どんどん何が何だか分からなくなってきました。
動いたのは九龍だった。
一瞬で俺の懐まで入り込んで、顎狙いのアッパーを放ってくる。
無駄の無い、敵ながら称賛に値する程に綺麗な動きで、しかし絶大なる一撃を解放する九龍。
俺は避けるのを諦め、両腕をクロスし、その中央でアッパーを防ぐ。
「カラカラカラカラカラカラーーーーーーひょろい防御だなぁ!!」
が、メキィ!と骨が激しく軋む音が聞こえた。
瞬間、腹部に強烈な衝撃を受ける。
至近距離での戦闘と、俺の方が背が高いが為に起こった、死角である下からの膝蹴り。それが鳩尾にクリーンヒットした。
「ぐ、ぅ、う、うっ!!!」
何とか衝撃を逃がそうとしたが、限界を迎え空まで吹き飛ばされる。
視界が急激なスピードで流れ、辺り一面が空へと変わった。
「っ!?何m飛ばされたんだよ、クソッタレ!相変わらずの化物ぶりじゃねーか!」
竹林から、一気に空まで吹き飛ばされた。おそらくは100m程地上から離れた。
と、 すぐ左に気配を感じ、反射的に左腕で防御する。
「腕ぇ一本貰ったァ!!」
ゴギイッ!
鈍い音が鳴り、左腕が中ほどからへし折れ、ブラブラと宙を漂う。
引き千切られなかっただけ、まだマシだ。
だが、痛みはどうしようもない。激痛に体が竦んだ俺へ、更に追撃を放ってくる九龍。
奴は足下にオーラで足場を発生させて、頭頂部を地面に向けるように逆さまになり、両腕を思いっきり後ろへ引き絞り、
「‘‘
俺へぶち込んだ。
何が何だか分からないほどの衝撃に襲われ、またもや急激なスピードで視界が変わる。
そこで、プツンと。
意識が途切れた。
*永迴*
カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ。
やっぱり、初期メンとは言え、単独じゃあこの程度か。
つっまんねぇなあ。たかが二龍で死にやがるとは。まあ出艸の野郎も大戦争時代から成長してたようだが、全然話になんねぇよ。
やっぱ、『二色』じゃあ駄目だなぁ。しょうがねぇから『水色』んとこまで行ってやるかぁ?
「カラカラカラカラーーーーーーそうと決まれば、さっさと行くか」
「何処へ行くんだー?緑色」
いきなり、真下から声が聞こえ、ギョッとして確認する。
と、視界いっぱいに拳が見え、次には鼻っ柱に鋭い痛みが走る。
さらに、足首を持たれ地面へ向かって投げられる。
戦闘機が墜落したのか、と想像するクレーターが出来、爆音が響き渡る。耳が痛い。
「ってぇ…………いてぇ……………いてぇいてぇ…、久々にいいパンチ喰らったぜ?出艸ァ」
「たかが上半身粉状にした程度で、俺を殺したと思ってんじゃねーよ。大戦争の時とはちげーぜ?」
10m程の距離に、死んだと思っていた出艸が降り立つ。くそったれ。幻覚でもハメられたか………?
間合いを測りつつ近づいてくる出艸は、不敵に笑いながら紡ぐ。
「緑色、てめーのその力は単なる強靭な肉体だ。馬鹿みてーに攻撃力あるし馬鹿みてーに防御力あるし馬鹿みてーに速さはあるし馬鹿みてーに感覚神経あるし馬鹿みてーに成長性あるし。恐らくは人間人外含めた中で、最高の肉体だぜ。ーーーーーーーだが、
「…………言ってくれるな白黒。まさか、二龍程度で俺を測った気になってんじゃねぇだろうなぁ?」
あの程度、デコピンみてぇなもんだっての。
若僧が生意気言いやがって、いいぜ、後悔する暇もない程嬲って虐めて惨めに殺してやる。
「じゃー、少しばかり本気見せてくれよ汚色。きっちりかっちり受け切って嗤ってやるよ」
「死んで詫びろ、濁色」
ーーーーーー‘‘
両手両足と、頭突きの五撃。
全てが出艸へ吸い込まれるように向かい、その体を引き裂いた。
出艸の体はまるで乱暴に扱われた人形のようだ。
右腕は千切れ千切れに引き裂かれ、左腕は縦に裂け指は全て粉砕される。右足は関節が軒並み逆方向に捩曲がる。左足はまるで蛇のようになる程に骨が折れに折れまくっている。上半身は引き千切られ、下半身は遥か彼方へと消し飛び、頭部は文字通り塵芥と化す。
ちょっとしたスプラッタの出来上がりだ。
「カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラーーーーーーーーーーーー大口叩いてこの程度かい。なっさけねぇなっさけねぇ」
「なっさけねーなー、緑色。その程度かよ?」
ッッ!?
真後ろからの声に驚愕しながら振り向くと、依然変わりない白黒がそこにあった。
白黒の上下も変わりなく、その五体も変わりなく、その軽薄な雰囲気も変わりない。
「終わりかー?なら、今度は、コッチの番だぜ。覚悟に覚悟を重ねて受けな。じゃねーと死ぬぜ?緑色」
「あ、あぁ………あぁああっ、……あぁあぁあああ!!」
まさか、まさか。
こんな事が。
あり得ない、何故生きている。
おかしい、おかしい、おかしい。
存在が異常だ!存在が不条理だ!存在が不許容だ!
馬鹿な!あっちゃならねぇぞ!こんな現象!
五龍だぞ!?二龍の倍以上の威力だぞ!?核シェルターだろうが粉砕する五撃が、何故、生身の身体で受けてなお生きている!?
あり得ない、あり得ない、あり得ない、あり得ない、あり得ない、あり得ない。
何かが欠落している!どれかが欠如している!!
「じゃーいくぜー?せいぜい玖賀に手ー出した事を、後悔しながら死にやがれ」
ーーーーーー‘‘
白黒の右足が消えた。
同時に、首にかつてない衝撃が訪れた。
それは、まさに、ーーーーーー死神の鎌。
*無飾*
一つ数えて色選び。
二つ数えて色眺め。
三つ数えて色遊ぶ。
色々混ぜて、彩り色取り、色褪せ色霞む。
赤い色は強さの象徴。
緋い色は強者の象徴。
緑の色は理想の象徴。
白い色は有すの象徴。
黒い色は無意の象徴。
漆の色は幽玄の象徴。
青い色は冷寂の象徴。
蒼い色は氷冷の象徴。
水の色は流々の象徴。
黄の色は成長の象徴。
透明の色は、無垢の象徴。
無邪気に無意義に天邪鬼。有して無くして上品に。
傍若無人に強靭示し、涅槃寂静に流れを悟る。
完成せずに、完了せずに、完結せずに、完全無くして道歩む。
染まらず染めずに無害に無実、明るく透り色透ける。
なんにも無いカンバスに、思うがままに色つけよう。
人間九龍永迴、惨殺完了………?
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