『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です。


第216話☆

飛行機でアメリカに渡り、宿泊先で一泊をした翌日には今大会の代表チームで練習を始めた。

 

今大会は3日後に始まるんだけど、予選は参加国の8チームを2グループに分けてのリーグ戦から始まって、そのリーグ戦の上位2チームがそれぞれのグループを突破して決勝トーナメントを戦う形になっている。

 

これがおよそ2週間の過密日程で行われるんだけど、これは主に日本の高校野球の秋の大会日程に配慮された結果なのだそうだ。

 

そのせい…というわけじゃないんだろうけど、使用球やストライクゾーン等はアメリカのものになるそうで、俺達日本代表チームを含めたアメリカ以外のチームは3日でそれにアジャストしなければならない。

 

そんなわけでアメリカの硬式球で日本代表チームは練習を始めたんだけど、愚痴に近い言葉が多くの選手から出始めていた。

 

「マウンドは硬いしボールは滑りすぎ!」

 

こんな風にハッキリと文句を言っているのは成宮なんだけど、他の投手も同じ理由で少なからずコントロールに苦戦をしている。

 

まぁ、俺もコントロールに苦戦をしているんだけどね。

 

パァン!

 

「パワプロ、ナイスボール!」

 

俺のボールを受けている一也がそう言うけど、日本のボールで投げていた時に比べればコントロールは良くないのが現状だ。

 

ボール1つ分は狙った所からずれてしまう。

 

アメリカの硬式球が日本の硬式球に比べて滑るのもそうなんだけど、ボールの縫い目の違いも今まで投げていたボールと比べてノビやキレに違いをもたらしている。

 

「鳴、どんな調子だ?」

「スライダーは滑ってまともにコントロール出来ないよ、雅さん。でも、フォークとか挟む握りのチェンジアップはいい感じにボールが抜けるから投げやすいかな。」

 

原田さんと成宮がそんな会話をしていると、近くにいた他の投手陣も頷いている。

 

「パワプロ、お前はどうだ?」

 

一也もキャッチャーボックスからマウンドに来て俺に問い掛けてきた。

 

「どうしても狙った所からボール1つ分は狙いがずれちゃうなぁ。」

「確かにフォーシームでも少しずれているな。修正出来そうか?」

「う~ん、試合までには無理そうかな。」

「そうか、それじゃそう考えてリードするわ。」

 

一也がミットで俺の胸を軽く叩いてからキャッチャーボックスに戻ると、俺は変化球も投げ込んで感覚を確かめていった。

 

(変化球の軌道も日本のボールとは違うなぁ。なんかキレがよくなった感じ?)

 

アメリカのボールは滑ってコントロールが効かないかわりに、変化球のキレが日本のボールよりもいいように感じる。

 

そのせいなのか、一也は日本ではしっかりと捕球出来ていた俺のカーブも、ミットの芯を何度も外して捕球してしまっている。

 

「大丈夫か、一也?」

「おう!気にせずにどんどん投げ込んでくれ!」

 

一也の要求に応えて俺はボールを投げ込んでいく。

 

すると…。

 

ピロン♪

 

例の機械音が脳内に鳴り響いたので、一也からの返球を受け取りながら確認をする。

 

 

※使用球の変化に伴い、能力の表示を更新します。

 

 

ん?どういうこと?

 

俺はステータス画面を開いて能力の確認をする。

 

 

基礎能力

 

 

最高球速:155km(※160km)

 

制球:B(※S)

 

スタミナ:S(※S)

 

変化球:カーブ6(※7)

 

変化球2:チェンジアップ6(※7)

 

変化球3:高速スライダー6(※7)

 

変化球4:高速縦スライダー1(※7)

 

 

制球が2ランク、変化球が1ランクずつ下がってる…。

 

コントロールは確かに下がっている実感があったけど、変化球は逆に良くなっている感じなんだけどなぁ?

 

まぁ、いいか。

 

とりあえす、制球だけでも成長させるか。

 

俺は目線でステータス画面を操作して能力を成長させようとする。

 

しかし…。

 

ブブー♪

 

また機械音が脳内に鳴り響いたので確認をする。

 

 

※現所属カテゴリーの限界まで成長しているので、これ以上成長させる事は出来ません。

 

 

…マジで?

 

そうなると、高校卒業してからアメリカに来たら、必然的に制球がBまで下がるって事か。

 

う~ん…ミートをSまで成長させようかと思ってたけど、後々の為に技術ポイントは残しておいた方がいいかな?

 

そんな感じで悩んでいると、監督の指示でキャッチャーが原田さんに交代した。

 

俺は原田さんを相手に投げ込みをして、アメリカのボールの感覚に少しずつ慣れていくのだった。

 

 

 

 

(これが葉輪のボールか…。)

 

原田はパワプロのボールを受けて驚愕していた。

 

(真っ直ぐのノビも、変化球のキレも鳴のものとは1つ…いや、2つは違う。)

 

パワプロのカーブを芯を外して捕球をした原田は、悔しそうに表情を歪める。

 

(残念だが、今の俺では葉輪のボールを受けきれん…。)

 

マスクの奥で歯噛みをする原田だが、臆せずにミットを構えていく。

 

(大会が始まるまで1週間…それまでに、少しでも成長してみせる!)

 

この日から原田と御幸の熾烈なブルペンキャッチャー争いが始まる。

 

それを見た成宮が不機嫌になるが、原田がそちらのケアも欠かさずにいると、日本代表監督や現地に訪れていた日本球団のスカウト達の評価を上げていくのだった。




本日は5話投稿します。

次の投稿は9:00の予定です。

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