皆さんどうもこんにちは、カレン=プラチナです。
本日は急きょ予定を変更して、『ドキッ☆ リオ君の私生活密着24時!』をお送りしたいと思います。
「……ねえ、カレン。リオにばれたら、絶対怒られると思うんだけど……」
「大丈夫だよ、クリスタ。ばれなければ犯罪じゃ無いもん!」
「自覚あるんだ……」
「まあ、リオの弱みでも握れれば面白いしな」
「さすがユミル、言うことが違う!」
「もう嫌この二人……」
アシスタントは皆の天使ちゃんことクリスタと、露払い(非公認)のユミルでお届けします。
まあクリスタがいればぶっちゃけリオとエレン以外の男子は敵じゃないよね。
「おいカレン、ちょっと表でろ」
代わりにユミルが敵だけどね。
ふざけてばかりだとリオを見失ってしまうので、表には出ません。
いま私たちがいるのは、ウォール・ローゼの南方に位置するトロスト区。
104期訓練兵団を次席で卒業したリオの出身地でもあります。ちなみにジャンも同郷。
昨日の解散式も終わり、同期たちと訓練兵として過ごす最後の夜を終えて、どうやらリオは一度帰宅するようなので、面白そうだから追跡しています。
「本音が駄々漏れだね……」
「まあカレンだしな」
アシスタントが仕事をしてくれません。
服装は、リオも私たちも当然支給された訓練兵団のジャケット。まだ配属兵科が決まっていないので、しばらくはこのままだそう。
まあ、支給される新しいジャケットも、兵団のマークが変わるだけなんですけどね。
おっと、無駄話をしていると、リオが建物の中に入って行きました!
「いや、多分アイツの家だろ」
「アパートなのかな? リオの御両親、壁外遠征で戦死してるって言うし……」
「リオには妹が一人いるって聞いたことがあるけど、その妹さんが住んでるんじゃない?」
ジャン曰く筋金入りのシスコンであるリオの事なので、きっとそうだと、少なくとも私は確信しています。あとジャンが無事に憲兵団に入れるかどうか心配です。
「……おい、カレン。その変なしゃべり方やめてくれねえか? サシャ以上に気持ち悪いぞ」
「えー? リオはその場のノリって結構大事って言ってたよ?」
「……リオもおバカさんなのかな」
「座学の成績はお前よりは上だろうけどな、クリスタ」
「――――ッッッ!?」
クリスタの座学の成績はガイドブックを参照してくださいね。あ、でもクリスタも私よりは上だから大丈夫。
あ、どうやらリオが建物から出てくるようです。今、扉が開けられ、リオが――――
「「「―――――――――ッッッ!!??」」」
「(か、可愛い……!!)」
「(あれがリオの妹さん……!?)」
「(い、いや、落ち着け……あたしはクリスタ一筋っ、しかし、これはッッ……)ゴバァッ!?」
「「ユミル――――――――!?」」
な、何故かユミルがいきなり吐血しました!!
クリスタ一筋のユミルは私たちの中で一番美少女に耐性があるはずなのに……!?
「す、すまねえ、大丈夫だ……あたしはクリスタから離れたりしねえ……!」
「いや、それは割とどうでもいいんだけど」
クリスタが止めを刺したような気がしなくもありませんが、どうせユミルは不屈なので放置しましょう。
しかし、あのリオに車椅子を押してもらっている女の子……美少女すぎる!
リオが黒髪碧眼なのに対して、金髪金眼とは、目の色や髪の色が全く似ていない……ということは、あれは妹ではない……? しかし、笑った時のあの表情はまるでリオの生き写しのようなでも性別違うしそもそもリオは死んでないし――――!!
「や、やべえ! 今度はカレンが壊れ始めた!」
「しっかりしてカレン、現実では私たち何もされてないから!」
「ガガガガガガガガガガガガガガ」
…………はっ、一瞬意識が吹っ飛んだような……?
とにかく、リオたちを追わなければ見失ってしまいます。今は追跡に専念するべき!
「いやでもリオの妹があんなに可愛いわけがない……」
「おいコラお前が言ったんだろ専念しろよ!」
☆
さて、今私たちが来ているのはトロスト区の北側にある市場です。品物が安く、野菜などが比較的安く手に入る場所だそうで、トロスト区の主婦御用達だそう。
あ、このリンゴおいしそう……
「おいカレン、リンゴに目を奪われてないで、見てみろよ」
「うわぁ……」
クリスタさんは何故か口に手を当てて目を輝かせています一体何が……はぅ!?
「おいお前、あれをどう思うよ?」
「ま、まるで恋人だと……!?」
眼前には、リオと車椅子の女の子が仲良く買い物をしている光景。何アレめっさ楽しそう。
あの仲の良さは、兄妹というよりむしろ恋人。なんですか、実は妹とかじゃなくて、彼女さんでしたって落ちですか。
……つまんねえな。
「ちょ、カレン!? なんか色々黒いものが出てるよ!?」
「いや、私には見向きもしないで時々暴言吐く癖に、何であの子はあんなにリオと仲良しなのかなーって……ケッ」
「カレン!? ぐれないで!?」
どーせカレンさんは胸もないし身長もないし戦闘の才能もないしバカだし勝てる相手と言ったらダズくらいだし可愛くもないし子供だよ畜生。
あと自分でこれだけ欠点あげられるところが既に欠点だよ畜生。
「いや、お前ちょっと落ちつけよ……しかし、あの二人は本当に兄妹なのか? どう思う、クリスタ?」
「私は、兄妹だと思うけど……眼の色とか髪の色は違うけど、顔つきはそっくりだよね」
「考えられるのは腹違いとかだが……調査兵団の英雄が二股ってのも面白いかもな」
「ユミル、不謹慎だよ」
でも落ち込んでる場合ではない!
そう、振り向いてくれないのなら、振り向かせればいいんだ! 二股だって本人同意なら問題はないのだから!
「いや、問題大有りだろ……お、動くみたいだぞ」
私の考えに一々水を指すユミルが、リオたちの様子をうかがいながら言う。
ふっふーん、さてはあやつ、買い物に夢中で私たちに気づいてないな?
さて、もっとアイツの恥ずかしい秘密を握りたいので追跡を再開します!
「リオのことだから、私たちに気づいててもおかしくないんだけどなぁ……」
☆
一日尾行して、特に何もなかった。
「何でだ、何で何もないんだ……!?」
「リオの野郎、あたし達の一日をなんだと思って……!?」
「普通に私たちが悪いと思うんだけどなー」
場所は最初のスタート地点、つまりリオの家の前。
私とユミルはリオのあまりの何もなさに膝をつき、クリスタがそれを冷めた目で見つめている。
普通に買い物して、普通にお花見て、普通に遊んで……私が求めたリオは、そんなんじゃなかったのに……!!
「ほお。じゃあお前が求めた俺ってのはどんなだったんだ?」
「そりゃさあ、もっとこう、スキャンダルにまみれた……あれ?」
下に向けていた顔を上げると、目の前にはとってもいい笑顔のリオ。
………あれ? おかしいな、リオはさっき建物に入って行ったはず……?
「……てへぺろ?」
ガシィッ!!と顔面を掴まれました。
「い、痛い!? 痛いよリオ!?」
「テメェら、揃いも揃って人の事尾行しやがって……兵士ってのはスパイでも兼業してんのか、ああん?」
「いたたたたたたたた!! 開く、穴が開く!!」
みしみしと、頭からしてはいけない音が響いている気がする!
とにかく必死に謝って、リオのアイアンクローからは解放してもらった。うう、ただでさえバカなのにもっとバカになる……。
「ご、ごめんね、リオ。カレンもユミルも、悪気があってやったんじゃないの」
「悪気がなくても楽しんでただろ、コイツら」
リオのもっともな指摘に、何も言い返せない私とユミル。クリスタはそうでもなかったが、私たち二人が最初から面白半分でリオを尾行していたのは本当だからだ。
でも、アイアンクローは酷いと思う。
「なあ、なんであたし達に気づいたんだ?」
ユミルがアイアンクローを喰らわないように警戒しながら、リオに訪ねた。酷いなコイツ、本当に私の友達か?
でも、それが気になるのは事実。リオの事だから、超人離れした感とかで、「気配がした」とか言い出しそうだけど……
「いや、気付いてないかもしれないけど、お前ら騒いでたから会話の内容駄々漏れだったぞ」
凡ミスだった!!
ていうか、それじゃあ途中から悪意を持って尾行してたこともモロバレ!?
「だからお前が途中でリナの事を俺の彼女と勘違いして勝手に嫉妬してたのも知ってる」
「いやああああああああああ!? 頭蓋骨からなんか音がしてるううううううううううううううう!?」
ミシミシミシミシィィィィィ――――――――!!と、嫌な音が断続する。
なんだろう、でも痛くないや……あれ、おじいちゃんが川の向こうで手を振ってる……
「お、おいリオ! そろそろやめてやらないと、ソイツ川渡りかけてる!!」
「リオ、離してあげて!」
「む……」
痛む頭を押さえ、必死に川の向こうへ連れて行こうとするおじいちゃんに抵抗する。死んでたまるか。
というか、クリスタにもユミルにもやらないのに、何で私だけ……?
「ああん?」
「もう何も言いません……」
怒ったリオ怖いよう……
「ね、ねえ、リオ? さっきリオと一緒にいたあの女の子、本当にリオの妹なの?」
クリスタがフォローのつもりなのか、話題を変えてくれた。本当にクリスタは女神。
リオは一瞬答えようか迷ってから、口を開いた。
「まあな。アイツはリナ、ちゃんとした俺の妹だ」
「髪の色も目の色も違ってたろ。ありゃどういうことなんだ?」
「親譲りって言うのかな、俺が父さんの髪と母さんの瞳、リナが母さんの髪と父さんの瞳を受け継いでるんだよ」
それで目の色や髪の色は全く違うのに、顔つきは似てたんだ……。
でも、あの車椅子は……?
「お前らも見たろ、リナの車椅子。アイツは足が悪いんだ。だから、俺が傍にいてやらなくちゃならねえんだよ」
そう言って、リオは私たちから視線を逸らした。
これは割と周知の事実だけど、リオの両親は調査兵団の英雄であり、同時に既にこの世の人ではなくなっている。だからリオは、リナちゃんの兄として、唯一の家族として、彼女を守ると言う責任を背負い込んでいるのだ。
シスコンというか、とてもいいお兄ちゃんだ。これをシスコン呼ばわりとは、ちょっとジャンは酷いと思う。
「もういいだろ。俺だって暇じゃねえんだ。お前らもさっさと戻って、配属兵科を何処にするか決めておけよ。ま、カレンは変わらないと……」
リオのその言葉が最後まで続くことはなかった。
爆音が、南の方から響いてきたからだ。
ズドオオン!!という音が、空気を震わせる。
「な……何!?」
「何の音だ!?」
「リオ、一体何が……?」
聞いたことのないような音に私たちが狼狽する中、リオはある一点を見つめていた。私もつられて、リオの視線を追う。その先にあったのは……
「嘘……」
「冗談、だろ……?」
50メートルもの高さがある壁から顔をのぞかせる、圧倒的な大きさの巨人。
その顔に皮膚はなく、血管や筋肉がむき出しになり、巨人特有の蒸気を発生させている。
超大型巨人。
それは、5年前、ウォール・マリア南方の街、シガンシナ区の壁を破壊した――――5年前の巨人の進撃の発端となった巨人だった。
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リナは足が不自由ではあるが、ジャンの母親が面倒を見てくれているおかげで、生活にはそれほど不自由していない。