『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です


第67話

パワプロ達がシートバッティングをした日の練習後、片岡はクリスを監督室に呼び出していた。

 

「失礼します。」

 

ドアをノックをして、そう言った後にクリスが入室すると、監督室には片岡と高島、

そして太田が待っていた。

 

「クリス、肩はどうだ?」

「問題ありません。」

 

片岡はクリスの返事に1つ頷く。

 

「呼び出した理由はわかるか?」

「…シートバッティングでのミスの事だと思います。」

 

片岡はクリスの返事にまた1つ頷く。

 

「原因はわかっているか?」

「身体を動かす際の感覚のずれ、そして、試合勘が無くなった事だと思います。」

 

そう答えるクリスだが、その表情に悲壮感は無く、しっかりと片岡の目を見ていた。

 

「春季大会と、夏の大会前の練習試合で様子を見る。その結果次第で、夏の大会では外す。」

「はい!チャンスを頂き、ありがとうございます!」

 

そう言いながらクリスは頭を下げると、監督室を退室していった。

 

「大丈夫でしょうか、片岡先生。」

 

太田が心配そうに声を上げる。

 

「元プロの、クリスくんのお父さんがトレーナーについてリハビリをしていった事で、

 クリスくんの身体は、怪我前に比べて一回り大きくなりました。それが身体の

 感覚のずれに繋がったのでしょう。」

 

高島が資料を見ながらそう言うと、片岡は肯定する様に頷いた。

 

「高島先生の言う通りでしょう。」

「なら、公式戦ではなく、練習試合や紅白戦でじっくり戻した方がいいのでは?」

「太田部長の意見もわかります。ですが、厳しいリハビリを終えたクリスに

 チャンスを与えてやりたいのです。」

 

そう答える片岡の言葉に、太田部長はため息を吐きそうになって堪えた。

 

「責任は私がとります。今はクリスを含めた、あいつらの成長を見守ってやってください。」

 

強い意思を見せる片岡の目に、高島と太田は信頼を見せるように頷いたのだった。

 

 

 

 

いよいよ春季大会が明日へと迫った日の練習後、片岡さんから

春季大会のレギュラーが発表された。

 

春季大会の東京地区予選では、基本的に1年生の出番は無いらしい。

 

理由としては、夏の大会前に西東京地区の高校に情報を与えない為のようだ。

 

でも、俺は丹波さんと2人で先発をすると言われた。

 

やったぜ!

 

丹波さんが先発をする時は、3年生の捕手の人と組むらしい。

 

そして、俺はクリスさんとバッテリーを組む様だ。

 

頑張りましょうね、クリスさん!

 

俺がそう言うと、クリスさんは「葉輪、迷惑を掛ける」と言ってきた。

 

俺がクリスさんの言葉に首を傾げると、クリスさんは苦笑いをしたのだった。

 

 

 

 

「フーくん、明日から春季大会だね。」

「うん、待ち遠しいよ、貴子ちゃん。」

 

片岡さんの話しの後、いつも通りに貴子ちゃんと2人で手を繋いで帰っているんだけど、

貴子ちゃんの顔は少し赤くなっている。

 

原因は帰る前に、マネージャー仲間にからかわれたせいだろうな。

 

貴子ちゃんをからかったのは、俺と同級生の…えっと、夏川と梅本…だったかな?

 

その2人にからかわれたので、貴子ちゃんは顔を赤くしているのである。

 

顔を赤くしながら、少し恥ずかしがっている貴子ちゃんは凄く可愛い。

 

夏川、梅本…グッジョブ!

 

「貴子ちゃん、マネージャーの先輩の事、残念だったね。」

「うん。でも、後を任されたんだから、頑張らないとね。」

 

先日、1人だけいた3年生のマネージャーの人が、大学の受験勉強に

専念する為に退部していった。

 

貴子ちゃんの話では、その人は元々2年生までで辞めると家族と約束していたのだが、

貴子ちゃんに色々と引き継ぎをする為に残っていたそうだ。

 

そういった事があり、春季大会からは貴子ちゃんが、マネージャーとして

ベンチに入る事になったのだ。

 

「お互いに頑張ろうね、貴子ちゃん。」

「うん。」

 

貴子ちゃんは、そう返事をしながら笑顔になる。

 

貴子ちゃんの笑顔…可愛いぜ!

 

その後は、いつも通りに貴子ちゃんと話しながら、家へと帰っていったのだった。




本日は5話投稿します

次の投稿は9:00の予定です

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