『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です。


第193話

1年生と2軍の紅白戦から1週間が経って1軍と3軍、1軍と2軍の紅白戦が行われる日がやって来た。

 

午前中に1戦目となる1軍と3軍の紅白戦、そして午後に2戦目となる1軍と2軍の紅白戦が行われる予定だ。

 

俺は1戦目はレフトで、2戦目は先発投手として出場するぜ!

 

1戦目の1軍投手は3イニング交代で純さん、ノリ、丹波さんの順番で投げるみたいだ。

 

3軍との紅白戦の結果は順当…って言えばいいのかな?

 

1軍投手陣はヒットは打たれたものの失点はせずに完封リレーで3軍に勝利したぜ!

 

片岡さんや落合さんへのアピールの場って事もあって3軍チームは気合い十分だったんだけど、純さんと丹波さんも先発争いをしているし、ノリも東条や沢村に負けないって気合いが入っていたからなぁ…。

 

さて、2戦目の2軍との紅白戦なんだけど、この紅白戦はちょっと変則的になる。

 

簡単に言うとピッチャーだけ1軍と2軍で交換をして紅白戦をするのだ。

 

つまり、俺が2軍チームのマウンドに立って、東条、沢村、降谷が1軍チームのマウンドに立つって感じだな。

 

この事を聞いて沢村はこのままエースにって意気込んでいるし、降谷は一也が受けてくれるからと嬉しそうだ。

 

東条は少し緊張してるのかな?

 

一也、ちゃんと緊張を解してやれよ。

 

まぁ、そんな感じで今日2試合目の紅白戦が始まるのだった。

 

 

 

 

「さて、わかってると思うが、お前達が打ち崩さなければならない相手はあの葉輪だ。」

 

今回の紅白戦で1軍チームの指揮を取る落合がメンバーに声を掛けると、1軍チームのメンバーの表情が引き締まる。

 

「真っ直ぐが速い投手、コントロールがいい投手、変化球が凄い投手、レベルが高くなった昨今の高校野球ではそれらのどれかを持った投手ってのは珍しい事じゃない。だが、それら全てを兼ね備えた怪物投手となると話は違う。正直に言って葉輪は十年に一人の逸材だ。」

 

落合に言われるまでもなく青道高校野球部にいる者達はパワプロの凄さを実感している。

 

だからこそ、1軍メンバー達はこの紅白戦にやりがいを感じていた。

 

「この中には甲子園で活躍をした奴もいる。だが、もしかしたら今日の紅白戦でその甲子園での活躍を忘れる程に心を折られるかもしれない。お前達にはその覚悟があるか?」

「「「はい!」」」

 

まるで公式戦の様な緊張感を漂わせる1軍メンバーに、沢村は身を震わせたのだった。

 

 

 

 

1軍と2軍の紅白戦が始まった。

 

先攻は2軍チームだ。

 

1軍チームの先発マウンドには沢村が上がった。

 

2軍チームを指揮する片岡さん曰く、硬式野球経験の少ない沢村を後ろに回すのはリスクが高いそうだ。

 

降谷はそもそも試合経験自体が少ないんだけど、沢村や東条との球速差を活かすにはリリーフに回した方がいいそうだ。

 

まぁ、降谷は天然さんだから緊張とかはしなさそうだもんな。

 

そういうわけで先発をした沢村なんだけど、沢村は2軍チームの先頭バッターである亮さんの弟くんを歩かせてしまった。

 

弟くんが沢村のムービングボールをファールで粘ったってのもあるけど、まだ体力測定の時に変えた新しい投球フォームで投げ慣れていないみたいだな。

 

あ、クリスさんがタイムを取ってマウンドに行った。

 

何をアドバイスしているのかな?

 

なんか沢村が高笑いをしてど真ん中に投げて打たせていくからよろしくって叫んでる。

 

向こうのベンチにいる落合さんはそれを見て頭を抱えているな。

 

2軍チームの2番バッターは沢村に取らせる様にセーフティバントをした。

 

沢村はバント処理に慣れていないのかオールセーフになった。

 

マウンドで頭を抱えて叫んでる沢村に、倉持と亮さんがなんか言ってる。

 

3番バッターはヒッティングにいったんだけど、沢村のムービングボールを引っかけてショートゴロのゲッツーに抑えられてしまった。

 

これでツーアウト3塁、バッターは2軍チームの4番だ。

 

クリスさんがタイムを取らずにそのままミットを構えると、沢村が笑顔になった。

 

うん、燃える展開だもんな。

 

笑顔になる気持ちはよくわかる。

 

沢村がムービングボールではなくフォーシームを投げ込むと、4番バッターは差し込まれた様な形でファーストフライに打ち取られた。

 

初回でいきなりのピンチを無失点で切り抜けた沢村は、1軍メンバー達にナイスピッチングと祝福されると笑顔でベンチに戻っていったのだった。




次の投稿は13:00の予定です。

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