B-2ed   作:管蘿乃

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本日六話目。ここからは当分緑谷君の視点は無いはず……です。


B_23thD『体育祭編3』

side:心操

 

 第一種目はなかなか凄かった。あいつ緑谷出久って言ったっけ。

 噂の無個性。

 映像の中、まるで障害なんか何一つ無いみたいにコースを走っているけど、ロボットの手足が擦って皮膚が切れてる。足下の縄が揺れてスピードをロスしてる。地雷に吹き飛ばされてぼろぼろになって。

 俺みたいなタイプの個性って可能性はある。だけど、確かにあの映像のなかのあいつは無個性だった。

 その上選手宣誓のあの口上。

 これで滾らない方がどうかしてる。

 

『さて、第二種目騎馬戦よ! さっきの順位に応じてポイントが割り振られる訳だけど……誰か緑谷君チームに入れたいって子いる? …………………………いないわね。オッケー。じゃあ緑谷君は第二種目通過ってことで。え? なんでって……だって緑谷君1000万ポイントだもの。参加できないならポイント失うことないんだから通過確実じゃない。え? はっ! 緑谷君がかわいそう? 違う違う。あんたらが第二種目通過出来る人数が減るペナルティよ』

 

 おあつらえ向きに第二種目は騎馬戦、チーム競技だ。しかもチームを作る時間がバッチリとってあるときた。なんて俺向きの種目なんだ。

 さっきの緑谷みたいに全部持って行ってやる。

 

「なああんた、確かB組の物間って言ったよな?」

「うん? 僕はもうチームが決まって……」

「クラスメイト全員に話しかけて、返事もらったらまた俺に会いにきてくれよ」

「あ、ああ……」

 

 ゲット……こいつの個性はコピーだって聞いてる。しかもB組のリーダー格の一人だ。

 これで半分は貰ったな。

 

「お前らの個性知らねえ!」

 

 後はあの馬鹿っぽい奴を中心に填めてくか……っと、1グループ出来て離れたな。急がないと。

 後は衝撃に気をつけて……何人、誰を残すかな? 物間を残したいけど、だからといってA騎馬にのせたら流石に気付かれるかも知れねえ。物間を入れたB騎馬を残すなら出来るだけ人数残したいな。俺の騎馬、Aの騎馬、Bの騎馬に先に抜けた1グループで会わせて15人が妥当なラインか。Bは3人でまとめるか。単純そうな奴と、そこそこの対応力がありそうな奴。Aは単純そうな奴何人かまとめて、俺の騎馬は……

 よし……この構成で行くか。

 

『ん、んー……? そろそろ騎馬が出揃ったのかしら?』

 

『よっしゃ組み終わったな! 準備がどうとかいわねえぞ!』

 

『いくぜ残虐バトルロワイアルカウントダウン! 3! 2! 1!』

 

『STARrrrrrrraaaaAAA !!???』

 

 悪いね、スタートのコールは要らない。このゲームを支配するのは俺だ。

 

「チームA」「チームB」

「「騎馬を崩せ」」

 

 俺と物間の指示通り、チームA、チームBに分類しなかった爆豪の騎馬と物間の騎馬、俺の騎馬と……A組轟の騎馬を除いた全ての騎馬がその場で自壊する。

 

『あ……残チーム数4、人数15……え、これ決着?』

 

『な、なにが起こったあああああ!? 4騎の騎馬を残して突然の試合放棄! 一体全体どういうことなんだぁ!?』

 

『ふん、だからあの入試は合理的じゃないって言ってんだ』

 

『何か知ってんのかイレイザー!』

 

『生徒の情報くらいチェックしとけ。あいつの個性は洗脳、人間に直接作用するんだ。その人間の直接的な行動が評価されるあの入試じゃ点がはいらねぇからな』

 

 ちっ、名前付きでネタバラシか。まあ、覚悟はしてたけどな。この調子だと洗脳を解除しろって言われるか? だとしたらいかに扱いやすい奴と当たれるかどうかの問題だな。

 

『ほーん、なるほどねぇ……で、どうすんの? これ』

 

『知らん。結果はミッドナイトに任せる……だがな。緑谷が良くて心操が駄目ってこた無いだろう』

 

『いや、そりゃこれだけ頑張って仕込んだのを無下にする気はないけど……最終種目どうしようかしら』

 

『解除の必要は無いだろ。個性あってこその雄英体育祭だろう』

 

『え、いやそれは……』

 

『いいからとっとと最終種目のくじ引き始めろ。空いた種目一個分の時間無駄にするのは合理的じゃねえ』

 

 ……正気か? いや、有り難いけど。逆に、これ以上余計なことはするなってことか?

 物間達B組に接触するのはとりあえずやめといた方が良さそうだな。後は轟達と……緑谷か。

 

 っと、籤引くのか。数字は……16だな。

 

  鉄哲┳┓   ┏┳轟

 八百万┛┃   ┃┗尾白

  緑谷┓┃   ┃┏常闇

  爆豪┻┻┓ ┏┻┻物間

      ┣ ┫

  障子┳┳┛ ┗┳┳凡戸

  芦戸┛┃   ┃┗切島

  発目┓┃   ┃┏上鳴

  飯田┻┛   ┗┻心操

 

 ……くじ運は無いらしい。

 こっちのブロックは轟に当たる奴らが全員洗脳してあるから上手く使って疲弊させられるかどうかだな。戦闘になったら洗脳は確実に解けるだろう。洗脳したこと無い奴よりはしたことある奴の方が扱いやすいし、したことある奴を勝たせられるのがベストなんだけどな。

 後は不確定要素の確認……緑谷出久か。

 殆どの奴は自分の個性が一番だと思ってる。まあ、じゃなきゃヒーローなんて目指さねえだろうしな。だけど無個性の奴がんなこと思ってる訳ねぇ。さて、なんか弁当っぽい包みを持ってうろうろしてるけど、何を考えてんだこいつ……?

 

「なあ、あんた緑谷出久だろ」

「……ああ、ええと、君は確か普通科の心操君だっけ。凄かったね第二種目」

 

 洗脳の個性だってわかってるはずなのにあっさり応えた? 思ったより緩い奴なのか?

 これなら……軽く試してもいけるか。

 

「ああ……悪いな」

「なにが?」

「っ!?」

 

 ど、どういうことだ? 俺は個性を発動した……したよな? まさか俺の個性が効かない奴がいるのか? そういう個性? いや、そういう個性ならわざわざ第一種目で別にする理由が無い。無個性なのは間違いないんだろう。だとしたら俺の個性は無個性には効かないのか?

 

「どうかした? 良ければ一緒にお昼でもどう?」

「あ、ああ……お前、なんで……」

「ん? ああ、お弁当作る約束してた子がいるんだけど、落ち込んでて話しかける空気じゃないんだよ」

「……俺は食堂で食いたいメニューあるし、それはやっぱり渡した方が良いんじゃないか?」

「そうかな……まあ、じゃあせっかくだからそうしてみるよ」

 

 顔が歪んだ? 血の匂い……そうか、こいつ両手足地雷で吹き飛ばされてたんだっけか? しかも治療されてない。

 だとしたら痛みの波があったのか?

 そうしてみる……と言いながら動く気配がないことも含めて、そういうことか? ……もう少し探るか。

 

「おい、声かけるんじゃなかったのか?」

「え、いや、なんか落ち込んでる女の子って話しかけにくくて」

「……俺の個性で洗脳して話しかけさせてやろうか?」

「え、いや、いいよ。それ本番前に負けが決まる奴じゃないか」

 

 気付いてないのか、気付いてない振りをしてるのか? 体調が極端に悪くて痛みの波が速いなら、洗脳されたことに気付く前に解除されるってこともあり得るのか?

 

「……そっか。じゃあ自力で頑張れ」

「それじゃ、ちょっと行ってくるね。八百万さーん」

 

 ダメだ。何もかもダメージのせいだと言われたらそれまで、判断のつけようが無い。それに洗脳してない奴との会話は参考になるところもあるだろう、少し様子を見るか。

 

「あ、ああ、緑谷さん……はぁ……」

「……落ち込んでるみたいだね」

 

 聞き方ストレートだなおい。俺だったら挑発するんでもなきゃ絶対やらねえぞ。

 

「ええ……その、すいません」

「あ、いい、いいよいいよ。僕も好物だし、それなら自分で食べるから」

 

 何の話してんだあいつ?

 

「え?」

「え?」

「……あの、緑谷さん? なんのお話ですか?」

「ええと、随分前に約束したお弁当の話だけど……」

「あっ」

「あ、その、良ければ頂きますけれど……良いんですか?」

 

 何だあいつ、天然か? そのふりか? 普通に考えたら……っていうか食うのか。

 

「何が?」

「……私あの時、手を挙げられませんでした」

「あー……まあ八百万さんがいるパターンの計画 (プラン)もいくつかあったし、残念ではあるけどね。別に気にしてないよ。選手宣誓の時に大分ほら、その、やらかしたし」

「それはまあ、凄い仰りようでしたが。その、計画ですか?」

「うん。ダミーのハチマキをたくさん作ってもらうとか、釣り竿の先にハチマキぶら下げて皆を振り回すのも良いな、炭素繊維ワイヤーとか作れるでしょ? あとかなり大掛かりなプランとしては麗日さんと障子君との連携が前提だけど、障子君用の翼を作ってもらって全体を無重力化。時間いっぱい空を飛び続ける……とか」

 

 八百万は『作る』個性、麗日ってのはいないけど、障子の方は増強系……というか見た目を考えると基礎力の高い異形系か。いやまあある程度見てわかってたけど。本質的な能力はわかんないけど参考になる。でかくても力が無いタイプもいるしな。

 

「逃げたり守ったりの策ばっかりになっちゃったから、攻め込むならあれだね。煙幕を作って欲しい。騎馬って連携が前提だからね。全員の視界が閉ざされたら、意思が統一できなくなって高確率で棒立ちになるだろうし、こっちはマスクをつけた上でそこに胡椒でも撒いてくれるなら完璧だと思う。かなり一方的な展開に出来るよ」

「……なるほど、ほんとうに緑谷さんには敵いませんわね」

「そう?」

「私、今日は本当に……峰田さんには良いように使われてしまいましたし、轟さんには絶縁シートととっさの防御、氷結を伝導するための棒を作れとしか言われませんでしたの。それで、それで納得してしまいましたわ」

「え、もったいな……ブツブツブツブツブツブツ

 

 ちっ、声が小さくなって聞き取れないな。絶縁シート……あのチームの騎馬は残り飯田と上鳴って言ったっけか。見た感じ上鳴が電気系なんだな。それも自爆系の。

 飯田の方は……印象薄いな。足が速くなる個性なのは見りゃわかるけど、第一種目の成績ぱっとしなかったし。

 

「あの、緑谷さん?」

「ん、ああ、でも良いように使われたって言ったら……その、今もまだ洗脳されてる全員が……」

「……そうですわね」

「ごめん、そういう問題じゃなかったね」

 

 あいつ喋るの下手か? もう一度言うけど、あいつ喋るの下手か? 自分で切ったあたり、わかってない訳じゃなさそうだけど、もっぺん言うぞ。あいつ喋るの下手か!?

 っと、ん? なんでこっち見てるんだ? ……あ、もうしばらく喋るから飯は無理ってはなしか。

 飯は無理かもしれないけど、レクリエーションの時間もたっぷりあるし、いろいろ話が出来そうだな。

 

 

 最終種目までにやれるだけやってやる。楽しみにしてろよ、ヒーロー科。




戦闘をかろうじて描写できそうだったのが障害物レースの順位順に
緑谷 轟 爆豪 塩崎 飯田 常闇 瀬呂 切島 鉄哲 尾白 泡瀬 蛙吹 障子 砂藤 麗日 八百万 峰田 芦戸 口田 耳郎 円場 上鳴 凡戸 心操 拳道 物間 葉隠 発目 青山

ここから緑谷君を除いて上から234……と数字を付けて15個だした乱数が
2轟 3爆豪 5飯田 6常闇 8切島 9鉄哲 10尾白 13障子 16八百万 18芦戸 22上鳴 23凡戸 24心操 26物間 28発目

これを名前順で並べ直し
1芦戸 2尾白 3飯田 4上鳴 5切島 6障子 7心操 8鉄哲 9常闇 10轟 11爆豪 12発目 13凡戸 14緑谷 15物間 16八百万

改めて振り直したのが
8 16 14 11 6 1 12 3 10 2 9 15 13 5 4 7

これでトーナメント表の完成です。相変わらず飯田君に対相手はサイコロの神様が大暴れというか自粛しているのか? ……奇しくも轟騎馬と爆豪騎馬がそろったのですが、それ以外の部分がどうにもならなかったので(いくら緑谷君が発破をかけてもこの三人で騎馬が作れる気がしなかったので)忘れることにして心操君に全部持っていって貰いました。
手抜きです。すいません。

鉄哲君と切島君の漢対決とか、麗日さんの超活躍とかそのまま持ってきたかったんですけどね……あとトーナメント表の構成上ヒロインが八百万さんに……これもなんだかなぁ、と言う話ですが。
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