『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿5話目です


第96話

青道高校と市大三高の試合の1回の裏、丹波は市大打線を三人で抑えた。

 

2回の表の真中はまだ制球が安定しないのか、先頭の7番バッターを四球で

出塁させてしまったが、得点を許さずに無失点で切り抜けた。

 

2回の裏の丹波は市大の4番バッターに長打を浴びると、続く5番バッターに

シングルヒットを打たれてノーアウト、1、3塁のピンチの場面を迎える。

 

だが、この試合の丹波はピンチの場面でも堂々としていた。

 

6番バッターに犠牲フライを打たれて1失点をしてしまったものの、

続く7番バッターをフォークでセカンドゴロゲッツーで抑えて、

2回の裏を1失点で切り抜けた。

 

3回の表の真中は制球が安定して、青道の2番、3番バッターを決め球の

高速スライダーで連続三振に抑えた。

 

だが続く4番バッターの東にソロホームランを浴びると、また制球が乱れる。

 

真中は5番のクリスを四球で歩かせると、市大三高ベンチはエースの真中を落ち着かせる為に

真中を左翼手の守備につかせた。

 

ツーアウトの場面で登板した市大三高の投手は、青道の6番バッターである結城に

右中間へのツーベースヒットを打たれた。

 

この結城のツーベースヒットはクリスの好走塁もありタイムリーヒットとなる。

 

続く7番バッターが凡打に倒れた事で3回の表は終わりとなったが、

これで5ー1と青道高校が4点をリードした。

 

4点リードで迎えた3回の裏、丹波は市大三高の先頭打者をカーブで三振に抑える。

 

そして、ワンアウト、ランナー無しの状況で打席に向かう真中は、

堂々とマウンドに立つ丹波へと目を向けるのだった。

 

 

 

 

真中は打席に入る前の素振りをしながら、マウンドの丹波にチラリと目を向ける。

 

(変わったな、光一郎。いや、成長したのか。)

 

真中と丹波は同じ中学校の幼馴染みである。

 

(いつも俺の後ろをついてきていたお前が、今では強豪の青道高校の背番号1を

 背負う様になったのか…。)

 

真中は打席でしっかりと足場を作ると、1つ息を吐いてからバットを構える。

 

マウンドの丹波はクリスのサインに頷くと、しっかりと腕を振ってボールを投げ込む。

 

丹波が投げ込んだのはフロントドアとなるカーブ。

 

ボールは真中の肩の高さからストライクゾーンへ向かって変化していく。

 

「ボール!」

 

主審の判定はボールで、カウントはワンボール、ノーストライク。

 

(立ち上がりに乱れた俺と違って、光一郎はしっかりと試合を作っている…。

 何がお前をそんなに成長させたんだ?)

 

クリスからの返球を受け取った丹波は、プレートを外してロージンバッグを手に取る。

 

(投げ急ぐ事もなく、自分で間合いを調整している…。本当にあの光一郎か?)

 

ロージンバッグをマウンドの横に置いた丹波は、帽子の鍔に手をやってからサインを見る。

 

(光一郎、お前の成長は認めよう。…だが!)

 

サインに頷いた丹波は、しっかりと腕を振ってアウトローにフォーシームを投げ込む。

 

しかし…。

 

カキンッ!

 

(この試合、勝つのは俺達だ!)

 

真中が打った打球は、ライナーで右中間へと飛ぶツーベースヒットとなる。

 

セカンドベースに滑り込んだ真中は、マウンドの丹波を鋭い視線で見据える。

 

(光一郎、お前に甲子園はまだ早い!)

 

スコアリングポジションにランナーを背負った丹波は帽子の鍔に目を向けると、

マウンドで大きく息を吐き出したのだった。

 

 

 

 

3回の裏、真中のツーベースヒットがキッカケで丹波は2失点をしてしまうと、

市大三高に2点差まで追い上げられてしまう。

 

しかし丹波は粘り強く投げて3回の裏を切り抜けると、かつてノミの心臓だったとは

思えない大きな声を上げてベンチに戻っていった。

 

準決勝の投手戦と違い、打撃戦となった青道高校と市大三高の決勝戦。

 

両校の戦いは2点差で中盤戦へと突入するのだった。




これで本日の投稿は終わりです

また来週お会いしましょう

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