『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です


第85話

「4ー0で青道高校の勝ちです!礼!」

「「「ありがとうございました!」」」

 

試合後の挨拶も終わって帰り支度をしていると、俺の所に楊がやって来た。

 

「葉輪、今日は俺の完敗だ。」

 

そう言って楊が手を差し出してきたので握手をする。

 

「今日の俺は、そちらの4番にホームランを打たれた後、仲間を気遣う余裕が無かった。

 あの不用意な投球が無ければ、まだ勝負はつかなかったと思うと後悔しかない…。

 4番のホームランよりも、その後のヒットの方が悔しく感じている。」

 

楊は一息ついてから話を続けた。

 

「今日の反省を活かして、ピッチングだけでなく、バッティングも磨いてくる。

 秋の大会で試合をする事になったら、また投げ合いたいな。」

「おう!また投げ合おうぜ!」

 

俺がサムズアップして楊の言葉に応えると、楊は笑みを浮かべてから戻っていった。

 

 

 

 

明川学園に勝って迎えた4回戦。

 

先発した丹波さんは、2回戦とは別人の様な投球を見せた。

 

4回まで1人のランナーも出さずに相手打線を抑える、見事なピッチングを披露した。

 

だけど、5回に高めに抜けたフォークを外野まで運ばれると、

丹波さんのピッチングのリズムが狂ってしまい連打を浴びた。

 

5回だけで3失点した丹波さんだったが、その後は抑えて7回3失点で降板した。

 

その後は9回に登板した純さんが、ソロホームランを浴びたりしたが、

試合は8ー4で青道の勝利だ!

 

そして準決勝で戦うのは成宮がいる稲城実業のようだ。

 

成宮!勝負だ!

 

 

 

 

「パワプロ!」

 

試合をする球場のグランドでアップをしていると、俺と一也の所に成宮がやって来た。

 

「今日は俺が勝って甲子園に行くからな!」

 

成宮が俺を指差して宣言をしてくる。

 

「おう!俺も負けないぜ!」

 

成宮はフンッ!と鼻を鳴らすと、チームメイトの元へ戻っていった。

 

「パワプロ、今日は勝負所でスライダーを使う。」

 

俺は驚いて一也の顔を見ると、楽しみで笑顔になる。

 

「遂に解禁か!?」

「あぁ、片岡監督の許可も取ってある。パワプロ、甲子園に行こうぜ。」

「おう!」

 

俺と一也はハイタッチをすると、アップを終えた皆が待つベンチに戻って行くのだった。

 

 

 

 

「今日の試合、マスクは御幸に被ってもらう。クリス、お前はベンチだ。」

 

今日の試合のスタメン発表で告げられた片岡さんの言葉に、クリスさんが表情を曇らせた。

 

「甲子園を勝ち抜いていくのは長丁場になる。その中で疲労が溜まっていけば

 プレーの質は下がり、怪我にも繋がっていく。」

 

甲子園の言葉に、青道の皆の表情が引き締まった様に見える。

 

「特に、夏の暑い時期に防具を着用してプレーするキャッチャーは、自身が感じる以上に

 疲労が溜まっていく筈だ。甲子園に乗り込む前に、控え選手にも大会の雰囲気を体験させて

 いつでも代われる様にしておく必要がある。これはクリスだけに限った事では無い。」

 

そこまで言うと、片岡さんは皆の顔を見渡した。

 

「たとえ代えられても、レギュラーの者達は気持ちを切らすな!そして、チャンスを

 与えられた者は全力で掴み取って見せろ!」

「「「はい!」」」

 

皆が大きな声で片岡さんに返事をした。

 

うん。曇っていたクリスさんの表情も晴れているな。

 

「葉輪、今日の試合はお前1人で投げきるつもりで行け。」

 

あれ?いいの?

 

「中継ぎや抑えの者を休ませる事が出来るのは大きい。その価値は大会を勝ち進めば、

 より大きくなるだろう。成宮との投げ合いに勝って見せろ!」

「はい!」

 

片岡さんは1つ頷くと、皆の顔を見渡してから話を続けた。

 

「稲城実業に勝てば、おそらく決勝の相手は市大三高だろう。西東京地区を代表する

 強豪と連戦になるが、勝ちきって甲子園に行くぞ!」

「「「はい!」」」

 

片岡さんの檄に皆が応えると、稲城実業との試合が始まるのだった。

 

よっしゃ!やってやるぜ!




次の投稿は午後3:34の予定です

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