『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です


第82話

大阪桐生高校との練習試合は0ー0の引き分けに終わった。

 

疲労のピークに達していた青道打線は、大阪桐生のエースの館さんを攻略しきれなかった。

 

館さんからヒットを打ったのは、今日のメンバーの中では比較的に元気だった東さんと、

試合後に読みが当たったと言っていた一也、そして俺の3人による4本だけだった。

 

ちなみに、2本は一也で俺と東さんはヒット1本だけだった。

 

リトルの頃クリスさんに、『葉輪は投手だからデッドボールに気をつけろ』って言われてから

インコースだけを意識している。だからアウトコースに投げられたら全く打てないんだよね。

 

もっとも、インコースでも打てないんだけどな!

 

ちなみに俺は3回の表のセーフティバントと、館さんに打たれたヒットの2本だけで完封した。

 

そんなこんなで練習試合が終わって日が進み、遂に合宿は最終日となった。

 

そして、片岡さんから夏の高校野球選手権大会の1軍メンバーが発表されたのだった。

 

 

◆

 

 

「背番号11、葉輪!」

「はい!」

 

俺の名前が呼ばれた!

 

やったぜ!

 

片岡さんから背番号を受けとると、俺は1軍に選ばれたメンバーに目を向ける。

 

背番号1は丹波さんだ。

 

残念ながらエースナンバーは奪えなかったな。

 

丹波さん!秋には俺が1番を貰いますよ!

 

正捕手にはクリスさん、控え捕手には一也が選ばれた。

 

一也が言うには、バッティングが正捕手を奪えなかった理由みたいだな。

 

1塁手には哲さん、2塁手には亮さん、3塁手には東さんが選ばれた。

 

後、名前と顔が一致しているのは、抑えに選ばれた純さんだけだな。

 

他のメンバーは東さん以外の3年生だ。

 

「このメンバーで夏の大会を戦っていく!以上、解散!選ばれなかった3年は残れ。」

 

片岡さんの号令で合宿は終わりとなり、青道の1軍メンバーは夏の大会に向けて、

それぞれ疲労を抜いたりと準備をしていくのだった。

 

 

◆

 

 

合宿終了後、青道の1軍メンバーが疲労を抜こうと休んでいる中で、丹波は1人、

黙々とシャドウピッチングをしていた。

 

「ハァ、ハァ、後、30!」

 

大汗を流して自主練習を続けている丹波の元に、風呂上がり姿の東がやって来た。

 

「何やっとるんや、丹波?」

「東さん…。」

 

声を掛けた東の目には、丹波の姿が、まるで9回の裏のサヨナラの場面を背負う投手に見えた。

 

「合宿は終わったのに疲労を抜かんでどうすんねん。そんなんやと、大会前にぶっ倒れるで。」

 

東の言葉に、丹波はシャドウピッチングに使っていたタオルを、ギュッと握り締める。

 

「東さん、俺がエースナンバーを背負っていいんでしょうか?」

「なんや、そんな事を悩んどったんかい。」

 

ため息混じりに言う東の言葉に、丹波は顔を上げる。

 

「正直に言うと、実力なら間違いなく葉輪がエースやろうな。」

「はい、俺もそれはわかっています。だから…。」

「丹波、お前はまだ1年の葉輪に重荷を背負わせるんか?」

 

丹波は驚き、目を見開く。

 

「お前がそんだけプレッシャーに感じとるもんを、後輩の葉輪に

 背負わせるなんてカッコ悪いやんか。」

「カッコ悪い…。」

「そうや。それに、夏の大会に出たい奴なんてぎょうさんおんのやで?そんな連中を

 押し退けてお前は選ばれたんや。胸を張らんかい、丹波!」

 

先程までどこか頼りなかった丹波の背中が、東の言葉でピンッと伸びた。

 

「よっしゃ!そしたら、さっさと風呂に入ってこいや。サッパリすれば、

 気分転換にもなるやろうからな。」

「はい!」

 

丹波は東に深々と頭を下げると、走って去っていった。

 

「まったく…世話の掛かる後輩やで。」

 

東は頭をガシガシと掻きながらため息を吐く。

 

「やけど、ノミの心臓だった丹波も、ええ目をするようになったやないか。」

 

そう言うと、東は走り去っていった丹波の方へチラリと目を向ける。

 

「面と向かっては言えへんけど…頼りにしとるで、丹波。」

 

東はニッと笑みを浮かべると、機嫌の良い足取りで寮の自室へと歩いていったのだった。




本日は5話投稿します

次の投稿は9:00の予定です
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