ハイスクールD×D 水色の殺人鬼紛い   作:まるきゅー

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緋人ォ!の実力の片鱗がみえます。
出流がレイナーレ惨殺と同時刻です。


第十八話 任業(人形)

*緋人*

 

九龍は、どうやら普段は『地獄の最下層』に幽閉されているようだ。

だが、三時間だけ、外出出来るらしい。三時間経てば、強制的に牢獄に戻されるようだが。

いろいろ調べた限りでは、ハーデスとの関わりは見られなかった。もしかしたら、別の何者かがいるのかもしれないが、僕の仕事は九龍を見つけ、詩絃、否、出流が来るまでの足止めだ。

今僕は、太平洋の何処かにいる。調査の結果、ここに九龍が転移するらしいからだ。

 

「僕の予測では、今から三十分後に転移。心の準備をしておくか」

 

「なんの準備だぁ?」

 

と、真後ろからしなだれかかってきた何かに、抱きつかれた。

………………って、え?

 

「うりうり」

 

今度は胸を押し付けられた。

 

「むふふ」

 

首筋を舐められた。

 

「にひひ」

 

耳の穴に舌を入れられた。

流石に抵抗した。

 

「離れろ九龍!」

 

「カラカラカラカラ!」

 

暴れると、抱きついてきた痴女が離れる。

出艸から聞いた話の時とは違って、緑色のコートですっぽりと全身を覆っている。

しかし、そのニヤニヤ笑いを浮かべた顔は、間違い無く九龍だ。

 

「計算が外れた、か」

 

「カラカラカラカラカラカラカラカラ!俺に計算なんてくっだらねぇモンが通じるわけ無いだろ?少しは頭ァ使えよ緋人」

 

「お前より、僕は頭脳を使役している」

 

ガタガタうるさいなぁ。

そう言って、クルリと回る九龍。

ちなみに、僕らは足下にオーラで足場を作って浮遊している。

 

「それよりもよ。おめかししたんだよ!どうだ?」

 

確かに、服が変わった。

が、正直前の服のが良かった気がする。

 

「コートのせいで、中の服が見えないぞ」

 

「あぁ、中は全裸だ」

 

「お前は馬鹿か!?」

 

「出艸にサービスするって約束だったからなぁ。嗚呼、早く会いたいなぁ戦いたいなぁ…………」

 

恍惚の表情で舌舐めずりをする九龍。いやに艶やかだ。

というか全裸とは…………真性の変態かこいつは。

しかもさらにクネクネし始めたので、空気を変える。

 

「九龍。今から僕と戦え」

 

「いいぜ」

 

即答する九龍。しかし、僕はそんな姿を見ると、こころが痛む。

そんな事を、即答出来る異常性が、恨めしい。

 

「朗報も追加してやる。あとで増援もくるから、存分に愉しんでくれ」

 

「出艸も来るのか?」

 

随分と出艸に拘るな。

もしやお気に入りに、出艸がなったのか。だとしたら合掌だな。何一ついい事は無い。

僕は足場を強化し、踏みしめる。

 

「あぁ、出艸も来るぞーーーーーー今にもな」

 

実際、出艸は今深海にて此方を伺っている。彼の能力故に成せる芸当だ。

出艸が来ると分かるや否や、ぱぁあっと明るく笑う九龍。まるで、恋する乙女のようだ。………なんてな。

 

「よっし。やる気千倍ヤル気万倍だぜ!カラカラカラカラ!緋人ォ!ウォーミングアップに付き合ってくれよ!!」

 

「ウォーミングアップでへばるなよ?」

 

言ってろ。

そう言って、光の如く突っ込んでくる九龍。その場で跳躍し躱す。

跳躍で20m程まで跳ぶが、九龍は瞬時に追って来る。此方は空中故に躱せず、攻撃を受けるしか無い。だが、あの九龍の一撃を受けて笑っていられる程、僕は肉体強度は強くない。

絶体絶命。だが!

 

「だが、悪手だなーーーーーーーーー『緋々色ノ人形(スカーレット・パーティクル・ドール)』!!」

 

瞬間、僕の右肩から緋色が弾ける。

ズズッ、とずり出るように現れたのは、2m程の、緋色の人形。

糸人形に近い、人間と同じ形でありながら決定的に違う人型。

口は無く、刳り貫かれた両眼は一際強い緋色を放っている。

全体的に流線的なフォルムの人形。その全身から、緋色の粒子を放ちながら、口無しの咆哮を上げる。

 

【グゥアゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!!!】

 

人形は、右手を手刀の形にし、九龍の顔面へ振り下ろす。

 

「空中故に避けられず、受けるしか無いーーーーーーーーーそれはお前も同じ事だ(・・・・・・・・・・)

 

グシャアッッ!!と。

九龍の顔から音が鳴り、水面へ叩きつける。

まずは千百十三(・・・・・・・)

 

「来るぞ『緋々色ノ人形』」

 

【グゥア!】

 

海が弾けた。

水飛沫を上げ、高さ20mのここまで立ち昇る程の水柱を噴き出させながら、九龍が再度飛び込んで来る。

先程と変わらないモーション。シチュエーション。しかし、戦闘において同じ過ちを繰り返す程、九龍永迴は甘くない。

九龍は、『緋々色ノ人形』が再度振り下ろした手刀を、当たる前に全身に筋肉に力を入れ、自重を増やし、僅かに速度を下げる。

手刀が紙一重のところで躱された。

 

「カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ!!!!」

 

‘‘一龍,,

 

そう呟き、右拳を背中まで回し、ほぼ零で放つ九龍。

拳は『緋々色ノ人形』の脇を通り抜け、僕のガラ空きの胴体へと吸い込まれるように命中する。

が、何も起こらない。

拳が胸を貫く事も。

風穴が空く事も。

上半身が吹き飛ぶ事も。

何も起こらない。

 

「アァ!?」

 

俯瞰する僕に向かって、不機嫌そうな声をあげる九龍。その口に、『緋々色ノ人形』の左貫手を突き込む。

形容しがたい声を上げながら、またも水面へ叩きつけられる九龍。しかし、水面の表面にオーラを流し込み、ごく僅かな時のみ反発力のあるマットのように変化させ受け身を取る。

跳躍し、目線を同じにする彼女は、何やら思案顔だった。

 

「ふぅんふぅん。前と能力が変わったか……………『緋々色ノ人形』の能力に、ダメージ無効なんて無かったしなぁ……………」

 

過去の僕の能力から、先程の現象を解明せんとする九龍。勿論、時間を掛ければ掛けるだけ攻略される可能性はグンと上がる。九龍は、戦闘における思考能力もすこぶる高い。

顎で『緋々色ノ人形』に、行け、と指し、九龍へと突貫させる。

 

「チィッ、少しくらい考えさせろってんだ、よっ!」

 

『緋々色ノ人形』の胴体へ蹴りを放つ九龍。だが、指示を出し、操り、紙一重で躱す。

返す刀で裏拳を顎へ放つが、コレも躱される。

九龍はフェイントの左拳打、本命の右アッパーを放ち、僕はまんまとフェイントに引っかかる。

『緋々色ノ人形』の顎が消し飛び、緋色の粒子が舞う。

これで三千五百二十二(・・・・・・・・・・)

 

「そろそろ、かな」

 

僕はそう呟き、顎へのアッパーの衝撃から抜け出せていない『緋々色ノ人形』を通り過ぎ、僕の生命を刈り取らんと向かって来る九龍へ、右手をむける。

拳をつくり、親指はあげる。

親指は天を向くようにし、指先に九龍の頭部を『照準』する。

 

「たかだか三千五百と二十二だ。大したダメージにはならないだろうから、安心してくれーーーーーーーーーーーー」

 

ーーーーーーーーー安心して、吹き飛んでくれ。

 

「爆ぜを担えよ『緋々色ノ人形』ーーーーーーーーーーーー『|緋くて糸引く非ずの爆《スカーレット・パーティクル・エクスプロージョン》』」

 

瞬間、九龍の頭部が爆発した。

衝撃が、周囲一帯の海面を吹き飛ばした。




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