『パワプロ成長』でダイヤのA   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です


第97話

青道高校と市大三高の試合は中盤となる4回に突入した。

 

4回の表の青道高校の攻撃は8番バッターから始まったが、市大三高の投手に

2人連続で打ち取られてしまった。

 

だが、青道高校はツーアウトから1番バッターの小湊がヒットで出塁すると、

続く2番バッターもヒットを打って、ツーアウト、1、3塁のチャンスを迎えた。

 

ここで市大三高はレフトの守備についていた、エースの真中 要をマウンドに呼び戻した。

 

真中はベンチの期待に応えてこのピンチの場面を三振で切り抜けた。

 

4回の裏、マウンドに上がった丹波は市大三高の先頭打者である

5番バッターにヒットを打たれてしまう。

 

ノーアウトでランナーを出した市大三高はバントでランナーを

スコアリングポジションに送ってチャンスの場面を作る。

 

このランナーをホームベースに帰されてしまい丹波は失点をして1点差に

追いつかれてしまうが、丹波は落ち着いて1つずつアウトを重ねていき追撃を許さなかった。

 

1点差に追いつかれた5回の表の青道高校の攻撃。

 

先頭打者は4番バッターの東からだ。

 

東は真中からフェンス直撃となるセンターオーバーのヒットを打ったが、予め深めに

守備位置を取っていた中堅手に、打球を素早く捌かれてシングルヒットにされてしまった。

 

続く5番バッターのクリスは、調子の上がった真中の高速スライダーで打ち取られてしまう。

 

5回の表、ワンアウト、1塁で青道高校が1点リードの状況。

 

ここで打席に立った6番バッターの結城がホームランを打った。

 

これでスコアは7ー4と青道高校が3点リードした。

 

マウンドでガックリと項垂れた真中は、次の7番バッターを四球で歩かせてしまった。

 

市大三高ベンチはここでタイムを取り、真中とレフトの選手の守備位置を交換した。

 

青道打線に打ち崩されても真中は市大三高のエースである。

 

市大三高の監督は、真中にグランドで仲間を鼓舞し続ける事を望んだのだ。

 

試合が再開されると真中に代わってマウンドに上がった選手は、

青道高校の8番バッターと、続く9番バッターの丹波を打ち取って5回の裏の反撃を待つ。

 

5回の裏の市大三高の攻撃は1番バッターからの好打順。

 

だが、ここで丹波は相手打線を三者凡退に抑えてみせた。

 

大声で吠えながらベンチに戻る丹波は、丹波のボールを受けるクリスとハイタッチをした。

 

この丹波の姿に、青道メンバー以上に奮起したのは真中だった。

 

真中は監督に直談判すると再びマウンドに上がった。

 

市大三高を応援している野球部OBは不安な気持ちで一杯だったが、

真中はそんな思いを吹き飛ばす力投を見せた。

 

6回の表、真中は1番バッターから始まる青道高校の攻撃を三者三振で抑えたのだ。

 

このエースの力投に市大三高の打線が奮い立った。

 

6回の裏の市大三高の先頭打者である4番バッターは、丹波から10球粘って四球で出塁した。

 

この結果に市大三高ベンチと球場の応援している者達は一気に盛り上がる。

 

対してマウンドの丹波はいつも以上に冷静だった。

 

丹波は自分の球数が100球を超えた事を考えると、マウンドの上で深く息を吐いた。

 

(6回で100球、俺はこの回までだな…。)

 

丹波はチラリとベンチに目を向けると、肩を作り始めている3年生の姿が目に入った。

 

(この試合、余計なボール球は何球あった?不用意なストライクは?)

 

帽子の鍔に目を向けた丹波は、プレートを外してロージンバッグを手に取る。

 

(反省は試合が終わってからだ。残りアウト3つ、しっかりと腕を振っていくぞ!)

 

ロージンバッグをマウンドの横に置いた丹波はクリスのサインに頷くと、

しっかりと腕を振ってボールを投げ込んでいったのだった。

 

 

 

 

6回の裏、青道高校は1点差の7ー6に追い付かれてしまったが、

7回の表に東とクリスが続けてホームランを打って3点差に突き放した。

 

そして、7回の裏からは継投をしていき市大三高打線を抑えていくと、

9回の裏のマウンドには伊佐敷が上がりしっかりと3人で抑えた。

 

試合は9ー6で青道高校の勝利。

 

青道高校は5年ぶりの甲子園出場を決めたのだった。




本日は5話投稿します

次の投稿は9:00の予定です

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