ご注文は希望ですか? 作:指輪の魔法使い兼バリスタ
太陽が月によって覆われる。
辺りからは人々の悲鳴と怨嗟の声が響き渡る。
人々の体には亀裂が走り、そのまま砕けて、中から異形の生物が現れる。
その光景を目の当たりにしながら、青年は自身の体の中から飛び出してきそうな何かに苦しみつつ、上空の月に覆われる太陽を見上げる。
「絶望は………しない!俺は、絶対に………!」
見えない何かをつかもうとし、太陽へと手を伸ばして、青年の意識はそこで途絶えた。
日食の日から半年の月日が経った。
街は行き交う人々で賑わっており、平和そのものだった。
だが、この街では今、ある噂が広まっていた。
日食の日を境に、この街で、奇怪な生物が現れると言う噂だった。
しかし、所詮、噂は噂。
人々はそんなことを気にも留めず、何時もと変わらぬ日々を送っていた。
「うわ~、可愛い街!」
そんな街に、一人の少女が現れた。
少女の名前は保登
春から、この街の高校に通うことになっている少女だ。
「ここなら楽しく暮らせそう!」
新しい生活に加え、高校への進学。
ココアは胸を躍らせながら、街を歩く。
「えっと、ここがこうで、あっちがそっちで………」
下宿先へ向かおうと、地図を見るも、初めての街と言うことに加え、地図を見るのが苦手なのも加わり、今、自分がどこにいるのかもココアはわかっていなかった。
「ま、いっか!」
そう言い、地図をしまって再び街を歩き出す。
歩いていると、途中で人集りに遭遇し、ココアは好奇心からそれに近づいた。
「何があったんだろ?」
人混みを掻き分けながら前に出ると、そこには警察官が立っていた。
どうやら何か事件があったらしく、この人集りは野次馬の集まりだった。
ここは面白いことじゃないのかと心の中でそう思い、戻ろうと振り向く。
大して興味もなかったし、変に巻き込まれるのも嫌だったため、すぐにその場を離れようとした。
その時だった。
突如、人集りの中心にあった倉庫から大きな音が響き、扉が壊され、扉から武装した警察官が投げ飛ばされた。
そして、倉庫から異形の生物が現れた。
まるで牛が二足歩行しているような生物。
その姿に、人々は声をあげ、逃げ出す。
ココアもすぐに逃げ出そうとしたが、人混みに突き飛ばされ、倒れる。
「い……イッター………!」
膝を抑えながら、立とうとした瞬間、その異形の生物は跳躍し、ココアの前に立つ。
「あ、ああ………!」
「見つけたぞ……ゲート!」
その生物は、腕を振り上げ、ココアに殴りかかろうとした。
その時だった。
突如、銃声が響き、その生物のに銀の弾丸が突き刺さるように当たる。
「くっ!誰だ!?」
異形の生物が弾丸が飛んできた方を向くと、靴の裏が目に入った。
そして、そのまま蹴り飛ばされ、地面を転がる。
「やれやれ、まさか買い物帰りにファントムと遭遇するなんてな。俺も運がついてないな。いや、ついてる方かもな」
異形な生物、ファントムを蹴り飛ばしたのはバーテンダーの制服に身を包んだ、一人の青年だった。
手には、銀色の大型拳銃があった。
「君、大丈夫か?」
「あ、はい……あの、貴方は………」
「俺か?俺は、君の希望さ」
そう言って青年は、右手に嵌めた表面に手形の付いた大きな指輪を手形のバックルに翳す。
《ドライバーオン!》
するとバックルは、音声と共に形を変える。
「貴様は!?指輪の魔法使い!?」
ファントムは青年のしたことに驚く。
「指輪の魔法使いか。それも悪くないが、そっちよりこう呼んでほしいもんだな」
そう言い、バックルの左右のレバーを上下に動かす。
《シャバドゥビ タッチ ヘンシン! シャバドゥビ タッチ ヘンシン!》
ベルトから軽快な歌が流れる。
「変身」
左手の中指に嵌めた赤い宝石の付いた指輪の金属フレームを弾く様に下し、バックルに翳す。
《フレイム プリーズ ヒーヒー ヒーヒーヒー!》
左手を左に伸ばすと、赤い魔方陣が現れ、魔法陣がゆっくりと青年の体を通過する。
すると青年はバーテンダーの恰好から、長い黒のロングコートを纏い、顔は左手にある指輪と同じデザインのマスクを着けていた。
「俺はウィザード。仮面ライダーウィザードだ」
コートの裾を翻し、ウィザードはそう言う。
「さぁ、ショータイムだ!」