『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です


第39話

成宮を三球三振で抑えた俺はその勢いで残る2人の打者も三振で抑えた。

 

五回の表のピンチを切り抜けた丸亀シニアだが、その後も成宮からヒットを

打つことが出来なかった。

 

そして、両チーム共にノーヒットで迎えた最終回。

 

俺は七回の表もノーヒットで抑えた。

 

そして七回の裏。

 

ここで成宮を攻略出来なければタイブレークルールの延長戦となる。

 

俺はノーヒットだが、延長では交代する事を監督から告げられた。

 

体力的な問題でこれ以上投げるのはキツイんだよね…。

 

そして七回の裏を始める前のイニング間に監督の檄が飛んだのだった。

 

 

 

 

「お前ら、五回の表の事を覚えてるか?」

 

監督の言葉に丸亀シニアの皆が頷く。

 

「パワプロはチームのピンチを救ってくれた!お前らはこのままでいいのか!?」

 

丸亀シニアの皆が拳を握りしめる。

 

「パワプロの熱投に応えてやれ!」

「「「はい!」」」

 

そう皆が声を上げて七回の裏が始まる。

 

先頭打者は2番の白河だ。

 

白河は器用に成宮のボールをファールにして球数を稼いでいく。

 

「藤原、成宮の投球数は?」

「100球を超えました。」

 

監督の質問に貴子ちゃんが答える。

 

マウンドの成宮を見ると肩で息をしている。

 

白河はフルカウントになっても粘っていく。

 

そして、成宮が投げた11球目…。

 

「ボール!」

 

白河が成宮に粘り勝ってノーアウト、1塁。

 

遂に一回の裏以来のランナーが出たのだった。

 

この結果に丸亀シニアのベンチは盛り上がる。

 

続く2人目の三番バッターは成宮に三振で抑えられてしまう。

 

そして、この試合三度目となるクリスさんと成宮の対決。

 

丸亀シニアのベンチだけでなく、球場全体が盛り上がり始める。

 

打席に入るクリスさんを成宮がマウンドの上から睨みつけている。

 

成宮がアンダーシャツで額の汗を拭ってからロージンバッグを手に取る。

 

そして、成宮がプレートに足を掛けると球場全体が静まりかえる。

 

成宮はランナーがいるのを気にせずに振りかぶって投球モーションに入る。

 

白河がすかさず走るが成宮の投球モーションに乱れは無い。

 

1球目。

 

成宮はバックドアのスライダーを投げる。

 

コースはアウトローにギリギリ入ってストライク。

 

この土壇場で成宮は最高のボールを投げている。

 

凄いな、成宮!

 

丸亀シニアの皆がベンチからクリスさんを応援していく。

 

対する城南シニアも負けじと成宮の後ろで守る者達が成宮を盛り立てていく。

 

二度、成宮が振りかぶる。

 

白河はその間に三塁へ走る。

 

2球目。

 

成宮が投げたのは真ん中低めからボールゾーンへと落ちるフォーク。

 

クリスさんはこれを見逃してカウントはワンボール、ワンストライク。

 

ワンアウト、三塁のチャンス。

 

スクイズでもサヨナラの場面。

 

でも、監督はそのままクリスさんを見守っている。

 

打席を外したクリスさんはそんな監督を見て微笑む。

 

カッコいいぜ、クリスさん!

 

バットを一振りしてからクリスさんが打席に戻る。

 

成宮が三度振りかぶる。

 

3球目。

 

成宮が投げたのは1球目と同じバックドアのスライダー。

 

クリスさんはこのボールを見送る。

 

だけど…。

 

「ストライクツー!」

 

主審の判定はストライク。

 

これでカウントはワンボール、ツーストライク。

 

季節は秋なのに球場の雰囲気はまるで夏の様に熱い。

 

そんな雰囲気の中で成宮が振りかぶる。

 

4球目。

 

成宮が投げたのはインハイへのフォーシーム。

 

プレートの左側に立って投げ込まれたその1球は、所謂クロスファイアと呼ばれるものだ。

 

硬球がクリスさんの顔付近を目掛けて迫っていく。

 

だけど、クリスさんは臆せずに踏み込んだ。

 

そして…。

 

キンッ!

 

金属バットの音が球場に響き渡る。

 

打球はレフトの頭上を高く越えていく。

 

バッターボックス中でクリスさんが右手を高く突き上げる。

 

ボールはそのままスタンドの中に。

 

クリスさんのサヨナラツーランホームランだ!

 

こうして俺達、丸亀シニアは城南シニアとの試合に2ー0で勝利したのだった。




次の投稿は13:00の予定です

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