『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿5話目です


第101話

夏の高校野球選手権全国大会の第4回戦。

 

青道高校と大坂桐生高校の試合は8回の裏まで進んでいた。

 

「ようやったで、館。おかげでノーノーは阻止できたわ。」

 

大坂桐生の監督の松本は、ベンチで大きく息を吐いた。

 

「若い子はふとしたキッカケで急成長したりするもんやが、あれはアカンやろ。」

 

そう言って松本はマウンドのパワプロに目を向ける。

 

「なんやねんあの真っ直ぐは、若い時に見たあの怪物を思い出したで。」

 

そう言いながら松本は帽子を取って頭をガシガシと掻く。

 

そして帽子を被り直した松本はスコアボードへと目を向けた。

 

「0ー5…、並みの相手なら十分に逆転の圏内なんやけど、葉輪君相手やとキッツイなぁ。」

 

ボヤく様に呟くと、松本は1塁の塁上にいる館に目を向ける。

 

「しかし、館もよう打ったで。まぁ、まだ1年の御幸君が色気付いてリードが

 単調になっとったのもあるやろうが、それでも館の勝ちや。」

 

そこまで言うと、松本は自身の頬を平手でピシッと叩く。

 

「何を言うとんのや。監督の儂が試合に負けとるのに、笑ってる場合やないで。」

 

松本は気を引き締めると、マウンドのパワプロに目を向ける。

 

「試合終盤まで来てノーノーが崩れてもなんの影響も無さそうやな。

 ホンマに可愛気が無い。」

 

松本は恰幅の良い顎を擦りながら苦笑いをする。

 

「今回は素直に脱帽やな。せやけど、次はこうはいかへんで。」

 

 

 

 

夏の高校野球選手権全国大会の4回戦。

 

青道高校と大坂桐生高校の試合は、青道高校が5ー0で勝ち上がった。

 

先発したパワプロは被安打1、奪三振16、球数109の完封だった。

 

続く5回戦、丹波が体調を崩した事で先発のマウンドには伊佐敷が上がった。

 

甲子園での先発のマウンドに、伊佐敷は緊張を見せずに笑みを見せる。

 

伊佐敷はクリスのリードに導かれて、相手打線を真っ直ぐとツーシームの

コンビネーションで打ち取っていくピッチングをしていく。

 

そして、時折投げるチェンジアップが相手打線のバットに空を切らせていった。

 

だが、高校野球の公式戦で初めて上がった先発のマウンドに舞い上がった伊佐敷は、

ペース配分が出来ずに5回で完全に息が切れてしまっていた。

 

4回まで軽快に抑えてきたピッチングが嘘のように、伊佐敷は5回だけで

5失点と完全に打ち崩されてしまった。

 

5回までに打線の援護で7点を貰っていた事もあり、5回をなんとか投げきった伊佐敷だが、

交代を告げられた後、トイレで1人涙を流した。

 

その後の試合は3年生の投手が継投をしていき、11ー8で青道高校が逃げ切った。

 

そして迎えた夏の高校野球選手権全国大会の決勝戦。

 

相手は優勝候補である北の強豪、巨摩大藤巻高校だ。

 

この試合、先発のマウンドに上がったのはパワプロだ。

 

パワプロは甲子園の舞台では初めてバッテリーを組んだクリスのリードに導かれて、

巨摩大藤巻高校の打線を圧倒していく。

 

そして、夏の高校野球選手権全国大会の決勝戦の大舞台で、

パワプロはノーヒットノーランを達成したのだった。




これで本日の投稿は終わりです

また来週お会いしましょう

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