『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です


第12話

「今日は1日グラウンドを貸しきってるから午前に控え選抜の紅白戦、

 午後には3年生の紅白戦をやっていくぞ!」

 

監督の言葉でチームの皆が歓声を上げる。

 

勿論、俺も一緒に歓声を上げているぞ。

 

うぉ―――!

 

「それと、3年生は実際に試合をするのは初めてだから簡単に試合のルール確認をするぞ!

 上級生はもう知っていると思うから先にアップを始めていてくれ!」

 

監督の言葉を受けて控えの座を勝ち取るべく上級生達が動き出す。

 

俺達3年生はそのまま監督の言葉を待っている。

 

「よぉ―し!リトルリーグの試合のルールを簡単にだけど言っていくぞ!」

 

監督の言葉を要約していくとこうなる。

 

・リトルリーグの試合は硬式球を用いて1試合六回+延長戦三回で行われる。

 

・延長戦はノーアウト1、2塁の状況から始まるタイブレーク方式である。

 

・延長戦で決着がつかなかった場合は交代人数が多く残っているチームの勝利である。

 

・交代人数残数が同じだった場合は先攻チームの勝利となる。

 

・球場のホームベースから60.95m以上の地点にフェンス等が設置されているが、

 それをノーバウンドで打球が超えればホームランとなる。

 

・フェンスを打球がワンバウンドして超える、もしくはフェンス等の間に打球が

 潜り込んだ場合等はエンタイトルツーベースとなる。

 

「リトルリーグの公式戦はそんな感じのルールで進められるぞ!詳しくはルールブックを

 見るか、紅白戦を見ながら一緒に見学するレギュラーの上級生に聞いてくれ!」

 

そう言って監督は話を終わり紅白戦の準備に入る。

 

監督が試合の主審を務めるからだ。

 

他にも塁審にレギュラーの上級生が入る事になっている。

 

俺達3年生は午後のチームメンバーに別れてそれぞれのベンチで観戦と応援だ。

 

ちなみに貴子ちゃんはコーチと一緒にスコアラーをするようだ。

 

そして、控えの座を賭けて上級生の紅白戦が始まった。

 

誰一人欠けることなく気合い十分に試合が進んでいく。

 

「何か疑問はあるか、葉輪。」

 

試合が三回まで進んだ頃、上級生の紅白戦を見ながら隣に座るクリスさんがそう言ってきた。

 

驚く事にクリスさんは4年生でありながらレギュラーの座を勝ち取ったのだ。

 

そういうわけでクリスさんがここにいるのだが、時折首を傾げていた俺を見て

クリスさんから話し掛けて来てくれたようだ。

 

「そうですね…まだ変化球を覚えてないなぁって。」

「なんだ、そんな事か…。」

 

クリスさんはそう言ってくるが上級生は普通に投げているので羨ましいのだ。

 

「葉輪、お前の公式戦出場機会は来年からだ。今は焦らずに基礎を磨け。」

「焦っているというか羨ましいんですよね。」

 

俺の言葉にクリスさんが「ぷっ」と笑う。

 

「そうか、羨ましいか…。」

 

クリスさんが笑いを収めるように1つ息を吐いてから話を続ける。

 

「それで、お前はどんな変化球を覚えたいんだ?」

 

クリスさんにそう言われて俺は予め考えていた事を答える。

 

「色々と考えたんですがムービング系はいらないかなと。」

「なるほど、オールドスタイルでいくわけか。」

 

「ダメですか?」

「いや、ダメではない。」

 

この1ヵ月クリスさんと一緒に練習してきたが、クリスさんは野球関係の話題だと

結構饒舌になる所があるのがわかった。

 

「それで、どういった理由でそう決めたんだ?」

「三振の方がカッコいいからです!」

「…そうか。」

 

クリスさんがまるで困った奴だとでも言うように苦笑いをする。

 

「習得しようと思っている球種は?」

「とりあえずはカーブですね。後はスライダーとチェンジアップを考えていますが、

 まずはカーブが物になってからでいいかなって。」

 

俺が選んだ球種は元にしたフォームの人と同じ球種だ。

 

「なるほど、お前のフォーシームの質を考えると悪くない選択だ。」

「おぉ!そうですか!」

 

「もっとも、お前が覚えられるかは別の話だけどな。」

「ちくしょー!」

 

その後、試合は進んで上級生の人達は笑顔の人と涙を流す人とに別れる。

 

監督の試合総評と激励の言葉を受けた上級生達を見届けて俺達はお昼ご飯の時間となる。

 

お昼ご飯を食べて1時間程経ち腹もこなれてきた頃。

 

いよいよ俺の初めての試合の時がやってきたのだった。




本日は5話投稿します

次の投稿は9:00の予定です

今回の話の中にあるリトルリーグの試合のルールは実際の物と違う事があります
予めご了承ください

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