夏の全国大会が終わって直ぐの丸亀シニアの練習日。
チームを卒業する3年生の壮行会を兼ねた紅白戦が行われた。
そして、その紅白戦が終わった後、俺と一也、そして白河が監督に呼び止められたのだった。
◆
「東京選抜ですか?」
「そうだ、東京選抜だ。」
監督が言うには、海外の中学生を招いて練習試合をするのだが、秋の大会まで時間が無いから、
チームを卒業する3年生を集めてチームを作るらしい。
ちなみに去年、丸亀シニアからはクリスさんが参加したようだ。
「来週の土曜日と日曜日に練習試合をするんだが…参加するか?」
「参加します!」
俺が元気よく返事をすると、監督が一也と白河に目を向ける。
どうやら一也と白河も参加するようだ。
「監督、他のチームメンバーは大丈夫なんですか?」
「俺達が全国大会で戦っている間に、メンバーは集めてあるみたいだから心配するな。」
一也の疑問に監督がそう答えた。
「それじゃ、これに色々と書いてあるから持って帰って確認してくれ。
当日はしっかりと楽しむんだぞ!」
「「「はい!」」」
こうして俺は海外の中学生と試合をする機会を得たのだった。
今から楽しみだぜ!
◆
海外のチームとの練習試合当日。
東京選抜のメンバーは顔見知りが多かった。
もっとも、名前を知っているのは成宮とカルロスだけなんだけどな!
「はい!こっちに注目してくれ!」
今回、東京選抜を率いるのは丸亀シニアの我らが監督である。
「今日の相手はアメリカ!明日の相手は台湾の中学生だ!練習試合だから交代制限は無い!」
そこまで言うと監督は東京選抜の皆の顔を見渡す。
「だから、野手は皆に出てもらうぞ!」
監督がそう言うと、野手の皆が歓声を上げた。
「でも!投手は連投させるわけにはいかないから、今日か明日のどちらかだけだ!」
アメリカを相手に投げるか、台湾を相手に投げるか…悩むなぁ。
監督!どっちも投げたいよ!
「それじゃ、今日投げたい奴は挙手!」
「「はい!」」
監督の言葉に俺と成宮が同時に手を上げた。
「練習試合とは言っても、俺はどっちも勝つつもりだからな。だから、パワプロと成宮には
投げる日をわけてもらうぞ。」
なんですと!?
俺と成宮の目が合う。
「そう言うわけで、パワプロと成宮!ジャンケンだ!」
絶対に負けられない戦いがここにある…。
俺と成宮は、得点圏にランナーを置いたピッチャーの如く、気合いを入れて
ジャンケンをしたのだった。
◆
東京シニア選抜チームとアメリカ中学生選抜チームの練習試合。
先発のマウンドには成宮が立っていた。
そう、俺はジャンケンに負けてしまったのだ。
ちくしょ―――!
「パワプロ~。ちゃんと応援しろよ~。」
「はい!」
そして、東京シニア選抜チームとアメリカの中学生選抜チームとの練習試合が始まった。
先手を取ったのは東京シニア選抜チームだった。
一回の表、成宮はアメリカチームを3人で抑える。
そして一回の裏、一番バッターのカルロスは四球で出塁すると、盗塁を決めた。
二番バッターの白河は、セーフティバントをした。
白河はアウトになったものの、カルロスは進塁してワンアウト、三塁のチャンス。
三番バッターは、インコースのボールを打ち上げて内野フライ。
これでツーアウト、三塁。
そして、次は四番バッターの一也だ。
一也は右中間へとタイムリーツーベースヒットを放った。
俺達、東京選抜チームが先制点を取ったぜ!
一回の裏はこの1点で攻撃が終わった。
そして、二回、三回と試合が進んでいくが、アメリカチームは成宮を中々攻略出来なかった。
だけど、打者二巡目となる四回の裏。
ついにアメリカチームが成宮に牙を剥いた。
四回の裏の先頭打者が成宮からソロホームランを放つと、試合の流れは
アメリカチームへと渡る。
2人目、3人目と成宮は連続でヒットを打たれてしまった。
そして、ノーアウト、1、3塁の場面で迎えるのはアメリカチームの四番バッター。
成宮は勝負を選択。
結果は…スリーランホームランだった。
低めのフォークボールを態勢を崩しながら拾い上げる様な形で打ったボールは、
俺達の予想を超えて伸びていったのだ。
この結果に、成宮は打球の行方を見たまま呆然としていた。
ここで監督が出ていって投手交代。
その後、東京選抜チームは継投をしてアメリカチームの打線を抑えていった。
試合はなんとか同点に追い付いて七回を終了。
練習試合の為、延長戦は無しである。
俺達、東京選抜チームとアメリカチームの練習試合は、引き分けの結果に終わったのだった。
次の投稿は13:00の予定です