『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です


第95話

夏の高校野球選手権西東京地区大会の決勝戦が始まった。

 

相手は西東京地区の強豪校の1つである市大三高である。

 

決勝戦の先攻は青道高校だ。

 

1回の表、市大三高の先発マウンドに上がるのは2年生エースの真中 要という人だ。

 

真中さんは高速スライダーが決め球らしい。

 

そんな真中さんが投げる1回の表、真中さんは立ち上がりが安定せずに、

青道高校の1番バッターである亮さんを四球で出塁させてしまった。

 

2番バッターの3年生の先輩はバントで亮さんを2塁に送った。

 

1回の表から早くも得点のチャンスが訪れたぜ!

 

だけど3番バッターの3年生の先輩は、真中さんの高速スライダーで

三振に抑えられてしまった。

 

そして続くチャンスの場面で登場するのは、青道の4番バッターである東さんだ。

 

東さんは1球目を見送ると、2球目の高速スライダーを左中間方向にフェンス直撃となる、

タイムリーツーベースヒットを打った。

 

ツーアウトながらも続くチャンスの場面。

 

次のバッターは5番のクリスさんだ。

 

真中さんはまだコントロールが安定しないのか、ツーボール、ノーストライクと

ボールカウントが先行してしまう。

 

そして、真中さんが投げた3球目…。

 

カキンッ!

 

金属バットの快音を残して打球はセンター方向に高々と飛んでいく。

 

クリスさんはストライクを取りにきた甘いコースのフォーシームを逃さずに、

しっかりとバットを振り抜いていた。

 

1塁に走るクリスさんは確信があるのか、右手で軽くガッツポーズをしている。

 

そのクリスさんの確信通りに、打球はセンターフェンスを超えてホームランとなった。

 

これで1回の表で3点のリードだ!

 

ランナーがいなくなった事で余裕が出来たのか、真中さんは6番バッターの哲さんを

高速スライダーで三振に抑えて1回の表を終えたのだった。

 

 

 

 

1回の裏、青道高校の先発である丹波はマウンドで右手を左胸に当てていた。

 

(3点のリードを貰っている…。無理に抑えにいく必要は無い。)

 

丹波は大きく息を吐き出すと、ロージンバッグを手に取る。

 

(真っ直ぐ、カーブ、フォーク、しっかりと腕を振れ!)

 

マウンドの横にロージンバッグを置くと、丹波はまた大きく息を吐き出す。

 

(カッちゃん…。俺の憧れのヒーロー…。)

 

憧れのヒーローの背中が手の届く所まで来ている。

 

その事が丹波の心を高揚させていた。

 

(落ち着け、俺には葉輪の様に楽しめる度胸は無い…。)

 

丹波は額の汗を腕で拭って帽子を被り直す。

 

「だけど、俺も少しぐらいはカッコつけたい。」

 

そう呟くと丹波は打席に入ってくる市大三高の1番バッターを見据える。

 

(行くよ、カッちゃん。俺は今日、カッちゃんを超える!)

 

そう心の中で決意した丹波はクリスの出したサインに頷き、

しっかりと腕を振ってボールを投げ込むのだった。




次の投稿は午後3:34の予定です

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