「悪魔にとっての、『俺達』か……………」
正直なところ、厄介者だろうなぁ。
って、ちょっと待て。追跡されたのは分かるが、何故
『俺達』の事は、天使、堕天使、悪魔の三大勢力でも、トップ陣しか知らないし、他の神話体系にしたって、特に力のある連中しか関わりは無いんだが……………?
「あぁ、そういや、サーゼクスの妹だったか。道理で似てると思った。そうかそうか、成る程なぁ」
「どういう事?」
「サーゼクスの、つまりは魔王の妹として今まで生活してきたんだろ?故に、所有物へのーーーーーー『自分の』物への執着愛着癒着が強い。独占欲が大きいからこそ、例え敵である堕天使を殺してもらった相手であろうと、充分な警戒と敵意と害意と殺意を持っているって訳だな。最近の平和ボケした若手にしてはいい判断だ。褒めてやるよ、リアス・グレモリー。兄から重々言われていたであろう忠告を無視しながらも糧としている精神力と、兄からよく聞いていたであろう『俺達』の特質を理解しながら相対しようとするその度胸。本当に、若手とは思えないな」
「…………っ!」
何だ。大体が当てずっぽうだってのに、表情でバレバレだぜ。
例え図星でもポーカーフェースは崩してはいけない。この辺りはまだまだ若いな。
まあ、あんまり苛めすぎるのも何だし、質問にさっさと答えるか。別に敵対したい訳じゃあ無いし。
「ま、さっきの質問に答えるならば、悪魔にとって『俺達』玖賀ーーー惨殺屋は、厄介者以外の何者でも無いだろうぜ。安心しろよ。そっちから手を出さない限り、こっちも手を出さない。他の連中にもちゃんと縛りつけとくよ。幸いにして、どうやら何人か仲間がこの街に遊びに来ているようだし」
「貴方、まさか仲間を呼んだの!?」
人聞き悪いな。呼んでないぞ。
そもそも、俺が連絡できる奴等はかなり少ないんだぜ?どいつもこいつも自由人だからな。
「呼んでない。来てるかもしれない、ぐらいの曖昧な『感覚』だよ。何となくとか、勘に近いもんだが、信用してもらってイイぜ?あと、別にお前らをどうこうしよう何て考えてない。やる必要性を感じないし、万が一攻撃目的なら、お前に仲間呼んでるよー、なんて話す訳がないだろう?」
「そ、それもそうね。ごめんなさい、失礼な事を言ったわ」
「まあ構わないよ。でも、俺以外の奴等には気をつけろよ?二人か三人、もしかしたらそれ以上の玖賀がこの街に来ているのは間違いない。大体のメンバーが気まぐれで自由人だし、琴線が何処にあるか分からないような意味不明な馬鹿共ばっかだからな」
「仲間に対して酷い評価ね…………」
「そう引くなよ。親しいからこそ、こんな軽口が言えんだよ。ま、親しき仲にもなんとやら、とも言うがな」
というか、実際本当に意味不明な連中だしな。俺も含めて。
「まあ、今の所悪魔が玖賀に喧嘩売った、なんて事は聞いてないから、事を構える気はさらさら無いよ。安心してくれ」
「その言葉はありがたいのだけれど、形として、何か示して欲しいわね」
形か。
まあそりゃそうだな。口約束なんざ幾らでも出来る。
でも、契約書なんて持ってないぜ。
「示せないなら、私が契約書を作りましょうか?」
「お?それはありがたい。で、契約は、『俺はこの街で悪魔と敵対しない』でいいのか?」
「えぇ、構わないわ。契約破棄をした場合、然るべき報いもあるけれど」
「具体的には?」
「魂を呪縛し、永遠に奴隷にでもするわ」
怖いよ、この女。
肝が据わってやがる。気の強い女は苦手だ。強い女は好みだけどな。
しょうがない、使いたく無かった手なんだが……………。
「少し待ってろ」
そう言って、ボロソファから立ち上がる。
右手は人差し指と中指のみ立て、他の指は閉じる。
左手を前へ伸ばし、制服の袖を捲る。その腕には、幾何学模様のような紋様がが走った、刺青が掘ってある。
オーラを込めた事で淡く水色に発光する、伸ばした右指で紋様一つ一つをなぞる。
かなり複雑で面倒な作業だが、慣れた俺にとっては楽なモノだ。ざっと五秒で終わる。
全ての刺青をなぞり終え、左手を高く掲げる。すると、足下に魔法陣が現れ、そこから一つの武器ーーーーーー否、凶器が現れる。
「それ、は…………?」
リアス・グレモリーが、度肝を抜かれている。ちょっと気が晴れた。
まあ、驚愕も当然だ。何故なら、その凶器は、巨大も巨大な、鉈だったのだ。
「ざっと
「…………確かに、凄い武器ね。いや、凶器と言った方が正しいかしら。で?ーーーそれをやるから信用しろと?舐められたモノね。マニアやコレクターならともかく、私にとって価値のある物では無いわ」
「大有りだ」
断言するぜ、リアス・グレモリー。
この凶器は、お前にとって価値のある物だと、声高々に言わせてもらおう。
何故ならばーーーーーー。
「この凶器は、俺が愛用し、俺専用とも言える程に、俺が戦いを共にした、相棒だからだ」
「っ!?貴方の、本命だと言うの!?」
その通りだ。
コレさえあれば、神や魔王だって怖く無いぜーーーーーー。
俺がそう言うと、リアス・グレモリーは得心したように頷く。
「ーーーつまりは、自分の切り札を渡すから信用しろって事ね」
「そうだ。どうだ?納得したか?信用したか?」
「ええ、納得も信用もしたわ。とりあえず、これは私が預かればいいのね?」
構わない。
了解したわ。
そう言葉を交わすと、リアス・グレモリーは魔法陣を展開し鉈を収納する。
「お邪魔したわ。ありがとうね」
「信用してもらえたなら安いモノだ。もうこの場所から別の家に移るが、もし見つけられたならばまた来い。茶菓子を今度はやる」
「楽しみにしてるわ」
そう言い残し、転移して帰った。
俺は暫く立ったまま、三十分程辺りを警戒する。
敵と思しき気配が無いのを確認し、漸く脱力しソファに寝そべる。
「あー、やったぜ。ただのデカイ鉈で信用勝ち取れたぜ、ザマァ身晒せ若僧が!はっはっはー!!」
愛用?相棒?神や魔王だって怖く無い?
全部嘘だよ間抜け。
愛用の相棒で、神や魔王だって怖く無い凶器は、あんな分かりやすい形して無いぜ。
まあ、巨大さと誇大に語った口八丁で騙したわけだ。
初見のインパクトとしては、中々使えるからな、あの鉈は。
「いやぁ、まあ。斬れ味はホラだけど、軽さは本当だから暫くは騙せるだろ」
いつかはバレるが、どうだっていい事だ。
隠れ家を移す時間と、仲間と合流する時間さえ確保出来れば、構わない。
あ、勿論、悪魔と戦争する気は無いがな。小競り合いぐらいなら、起こりそうだが。
まあ、リアス・グレモリーとその下僕が此方を殺そうとしようが、玖賀の連中なら容易く撃退出来るな。まだまだ青臭い若僧共だし。
「さて、課題は諦めて寝ようかな」
悪魔リアス・グレモリー、惨殺保留。
ヒロインアンケート、まだ続いています。
詳しくは活動報告にて。
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