ご注文は希望ですか?   作:指輪の魔法使い兼バリスタ

2 / 3
ひと目で尋常でない魔法使いと見抜いたよー②

「くそっ!行け、グール共!」

 

ファントムは石の様な物を数個取り出し、放り投げる。

 

すると、そこからまた異形の生物、グールが現れ、槍を手に襲い掛かってくる

 

ウィザードは手にした銃、ウィザーソードガンを連射し、グールを蹴散らす。

 

そのまま走り出し、空中で回転するように蹴りをグールへと打ち込む。

 

背後からの攻撃も、まるで後ろが見えているかの如く躱し、振り向きざまに蹴りを放つ。

 

グールを翻弄するかのように戦い、ファントムへと近づく。

 

ファントムを守るようにグールが立ちはだかるか、ウィザードはウィザーソードガンをガンモードからソードモードへと変え、剣にしグールを斬り倒す。

 

「ちっ!ゲートを絶望させなきゃならんのに………やむを得ん。引き上げるか」

 

ファントムはそう言い、もう一度グールを召喚すると逃げ出す。

 

「待て!」

 

ファントムを追おうと、ウィザードも走り出すが、その行く手をグールが阻む。

 

「やれやれ、邪魔すんなっての」

 

グールの槍を受け止めつつ、蹴りを打つ。

 

そして、ウィザーソードガンをガンモードにし、銃の後部に取り付けられた手形の親指部分、ハンドオーサーを起動させる。

 

すると手形が開き、再び軽快な歌が流れる。

 

《キャモナ シューティング シェイクハンズ!》

 

そして、握手するように左手のリングを翳す。

 

《フレイム シューティング ストライク!ヒー!ヒー!ヒー!》

 

「ハッ!」

 

回転しながらウィザーソードガンを連射すると、銃口から炎を纏った銃弾が飛び出し、グール共を一掃する。

 

グール共は爆散し、跡形もなく消えた。

 

「ふぃ~」

 

ウィザードは一息つくと、スマホを取り出し、誰かに連絡をする。

 

『はい、チノです』

 

「あ、チノちゃん?俺だけど、グールは片づけたんだけど、ファントムに逃げられた。どこに逃げたかわかるかな?」

 

『そうは言われましても、流石にガルちゃんだけでは目が足りません』

 

「なら、増やすまでだ。見つけたら教えてくれ。それとゲートを保護したから、連れて帰る」

 

『わかりました。待ってます』

 

通話を終え、青年は右手に青い指輪を嵌める。

 

もう一度、手形のバックル、ウィザードライバーのレバーを動かす。

 

《ルパッチ マジック タッチ ゴー!》

 

《ユニコーン!プリーズ!》

 

プラモデルの様な型が現れ、そこに収められていたパーツが一人でに組みあがり、青いユニコーンのプラモデルの様な物が出来上がる。

 

青年は青い指輪を外すと、今度は黄色い指輪を嵌め、レバーを二度操作し。指輪を手ごと翳す。

 

《クラーケン!プリーズ!》

 

今度は黄色いクラーケンの様な黄色いプラモデルが組みあがる。

 

出来上がった二体に、それぞれの指輪を嵌めると、二体は自立するように動き出す。

 

「じゃ、ファントムを探してきてくれ。頼むな」

 

ユニコーンとクラーケン、そして、ガルーダに頼み、三体を見送ってから、変身を解く。

 

「君、大丈夫だった?」

 

青年は優しくココアに話しかける。

 

「あ……は、はい!大丈夫です!あの、ありがとうございました!」

 

「礼はいいよ。それより、ここら辺はまだ危ないしついて来てもらえるかな?」

 

「は、はい!」

 

「じゃあ、ちょっと待っててね」

 

青年はそう言い、新しい指輪を取り出して右手に嵌める。

 

《コネクト プリーズ》

 

現れた魔法陣に手を突っ込むと、そこから一台のバイクとヘルメットを二つを引っ張り出す。

 

「はい。後ろに乗って」

 

ココアは言われた通りにヘルメットを被ってからバイクの後ろに乗った。

 

「捕まっててな」

 

ココアは無言でうなずき、青年の体に手を回す。

 

そして、青年はバイクを走らせ、自分が今住んでいる店、ラビットハウスへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたよ」

 

二人がついたのはとある喫茶店だった。

 

「ラビット……ハウス?ウサギがいるの!」

 

看板に書かれた店名を読み、ココアは嬉しそうな顔をする。

 

「残念だけど、ウサギは一匹しかいないよ」

 

青年はそう言い、ココアをバイクから下して、バイクを停める。

 

「ようこそ、ラビットハウスへ」

 

そう言い、晴之は扉を開いた。

 

「あ、晴之さん。おかえりなさいです」

 

「晴之、戻ったか」

 

店に入って最初に晴之とココアを出迎えたのは、薄水色のストレートロングヘアで、髪の左右を×印状のヘアピンで止めてる小柄な女の子と、紫色の髪をツインテールにした女の子だった。

 

「ただいま。とりあえず、座ってて」

 

ココアは促され、近くの席に座る。

 

晴之はヘルメットを片づけると、ココアの前に座る。

 

「改めて言わせてもらうよ。俺は操真晴之。ここの店員で魔法使いだ。それで、こっちの二人は」

 

「香風智乃です。ここの喫茶店のマスターの孫です」

 

「私は天々座理世。ここでバイトしてる」

 

「私は保登心愛。よろしくね」

 

自己紹介を終えると、ココアはあることに気付く。

 

「そう言えば、今、香風って……」

 

「はい、いいましたけど………」

 

「やっぱり、そうだ!私、春からこの街の学校に通うことになったの!それで、下宿先の香風さんちを探してたら道に迷っちゃって。しかも、変な怪物に襲われちゃって大変だったよ!でも、晴之君に助けてもらって本当に助かったよ!それに、晴之君の住んでる所が、まさか私の下宿先だったなんて、これは偶然通り越して、もう運命だね!」

 

嬉しそうに言うココア。

 

そんなココアに、晴之は申し訳なさそうな表情をする。

 

「ココア。これから言うことはとても大事なことだ。よく聞いてくれ」

 

真剣な表情で言う晴之。

 

「今すぐ、この街を出るんだ」

 

「え、ええええええええええええ!!?」

 

いきなりの言葉に、ココアは席を立ちあがる。

 

「なんで!?私、なんか失礼なことしちゃった!?」

 

「落ち着いてくれ。別にそうじゃない。これはココアの為なんだ」

 

「私のため?」

 

「ココア、君はゲートだ」

 

「げーと?」

 

「ゲートってのは強力な魔力を持った人間のことだ。奴ら、ファントムはゲートを絶望させ、ファントムを生み出している。そして、ファントムを生み出したゲートは死ぬ」

 

その言葉に、ココアは絶句した。

 

「私が……そのゲートなの……?」

 

「ああ。でも、奴らはどう言うわけかこの街でしか活動をしていない。だから、この街から離れたほうがいい」

 

晴之がそう言い終え、店の中に沈黙が訪れる。

 

チノとリぜも、事の成り行きを見守っていた。

 

「……うん、わかったよ」

 

「……ココア?」

 

「私ね、子供の頃からこういう街に憧れてたんだ。だから、この街の高校に合格した時は凄く嬉しかった。でも……やっぱり命には換えられないよね」

 

ココアは、寂しそうな笑みを浮かべた。

 

「短い間だったけどこの街に来れて良かったよ!晴之君も、助けてくれてありがとう!」

 

そう言って立ち上がった。

 

「じゃあ、もう行くよ」

 

「ああ。せめてのお詫びだ。駅まで送るよ」

 

「いいよ、いいよ!晴之君にこれ以上迷惑は掛けれないし、駅まですぐだから一人でも大丈夫だよ!」

 

鞄を手に、ココアは入り口まで移動する。

 

「じゃあね、三人とも。またいつか会おうね!」

 

そう言いココアは店を足早に出て行った。

 

「行っちゃったな」

 

「なんて言うか、凄く騒がしい人でしたね」

 

「ああ。でも、凄くいい子だ。ああいう子には、絶対に絶望なんて味わってほしくないな。…………絶対に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ココアは駅前近くの公園に着くと、ベンチに腰掛けた。

 

ああは言ったものの、やはり悲しい。

 

新しい生活に胸を躍らせていたのに、一日も経たずして離れなければならなかった。

 

図り切れないショックだった。

 

「残念だな………とにかく、お母さんに連絡しないと」

 

鞄から携帯を取り出し、親に連絡をしようとした時だった。

 

鞄の中にあったあるものが目に入った。

 

「これ……お姉ちゃんがくれたお守り………」

 

なんの変哲もない交通安全のお守り。

 

実家を出る前に、姉から渡されたものだった。

 

『ココア、辛い時は泣くより前に進みなさい。泣いていても何も変わらない。自分から動かないと何も変わらないの。だから、前に進みなさい。お父さんに、お母さん、それとお姉ちゃんは、いつも傍にいるから』

 

姉の言葉を思い出し、ココアはお守りをぎゅっと握りしめる。

 

「お姉ちゃん………そうだよね!ここで諦めるのは私らしくないよ!絶対にこの街で暮らしていくんだ!でも………どうしたらいいんだろ?ファントムってのに命狙われてるし………う~ん…………」

 

ココアが悩んでいると、ココアの後ろのベンチにいた老紳士が立ち上がる。

 

「やれやれ、立ち聞きも悪くないな」

 

「え?」

 

「労せず、貴様の心の支えが知れたよ」

 

すると老紳士の姿が、突如、あの牛型のファントムになった。

 

「え!?ふぁ、ファントム!?」

 

「ふんっ!」

 

ココアが驚いていると、ファントムはココアを腕で殴り飛ばす。

 

「あうっ!?」

 

ココアはそのまま地面に倒れるが、持っていたお守りはファントムの手の中にあった。

 

「あ!お守りがっ!?」

 

「これで、終わりだ」

 

そう言って、ファントムはお守りを叩き付け、足で踏みにじった。

 

「あ………」

 

お守りをぼろぼろにされた瞬間、ココアの心の中にある何かにヒビが入った。

 

「あ……うっ………ああっ………!」

 

そして、涙を流すと同時に、苦しみだし、ココアの体にヒビが入り始めた。

 

「絶望したな。さぁ、新たなファントムを生み出せ!」

 

ファントムは高笑いをする。

 

その時、再びあの銃声が響いた。

 

数発の銀の銃弾が、ファントムの角を撃ち砕く。

 

「くっ!また邪魔しに来たか、指輪の魔法使い!」

 

「ファントムの邪魔をするのが、魔法使いの役目なんでね」

 

晴之はウィザーソードガンを構え、笑う。

 

「ココアさん、絶望してはいけません!希望を持ってください!」

 

「ココア、しっかりしろ!」

 

チノとリゼもやってきて、ココアに駆け寄る。

 

「チノちゃん……リゼちゃん……それに、晴之君………!」

 

「安心しろ、ココア。すぐに終わらせる。お前は、俺が救う」

 

《ドライバーオン!シャバドゥビ タッチ ヘンシン! シャバドゥビ タッチ ヘンシン!》

 

「変身」

 

《フレイム プリーズ ヒーヒー ヒーヒーヒー!》

 

ウィザードに変身した晴之はココアに話しかける。

 

「ココア、俺がお前の、最後の希望だ。……さぁ、ショータイムだ!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。