ。はっきり言うけど、それを僕と君でやるのは本来不可能だ。だが、今の僕と君はお互い大切な人を救いたいという強い目的で戦っている。」
「でも、いくら想いが同じでも、それだけで変身できるとは…」
「確かにその通りだ。でも、今の優くんの中に眠る力は、前に会った時よりも遥かに強い。優くんにはかなりの負担をかけることにはなってしまうが、君の力を最大限まで引き出すことで短時間だが変身することは可能かもしれない。かなり危険だが、僕とこの悪魔のような賭けに相乗りして欲しい。優くん、君にその勇気はあるかな?」
「もちろん。絵里も、翔太郎さんも、街の人々も助けるためだったら、そのぐらいやりますよ!」
俺の答えを聞いたフィリップさんは「ふっ…」と声を漏らした。すると、倒れているフィリップさんの体を、飛んできたエクストリームメモリが吸い込み、こちらまで飛んできてダブルドライバーに装填された。
「……行きましょう。」
俺は今の自分に出来る最大限の力を引き出そうと、意識を集中させて言った。
「あぁ。」
フィリップさんがそう答え、俺たち2人はエクストリームメモリを展開させた。
くっ…やっぱり、かなり力が消耗されるな…普段こんだけの力を使って変身している翔太郎さんとフィリップさん、本当にすげぇな…!
『エクストリーム!』
俺たちは、仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリームに変身した。
「よし…なんとか、変身出来ましたね…」
「あぁ、時間が無い。行こう。」
「はい!」
俺たちはプリズムビッカーを取りだし、ガス・ドーパントに向かって一気に走り出した。
〜side out〜
〜三人称視点〜
「絵里ちゃん…」
病院に戻ってきたことりは、絵里の手を握ってそう呟いた。
「きっと大丈夫。絵里ちゃんも、翔太郎くんも、街の人々もきっと助かる。今は相棒がいないけど、それでもフィリップくんはドーパントを倒してくれる。それに、今のフィリップくんには
ことりの肩に手を置いて、亜樹子が言った。
「亜樹子さん…そう、ですよね…!」
「うん。だから今は、私たちが信じてあげないとダメでしょ?優くんたちは今、私たちの分まで戦ってくれてる。だから、私たちにできるのは信じて待っててあげることだよ。」
その言葉を聞いて、ことりはハッとした。それを見た亜樹子はニコリと笑みを浮かべたが、病室の掛け時計を見て何かに気づいた。
「あっ!ごめん、ことりちゃん!」
その言葉を聞き、絵里を見ていたことりは亜樹子の方に振り返る。
「そろそろ春奈…娘の保育園のお迎えに行かなきゃいけないの…翔太郎くんたちは任せてもいい?」
「はい!任せてください!」
「ありがと!じゃ、行ってくるね!」
「ありがとうございました!」
ことりの言葉を聞いた亜樹子は、病室から出て行った。
「あっ、優香さん。薬の方、どうですか?」
病室の椅子に座って薬について分析していた優香に、ことりはそう尋ねた。
「一応、絵里ちゃんの体内の毒を解析して、解毒薬の開発に必要な材料などは大体把握したわ。けど、やっぱり細かい部分や調合方法は、ドーパントのメモリ本体がないとダメみたいね…さっき亜樹子ちゃんが言った通り、今は優くんたちを信じて待つしかないわね…とりあえず、私は咲に連絡して解毒薬に必要な材料を持ってきてもらうように頼んでみるわ。」
そう言って、優香は病室から出て行った。
しばらくして、優香が戻ってきた。
「どうでした?」
「材料はなんとかなりそうだわ。ただ、咲はどうしても外せない用事があるらしくて、綾乃…別の女神が来ることになったわ。」
「へぇ…そういえば、最近咲さんと会ってないですよね。蓮くんも、最近帰ったり帰らなかったりが多いって言ってましたし…」
ことりが不思議そうに、そして少し心配したように言った。
「そうらしいわね…私も最近はあまり会っていないのよね…仕事が忙しいらしくて、前は2人で仕事をする機会が多かったんだけど、最近咲は単独での仕事があると言って抜け出す機会が増えてるのよ…」
「そうなんですか…そういえば、優香さんと咲さんは昔からの付き合いなんですか?」
「えぇ。私と咲と、それから今から来る綾乃は穂乃果ちゃんとことりちゃんと海未ちゃんみたいに、幼馴染なのよ。私と咲は同い年、綾乃は私たちより少し年上でね。小さい頃は、ずっと3人で遊んでたわ。」
「へぇ…!女神様って、どんな遊びするんですか?」
普通に生きている限り出会うことのない、というかほとんどの人が存在するのかどうかすらも分からない女神がどういう生活をしているのか、ことりは興味津々に聞いている。
「女神と言っても、遊びは人間とそんなに変わらないわよ?例えば、かくれんぼとか良くしていたわ。あの時は普段お姉さんぶってた綾乃が、苦手なくせに暗い所に隠れてて、鬼の私が見つけると大泣きしてたのよ。あの時は驚いたけど、それでより一層仲が深まったと思うわ。」
優香が懐かしそうに話しているのを聞いて、ことりも自身の幼馴染である穂乃果と海未のことを思い浮かべていた。
「(私たちもよく3人でかくれんぼしてたなぁ…それにしても穂乃果ちゃん、ちゃんと勉強してるかなぁ…?もうそろそろテストの時間だけど、これで合格できなかったら私たちラブライブ!の最終予選に出れなくなっちゃうんだよね…でも、穂乃果ちゃんたちならきっと大丈夫だよね!海未ちゃんもついてるんだし!)」
少し不安になりながらも、改めて仲間を信じたことり。
「それから綾乃は暗いところに隠れるのをやめて、カーテンの後ろとか机の下とか分かりやすい所に隠れるようになったのよねぇ…あれ?そういえばあの時も、それ以降にかくれんぼした時も咲はどこに隠れてたかしら…?おかしいわねぇ…どれも全然思い出せない。前もそんなことあったわねぇ…まさか…!?いっ、いや、流石にまだまだボケたりするような歳じゃないわよね!?」
そんなことりを他所に、一人思い出に浸り、勝手に自身の記憶力を心配している優香であった。
その頃2体のドーパントと戦っている照井は、高速で動くコックローチドーパントの動きを探っていた。
「そこか…!」
照井がそう言った瞬間、コックローチ・ドーパントは粘液を放出させる。しかし、それは照井に当たらなかった。照井は瞬時にトライアルメモリを上空に投げ、高速で動き出していたのだ。
「はぁ!」
そして、コックローチ・ドーパントに一気に近づいて、高速で何発もT字状に蹴りを入れていく。照井の高速の動きに、コックローチドーパントは反撃することは出来ない。
『トライアル!マキシマムドライブ!』
照井は落ちてきたトライアルメモリをキャッチし、タイマーを止めた。そこには、『8.8』と表示されていた。
「8.8秒。それがお前の絶望までのタイムだ。」
コックローチ・ドーパントはメモリブレイクされ、その場には倒れた変身者と割れたコックローチメモリが落ちていた。
「あと一体…くっ…!?」
もう一体の敵、バード・ドーパンによるの空中からの攻撃で、照井は少しダメージを受けてしまう。
「なら、これを使うか。」
照井は以前フィリップによってアクセル用に再調整されたガイアメモリ強化アダプターを取り出し、アクセルメモリに取り付けた。
『アクセル!アップグレード・ブースター!!』
照井は仮面ライダーアクセルブースターに変身した。
「一気に決める!」
照井は金色に変化したエンジンメモリを取り出し、エンジンブレードに装填した。そして照井は背中からジェット炎を放出し、一気に上空に高速飛行しバード・ドーパントに近づいた。
『エンジン!マキシマムドライブ!』
「はぁっ!」
すれ違い様にエンジンブレードでブースターマキシマムドライブを発動させ、それを受けたバード・ドーパントは地面まで落ちてメモリブレイクされた。
「絶望が、お前たちのゴールだ。」
着地した照井はそう言って、変身解除した。
〜side out〜
〜side 優〜
「やぁ!はぁ!オラッ!」
俺たちはプリズムビッカーでガス・ドーパントを三連続で斬りつける。一撃目は防がれてしまったが、二、三撃目でダメージを与えることが出来た。更にそれで隙が出来たガス・ドーパントに、
「はぁぁぁっ!!」
プリズムビッカーでガス・ドーパントの胸部を突き刺した。
「優くん、もう時間的に限界だ。一気に決めよう。」
フィリップさんの言葉に「はい!」と返事し、俺たちはエクストリームメモリを閉じて再び展開した。
『エクストリーム!マキシマムドライブ!』
俺達は竜巻に乗って一気に飛び、ガス・ドーパントに蹴り込んだ。
「「ダブルエクストリーム!!!」」
力の限りガス・ドーパントに蹴りを放ち、着地した。それと同時に変身時間も限界を迎え、変身が解除された。
「はぁ…はぁ…なんとか、やりましたね…」
「あぁ。優くん、君のおかげだ。ありがとう。さて、メモリを回収しないと…っ!?」
ガス・ドーパントを倒したと思っていた俺たちだが、奴から出た爆煙が少しずつ晴れていくと、そこにはまだ立ち上がっている人影があった。
「くっ…まさかお前らにここまでやられるとは思ってなかったが、所詮はその程度。俺には及ばなかったようだな!」
よろよろと歩きながら、そう言ったのはガス・ドーパント。
「クソっ…倒しきれてなかったのか…フィリップさん、もう一度エクストリームに…」
「いや、エクストリームはもう無理だ。というより、君自身もう限界だろう?」
俺が右手で抑えている左腕と、引きずっている右足を見たフィリップさんがそう言った。その左腕からはポタポタと血が流れ落ちており、右足のズボンにも血が滲んでいた。
「エクストリームに変身してここまで戦えただけでも凄いよ。後は、僕に任せて。」
「いや、フィリップさん一人じゃ…!」
「一人ではありませんよ。」
突如聞こえた謎の声に、俺は勿論フィリップさんも驚く。その声が聞こえた方に俺たちが振り返ると、黒いスーツを着た男性が立っていた。
「須藤、霧彦…!?」
フィリップさんはその男性…須藤霧彦を見て驚愕している。
「お久しぶりですね。仮面ライダーW。」
「何故君が!?」
「細かいことはいいでしょう。というか、私にもわかりません。」
「あの…あなたは…?」
俺がそう尋ねると、須藤さんは柔らかな笑みを浮かべて答える。
「申し遅れました。私はそのざ…いえ、須藤霧彦。ただの死人ですよ。」
「しっ、死人…!?それってどういう…」
「とりあえず、今はそれは置いておきましょう。早く彼を倒さないと行けませんからね。」
「協力してくれるのかい?」
フィリップさんの問いに「えぇ。」とだけ答え、霧彦さんはあるベルトを腰に巻き付けた。
「それって…ガイアドライバー…?」
ガイアドライバーを巻き付けたことに驚いていると、フィリップさんがそんな俺の肩に手を置いた。
「ここは僕たちに任せて。」
「すみません…お願いします。」
俺は左腕と右足が限界だったため、フィリップさんに言われた通り後ろに下がった。
「またこれを使うことになるとは…」
霧彦さんはナスカメモリを手に、そう呟いていた。
『サイクロン!』
『ナスカ!』
2人はそれぞれガイアメモリを起動させた。
「変身。」
『サイクロン!』
フィリップさんは仮面ライダーサイクロンに、霧彦さんはナスカ・ドーパントに変身した。
「助っ人が来たところで、勝つのは俺だ!そして、俺がミュージアムを復活させる!!」
変身した2人を見て、ガス・ドーパントはそう豪語した。
「行こう、須藤霧彦。」
「えぇ。」
2人は一瞬で距離を詰め、フィリップさんは手刀で、霧彦さんは剣をガス・ドーパントに振り下ろす。しかし、ガス・ドーパントは気体化して避けた。
「甘い。」
そう霧彦さんの声が聞こえた時には、別の場所に現れていたガス・ドーパントが斬られていた。
「ぐぁっ!?何…?」
「ふっ。気体化したところで、私の速さからは逃げられませんよ。」
霧彦さんはそう言って、再びガス・ドーパントを斬った。
「クソォッ…!」
そして、更にもう一撃ガス・ドーパントに浴びせようとしたが、気体化して逃げられてしまう。が…
「言ったでしょう。その程度の速さじゃ、私には及ばない。」
ガス・ドーパントの逃げた場所に現れた霧彦さんが、再び斬る。
「お遊びはそろそろ終わりにしましょう。」
「そうだね。一気に行こう。」
「クソっ…こんなところで…こんなところで負けるわけに行くかっ!!俺は…俺はミュージアムを復活させる男だ!!」
「最後に一つ言っておきましょう。あなた程度の男では、ミュージアムを復活させることは出来ませんよ。」
そう言って霧彦さんは一気に上空に飛び、下降しながらすれ違いざまにエネルギーを溜めた剣でガス・ドーパントを斬り裂いた。
『サイクロン!マキシマムドライブ!!』
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そして、フィリップさんも一気にガス・ドーパントに近づき、風を纏った手刀で斬り裂いた。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」
今度こそ、ガス・ドーパントのメモリブレイクに成功した。
「ふぅ…なんとか終わったね。」
フィリップさんは変身解除し、壊れたメモリを拾い上げた。
「助かったよ、須藤霧彦。それにしても、何故協力してくれたんだい?」
そう聞かれた霧彦さんは、「ふっ…」と笑みを浮かべてから答える。
「君たちには借りが出来てしまっていたようなのでね。妹を助けてもらったという、借りがね。」
「それは…しかし、結局彼女は
「私にとっては、妹が元気に生きていてくれるのが何よりも嬉しい。妹には、私の分まで元気に生きていて欲しいからね。」
「須藤霧彦…」
すると、突然霧彦さんの体から光の粒子が浮き上がってきた。
「どうやら時間のようだ。左翔太郎にも、礼を言っておいてくれ。」
「あぁ、わかった。」
「それともう一つ。今もこの街に変わらず風が吹き続けているのは、君たちのおかげだ。ともね。」
その言葉を聞いたフィリップさんは、静かに頷いた。
「やっぱり、いい風が吹くなぁ…風都は…」
空を見上げて最後にそう言い残し、霧彦さんは消えた。
「ありがとう。須藤霧彦…」
霧彦さんが消えていった空を見上げながら、フィリップさんがそう呟いた。
「さて…早くこのガイアメモリを、君のお姉さんに届けないといけないね。」
少しして、俺の方を見たフィリップさんの言葉に頷き、俺たちは病院に向かって走り出した。
俺は霧彦さんがどういう人物なのか知らない。ただ、これだけは分かった。彼も翔太郎さんたちと同じ、風都を心から愛している人間なんだ、と。
〜side out〜
〜三人称視点〜
「後藤晴彦にメモリを渡したのは間違いだったわね…まぁ、やつも無事に倒され、仮野優たちも解毒薬を創ることが出来そうだし今回は良しとしましょうか…」
優たちがガス・ドーパントを倒してからしばらくして、既に風都を去ったガリュサはある場所にてそう呟いていた。そんなガリュサの後ろから、同じく財団Xの幹部であるクロッカーが現れる。
「命令違反したガス・ドーパンを倒すために、園崎霧彦を?」
クロッカーはガリュサにそう尋ねた。
「えぇ。上手く左翔太郎とフィリップ、照井竜だけを殺してくれればよかったんだけど…あいつが命令を無視したせいで、折角殺すことが出来そうだった左翔太郎まで助ける羽目になってしまったわ…」
「まぁ、絢瀬絵里を失うよりかはいいだろう。」
「えぇ、そうね。そういえばジェフリーが言っていたけど、そろそろ他の子達も動くそうよ。」
「それってまさか、お前と同じ最高幹部の…?」
驚いた顔で聞き返したクロッカーに、ガリュサは頷いてから答える。
「彼女たちを動かすということは、ついに本気で動き出そうとしてるってことね。」
「作戦も最終段階、という事か…なら、しばらくお前は元の任務に戻るのか?」
「えぇ。ボスが明日一日だけ休暇をくれるって言ってたから、それが終わったらね。それよりあなた、体内のメダルの調子はどうなの?」
ガリュサにそう聞かれたクロッカーは、ある怪物に姿を変える。
「見ての通り、頗る快調だ。」
怪物…恐竜グリードに姿を変えたクロッカーを見たガリュサは、不敵な笑みを浮かべる。
「それにしても、最高幹部が動き出すのか…お前もそうだが、奴らは厄介な能力を持っているからな。何としてでも、まだ見つかっていない残りの奴らもこちら側に取り込みたいところだ。」
クロッカーはそう言いながら、人間の姿に戻った。
「えぇ。もうあの9人で揃うことは出来ないにしろ、あの9つの能力がまた揃えばいいわね。」
「あぁ、そうだな。」と答えたクロッカーは、その場から去っていった。
「まぁ、本当は18人なんだけどね…」
一人になったことを確認したガリュサは、そう呟いた。どこか寂しそうな表情で…
〜side out〜
〜side 優〜
「うん…これだけのデータが分かれば、解毒薬は作れそうね…材料も綾乃が持ってきてくれたのでなんとかなりそう。」
壊れたガスメモリを解析していた姉ちゃんが、そう言ったことに俺たちは安堵した。
「姉ちゃん、ありがとう!綾乃さんも、届けてくれてありがとうございます。」
「このぐらいで良ければ、いつでも言って!」
綾乃さんはサムズアップしながらそう言ってくれた。
「よしっ!綾乃、急いで薬仕上げるわよ!」
姉ちゃんがそう言うと、2人はそれぞれ持参したノートパソコンで残りのガスメモリの解析を進め始めた。
「フィリップさんも、ありがとうございました。」
「いや、礼を言いたいのは僕の方だ。僕たちの街を泣かせる怪物退治を、手伝ってくれてありがとう。」
そう言って、フィリップさんが手を差し出してきたので、俺はそれを握った。
ちなみに、さっき照井さんからガス・ドーパントの変身者である、後藤晴彦の身柄を確保したと連絡があった。彼はミュージアムに所属していた頃から、熱狂的なミュージアム信者だったそうだ。そんな彼が強大な力を秘めていたガイアメモリを手にしたことで、人を襲ってミュージアムの恐ろしさを再び人々に知らしめようとしたようだ。
「そういえば優くん、花陽ちゃんと秀夜くんは?」
俺たちが握手をやめると、ことりがそう聞いてきた。
「そういえば、ドーパント捜索に行ったっきり会ってないし、連絡もないな…」
「もしかして、何かトラブルに巻き込まれたとか!?」
「……ないとは言いきれないけど、敵に遭遇した確率は低いと思う…もし敵に遭遇してるなら、花陽が持ってるディアーハイパーメカアニマルから通知が来てるはずだし。」
俺がインフィニティブレスを見ながらそう答えると、ことりは安心したように「そっか」と呟いた。
「でも、敵に遭遇してないだけで何かトラブルには巻き込まれたのかもしれないな…探しに行くか。ん?」
俺が秀夜たちを探しに出ようと思った時、スマホに着信があった。
「おっ、噂をすれば秀夜からだ…もしもし?」
『優か?』
俺が電話に出るとちゃんと秀夜の声が聞こえたので、ひとまず安心した。
「お前今どこにいるんだ?花陽も一緒か?」
『あぁ、花陽も一緒にいる。無事だ。それより、やばいもん見つけちまった…!』
「やばいもん…?」
秀夜の声色から、本当にやばい物を見つけたようなので、俺も思わず息を飲む。
『あぁ、その前にドーパントの件はどうなった?悪いな、任せっきりにして。』
「フィリップさんたちもいたし何とかなったよ。そっちはそっちで動いててくれたんだろ?気にしないでいい。それで、そのやばいもんって…?」
『あぁ…それが、財団Xのアジトを見つけて、今花陽と潜入してる。』
「はっ!?」
突如大声を上げた俺に驚いた姉ちゃんたちのために、俺は通話をスピーカーモードにした。
「そんなとこに潜入して、秀夜も花陽も大丈夫なのか!?」
『あぁ。運のいいことに、今アジトには数人しかいなかった。そいつらも大して戦闘能力がなかったから、眠らせることも出来たしな。それで、頼みがあるからこっちに来てくれないか?それに、ここをどうしてから出て行くかも決めないといけないし…』
「分かった。……すぐそっちに向かう。それで、頼みって?」
俺は一応確認のため姉ちゃんの方を向くと、当然良いといったように頷いてくれたので、その頼みというものについて聞いた。
『USBメモリを持ってきてくれないか?』
「USBメモリ?分かった。」
『悪い。そっちに花陽のディアーハイパーメカアニマル向かわせたから、案内してもらってくれ。』
そこで電話が切れた。その時、病室の扉の隙間から、秀夜が言っていたディアーハイパーメカアニマルが入ってきた。
「まさか財団Xのアジトを見つけるなんてね…薬の方は私と綾乃に任せて。アジトの方は、優くんの判断に任せるわ。」
スピーカーモードで聞いていたのは途中からだったが、大体の概要を把握した姉ちゃんがそう言った。フィリップさんとことり、綾乃さんも同じく概要を把握したようだ。
これは、重大な事を任されてしまったな…
アジトは俺の判断に任せる、ということは壊すも残すも俺が決めるということだ。俺は任せれたことの重要さを再確認し、更に身を引きしめた。
「優くん、僕も一緒に行っていいかな?」
「勿論です!ことりも着いてきて貰ってもいいか?」
「えっ…?うん!」
普段μ'sのみんなには極力危険なことをさせないようにしている俺が、アジトへの潜入を頼んだことに最初は驚いたことりだったが、笑顔で許諾してくれた。
多分、この前の一件がなければこんな提案はしなかっただろうな…俺は自分でもそう思っていた。
こうして俺、ことり、フィリップさんの3人で秀夜と花陽が潜入している財団Xのアジトへ向かった。
μ'sと仮面ライダーの物語
「その言葉…もしかして、思い出したの…!?」
「それで、いつかまた絶対に会おう!約束だ!」
「ったく…許せないな、この街を泣かせる悪党は。行くぜ、相棒。」
「あぁ。」
次回、『125話 Wよ永遠に/新たな約束』
これで決まりだ。
なんと今回、一時的にとはいえ霧彦が復活!僕含め、霧彦好きな方は多いのではないでしょうか?僕も登場させることが出来て嬉しいです。それにしても、何故彼は復活したのでしょうか…
優も何とかエクストリームに変身させることが出来ました。エクストリームはフィリップとでないと変身出来ないので、どうやるか凄い悩みました。でも、やっぱりエクストリームで本領発揮出来るのは翔太郎とフィリップの2人の時のみ。今回は何とか変身して、少し戦闘できただけになってしまいましたね。
実は、今回の話も含むここ最近の話は謎だったり、伏線だったりが散りばめられていたりする、かも…?あくまで、「かも」ですけどね。
という事で、今回はこの辺で。次回はW編4話目、ラストでございます。そんな次回124話は、本日6月1日中に投稿する予定です!恐らく夜頃かと…お楽しみに!
お気に入り登録、評価や感想なども是非よろしくお願い致します!ではまた次回、お会いしましょう。