『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

73 / 291
本日投稿5話目です


第71話

春季大会の東京地区予選の第3回戦に勝った青道高校は、順調に勝ち上がっていった。

 

第4回戦で先発した丹波さんは、打線の援護に恵まれた事もあり、7回まで投げ抜いた。

 

結果として4失点してしまったが、降板した時の丹波さんの表情は悪いものではなかった。

 

8回から登板した純さんは、2回を6人でキッチリと抑えた。

 

試合後に純さんは、「いつでも先発と代わるぞ、丹波!」と言っていた。

 

そんな純さんと丹波さんは、不敵に笑いあって拳を合わせていた。

 

うん、いいライバル関係だ!

 

俺も交ぜて欲しいぜ!

 

さて、第5回戦で先発した俺は、8回を投げて4失点だった。

 

第3回戦の時の様にホームランを打たれたわけでは無いんだけど、バント等をからめられて、

相手チームに着実に点を取られてしまったんだよね。

 

でも、その点を取られた時にクリスさんが、また自分のミスだと言ってきてビックリした。

 

クリスさんが言うには、守備のシフトとかの対応を間違えたらしい。

 

う~ん、キャッチャーって大変なんだなぁ…。

 

そんな感じで俺は8回を投げきって、3年生の投手と交代したわけだ。

 

3年生の投手の人はランナーを1人出したものの、0点に抑えたぜ!

 

こうして第5回戦まで勝った青道高校は今日、第6回戦となる東京地区予選の決勝戦に挑む。

 

相手チームは東東京地区の黒士舘高校だ。

 

俺は第5回戦で先発したので、ベンチで見学である。

 

そんな俺は、第5回戦の事をクリスさんと話しながら歩いていると、

球場に入る前に黒士舘高校の人に声を掛けられて、足を止めたのだった。

 

 

 

 

「クリス!」

 

そんな声に俺とクリスさんが振り向くと、そこには黒士舘高校の人がいた。

 

「財前か、膝の調子はどうだ?」

「おう、リハビリも順調だぜ!その件ではサンキューな、クリス!」

 

ん?どういうこと?

 

俺が首を傾げていると、クリスさんが説明をしてくれた。

 

「葉輪、去年の学校見学の時の事を覚えているだろう?俺が太田部長に病院に

 連れて行ってもらった時に、財前も病院にいたんだ。」

 

クリスさんの話しを聞きながら、俺は財前という人を見る。

 

う~ん、どっかで会った事があるような?

 

「その様子だと、財前の事は覚えていないか。」

「はい!会った事がある気はしますが、思い出せません!」

 

俺がハッキリと答えると、財前という人は頭を抱えて、クリスさんは苦笑いした。

 

「すまんな、財前。」

「いや、気にするな。俺は葉輪や成宮程、シニアでは有名じゃ無かったからな。」

 

すいません、名前とか覚えるの苦手なんです。

 

「話を戻すぞ?病院にいた財前なんだが、財前は去年の夏の大会で起こったアクシデントで、

 膝の靭帯を断裂してしまったんだ。」

 

靭帯断裂!?大怪我じゃないか!

 

「財前さん、大丈夫なんですか?」

「あぁ、靭帯断裂って聞いて病院でヘコんでいた俺に、クリスの怪我を聞いてすっ飛んできた

 クリスの親父さんが、俺の手術費用も出してくれて、手術を受ける事が出来たからな。」

 

おぉ!さすが元プロ!太っ腹だな!

 

「クリス、改めて礼を言わせてくれ。ありがとう。」

 

そう言うと、財前さんはクリスさんに深く頭を下げた。

 

「財前、礼は親父に言ってくれ。」

「いや、あの時、アニマルさんを説得してくれたのはクリスだ。もちろんアニマルさんにも

 感謝してる。でも、俺の恩人は間違いなくクリスだ。」

 

そう言いながら、財前さんはクリスさんに頭を下げ続けている。

 

「わかった。財前、礼の言葉は受け取らせてもらう。だが、借りはしっかりと

 復帰してからプレイで返してくれ。」

「あぁ、重ねてありがとな、クリス!」

 

財前さんは顔を上げると、ニッと笑顔を見せた。

 

「それで、復帰はいつ頃になりそうなんだ?」

「今年の夏には間に合わねぇが、秋には大丈夫だぜ。」

 

財前さんの言葉に、クリスさんが笑みを浮かべる。

 

「そうか。」

「あぁ、投球フォームなんかも、1から作り直しているからな。焦らずにいくさ。」

 

そう言うと、財前さんは手を差し出して、クリスさんと握手した。

 

「今日はスタンドから見学だが、必ずマウンドに戻る。」

「あぁ、待っているぞ。財前。」

 

財前さんは、笑顔で手を振りながら歩いていった。

 

その後、青道と黒士舘の決勝戦は、丹波さんの奮闘に応える様に打線が爆発した、

青道高校が勝利したのだった。

 

これで、青道高校は春季大会の関東大会への出場が決まったぜ!

 

関東大会も楽しみましょうね、クリスさん!




これで本日の投稿は終わりです

また来週お会いしましょう

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。