遂に今日から始まりますよ!ぐだぐだ帝都聖杯奇譚!ぐだぐだイベントなのに予告がぐだって無いとはこれいかに。まずは二十連引いて伊蔵をゲットするぞぉ!!
入学式の翌日の朝、達也と深雪の兄妹二人は朝早くから自分達が師と仰ぐ九重八雲の下へ、入学の報告の為に足を運んでいた。今は達也が修行僧たちによる総掛かりの稽古を受けており、深雪は遠目からそれを見守っている。
「やあ深雪君!久し振りだねぇ」
その傍らに、急に死角から陽気な声がかけられた。深雪は思わずその存在を撃退しよと、蹴りの構えをしてしまった。が、それが誰だか判るとその構えを解き声を荒らげる。
「ッ!・・・先生、いつも後ろから気配を消して忍び寄るのはやめてください!でないといつか本気で蹴り上げてしまいそうです」
無駄だと知りつつも目の前で胡散臭い笑みを浮かべる九重八雲に、抗議せずにはいられなかった。
「うんうん、いい反応だ。武術といい体つきといい、しっかりと成長しているようで結構結構。それと、忍び寄るなと言うのは難しい注文だねぇ。僕は『忍び』だからね。忍び寄るのは性みたいなものさ」
「そんな性は忍者なんて職種と共に早急に矯正する事を望みます」
「いやいや忍者なんて、そんな誤解だらけの俗物じゃなくて、僕のは由緒正しき『忍び』の伝統を受け継ぐ者なんだよ」
戦国時代の身体能力にずば抜けた諜報員なんてものではなく、昔から受け継がれている古い魔法の使い手。普段の言動やたたずまいはともかくそれが九重八雲である。だが、どうしてもその言動やたたずまいが俗っぽく、そして嘘くさい。
「それは知っていますが・・・なら尚更のこと、何故先生はこうも軽薄なのですか」
到底彼のいう由緒正しい存在にはとても見えず深雪は苦言を呈すが、当の本人である八雲はそれを聞いておらず、制服姿の深雪を元々細めている目を更に細めてまじまじと見つめている。
そして顎に手を当てては仕切りに頷いていたりしていた。端から見れば事件の予感のする風景である。
「あの・・・先生?」
「それが第一高校の制服かい?」
「はい、昨日が入学式でした」
「そうかそうか、うーんいいねぇ、実にいい」
「ええと、今日はそのご報告にと・・・」
目の前の変質者となった八雲から身の危険を感じ、深雪は少しずつ後ろに下がるが、八雲はテンションを上げながらジリジリと差を詰めていく。
110番待ったなしである。鼻息を荒くし、胸に溢れるリヒドーを解放する。
「真新しい制服が初々しくて、清楚な中にも色気があって、まるでまさに綻ばんとする花の蕾、萌え出ずる新緑の芽!そう萌えだ・・・これは萌えだよ~!
あ、それと達也君。今の僕の後ろをとりたいなら、気配を消すのではなく周りに同化させるべきだよ」
「!」
後ろから手刀を落とす為と構えようとした達也の動きが止まる。既に彼の相手をしていた修行僧達は全員地べたに倒れこんでいた。達也が全て打ち負かしたのだろう。
そして自分の妹に迫る危険を察知し修行の一環として師匠である八雲の背をとり奇襲を仕掛けるつもりだったのだ。
達也にはこれまでの八雲との立ち会いによる経験で彼の実力をしっかりと把握し、今の隠行なら後ろを取れるという確信を持っていた。だが結果はどうだろうか。
達也は見事にその隠行を見破られてしまった。口振りからして後ろに回ったことには先から気付いていたのだろう。何故だ、一瞬の思考。その先に辿り着いた疑問の答えは単純なもの。
「何故かって?簡単なことさ。僕だって日に日に強くなるんだよ。しかも近頃は色々あってね、やる気に満ち溢れているのさ。
さてと、それじゃあ来なさい。個人レッスンを始めようか」
その後達也は十五分もしない内に地面に背を打ちつけられた。
達也が中学一年の頃から続く恒例行事も終わり、寺は静けさを取り戻す。修行僧達は叩きのめされた体に鞭打ちそれぞれの御役目に戻る。本堂前の庭園に残ったのは達也、深雪 八雲の三人のみとなった。
汗を流した達也と八雲は深雪からタオルとお茶を受け取り、その後朝食を一緒に取ることにする。
「いやあ、もう体術だけじゃあ達也君に抜かされてしまったかもねえ」
「腕が互角でここまでボコボコにされるのはあまり喜ばしいことじゃありませんね」
「それは当然だ。僕は君の師匠で今回はこっちの得意な土俵でやってたんだから。君はまだ十五歳の少年なんだ。それで負けてしまっては他の弟子に逃げられてしまう」
達也の愚痴とも取れる言葉に、八雲は大きく笑い声を上げてから答える。そのまま談笑しながら朝食を楽しんでいると、深雪がそう言えばといった風に八雲に問い掛けた。
「そう言えば先生。今回の稽古、あまり右手を使わずにお兄様の相手をなさっていましたが、怪我でもなされたのですか?」
そう、さっきの試合で八雲は右腕を使わず出来るだけ左腕のみで達也の相手をしていた。流石にフェイントをかけられた対処には両腕を使っていたが、それでもほとんどの攻撃は左腕で捌き、技をきめるときも足技かこれもまた左腕だけで行っていたのだ。
深雪の心配の色を窺わせる問いに八雲は照れるように手を頭に置きながら答える。
「恥ずかしいことに、ちょっと前の試合で右腕を使い物に出来なくされてしまってね。肩を破壊されたんだ。今はもうなんとか動くけど前のようになるにはあと一、二ヶ月はかかるかな?」
「試合で、ですか?」
「うん。昔の知り合いから頼まれてね。彼の息子の相手をしてやってくれってね。いやぁ危なかったなあの時は。彼の体力がもう少し長く続いてたら負けるのは僕の方だったね」
八雲の口から出た話に二人は驚きの表情を作る。何故なら彼がそこまで追い込まれる姿を想像する事がなかったから。
二人から見て八雲は近接戦闘において彼の右に出る者はいないとする人物だ。そんな八雲が深手を負わされる、いや口振りからして優位を取られる状況まで追い込まれたと言うのは、本人が言うことではなかったらとても信じられないものだった。
「世界は広いということだね。僕も結構できる方だという自負はあるけど、それを嘲笑うかのような規格外は他にもごまんといる。
そして気をつけるといい。そう言う規格外の連中っていうのは、案外近くにいるものなんだよ。特に君達のような人間の周りにね」
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(炊飯器と電子レンジならどっち買うべきだ?)
入学式の翌日、今の時刻は七時前。朝の鍛錬や朝食、弁当の準備、夕食の仕込みなどやることは済ませた後、制服に袖を通した俺はちゃぶ台の上に置かれたチラシを見て頭を悩ませていた。
それは鍛錬の帰りにポストを見たら入れられていたもの。内容はここからキャビネットで二駅ほど離れたところにある電気屋のセールだ。
どうやら最新とまでとはいかないが割と新しめの品が定価の半額で買えるという。今の俺にはかなり喜ばしいことなのだが、お金の問題でどっちか一つしか買えないというのが新たな悩みの種になっていた。
(前から炊飯器には目を付けていたんだが。米を飯盒とコンロで炊くのは結構時間がかかるからな。いちいち家に帰ってから直ぐに始めてずっと見ている訳にもいかんし、予約するだけで時間通りに炊き上がると言うのはとても素晴らしい。
だが米ではなく他の食材に目を向けるとするならレンジも欲しい。今までは余ったものを冷凍保存しようにも温める手段が焼き直す以外になかったからな。レンジがあればただボタンを押して数分待つだけで温め直せる、なんと素晴らしいことか)
科学とは偉大だな、なんて普通の魔術師なら絶対に認めないようなことを思いながらそれぞれ買った場合のメリットを頭の中に並べていく。
しばらく頭を悩ませた結果導き出した結論は
「また今度考えよう」
何でも先送りにしようとする駄目な日本人の典型的な選択肢を取った。
財布や生徒証やCADなど、必要な物を鞄に押し込み家を出る準備をする。すると、部屋の中に短いチャイムが響いた。玄関へ向かいの鍵を外しドアを開けると大家の佐々木さんが大きめのビニール袋を下げて立っていた。
「おはようトーヤ君、朝早くにごめんなさいね」
「おはようございます。いえ、今ちょうど出るところでしたので」
「あらそうなの?へぇそれが魔法科高校の制服なの?カッコいいわね~昔とは大違い。
あ、これこれ。この前の地球堂のセール、あなた何も買えなかったでしょう?良かったらこれ、使ってちょうだい」
「えっ、でも」
「いいのよ。あなたは初めてだったんだし、押し負けちゃったのも仕方無いわよ」
(押し、負けた・・・?俺には最早全体重と加速をかけたタックルで殺しに来られた気分だったんだが。というか実際に何人か白目向いて気絶していたような、アソコだけ何故か世紀末世界みたいになっていたぞ)
腰を低くして目を血走しらせただ目の前の食品に向かっていく様は、最早人ではなく飢えた猛獣を思い浮かばせる。この佐々木さんもにたような感じだった。
「それにあそこの品って新鮮で安いものばっかりだけど、その分直ぐにダメになっちゃう物も多いのよ。前回のセールは稀に見る大戦果だったんだけど幾らか余っちゃいそうだし、私とこの食品を助けると思って受け取ってくれない?」
「・・・では、ありがたく受け取っておきます」
「ふふっありがとうね。それじゃ私はこの辺で。朝ご飯の準備しなくちゃ。学校頑張りなさいね」
「はい、それじゃあ」
階段を降りていった佐々木さんを見送り、一度部屋に戻る。渡された袋の中身を見てみると、瑞々しい野菜や魚、赤身の濃い肉など新鮮な食材が多く入れられていた。この量なら三日は食費が浮くだろう。思わず小さくガッツポーズをする。
上機嫌のまま家を出た刀弥はそのまま学校へ向かう。
(・・・俺って魔術師で刀鍛治師なんだよな?)
途中で色々と心配になったのはここだけの話
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「いい加減に諦めたらどうなんですか?深雪さんはお兄さんと一緒に帰ると言ってるんです。他人が口を挟むことじゃないでしょう」
その日の放課後、多くの生徒が帰宅するため通ろうとする校門の前で一悶着が起きていた。ことの始まりは昼休みあたりまで遡る。
騒動の中心となるのは1年E組の司波達也とそのクラスメイトである西城レオンハルト、千葉エリカ、柴田美月と、1年A組の達也の妹の深雪、彼女に関わろうとするそのクラスメイト達だ。
最初は食堂で昼食をとっていたE組のメンツだったが途中から遅れて深雪が合流。だが、彼女との相席を狙っていたA組の生徒たちがこれを快く思わずちょっとした口論になりかけた。
最初は場所がない、邪魔しちゃ悪いなどオブラートに包んだ言葉を選んでいたが、深雪の意思が固いと見るや彼等はあなたに相応しくない、二科生と僕らは違うなどと言い、終いには食べ終えていたレオンハルトに席を開けろとのたまう始末。そこは最終的に達也が急いで食べ終え、深雪と共に席を立つという形に収まった。
また射撃場などでも悪目立ちをしてしまい、校門でしびれを切らしたA組の生徒が強引に深雪と達也達を引き離そうとし、此方もいい加減頭にきたと美月が真っ向から反論したのが今回の騒動の顛末である。
「お兄様・・・」
「謝ったりするなよ。これは一毛たりともお前が悪いわけじゃ無いんだから」
「はい。ですが、止めますか?」
「・・・逆効果だろうなぁ」
少し引いたところから見守っている達也と深雪の前では、一触即発の雰囲気で睨み合うA組とE組の面子。
「別に深雪さんはあなた達を邪魔者扱いなんてしてないじゃないですか。一緒に帰りたかったらついてくればいいんです。何の権利があって二人の仲を引き裂こうとするんですか」
「美月、何か勘違いしてない?」
どこかずれているようではあるが、美月は理不尽な行動をする一科生に正論を叩きつけ一歩も引かず雄弁を奮う。だが、彼女を完全に下と決めつけている彼らにその言葉は届かない。
「僕達は彼女に相談することが有るんだ!」
「そうよ!司波さんには悪いけど、少し時間を貸してもらうだけなんだから!」
「ハンッ!そう言うのは活動中にやれよ。ちゃんと時間取ってあるだろうが」
「予め本人の同意を取ってからってのが筋じゃないの?相手の意志も無視して時間をくれなんて。それがマナー違反ってことが高校生にもなってまだ分からないのかしら?」
自分勝手な一科生達の言い分を、レオンハルト威勢良く笑い飛ばしエリカは皮肉たっぷりの笑顔と口調で言い返す。それを受けて一科生の一人が切れたのか、本来口に出してはいけないはずの差別用語を吐く。
「うるさい!他のクラス、ましてやウィードごときがブルームに口出しするな!」
入試成績表優秀者である自分たちを誇示するための『ブルーム』とその穴埋め要員である者をを貶す『ウィード』。
本当はただの制服のデザインの違い、花の刺繍があるかないかだけの話。だが人は自分と他人を比べ無いと気が済まないのか、それを見て一科生は自らを『花』と誇りニ科生を花の咲かない『雑草』と見下す。
差別意識のあるニ科生たちにも、それは当てはまる話だった。今では校則で禁止されているものの、裏で扱われるのはある意味当然のこと。
それを聞いた美月は負けじと言い返そうとする。まだ入学したばかりの私達に、一体どれだけの差があるというのかと。だが、それより先に別の声が響く。
「いい加減にしろ!お前ら!」
それはその場にいた誰にとって意外にも、一科生の一人の上げた声だ。そして達也には彼の顔に見覚えがあった。それは昼休みの時。かれは達也が深雪を連れてその場から離れようとして尚話し掛けようとした生徒を宥め自分にアイコンタクトをしてきたのだ。
「間違い無く言い分は向こうにある。これじゃただ自分の意思を押し付けているだけだ。相談ならまた明日にでもすればいいだろ。
それに、このことに一科生やニ科生であるなんてのは関係ない。最低限人としてのマナーが今のお前たちはなっていないんだよ」
深雪を連れて行こうとする一科生の一団の中から前に出て、達也達を『ウィード』と呼んだ男子生徒を中心に注意を促す。
これからのことなんかを考えると間違い無く悪手であることを厭わず、間違ったことを集団に指摘する彼に達也達は素直に感心した。やはりしっかりとした人は必ずどこかにいるのだと。だが、
「森崎!君はブルームなのにウィードの肩を持つのか!」
「だからこの事に一科もニ科も関係ないって言っているだろ。それにニ科生を『ウィード』と呼ぶのは校則で禁止されているぞ」
同じ『ブルーム』が反論してきたのが納得いかないのか、森崎と呼ばれた男子に向かっても大声怒鳴り散らすように言葉をぶつける。それに対し、森崎はただ冷静に、それでいながら強く話す。その雰囲気に気圧されたのか名も知らぬ男子生徒はたじろぎながらも言い返す。
「ただ相談がしたいことがあるってだけじゃないか!」
「それに司波さんにも悪いって言っているじゃない!」
それを聞いて森崎は溜め息をつく。ただ相手を見下して、自分たちは正しいと思い込み言葉を繰り返す。ここまできたら救いようがない。
達也達に至っては憐れみの目すら向けている。もう何を言っても彼は自分が間違っているとは認めないだろう。そして森崎はこんなヤツが自分と同じ一科生なのかと静かに怒りを覚えた。語気を強めて言う。
「同じことを何度も言わせるな。それがマナーがなってないって言っているんだ。そしてお前たちはそれが出来てない時点で人として劣っている」
「何ですって!?」
「森崎!」
森崎の言葉を聞いて深雪のクラスメイトの面々は完全に頭に血が上った。そして遂に、男子生徒一人が腰のホルスターから小型拳銃形態CADを抜き、森崎に向けて狙いを定めて引き金を引こうとする。
例え下らない騒動を起こしていたとしても彼は一科生。二桁の倍率の入試を乗り越え更に成績優秀者と認められた技術を持っている。それに加え彼は魔法の発動スピードには多大な自信をもっており、森崎との距離は少なくとも直ぐに追いつくものではない。
一度発動させたのならば必ず当てられると確信していた。
だが魔法が発動されることはなかった。何故なら彼男子生徒がCADの引き金を引く前に、森崎が彼に急接近し手に持つそれを蹴り上げたからだ。
「ヒイッ!」
予想もしなかった衝撃に情けない声を上げながらCADを手放し尻餅をつく。自分に覆い被さる影に気付き顔を上げると、森崎が冷たい目で男子生徒を見下ろしていた。
「抜いてから構え狙うまでの時間が長すぎる。まるで邪魔してくれと言わんばかりだ。だからこうやって簡単に近付かれる」
小型拳銃形態CADは彼自身も愛用しているモデルだ。だからこそ、その長所も短所も熟知している。今回のケースは正にその短所に当てはまる。
拳銃形態のメリットは狙いを定め引き金を引くというごく短い行程で魔法を発動出来るということ。拳銃という本来はただの武器である物の見た目であることがその理由である。
だが、形も同じなら使い方も同じである。普通の拳銃と同じで狙わないと当たらない。そしてその照準速度は本人の腕に依存する。つまりそれなりの練習と実践が必要なのだ。
男子生徒は魔法の能力は高くとも銃を扱う能力は持っていなかった。それもそうだろう。彼はただ拳銃形態の方が魔法を早く発動出来るだろうという安易な考えの下にこれを先日購入したばかりなのだから。
(素人が。
でも正直危なかった。彼があと少しでもまともに使いこなしていたら、魔法は発動していただろう。クソッ、反応がまだまだ遅い。こんなのじゃ、まだまだアイツに追い付けやしない)
彼の心中を知らずか、その森崎の一連の動きを見て達也と深雪は感嘆の声を漏らし、レオンハルトやエリカは面白い物を見つけたと言うように笑みを浮かべる。その外の人間は目の前の光景を上手く呑み込めないのか呆然としていた。
だが深雪のクラスメイトの一人が再び森崎に魔法を発動しようと、腕輪形態のCADを操作する。それに続く者、止めようとする者皆が魔法を発動させようとする。それをいち早く察知した森崎はいつでも対処出来るように構える
(俺を狙ったものは五つ。他の狙いは別だから放置。皆冷静さを欠いている状態だ。
動きから実戦慣れしている様子もない。恐らく焦って早く発動させようと単純行程の魔法を使ってくる。なら・・・)
と、そこで思考を止め構えを解く。それと同時に外部からサイオンの塊が打ち込まれ、発動直前だった魔法式を霧散させられた。
「止めなさい!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に犯罪行為ですよ!」
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その後、生徒会長と風紀委員長からの尋問を受けたが、達也の機転を利かせた返答によりお咎め無しとなり解散となった。流石に深雪のクラスメイト達も、生徒の長にまで出張られると大人しく引き下がった。(森崎を含む達也達には恨みを込めた視線を送っていたが)
光井ほのかと北山雫が達也に自己紹介と庇ってくれた事への感謝を済ませたころ、彼等に声をかける男子生徒がいた。深雪のクラスメイトへ真っ向から立ち向かった森崎だ。彼は達也たちがこちらに振り返ったのを確認すると、深々と頭を下げた。
「僕のクラスメイトが君達に迷惑をかけたばかりか生徒会長達から庇ってもらうことになった。本当にすまない」
「お、おい顔上げろよ。別にお前だけが悪い訳じゃないだろ」
「そうよ。寧ろあなたはアイツ等止めようとしてたし魔法も使ってないじゃない」
まさか急に頭を下げられるとは思わなかった彼等は、狼狽えながらも彼に言う。それでも謝意を尽くそうとする駿に、深雪が一歩前に出て言葉をかける。
「森崎君でしたね?」
「っ!?は、はい!」
「あの場を諫めようと声を上げてくださりありがとうございます。そしてごめんなさい。同じクラスメイトでありながら、発端であるわたくしには何もできなくて…」
「い、いえ!司波さんは、何も悪くありませんっ!
一緒にいたのならそもそもこういうことになる前に何とかできたかもしれないですし、僕の考えが甘かったというか!ええと、その…!」
深雪は何故顔が赤いのだろうと首を曲げていたが、その他の面子は何か察したように笑みを浮かべる。主に
まわりの視線に気が付いたのか、一息入れ佇まいを正す。達也は場を進めようと駿に向かって手を差し出す。
「あとは帰りながらでもいいだろう。君も一緒にどうだ?俺からも礼を言わせて欲しい」
「ああ是非に。改めて、1ーAの森崎駿だ。好きに呼んでくれ」
「1ーEの司波達也だ。なら駿と呼ばせて貰う。こっちも達也で構わない」
「わかった、宜しく達也」
そう言って握手をする二人。それに続いて他の面々も順番に自己紹介をしていく。そのまませっかくだからと、一緒に下校する流れとなった。談笑しながら歩いている中、そう言えばという風にエリカが森崎に聞いた。
「森崎くんさぁ、さっきのよく追いついたね」
「さっきの?」
「ほら、一科生のCAD蹴り飛ばしたヤツ」
「ああ、あれか。結構距離開いてたよな?」
エリカの話を聞いて皆が森崎に注目を集める。
確かに、あの時森崎と一科生との間にはかなりの距離があった。ただ走っただけでは絶対に追い付けない距離をどうやってあの少しの時間で詰めたのか。
エリカは『剣の魔法師』と呼ばれ武術を納める千葉家の人間として興味があった。
「あれって魔法も使ってなかったでしょ。森崎くんって何か武術でもやってるんじゃないの?」
「いや、家の関係で護身術を納めているくらいだけど、武術なんて呼べるものじゃないな」
「ウソ?でもあの動きって・・・」
エリカの目からして、あの時の森崎の動きは間違い無く武術に通じるものがあった。
まだまだ出来も悪く荒削りだったが、完成させたのならば一つの技となるであろうもの。なのに彼は武術には縁がないという。その答えは森崎自身の口から語られた。
「あれは、僕の友人の動きを見様見真似でやっただけだ。確かあいつは何か武術をやっている雰囲気だったし、僕のなんかよりずっと滑らかで早かった。多分その名残だな」
「へえ」
その後、達也のCAD談議、エリカと美月による天然発言、これまで押し黙っていた雫の的確すぎるつっこみなどで今日のところは解散となった。
(あの動きを完成形で扱う事ができる、それも同年代でなんてとんでもなく出来る奴ね。面白いじゃない、今度もっと詳しく聞いてみようかしら。
それにしても、あの人が言っていることって本当なのかしら。『政狩の次期当主が一校に入学して来るかもしれない』なんて。あの政狩よ?とても信じられないんだけど・・・)
「・・・クシュン!」
え、なに?風邪でも引いたか?いやいやこれまで風邪なんて一度も引いたことなんてないし。誰か俺の噂でもしてんのか?イヤイヤ誰がそんなのするってんだよ、て言うか俺の噂をするような奴自体がいねえだろ?・・・あれ、俺今フラグ立った?
三人称は言い回しがワンパターンになってしまうのが難しいところ。ここがしっかり出来るようになると書くのがめちゃくちゃ楽になる(出来るとは言っていない)
刀弥の真似で歩法モドキを習得している森崎くん。ついでにいうと接近して来る刀弥に対抗するため格闘術を死ぬ気で特訓、並みの相手じゃまず勝てない。
書いてて「あれ?森崎主役だったっけ?」と戸惑いながら「まあいっか」今日この頃な益荒男でした。
んじゃ、爆死してくるか(血涙)