『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です


第80話

夏の大会前の合宿も遂に終盤に突入して、練習試合の日がやって来た。

 

今年の練習試合は2日間で3試合行われるらしい。

 

1日目は2試合のダブルヘッダー。

 

2日目が1試合という形で練習試合をしていくそうだ。

 

さて、1日目の1試合目の先発は純さんが選ばれた。

 

ここまで、中々先発の機会に恵まれなかった純さんは、疲労なんて吹っ飛んだ様に

気合い十分な様子でマウンドに上がった。

 

そんな純さんのボールを受けるのはクリスさんだ。

 

ただ、身体は正直な様でボールにはいつものキレが無い。

 

純さんは、ツーシームを中心に打たせてとるピッチングをしていった。

 

時折、打球が守備の間を抜けていってしまうが、抑えをしてきた経験からなのか、

マウンドの純さんは慌てる事なく、しっかりバッターと向き合ってピッチングをしていく。

 

そして純さんは、6回を被安打9、奪三振1、失点3の結果でマウンドを降りた。

 

純さんの後は、3年生の先輩方が登板、継投していって、相手打線を抑えていった。

 

青道打線は疲労がある中でも、東さんを中心に打点を重ねていき、5ー4で勝利した。

 

ダブルヘッダーとなる2試合目は、丹波さんが先発のマウンドに上がる。

 

丹波さんのボールを受けるのは、3年生の捕手の人だな。

 

相手チームは、春季大会でも戦った東東京地区の黒士舘高校だ。

 

その黒士舘高校との練習試合の前、財前さんが俺とクリスさんの所にやって来たのだった。

 

 

 

 

「よう!クリス、葉輪!」

 

呼ばれた声に振り向くと、そこには黒士舘高校の財前さんがいた。

 

「春季大会以来だな、財前。」

「お久し振りです、財前さん。」

「おう!今日はよろしくな!」

 

財前さんはニッと笑顔で手を差し出して来たので、俺とクリスさんは握手した。

 

「今日は試合に出るのか、財前?」

「あぁ、夏の大会には出られねぇが、2、3イニング投げる予定だ。」

 

おぉ!?財前さん、復活の予兆か!?

 

「そうか。良かったな、財前。」

「まぁ、膝の調子を見ながらだから、全力で投げられねぇけどな。」

 

そう言いながら、財前さんは苦笑いするけど、その様子は嬉しそうだ。

 

「それで、今日は葉輪が投げるのか?」

「いや、今日の先発は丹波だ。」

「そうか。まぁ、丹波のカーブはやっかいだし、うちのチームのいい経験になるか。」

 

財前さんは1人納得した様に何度も頷いている。

 

「そんじゃ、俺もアップしなきゃいけねぇから、もう行くぜ!」

「あぁ。」

 

クリスさんの返事に、財前さんは軽く手を上げて去っていった。

 

 

 

 

青道高校と黒士舘高校の練習試合、先発の丹波さんはカーブと新変化球のフォークを使って、

黒士舘打線と勝負していった。

 

だけど疲労からか、丹波さんのフォーシームは甘いコースに行ってしまい、

痛打されて何度もピンチの場面を背負ってしまっていた。

 

それでも、丹波さんは大崩れする事なく、黒士舘高校と堂々と渡り合っていく。

 

丹波さんは6回を、被安打11、奪三振6、失点3の結果だった。

 

対する黒士舘高校は、6回の裏で逆転を狙う青道打線に財前さんをぶつけてきた。

 

6回裏のマウンドに上がった財前さんは、ツーシームやカットボールといった、

ムービング系のボールを使って、球数を抑えながらピッチングをしていく。

 

そんな財前さんのピッチングに、青道打線はゴロの打球を量産してしまい、

6、7、8回の攻撃を0点に抑えられてしまった。

 

財前さんが降板して迎えた9回の裏の青道高校の攻撃。

 

2ー6で青道は4点差を追いかける状況だ。

 

合宿による疲労と、ダブルヘッダーによる体力の消耗で、青道の皆の動きにはキレが無い。

 

それでも青道の皆は、誰1人として逆転を諦めていなかった。

 

その執念が実ったのか、9回の裏の攻撃で、6ー6の同点に追い付いた。

 

だけど、青道の追撃もここまでだった。

 

黒士舘高校との練習試合は6ー6の引き分けで終わった。

 

これで1日目の練習試合は終了!

 

明日は俺が先発予定で、相手は大阪桐生高校という、去年の夏に甲子園に出場した

強豪高校との事だ。

 

よっしゃ!やってやるぜ!




次の投稿は午後3:34の予定です

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