『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿5話目です


第140話

練習試合のメンバーを選定するための紅白戦が始まった。

 

俺は残念ながら不参加だけどね。

 

先ずは暫定3軍同士での紅白戦だ。

 

2年生が中心に活躍していったけど、1年生も必死に食らい付く様にして

力を発揮していった様に見えた。

 

同じ日に暫定2軍同士による紅白戦も行われた。

 

暫定2軍同士の紅白戦では増子さんが目立った活躍をしていた。

 

秋の大会での失敗からは立ち直ったみたいなんだけど、あの日から増子さんは練習以外では

声を出さないという戒めを自分に課している。

 

授業とかどうしてるんだろうな?

 

増子さんは紅白戦で大活躍したんだけど、残念ながらそのまま2軍残留となった。

 

そして後日、いよいよ青道高校野球部の1軍メンバーを選抜する為の紅白戦が始まるのだった。

 

 

 

 

1軍メンバーを選抜する為の紅白戦が行われる当日、俺は塁審等をして手伝おうと

思ったんだけど、何故か貴子ちゃんと一緒に落合さんと紅白戦を見学する事になった。

 

「葉輪、外野守備はどうだ?」

 

俺の左側に座る落合さんが髭を扱きながらそう聞いてくる。

 

「楽しいですよ、落合さん。」

「そういうことじゃないんだがな…。」

 

俺の返事に落合さんは頭を掻いてため息を吐く。

 

俺の右側に座る貴子ちゃんは、そんな落合さんの反応を見てクスクスと笑っている。

 

「葉輪は今日の紅白戦をどう見る?」

「う~ん、難しいですねぇ…。両チームのキャッチャー次第だと思いますけど。」

「クリスと御幸か。」

 

白チームは丹波さんと一也、赤チームは純さんとクリスさんのバッテリーで試合が行われる。

 

今回の紅白戦は先発投手は5回までで終わりなんだけど、その少ないイニングで打者はどこまで

投手を攻略出来るのか、という対応力を見るのも目的だと落合さんが言っていた。

 

「さて、どちらに軍配が上がるかな?」

「リトル時代からのライバルですからね、楽しみですよ。」

 

 

 

 

「丹波さん、ナックルカーブを要求した時はコントロールを気にしないで、

 腕をしっかりと振る意識をお願いします。」

「すまん、御幸。」

「いえいえ、選択肢が1つ増えるのは凄い助かりますから。」

 

後攻の白チームである丹波と御幸は試合前の打ち合わせをしていた。

 

「赤チームの打線の中心はクリスさんと哲さんです。この2人をどう抑えるかが鍵ですね。」

「状況次第では敬遠を視野に入れよう。」

「…いいんですか?」

「俺は葉輪の様に力で抑えられる投手じゃない。でも、チームを勝たせる事が

 出来る投手になりたいと思っている。」

 

そんな丹波の言葉に、御幸は丹波が本当に頼もしい投手になったと感じた。

 

「御幸、俺は伊佐敷に先発の座を譲るつもりはない。」

「丹波さん、俺もクリスさんに勝つつもりですよ。」

 

2人は同時に笑みを浮かべると、コツンッと軽く拳を合わせたのだった。

 

 

 

 

「伊佐敷、御幸の前にランナーを出したくない。初回から飛ばしてもらうぞ。」

「あぁ、任せろ!」

 

丹波と御幸が打ち合わせをしている一方で、伊佐敷とクリスも打ち合わせをしていた。

 

「シュートは主に左打者相手にフロントドアとして使っていく。今のコントロールでは

 右打者のインコースを狙うのはリスクが高い。」

「そこら辺は任せる。信頼してるぜ、クリス。」

 

ニッと笑う伊佐敷にクリスはフッと微笑みを返した。

 

「勝つぞ。」

「おう!丹波から先発の座を奪ってやるぜ!」

 

2人は高々と左手を上げると、力強くハイタッチをしたのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。

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