相変わらずの見切り発車です。
がば設定で、矛盾とか出始めたらごめんなさい。
誤字脱字あったらごめんなさい。
そう言えば、映画二回目観てきました。やっぱり中学生の桜は可愛いですね。
凛をお姫様抱っこしたまま地を疾走する。凛の長いツインテールが風に揺られる。なるほど、将来は良い女性に成長するだろう。勿論、魔術師としても一流に成長することだろう。
もしも、凛が私のマスターであれば相性ではアーチャーには劣るだろうが、この聖杯戦争は容易かろう。あの宝石じじいが弟子にしたのも頷ける。
この聖杯戦争――私は知っている。細部に至るまでとは言わないが概略ならだが。しかし、私が知っているものと決定的に違うのは私が召喚されてしまったと言う事だ。この事がどんな余波として波及するか注意せねばならない。
それと聖杯は何を求めて私を呼んだのか? 本来ならば騎士王が呼ばれるはずのこの儀式に私を割り込ませた思惑。用心せねばなるまい。
ふむ。――私はこの聖杯戦争で何かを成さねばならないのかも知れない。
森を通過して住宅街の手前まで戻って来るとアーチャーの憮然とした空気/気配を感じた。深手を負っていても動けると所を見るとやはり侮れぬな。
「主人が他の男にお姫様抱っこされて焼きもちかね?アーチャー」
「へ?――はあ?何言ってんのよ。セイバー!」
アーチャーが物質化する。
「マスターに同意する。何を言っているセイバー」
ふん、むっつりスケベめ。
「くくく、からかっただけの事よ。悪意はないぞ。アーチャー」
むすっとした顔でじとっとした目で俺を視るアーチャー。
「さて、下ろすぞ。凛。アーチャーがいつ斬りかかって来るか分からぬのでな」
「もう、何言ってんのよ!」
凛を下ろすと、さっとアーチャーの元へ移動する凛。ある疑問を凛に問う。
「凛、士郎はどこに?素直に帰ったのならいいのだが?」
ああ、その事ね、と凛が言って。
「がっつーんと言ってやったわ。余りにも甘ったれた覚悟もない言葉を吐くもんですから我慢できなかったわ」
「なるほど、凛には世話を掛けた様だな。まずはありがとう。――しかしフォローしなくてはならなそうだな」
ふむ、中々難儀なマスターだ。どうするべきか。
「ふん!あの様な小僧にフォローなどいらぬぞ。セイバー。君の言葉が無駄になるだけだ」
「はあ、確かに。あれは強情そうだ。それが良い部分でもあり、致命的な欠点であろうな」
そう同意の意見を言ってやるとややアーチャーは驚いた様だ。これが、あのセイバーならばマスターを侮辱するなとか言うだろからな。
「へぇ~。ちょっと言い返すのかと思ったけど冷静なのね。セイバー、貴方から見て彼はどう視える?」
「ああ、大分凝り固まっているなあ。大抵の人間は自分に枠を作って収まって満足するが、あれは枠だけ在って自分が存在していない。いつか破綻する――のではなく既に破綻しているのだろう」
ふ~んと凛は少し考える様子を見せる。
「さて、お二人さん。私は士郎の元へ向かうとする。士郎が他のサーヴァントにでも襲われたらひとたまりもない」
「そうね。セイバー、衛宮君の事よろしくね。バカだけど良い奴なの」
「ああ、私がいるうちは心配するな。私は騎士という訳ではないが主人を守り、諫めるのは従僕の仕事だ」
二人に別れを言って霊体化する。ちらっと私を視るアーチャーが見えたがあちらも霊体化した。
「随分と警戒されているようだが当たり前だな。彼にとってはセイバーとは騎士王であったからな。彼の心配も分かる」
街を霊体のまま高速で行く。時は深夜。全てが寝静まっている時間。地を這う卑しい虫の気配を感じる。
「ふん、目障りな虫共め」
街の一番高いビルを掛け上がる。
「士郎の気配は大まかに分かるが正確ではない。直観のスキルでも持っていれば当てずっぽうでも会えそうなものだが無いものない」
魔術回路を起動。回路と剣とのパスが開く。
「全く、慣れたとは言え、重い。サーヴァントの身体でも負担が大きいか」
今から行使する魔術は我が家の古い魔術。そして奥に仕舞われた卑しき術を改良/魔改造したもの。既に別の魔術に変化しているがな。
「■■よ。我が名に従い、ここへ至れ」
自分を中心に地面/空間から黒いモノが染み出て来る。見慣れたモノ/自分を満たすモノ。
「可能性の海より、掴み取れ」
■■は流動体から徐々に形/理を成していく。
「従え、従え、従え。我は■■を歩くもの。影の主なり」
それの動きが加速して行く。
「回れ、回れ、回れ。その時が来た。汝、顕現せよ!」
それは一つの塊から分裂し、数十の黒い猫となって現れる。黒い猫は頭を垂れて私の声を待つ。
「我が従僕達よ。衛宮士郎を探せ。――行け!」
数十の黒猫達がビルの駆け下りてゆく。視るモノが見ればそれがどんなモノか分かるだろう。しかし、視る事が出来る物は限られる。
「感覚同調、情報整理」
猫たちの得る感覚が流れ込んでくる。閑散とした街を猫の視界から覗く。あらゆる場所へするすると侵入して行く猫の群。
複数の猫の視覚からお目当ての人物を見つける。
「誰かを追いかけている? あれは学生服? もしや士郎の知り合いか?」
聖杯戦争で深く関わった人物の事は知っているが、士郎の交友関係までは把握してはいない。
「嫌な予感がする。不味いな時間が無いかも知れない。猫たちよ、迎え!」
★★★★★★★
「やれ、ライダー」
ライダー。今の私の仮初の名。この青年は間桐慎二、私の仮初のマスター。そしてこの目の前の青年は桜の思い人でしたね。殺すわけにはいきません。
「それにしても、自分のサーヴァントを連れていないなんて不用心だぞ。衛宮~」
如何にも三下が言いそうな発言ですよ、慎二と心で言う。それにしても、不用心ですね。こんな時間にマスター一人でいるなんて。
「セイバ、――ぐはっ!」
「させません」
セイバーを召喚したのですね。来られると厄介です。軽く足で腹を撫でてあげると彼は吹き飛びました。
「がは、くそ」
絶望的な状況でも彼は立ち上がる。その目は死んではいない。しかし、彼に抵抗する手段はないでしょう。
一歩一歩にじり寄る。彼は逃げられない。夜遅くの路地裏で助けを呼ぶことも出来ない。後ろには私に魂食いされた、美綴綾子と言いましたか、彼女がいるのです。桜から聞いた彼の性格からして見捨てる事は出来ないでしょう。
殺しはしません。少し吸わせてもらうだけです。
そう、もう一歩の所でその気配に気づいて後ろに飛ぶ。
それは可愛い黒猫。しかし、辺りには気付けば数十の赤い目がこちらを凝視している。
「これは!?」
その猫の集団が建物を飛びながら私に弾丸の様な速度で向かって来る。鎖と短剣で迎撃しますが、鎖の上に乗って走って来る猫を視て少しクラッと来ました。
四方から迫る猫を足蹴にし、短剣で突き刺す。しかし、それでも猫たちは追いすがって来ます。1匹1匹は大した事はありませんが、少ししつこいですね。
「な、なんだ。こいつらわあああ!」
大きい声を出さないで下さい。慎二。うるさいです。雑魚感がもっと出てしまいます。
サーヴァントの速度に追いついてくる使い魔。人間の使い魔程度では考えられませんね。そう考えるセイバーの使い魔でしょうか? セイバークラスのサーヴァントがこれほど使い魔を用意出来るとはあまり考えたくはありませんね。
半数まで減った所で、猫がさっと引き下がる。
「ふむ、ぎりぎりといった所であったか。士郎待たせた」
「セイバー! 無事だったのか! 良かった!」
彼、シロウの横に立つセイバーのサーヴァントをバイザーで封印した視界以外の感覚で視る。悪寒が走った、在れとは戦いたくないと私の本質が騒ぐ。
「へぇ~、衛宮。そいつがお前のサーヴァントとか。大した風に見えないなあ。まあ、いいよ。さてうちのライダーとお前のセイバーどっち強いか試そうぜ」
空気も読みませんね。相変わらず。ピンチなのはこちらなのですよ。
「慎二、試すって、これは殺し合いなんだぞ! 簡単に言うな!」
「士郎。ここからはサーヴァント同士の戦いだ。下がっていなさい。相手がどんな考えの元にこの戦争に参加したのであろうと、これが殺し合いには変わらないのです」
そう言ってセイバーは腰に差した剣ではなく、赤い柄、白銀の刀身を持った刀を取り出した。彼の宝具のようですね。不吉な/正常なモノを放っています。
「さて、ライダー、君にはこちらの方が良さそうだ。来い。先手はくれてやる」
飄々としたその風体は騎士でも王でも戦士でもないと感じます。言葉を当てれば、狩人。一筋縄ではいきませんね。
きっと力では敵いませんね。ではスピードならどうですか? ここは丁度両側がビルです。
素早くビルとビルの間を飛び、死角から短剣を放ちます。それと同時にもう一本の短剣を手に肉薄、その首に狙いを付けます。
セイバーは動きませんでした。いや、その影だけが動いたのです。
セイバーからセイバーに酷似した幽鬼の様な影が2体、1体は短剣を弾き、もう一体が私の攻撃を受け止めました。そして、もう1体の影が現れて私を蹴り飛ばしました。何ですかこの影は?
「ふむ、この程度かライダー。なるほど、元々は武勇で馳せた英雄ではないようだな。それにマスターにも恵まれていないようだ」
「くっ。その顔はムカつきます」
私は体勢を立て直して、短剣を構えてセイバーに迫りますが、セイバーもまた刀を構えて突っ込んできます。上段からの一撃を躱して、そのわき腹に攻撃を仕掛けようとしますが、影が私目掛けて突きを放って来ます。
突きを寸でで躱しますが、さらにもう一体が現れてビルの壁ごと私を両断しようと刀を振るってきます。
壁を蹴ってギリギリでセイバーの後方へ回避します。あの影は本当に厄介ですね。
間髪入れずにそのセイバーの背に目掛けて短剣を放ちますが、セイバーは振り向きざまに刀で私の短剣を弾きます。
弾かれた短剣を上手く引き寄せて、セイバーはの刀に巻き付けてそのまま全力で鎖を引っ張ります。驚くことにセイバーは呆気なくその手から刀を放してしまいました。
「は?」
次の瞬間には腹部に強烈な衝撃が走る。
「かは!?」
少し浮いた私をセイバーは無造作に掴み慎二に目掛けて私は飛んで行きました。慎二は運よくしゃがみ込んで避けたようです。巻き込まれれば良かったのに。
殴られた腹部が燃えるように熱いです。
「おい、ライダー何やってるんだよ! 立てよ! 立って早くあのセイバーをやっつけろよ! まるで僕が弱いみたいじゃないか!」
慎二は偽書を取り出して私に命令します。偽書の呪縛が私を責めます。全身に痛みが走り自分の存在が不安定になっていきます。ここまでですか。桜の事が心残りです。
「うわ!」
そんな慎二の素っ頓狂な声が聞こえると、偽書が青い炎に包まれて、慎二はその熱さで偽書を落としました。どうやら慎二は見限られようですね。慎二とのパスが消えた様です。
霊体化して直ぐにここから離れてマスターの元へ戻りましょう。