『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です

こちらの作品は冗長にならぬ様に心掛けたいと思います(冗長にならないとは言ってない)


プロローグ

俺は今、手の中にあるカードを見詰めている…。

 

『パワプロ成長』

 

カードにはそう書かれている。

 

「へぇ~、良い特典をゲットしたじゃない。」

 

俺に話し掛けてきたこの美女は女神である。

 

いや、比喩表現じゃなくてマジものの女神様だ。

 

というのも、ビールを飲みながらテレビでプロ野球を見ていた時に色々とあって俺は人生を

終えてしまったのだが運良く女神様に拾ってもらえたので転生できる事になったのだ。

 

「こっちは適当に選んだだけなんだけど、選ばれただけあって貴方は運が良いのね。」

 

女神様に転生してもらえる…所謂、神様転生ということで特典を貰える事になったのだが

まさか特典を選ぶ方法が運任せのカード引きだとは思わなかった。

 

「それじゃ、特典も決まった事だし転生させるわよ。」

「待って!待ってください女神様!」

 

俺の制止の言葉に億劫そうに女神様は顔を向けてくる。

 

「せめて特典の説明をしてください!」

「え~…もう、面倒ね。」

 

女神様は両手を腰に当て、ため息を1つ吐いてから話し始める。

 

「貴方の特典は練習や試合での経験を経験値として得ることが出来て、それを使って

 任意に自身を成長させる事が出来る特典よ。」

 

俺は女神様の説明を一言一言噛み締めるようにして聞いていく。

 

「つまり、貴方の特典は『努力をすれば必ず実る能力』と言えるわね。」

 

努力をすれば必ず実る…。

 

「その能力を貴方の世界のゲームから拝借して便宜上『パワプロ成長』と名付けたわ。」

 

何故にパワプロから盗った…もとい取ったのだろうか?

 

「説明はこんな所ね。後は転生してから貴方自身で確認しなさい。それじゃ転生…。」

「ワ―――ッ!待って!まだ転生先の事を聞いてないから!」

 

せっかちな女神様相手故につい敬語を忘れてしまう。

 

「細かい男ねぇ…そんなんだから彼女の1人も出来なかったのよ?」

「グハァ!」

 

女神様の言葉のビーンボールが俺の心に直撃した。

 

「ほら、教えるからさっさと顔を上げなさい。」

「はい…。」

 

俺は憂鬱な心を奮い起たせて顔を上げる。

 

「貴方が転生する先は『ダイヤのA』が元になった世界よ。」

「ダイヤのA?」

「知ってるでしょう?」

「あの、俺はサ〇デー派なので…。」

 

俺の言葉により俺と女神様の間に沈黙が流れる。

 

「そう…貴方とはわかりあえないのね…。」

 

女神様は片手で目元を覆って悲しそうな様子をみせる。

 

「まぁ、いいわ。それなら遠慮せずに振りきれるってものよ。」

 

そう言った女神様はどこからともなく金属バットを取り出した。

 

「え?あの…そのバットで一体何を…?」

「貴方の魂、つまりは今の貴方を転生先に打ち込む…もとい、送り込む為の道具よ。」

「いま打ち込むって言ったよね!?」

 

素敵な笑顔を見せながらバットを手に近付いてくる女神様の姿に俺は後退りをする。

 

「さぁ、覚悟をして打たれなさい!これはストレス解消…じゃなくて仕事なんだから!」

「言った!今、ストレス解消って言った!」

 

逃げようとすると不意に金縛りにあったように体が動かなくなってしまう。

 

「さぁ、九回ツーアウトで一点差!ランナーは二塁!同点を狙うべきか、はたまた

 一発逆転を狙うのかそれが問題ね。」

 

ブンッ!ブンッ!

 

女神様が往年の名選手である世界のホームラン王の様な見事な一本足打法で素振りをする。

 

「せめて!せめて見えないように後ろから!」

「本当に細かい男ねぇ~…さっさと逝きなさい!」

 

カキーン!

 

金属バット特有の甲高い音が耳に響くと同時に、俺は意識を失うのだった。




本日は6話投稿します

次の投稿は9:00の予定です

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