ハイスクールD×D 水色の殺人鬼紛い   作:まるきゅー

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生かせ、殺せ、逝きて死ね。
潰せ、壊せ、破壊しろ。
頭を平らに、心を穴に。
高みをへし折り、底辺を踏む。
騒がしく、騒がしく、騒がしく。
煩く、煩く、煩く、煩く。
命あるなら謳歌せよ。今世を存分に嘲笑え。
意味無く騒げ、意義無く騒げ、意志無く騒げ。
重なり厚くし重厚になれ、騒いで謳歌し生き絶えろ。
規則を殺せよ騒ごうぜーーーーーーーーーーーーーーー。


玖賀出騒の、僅かな活躍の話。




外伝その騒 玖賀出騒の人間流転

玖賀出騒。

くがすいそう。

職業、惨殺屋。

もう一つの名前は、空地鳴地鳴(むなじなじなり)

職業、マフィア。

グレーの中折れ帽を被り、黒いスーツにダークグレーのコート。白いマフラーを巻きつけずに襟に沿わせて肩で流した、見るからに怪しい格好。

剃り込んだ金髪、獣地味た金眼。堀の深い顔立ち。

ダンディな雰囲気と危険な香りを放つ、惨殺屋。

彼は今、ある地方都市にある、三階建ての高級旅館の前にいた。

一泊で零が七つは揃う程の旅館〈歌蝶楓臬〉。

その三階の階全てを貸し切って、玖賀へ敵対した愚者が雁首揃えて集っているという情報を手に入れた出騒は、仲間内ではかなりの後輩にあたる、玖賀出灰を連れて来ていた。

 

「気温は30℃、快晴。湿度が無いのが救いか。我は暑いのは苦手なのだがな」

 

低く渋い重厚な声音で話すのは、玖賀出騒。彼は肩に通常よりも長いバットケースを提げ、中折れ帽を目深く被り日陰を作る。

 

「無粋。夏が暑いのは必然。ならばわざわざ口に出すまでも無い」

 

出騒の愚痴に返したのは、旅館に似合う和服姿の少年だった。

浅葱色の和服をゆるく流し、腰に大小一振りずつ刀を下げている、長髪の黒髪黒眼の、十七程度の若者、玖賀出灰。

この頃はまだ、出草と出現とも出会ったばかりで、単独で活動していた時期だ。

 

「出騒。私に、貴兄は説明をすべきだ。私は、この旅館にいる小童どもを惨殺する、としか聞いていない」

 

「説明の通りだ。玖賀に敵対した。だから惨殺する。それだけだ」

 

「心得た。して、何か策は?」

 

「我が三階から行く。一階や二階にも奴らの連れは居るはずだ。裏口は先程塞いで来たから、真っ正面から叩っ斬ってやれ」

 

承った。

そう答え、出灰は鯉口を切り、草鞋で地を踏み旅館の中へと消えた。

 

「我も行くか」

 

出騒も、跳躍し三階の窓から、敵対者の惨殺へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、ーーーーーー惨殺を刻もう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玄関扉を切り飛ばし、草鞋のまま旅館の中に入った出灰は、まず、玄関付近にいた女将を斬った。

次に、使用人や厨房にいた料理人も斬った。

辺り一面が血で彩られ、鮮やかな赤で染める。

殺したのに、大した意味は無い。強いて言うならばそこにいたから殺した、とでも言うべきか。

 

「退屈。私は殺しに来たのではなく、殺し合いに来たのだ」

 

血振りをし、鞘に刀を収める出灰。その表情は、心底不機嫌そうだった。

一階をうろつき周り、裏側に生きる者を探していると、上階から、激しい発砲音と爆音、そして断末魔の叫びが聞こえてくる。

 

「上階は愉快そうだな。私も二階へ上がるかーーーーーーーーーむっ!」

 

出灰が階段を登ろうと、踵を返すと、前方に拳銃を構えた黒服の男ら八人がいた。

その銃口から向けられる濃密な殺意を浴びながらも、彼は、今日初めての微笑を浮かべる。

 

「好い。抵抗を期待するぞ、若僧どもよ」

 

出灰は、鍔に左手指を掛け、左足を下げて強く踏みしめる。

右手を柄に添え、居合の構えを取り、名乗る。

 

「玖賀出灰、刀使いーーーーーーーーー貴様らを惨殺する」

 

瞬間、八つの銃口が火を吹いた。

連続して放たれる弾丸の雨を、刀のみで走る出灰。

最小限の動きで弾丸を躱し、斬り裂き、弾き流す。

出灰の眼前で激しい火花が散るが、本人はまったく意に介さずに刃を振るい、煌めかせる。

決して短くない距離を、一秒足らずで駆け抜け、間合いに標的が入る時を待つ。

出灰の動きを見切れずに焦った黒服が、攻撃の手を緩め立て直しを図ろうとする。

そこで、間合いに三人が入った。

 

「その首戴く!!」

 

チン、と鍔鳴りが響き、黒服三人の首が宙に切り飛ばされた。一閃すらも見難い程に速く鋭い斬撃。

黒服達は至近距離ならば当たると思ったのか、攻勢に出る。が、既に刃は鞘へと戻っており、居合の二撃目を放った。

さらに三つの首が飛ぶ。

 

「嘲笑を贈ろう、弱者よ」

 

慌てふためく黒服を見据え、出灰は失望したような顔を向ける。

最後の二人は、同時に発砲した。

スローモーションのように、弾丸を見やる出灰は、先の二撃よりもさらに早い、光の如き斬撃を放つ。

 

「笑止。弾丸程度の速さには負けんよ」

 

放たれた斬撃は、寸分違わず弾丸を両断し、その先にある命をも斬り裂いた。

宙を二つの首が舞い、ごど、と落ちる。

 

「愚行。児戯。憐憫すら感じる。私達のような者に、たかだか銃が効くと思うてか」

 

刀と服に、一滴の返り血も浴びずに、出灰は階段へ歩みを進めた。

道中、新たに十人ほどの黒服に襲われたが、誰も出灰に攻撃を当てる事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一階にて、出灰が惨状を築いている時、既に出騒は殺し合いを終えていた。

三階には魔法使いが複数。裏側の住人が三人居たが、ものの数では無かった。

出騒からは、たった一回しか攻撃していない。ただ、相手の攻撃を弾いて跳弾させていただけだ。

L字型バール、生死流転(アンラッキー・アンハッピー)

改悪業者、空蝉が作品No.125896ーーーーーー製作者、空蝉空色。

その強度は折紙つきだ。具体的には魔王の本気の一撃に耐えられるぐらいの強度はある。

魔法使いの魔弾を弾き、別の魔法使いへ。魔弾と魔弾を跳弾させて裏側の住人へ。

最後の一人の、頭を胴体にめり込ませ、腰を貫かせ畳みへ叩き潰して殺す。

圧倒的、絶対的、一方的。

誰も出騒を捉えられず、無様な死体を晒して死んだ。誰一人、例外無く。

高級旅館の中でも特に広々とした一室は、元の厳粛で荘厳ながらも寂静を感じさせる部屋では無く、暴風雨が蹂躙したように様変わりしている。

出騒は中折れ帽を抑えつけ位置を整える。息は全く乱れておらず、余裕の表情だ。

 

「ざっとこんなモノか。そろそろ出灰も二階まで来ている頃だろう。出流の悩みの種である、後輩指導を、我が先んじて行うとしよう」

 

バットケースへ『生死流転』をしまい、肩を回しながら階段へ歩く出騒。

彼は玖賀の中でも、中々に有名な惨殺屋である。

『人間流転』。

『圧壊殺戮』。

『惨殺屋の次期エース候補』。

彼は、緑色こと九龍永迴が引き起こした大戦争時、まだ玖賀では無かった。故に、大戦争を経験しなかったが、それでも長年裏側の世界で生きてきたその感覚と経験と実力は、惨殺屋玖賀の中でも注目されている。

特に出騒は、殺意や殺気を感じて攻撃を読む者が多い玖賀では珍しく、勘や直感といった、第六感で攻撃を察知する。これまでも、彼は自身のその第六感に助けられてきた。

その第六感が、唐突に告げた。

このままでは死ぬ、と。

 

「………………ッッッ!?」

 

反射で、バットケースを後頭部へずらす。瞬間。強烈な衝撃が出騒の後頭部をバットケース越しに襲った。

後ろから、何かに攻撃された。普通なら混乱するが、彼は全く動揺せずに、一手を放つ。

背後から何者かからの攻撃を受けた。衝撃の強さと方向から、暫定的な敵対者の身長と体格を仮定する。

 

「それさえ分かれば充分以上ーーーーーー!!!」

 

彼は流れるような動きで『生死流転』をもう一度取り出し、取り出しながら背後へ振り向きざまに横に振るう。

背後の人物はしゃがんで避け、低い姿勢のまま出騒と距離を取る。血溜まりの中を颯爽と動き回り、ほぼ零距離であったのに、10m近くまで瞬時に離れる襲撃者。

 

「くたばれ!!」

 

出騒は間を開けずに攻め立てる。大上段から、全力で襲撃者へ振り下ろす。

襲撃者は転がるようにその場を跳ぶ。が、出騒は腰を無理矢理動かし、振り下ろしの軌道を変更する。

力任せな動きに対処出来なかったのか、その体に『生死流転』がめり込んだ襲撃者。ふわっと衝撃で、襲撃者の体が浮き上がる。

その隙を逃す出騒では無かった。

平部分で襲撃者の背中を潰し、曲がった先端を脇腹に叩き込み畳みに縫い付ける。

ガジガジと、縫い付けた襲撃者を踏みつけ蹴り抜き痛めつける出騒。

 

「オォラアアッッ!!!!」

 

凄まじい爆音を響かせ、止めの振り下ろしが襲撃者の頭に当たった。

西瓜を割り潰したような音と共に、ピクリとも動かなくなった襲撃者。ここでようやく、出騒は襲撃者の正体を確認する。

襲撃者は、真っ黒な学生服を来た若い青年だった。顔半分を覆うような仮面を被り、その右手には木槌が握られている。

 

「こいつは…………」

 

出騒は、その容姿だけで、その青年の所属先を理解した。

黒い服。顔を隠す仮面。若者。

これらの容姿の者のみが集う組織ーーーーーー他人攫い、夜迦。

ヒトへの拉致、攫い、軟禁、監禁、束縛などにかけては、裏側の世界随一の実力を持つ、誘拐人。

敵味方無く、仕事を受ければ何者であろうとも攫う、まるで物語の怪盗のような奇術師集団。

出騒はあまり関わりはなかったが、出流は夜迦の何人かと面識があったから、彼も夜迦に関しては僅かながら情報を持っている。

といっても、夜迦の中でも有名どころを紙に書き集めた名簿みたいなモノで、今さっき出騒が殺した青年と一致する者は名簿にはいなかった。

 

「無名か、新人か。どちらにしても、大した実力では無かったがな」

 

これは、一騒動ありそうだな。

そう言って、バットケースに『生死流転』を、もう一度しまい直しながら、今度こそ出騒は階段を下りる。

予想外の襲撃もあって、丁度、出灰が二階を制圧したところだった。

二階も凄惨たる状況だったが、出騒にとっては、夜迦からの襲撃の方が圧倒的に優先事項だった。

出灰は血振りをし、納刀する。

 

「これで全部か?」

 

「恐らくな。あぁ、先程、夜迦の奴に襲われた」

 

「他人攫いが?真か?」

 

嘘言ってなんになる。

出騒は、バットケースを背負い直し、一階へと歩を進める。連れてきた出灰をそのままにして。

出灰が、その背に言葉を投げかける。

 

「何処へ?」

 

「夜迦をけしかけてきた命知らずのところだ。玖賀と敵対するとは、どういう事なのか。それを、身を持って分からせてやる」

 

出騒はそこで歩みを止め、振り返り、出灰を見据える。

 

「我と来るか?」

 

「ーーーーーーーーー玖賀の為ならば」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日。

日本の某町で、老齢の男性が、首斬り死体となって見つかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外伝、玖賀出騒の人間流転、その弌。

完。

 




まだこの外伝も続きます。
何故出騒は襲われたのか?何故玖賀が狙われたのか?
そこら辺を、掘り下げていけたら、と思います。
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