延長戦までもつれ込んだ激闘の末、俺達丸亀シニアは城南シニアとの試合に勝った。
両チーム合わせてヒットは一本。
俺は成宮との投げ合いを制して、シニアリーグでは初めてとなる完全試合を達成した。
そんな試合だったせいか、試合の後に俺は色んな高校のスカウトの人に声をかけられた。
だけど、スカウトの人達にハッキリと「俺、青道に行きます!」というと、ほとんどの
スカウトの人達がいなくなった。
残ったスカウトの人は礼ちゃんだけだった。
あ、礼ちゃん。
見に来てたんだ。
え?スカウトとして両親に挨拶?
父さんと母さんならあそこにいるよ。
俺が指差す方を礼ちゃんが見ると、そこには揃って頭を下げている両親がいた。
ん?何で父さんは母さんに背中をつねられてるんだ?
礼ちゃんは「全国大会も見に行くわ」というと、俺の両親の元に歩いていった。
「パワプロ!」
礼ちゃんを見送ると、成宮が俺に声を掛けてきた。
「高校野球だ!勝負の続きは高校野球でやるぞ!」
成宮が俺を指差しながらそう言ってくる。
…いいね!
「おう!高校野球でも、また投げ合おうぜ!」
俺が笑顔で成宮に応えると、成宮は鼻を1つ鳴らしてから走り去っていった。
◆
夏のシニアリーグ選手権大会の全国決勝トーナメント。
俺達、丸亀シニアは順調に勝ち進んでいった。
俺は一回戦、三回戦共に完封して二桁奪三振を達成したぜ。
そして迎えた決勝戦。
順調にスコアボードに0を積み重ねていく。
そして、俺は七回の裏のマウンドに向かうのだった。
◆
全国大会の決勝戦のマウンドに立つ俺の耳に、観客の人達のざわめきが聞こえている。
「みんな、ざわめいてるねぇ。」
「まぁ、全国大会の決勝戦でノーヒットノーラン目前だからな。」
俺の言葉に一也がそう切り返してくる。
そう、一也の言う通りにノーヒットノーラン達成まであと1人に迫っているのだ。
「一也、最後まで楽しんでいこうぜ!」
「おう!」
俺と一也はマウンドの上でグローブとミットを笑顔で合わせる。
一也がキャッチャーボックスに戻っていき、プレイが再開される。
バッターボックスには唇を固く結んだ打者がいる。
「行くぜ、一也!」
俺は一也のサインに頷くと投球モーションに入る。
そして俺が投げたボールは、一也が構えるミットに吸い込まれる様にして入っていくのだった。
◆
夏のシニアリーグ選手権全国大会の決勝戦。
俺はノーヒットノーランを達成した。
そして、表彰式で今大会のMVPに選ばれた。
ひゃっほい♪
ちなみに丸亀シニアからは、一也と白河がベストナインに選ばれていた。
こうして俺の中学生最後の夏は、最高の結果で終わりを迎えたのだった。
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