『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です


第8話☆

ガシャン!

 

ブルペンの後ろに立ててあるフェンスに俺が投げたボールがぶつかる。

 

「あるぇ?」

 

イメージと違うボールに俺は首を傾げる。

 

だが、そんな俺の脳内に機械音が響く。

 

ピロン♪

 

吃驚して身体をビクッとさせる俺を見てコーチとクリスさんが首を傾げながら近寄ってくる。

 

「大丈夫か、パワプロ?怪我でもしたか?」

「い、いえ!大丈夫です!頑丈なのが取り柄なので!」

「そうか?まぁいきなりストライク投球なんて難しい事は言わないからな。まずは楽しめ。」

 

そう言ってコーチは俺の被っている帽子をポンッと軽く叩いてから離れていく。

 

クリスさんも俺に直接ボールを渡すと元の場所に戻っていった。

 

「なんの音だったんだ?」

 

俺はなんとなく能力を使って操作画面を開くとそこには1つの通知があった。

 

 

※基礎能力の表示と成長の一部が解放されました。

 

 

お?

 

通知されていた言葉が気になって俺は基礎能力のページを開く。

 

 

基礎能力

 

最高球速:60km(所属カテゴリーでの成長限界110km)

 

制球:G

 

スタミナ:F

 

 

うわぁ…俺の能力低すぎ?

 

能力表示の詳細が気になるので目線でポチポチ操作する。

 

 

能力表示の詳細

 

・能力のランクは所属カテゴリーを参照して表示される。

・能力のランク評価は以下の物である。

 

・G:素人

 

・F:二軍控え

 

・E:二軍スタメン

 

・D:一軍控え

 

・C:一軍スタメン

 

・B:一軍主力

 

・A:タイトル争いをする一流選手

 

・S:天才、怪物と呼ばれる超一流選手

 

 

どうやら俺の現在の能力は八段階評価の下の方らしい。

 

しかし、所属カテゴリーって事はシニアとかに上がったら能力の表示ランクが変わるって事?

 

う~ん…よくわからん!

 

でも、取り合えずこの素人レベルの制球は成長させた方がいいだろうなぁ…。

 

俺はポチポチと制球にポイントを振っていく。

 

 

基礎能力

 

最高球速:60km(※110km)

 

制球:F

 

スタミナ:F

 

 

よし!まずはこれで試してみよう!

 

「お待たせしました!次行きます!」

 

そう言って俺は大きく振りかぶって投げる。

 

パシッ。

 

俺の投げたボールはホームベース手前辺りでバウンドしてからクリスさんのミットに入る。

 

「ノォ―――!」

 

制球の能力を上げても変わんないじゃん!

 

クリスさんがため息を吐きながらボールを投げ返してくる。

 

俺はボールを受けとるともう一度投げ込む。

 

上に逸れたボールをクリスさんが飛び上がって捕る。

 

そんな感じで荒れすぎるボールを十球ほど投げた頃、クリスさんがボールを投げ返さずに

マウンドに歩いて近づいてきてこう言った。

 

「…ヘボピッチャー。」

「ガーン!」

 

俺はクリスさんの言葉に頭を抱えて身を捩るオーバーリアクションで反応する。

 

ちくしょう!制球Fじゃあかんのか?それならEに…!

 

そんなふうに考えているとクリスさんにミットで軽く頭を叩かれる。

 

「うぇい!?」

「落ち着いたか?」

 

俺はクリスさんの言葉に何度も頷く。

 

「投げてみてどうだった?」

「ボールをぜんぜんコントロール出来ません!」

 

「キャッチボールでも同じか?」

「いえ!キャッチボールなら結構狙った所に行きます!」

 

「そうか…なら足元を見てみろ。」

「足元?」

 

俺はクリスさんの言葉に従い視線を下に向ける。

 

「何がある?」

「マウンドです!」

「マウンドを横から見てみろ。」

 

俺はクリスさんの言葉に従ってマウンドを下りて横から見てみる。

 

「キャッチボールをしている時との違いはわかったか?」

「…マウンドの傾斜?」

「そうだ。それを考えて投げてみろ。」

 

そう言ってクリスさんが俺にボールを渡してくる。

 

「それと、リリースを安定させろ。」

「リリース?」

「投げる時にボールを放す場所だ。お前のリリースは一回毎にバラバラだぞ。」

 

そう言ったクリスさんはボールを受ける場所へと歩いていく。

 

傾斜にリリースか…。

 

俺は能力画面を開いて目を通していく。

 

 

特殊能力

 

『リリース○』

 

・投球毎の腕を振る角度とリリースポイントが安定する特殊能力である。

・使用している投球フォームに適したリリースポイントで投げる事が出来るようになる。

・上記の事から『球持ち○』との同時取得は出来ない。

 

 

おぉ!なんてタイムリーな能力だ!

 

俺は速攻でポチって能力を取得する。

 

平均で500程あったポイントが100程まで減ってしまったが気にしない。

 

ふふふ、行ける!

 

今度こそミットに投げ込んでやるぜ!

 

「行きます!」

 

マウンドの傾斜を意識しながら大きく振りかぶってから踏み込んでいく。

 

左腕を振り始めると感覚的にどこで放せばいいのか直感でわかる。

 

俺はその直感に従ってボールを放る。

 

すると、ボールはクリスさんに届かずにワンバウンドするのだった。

 

あるぇ~?




次の投稿は13:00の予定です

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