『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です。


第261話

青道高校野球部では恒例の体力テストが続いていた。

 

現在は投手と野手の希望ポジション別のテストを行っている。

 

ブルペンでは投手と捕手を希望する選手達のテストが行われていたが、ちょうど1年生投手の投球テストが終わったところのようだ。

 

この投球テストの結果、片岡と高島から高評価を受けたのは浅田 浩文だ。

 

浅田はまだまだ線が細いが高い身長を持っている。

 

2年後のエース候補として大事に育てると、高島はメモに書き込んでいた。

 

投球テストに続いて1年生捕手達のテストが始まる。

 

投手に選ばれたのは2年生となった東条、沢村、降谷の3人だ。

 

オーソドックスな右投手の東条、変則左腕の沢村、右の豪速球投手の降谷といった色々な投手のボールを受けさせてテストするのが目的だ。

 

1人、2人とテストが進んでいくが、あまりいい結果を出す1年生捕手が現れない。

 

東条はコントロールが良く投球フォームも安定しているのでボールを受けやすいのだが、沢村の投球フォームはボールの出所が見えにくいのもあり、ボールを溢してしまう捕手が多かったのだ。

 

更に降谷の番となると、降谷の150km台の真っ直ぐをまともに捕れる者がおらず、片岡が1球でテストを止める場面が多く見られた。

 

そんな1年生捕手達の中で抜群のキャッチングを見せたのは奥村 光舟だ。

 

奥村は東条、沢村と続けて見事なキャッチングでボールを受けていく。

 

特に沢村の時は、沢村がオフシーズンの間に身に付けた新変化球の高速チェンジアップとカットボールも見事に1球目でキャッチングしてみせたのには高島も驚きの表情を浮かべていた。

 

ちなみにこの沢村の新変化取得には、クリスマスデートでやる気が向上して冬合宿においてノリノリで練習をしていた事が関係しているとかいないとか…。

 

さて、沢村のボールも見事にキャッチングしてみせた奥村は、降谷の真っ直ぐも1球目でキャッチングしてみせた。

 

さすがにミットの芯は外してしまったが、それでも降谷のボールを捕れた唯一の1年生捕手ともなれば、彼の将来に期待が出来るだろう。

 

だが、奥村はここでテストを終える事に満足していなかった。

 

奥村は片岡の目を見据えると、パワプロのボールを受けさせて欲しいと申し出たのだった…。

 

 

 

 

「監督!俺に葉輪さんのボールを受けさせてください!」

 

キャッチャーのテストも終わりを迎えようとしていた時、奥村が片岡さんにそう言ってきた。

 

「ダメだ。葉輪は2日前に紅白戦で完投している。後3日は本格的に投げさせん。」

 

片岡さんの言った通りに俺は2日前の紅白戦で完投をしているから、今日は本気で投げるのを禁止されている。

 

だから遠投のテストの時にノーステップで軽めに投げたんだよね。

 

奥村が不満そうにしていると、そこに礼ちゃんが助け船を出した。

 

「葉輪くん、いけるかしら?」

 

礼ちゃんの言葉に片岡さんが目を向ける。

 

「先日の紅白戦は7回で終わっています。葉輪くんの球数も70球でしたので、比較的疲労は溜まっていないと思います。それにエースのボールを間近で見せておくのも、捕手を希望する1年生達にとっていい刺激になるかと…。」

 

礼ちゃんの言葉を受けた片岡さんは少し考えた後、俺に目を向けてきた。

 

「葉輪、いけるか?」

「はい、いけます。それに、ちょっと縦スラの感触を確かめておきたかったので。」

 

実は2日前の紅白戦でちょうどポイントが貯まったから高速縦スライダーを1ランク成長させたんだよね。

 

これで高速縦スライダーも6になったんだけど、次のランクに必要なポイントがえぐい事になっているから夏の大会までにカンストさせる事は出来ないだろうな。

 

まぁ、春季東京大会と春季関東大会を1人で投げ抜けばポイントが貯まると思うけど、片岡さんと落合コーチは俺に限らず先発投手には連投させないだろうしなぁ…。

 

そんな事を考えていると、片岡さんが頷いて話し出した。

 

「30球までだ。準備をしろ。それと沢村!御幸を呼んでこい!」

「わかりました、ボス!」

 

沢村が走ってブルペンを出て行くのを見送ると、俺は肩を作る為に奥村とキャッチボールを始めたのだった。




本日は5話投稿します。

次の投稿は9:00の予定です。

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