『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です


第2話

「は~い、皆?これは何かな~?」

「「「ゾウさ―――ん!」」」

 

母さんに連れられて無事に幼稚園に入園した俺は今、保育士さんによって

教育を受けている所である。

 

保育士さんが絵が描かれた物を掲げたのを見て園児の皆で答えていくという

とても可愛らしい光景が続けられている。

 

勿論、俺も今は園児なので皆と一緒に答えているぞ。

 

思考は転生前と変わらないが記憶が統合された事で感覚は年相応になったからな。

 

まぁ、それはいいんだが…。

 

「は~い、皆?これは何かな~?」

「「「リスさんと栗―――!」」」

 

保育士さん…さっきから絵のチョイスに意味深なモノを感じるのは気のせいですかね!?

 

その後もキリンやらヘビやらと何やら意味深なチョイスに感じる絵を答えていって

俺を含めた園児達のお勉強は続いていったのだった。

 

 

 

 

さて、勉強が終われば遊びの時間である。

 

園児達は幼稚園の敷地を所狭しと駆け回っている。

 

そして、元大人である俺はというと…。

 

「うわぁ―!パワプロだぁ―!」

「怪獣パワプロが来たぞ―!お城を守れ―!」

 

幼児と一緒に思いっきり遊んでますが何か?

 

えぇ、文字通り童心に帰るというか身体的に童心そのものなので遊びがめっちゃ楽しいです。

 

事案?

 

何処かの体は子供な高校生探偵だってやっている事だ。

 

何か問題があるかね?

 

それはそれとして俺は今、園児達の1グループが作った砂のお城を怪獣の役で

壊そうとしている所である。

 

悪役…凄く、面白いです…。

 

「ぎゃおおおぉぉぉおん!」

「「「わ―わ―――!」」」

 

フハハ!慌てるがいい童共!お城の耐久力は十分か?

 

喜び勇んで幼児が作った砂のお城を壊そうとする外道な事をしていたが、幼児の1人が

腕を十字にしてビームを撃つ振りをしたのでそれに合わせて倒された振りをする。

 

感覚は幼児に戻ったがそのぐらいの分別はあるのだ。

 

さて、怪獣パワプロが倒された事で一緒に遊んでいた園児達がキャッキャッと喜んでいるが

ヤ○チャポーズで倒れた俺の視界には遠くにヨロシク無い光景が見えている。

 

1人の男の子を中心とした複数の男の子が1人の美幼女を泣かせているのである。

 

これはあれか?

 

気になるあの子に振り向いて欲しくてイジワルしちゃうあれか?

 

いかん!このままではあの男の子は本当に嫌われてしまう!

 

ここは惜しくも砂のお城を壊さなかった大人の分別のある俺が助けなくては!

 

決して美幼女の前でカッコつけたい訳ではない。

 

カッコつけたい訳ではない。

 

今行くぞ、美幼女!

 

ポージングをしながら立ち上がった俺を見て「怪獣パワプロが復活した―」と園児達が騒ぐが

俺はそんな園児達に「今度は向こうで遊んでくるね」と手を振る。

 

「「「また遊ぼうねパワプロく―ん」」」

 

死闘を繰り広げた宿敵(とも)と別れを告げた俺は颯爽と美幼女の所へと走っていく。

 

ちなみに俺、葉輪 風路は幼稚園の同じ組の皆に『パワプロ』という渾名で呼ばれている。

 

これは自己紹介をした時に誰かが「パワプロ?」と言った事がキッカケだ。

 

保育士さんが訂正してくれたのだが、注目が集まっていた事でテンションが

上がってしまった俺はポージングをしながら「パワプロって呼んでね!」などと

やってしまったので事故紹介になってしまったのだ。

 

感覚が子供になった事で目立つのが好きになってしまったらしい。

 

それはともかく美幼女の救出である。

 

「とう!」

 

大きな声を出しながら美幼女と男の子達の間に立ち塞がる。

 

「なんだよー。お前、あっちいけよ―。」

 

不満な気持ちを隠そうともしない男の子が微笑ましい。

 

だが、折角の美幼女の前でカッコつけるチャンスもとい、男の子が美幼女に嫌われないように救うチャンスなのである。このチャンス…逃しはしない!

救うチャンスなのである。このチャンス…逃しはしない!

 

「シャキーン!」

 

効果音を口に出しながらポージングをする。

 

すると、それを見た男の子達も思い思いにポージングをする。

 

この世界にある変身ヒーローのポーズだ。

 

「オンドゥルルララギッタンデスカ!?」

「うるさい!しょうぶだ!」

 

そして始まる俺を含めた男の子達の殺陣。

 

殴られた振りをして前転をしたりと大忙しである。

 

「オデノカラダハボドボドダァー…。」

「あっははは!」

 

見事に男の子達は美幼女の事を忘れて変身ヒーロー遊びに夢中である。

 

めっちゃ楽しい!じゃなくて、作戦通りである。

 

「そこの可愛い女の子!ここは俺、パワプロに任せて早く行くんだ!」

「ふえ?なに?」

 

舌足らずな返事まで可愛い美幼女バンザイ!

 

いや、それはいいから早く何処かへ行って欲しい。

 

この変身ヒーロー遊びは楽しいもとい、とても疲れるのである。

 

少しでも休んだらそのまま寝てしまいそうなのだ。

 

「さぁ、行くんだ!」

「よくわからないけど、ありがとう、パワプロくん!」

 

そう言った美幼女は涙をグシグシと手で拭ってからトテトテと走り去っていく。

 

こうして純真無垢な男の子と美幼女の危機を救う事が出来たのだ。

 

その後、件の男の子達と体力の続く限り変身ヒーローゴッコを楽しんだ俺は、

お昼寝の時間になると爆睡するのだった。




次回で幼女の正体が明らかに!

次の投稿は13:00の予定です

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