『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です。


第201話

1軍と2軍の紅白戦は4回の裏にクリスがパワプロからホームラン級の打球を打ったが、2軍の中堅手のファインプレーに寄ってホームランを阻まれてしまった。

 

このファインプレーにより4回の裏を無失点で切り抜けた2軍チームは、5回の表の降谷に挑んでいく。

 

4回の表こそ沢村との球速差で抑えた降谷だったが、5回の表の2軍打線には打ち込まれていった。

 

ストライクゾーンの4隅に決めれば打たれない、だが甘いコースにボールが行けばあっさりとヒットを打たれていった事で、降谷はコントロールの大切さを身を持って実感していった。

 

降谷は紅白戦3イニングを4失点の結果でマウンドを下りた。

 

そんな降谷を見守った落合は、降谷の技術不足以上に経験不足を危惧した。

 

(ランナーが出ると明らかに力んだ投球をしていたな。どうやらコントロールの大切さを実感したようだが、今の状態ではマウンドを任せられんぞ。)

 

パワプロ、丹波、伊佐敷、川上と投手陣が充実しているのは夏までである。

 

落合は秋以降の投手事情を考えて頭を悩ませた。

 

(せめて後1人、1軍のマウンドを任せられる奴が欲しい。沢村と降谷はじっくりと育てるべきだが、チーム事情次第では秋の大会から1軍で投げさせざるをえんな。)

 

頭を掻いた落合は、1軍チームのメンバーに気付かれぬ様にため息を吐いたのだった。

 

 

 

 

5回の裏のパワプロは先頭打者の増子をゴロで抑えた後は続く2人を連続三振で抑えた。

 

そして6回の裏、ここで尻上がりの特殊能力によりパワプロのギアが上がった。

 

8番、9番を連続で三球三振に抑えると、ツーアウト、ランナー無しの状況で打順は1番の倉持に回った。

 

倉持は落合に貰った助言により左打席に立とうかと迷ったが、スイッチヒッターのセオリー通りに右打席に入った。

 

御幸はその一瞬の迷いを見逃さなかった。

 

(左に立とうとした?狙いはセーフティ?)

 

御幸のサインに頷いたパワプロが投球モーションに入ると、倉持はバントの構えをみせた。

 

ボールを投げ込んだ直後、パワプロが素早くチャージをかけると倉持はバットを引いた。

 

判定はストライク。

 

(ブラフ?揺さぶってパワプロを消耗させる気か?)

 

2球目、御幸はインハイにフォーシームを要求した。

 

パワプロがボールを投げ込むと、倉持はバントの構えを戻してヒッティングにいった。

 

しかし倉持は明らかな振り遅れで空振りしてしまった。

 

追い込んだ御幸は遊び球を使わずに勝負を選択する。

 

3球目、パワプロはアウトローにストライクゾーンからボールゾーンに落ちる高速縦スライダーを投げ込んだ。

 

この1球に倉持は空振りをしてしまい、6回の裏は三者連続三振に倒れた。

 

(並みのピッチャーなら今の揺さぶりで出塁も狙えただろうな…。)

 

御幸はベンチに戻っていく倉持の背をチラリと見ると、パワプロとハイタッチをしてベンチに戻っていく。

 

スイッチヒッターの倉持は他者よりも多くバットを振らねばならない。

 

それ故に倉持はオフシーズンで多くの者が成長をしていった中で、一人伸び悩みを見せていた。

 

(足の速さと守備力で1軍レギュラーの座を掴んでいるけど、このままじゃヤバイぜ、倉持。)

 

御幸の危惧が当たったのか、倉持はこの紅白戦の後にバッティングにおいてスランプに陥ってしまったのだった。




本日は5話投稿します。

次の投稿は9:00の予定です。

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