ハイスクールD×D 水色の殺人鬼紛い   作:まるきゅー

22 / 29
緋人ォ!君、まだ出番がありました。


第十九話 巡火(準備)

海面が大きく抉れ、吹き飛んだ。

隕石でも落下したのかと思わせるクレーターが生まれ、重厚な音を鳴らしながら海が元の形に戻ろうとする。

僕は、巨大な水飛沫が舞う中、九龍がいた場所を凝視する。

既に『緋々色ノ人形』は傍まで戻し、いつでも動かせるようにチカラを溜めている。

と、前方から何かが来た。

 

「『緋々色ノ人形』ーーーーーー吹き飛ばせ!」

 

『緋々色ノ人形』が拳をつくり、親指は天に向けて、親指をスイッチを押すように下ろす。

瞬間、前方から来た何かが爆発した。

それは、単なる髪房だった。九龍が髪を切り、投げつけたのだろう。髪にオーラを流し、針のように使ったのだ。髪を扱う辺りが九龍らしい。

しかし、まずい、と僕は直感した。今の応酬で、九龍は絶対に何か、僕を攻略するにあたって重要な事柄を理解した。九龍は戦闘において無駄な動作はしない。一から百まで、全てに意図があり意識がある。下手な一手を放てば、その瞬間に僕の体は文字通り粉微塵となる。

このまま後手に回れば、丸裸にされる。全裸痴女に丸裸にされるとは、なんとも奇怪な話だが、生憎と露出の趣味は無い。此方から動こう。

 

「爆ぜを担えよ『緋い糸引く非ずの爆』」

 

今度は僕自身が、親指を下ろす。

瞬間、真下の海から、また水飛沫が上がる。その水飛沫の中に、九龍がいた。

 

「行け!『緋々色ノ人形』!!」

 

『緋々色ノ人形』が突貫し、九龍も突っ込んでくる。

両者共に、全く同じタイミングで拳を放ち、中間で拳がぶつかり合う。

金属音に近い、神経を逆撫でする不快極まりない音が響き渡る。これは、『緋々色ノ人形』の関節に負荷が生じている音だ。

このまま力比べを続けると、すぐにでも潰されてしまう。

僕は『緋々色ノ人形』に指示を出し、拳打と蹴撃の嵐を見舞う。

 

「吼えろ『緋々色ノ人形』!!」

 

【グゥゥウアアアアゴォォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッ!!!!】

 

天をも震わせんばかりの大叫声を上げ、圧縮された台風の如き暴風雨を放つ。パワーでこそ一歩劣るが、スピードだけなら九龍以上を誇る連撃打だ。いかに九龍といえど、真っ正面からは来ないだろう。如何な方法で攻めてくるか…………。

しかし九龍は、僕の予想を超えた。

目の前の暴風雨など、眼中に無いとでも言いたげに、『緋々色ノ人形』に負けじと連撃を放ってきたのだ。

 

「カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ!!この俺がッ!コソコソと!策を巡らすと思ったかぁッ!?」

 

両者の間には、全てを破壊する一撃が豪雨の如く飛び交う危険地帯へと変わった。

やはり力負けはするが、スピードは此方が有利。撃ち合いになったのは予想外だったが、この調子ならブチ破れ………ーーーーーー。

 

「ーーーーーーーーーカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラッッッッ!!!戦闘中に、何細かい事気にしてんだぁ緋人ォ!!連撃!?スピード!?んなもん、たった一撃でひっくり返してやんよォオオオ!!!」

 

ーーーーーー‘‘龍撃(ドラゴン・ブレス),,

 

そう呟いた九龍は、大きく息を吸い込み、

 

「ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!」

 

砲撃音のような、力を持った声を放った。

声音の衝撃波。

九龍が放つそれは、神の一撃をも超える、まさに、力の象徴たるドラゴンの一吹き。

空気が振動し、全てが震え、万物が竦んだ。彼女の、たった一声で。

衝撃波は『緋々色ノ人形』を飲み込み、上空にいる僕のところまで吹き飛ばす。『緋々色ノ人形』は、衝撃波で彼方此方に罅が入り、九龍との応撃で酷使された両手足は、今にも崩れ落ちそうだ。

だが、計画通りだ。

 

「やるな、九龍。『緋々色ノ人形』、昔よりも強くなったんだぞ?」

 

「はっ!確かに伸びたが、まだまだ甘いぜぇ緋人ォ。たかが八十七回拳を交え、七十三回蹴りを放ち合っただけでそんなにボロボロになるんじゃあなぁ?」

 

「……………いいや、コイツはこれでいいのさ(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

僕は大胆不敵に笑い、右拳を上げる。

 

「また、さっきの爆発か?あの程度、ダメージにゃならねぇぜ」

 

「さっきの爆発はな。今から解放するのは、十二万六千八百二十七(・・・・・・・・・・)だ」

 

そう言いつつ、親指を天に向け、指先で九龍の頭に『照準』する。

どうせやるなら、効果的なモノがいい。

 

「十二万六千八百二十七ぁ?何を言ってんだぁ緋人ォ?説明しやがれ」

 

不機嫌ですよ今、と顔だけで分かる程に歪め、目で射抜いてくる九龍。

しかし、この場の主導権を握っているのは、最初から最後までこの僕だ(・・・・・・・・・・・・)

 

「拒否する。此れから行われるのは、僕が君を一方的に蹂躙するクライマックスだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーーーフィナーレを飾れ!『緋々色ノ終幕爆炎(ラスト・スカーレット)』!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終幕に相応しい大爆発が、太平洋の海をこれ以上無い程に抉った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*三人称*

 

同時刻。

魔界のある一室に、体のラインが浮き出る戦闘服に身を包んだ、美麗な銀髪の女性と、犬の着ぐるみを着た若い風貌の男性がいた。

二人は、言葉を交わしてはいるが、他にやる事が全く無いから、仕方なく会話しているように見える。

「ーーーーーーでは、彼女の脱走を手引きした輩がいると?」

 

「その通り。では、その手引きした馬鹿は誰なのか」

 

「知っているんですか?」

 

「知る訳が無いだろう?何をアホのような事を垂れている?」

 

「貴方は客人では無い事を、自覚しておいて下さい」

 

「失敬。つい、本音が」

 

「…………ところで、出流様と、少し前にお仕事をなされたとか?」

 

「あぁ、出流というよりも、玖賀と、って感じだな。つまらねぇ仕事だったがな」

 

「貴方は、少しばかり、顔が利きすぎますね。何か、過去にあったのですか?」

 

「他人の過去まで暴くのが趣味なのか、悪魔ってのは?それともお前の趣味か?だとしたら反吐が出るぜ」

 

「安心して下さい。貴方を、他人なんて高い評価(・・・・)、つけたりしませんから」

 

「ーーーーーー毒舌だなぁ」

 

「夫には、まだまだキツイのを囁いていますが?」

 

「おっかねぇおっかねぇ」

 

二つの人影は、そんな会話を続けていた。

これから約五分後、二人も九龍捕獲に動き出すのだが、そこに玖賀出流が、一手挟んでいる事など、二人は全く知らない。

ただただ、『その時』が来るのを、いつまでも待つだけだ。

女性は、愛しき者と、愛着ある故郷を戦火に近づけぬ為。

男は、ただ金と、ある目的の為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪魔グレイフィア・ルキフグス、戦闘まであと四分三十二秒。

暫定人間衣笠茶人、戦闘まであと四分三十二秒。

 

 

 

 

 

 

 

九龍誘拐(・・)まで、あと四分三十七秒。




ヒロイン募集中です!詳しくは活動報告を。
※ヒロインを感想欄に書かないで下さい。

感想、お待ちしております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。