俺は試合の前に自身の能力を確認していた。
基礎能力
最高球速:90km(※105km)
制球:A
スタミナ:D
変化球:カーブ3(※3)
うん、投手能力はいい感じに成長出来たな。
続けて野手能力も確認するか。
基礎能力2
弾道:1
ミート:E
パワー:F
走力:C
肩力:C
守備:D
捕球:D
打撃以外は一軍レベルにまで成長出来た。
クリスさんからも及第点を貰えたので嬉しかったぜ!
「行くぞ、葉輪。」
おっと、整列しないとな。
やってやるぜ!
◆
5年生になっての夏のリトルリーグ選手権大会は順調に勝ち進んだ。
一回戦目は被安打1の完封。
三回戦目はあの御幸がいる江戸川リトルとの試合で被安打2で完封だ。
ちなみに御幸は無安打で抑えたぜ!
そして、決勝で松方リトルとの試合に先発。
結果は…うちのチームの勝ちだ!
やっとリベンジ出来たぜ!
俺の投球内容は被安打4、1失点の完投勝利だ!
そして俺達、丸亀リトルは全国大会に駒を進めたんだ。
◆
全国大会でも俺達は順調に勝ち進んだ。
その勝ち進んでいく中でも、クリスさんは他を圧倒する活躍をしていった。
ランナー1塁の状況で投手の球を捕ったクリスさんは、ランナーの帰塁が遅いのを見ると
矢の様な送球でアウトを取る。
他にも盗塁を何度も阻止するし、打撃では三冠王争いをしたりと、おかしいと言える
レベルでの活躍だ。
そして、全国大会となると記者の人もいたりしてクリスさんに取材をしていた。
…俺の所にも来ていいのよ?
そう思ったのだが、残念ながら今大会中に記者さんは俺の所にこなかった。
ちくしょ―――!
そして、遂に全国大会の決勝にまで勝ち進んだ俺達は、夏のリトルリーグ選手権大会の
最後の試合に挑むのだった。
◆
「ストライク!バッターアウト!ゲームセット!」
審判のコールが球場に響き渡る。
「…よっしゃ―――!」
俺はマウンドで雄叫びをあげる。
チームの皆がマウンドに駆け寄ってくる。
そして、歓喜の輪がマウンドに出来上がるのだった。
その後は試合終了の挨拶をして大会表彰式に移る。
そこで、クリスさんがMVPに選ばれた。
これでクリスさんは全国区の選手だな!
ちなみに俺は敢闘賞を貰えた。
最優秀投手賞は決勝の相手チームのエースが選ばれた。
まぁ、全国大会では試合毎に1、2失点したからなぁ…。
大会の通算奪三振数は俺が一番だったけど、通算防御率で相手エースの方が上だから
選ばれなかったというのが監督の予想だ。
く、悔しくないもん!
あ、やっぱ悔しいっす!
なのでガ○ガリ君奢ってください、監督!
◆
「クリス!MVPおめでとう!」
「監督…。」
今年でチームを去るクリスに俺は称賛の言葉を贈る。
「パワプロは運が悪かったな。」
「いえ、俺がしっかりとリード出来なかったのが原因です。」
クリスが悔しそうにそう話す。
「いや、優勝候補とばかり試合をして優勝したんだ。それは間違いなく
クリスの力もあったからだぞ。」
俺のフォローの言葉をクリスは納得していないようだ。
「葉輪は俺のリードに応えてしっかりと投げてくれました。」
「あぁ、あいつは本当にコントロールがよくなったよな。」
パワプロは夏の大会を通じて僅か与四球3だ。
うちに来た2年前と比べると見違える程の成長をした。
「勝負を急ぎすぎた場面が幾つもありました…あいつが打たれたのは俺の責任です。」
責任感が強く、ストイックなのがクリスの良いところではあるんだが…。
「クリス、背負い込み過ぎるな。」
「ですが…。」
「まったく…パワプロは優勝を素直に喜んでいるじゃないか、今はお前も一緒に喜べ。」
クリスはチームの皆と一緒にはしゃいでいるパワプロの姿を見る。
「向上心を高く持つのは悪い事じゃない。でもな、まずは勝った事を素直に
喜べるようにならないとな。それが、失敗を明日に引き摺らないコツだぞ。」
「監督…。」
クリスは俺に頭を下げるとチームの皆の所へ向かった。
「やれやれ、MVPを取るような奴だっていうのに世話が焼ける。」
まぁ、だからこそ指導者っていうのは面白いんだけどな。
「さて、クリスにも言った事だし、俺も喜ぼうかね。」
クリスの控え目な笑顔を見て、俺も子供達の所に向かう。
こうして俺達、丸亀リトルの最高の夏が過ぎて行ったのだった。
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