第五話投下!
最後のが書きたくて急いで仕上げましたとも!あれ、途中適当になってないかな?(本末転倒)
私はこの作品をアイナはアーチャーインフェルノ、郁磨はぐだ男、爺やをセイバーエンピレオにして書いています。友人はアイリ、キリツグ、アハト翁らしいですが。皆さんはどうですか?
「「「「・・・・・・」」」」
我が家の居間は、重い沈黙に包まれている。只今政狩家、第二次家族会議まっただ中で御座います。きっかけは俺が学校から持ち帰った一枚のプリント、そこにはこう書かれていた。
『魔法適性調査結果表
対象者:政狩 刀弥
保有想子量:ランク B+
魔法演算領域規模:ランク B
総合評価:B+
結果:平均よりかなり高い適性をお持ちです。
記述テストの結果次第では簡単に一科生
で入学できるでしょう。魔法科高校への
進学を強くお薦め致します。
日本魔法協会』
嫌な予感ってよく当たるよね?
「これは凄いこと、なのか?」
「ああ。僕達はあまり現代の魔法というものに詳しくないんだが・・・。」
「ワタシだってそうよ。魔術師は基本現代の魔法を快く思っていないもの。ワタシはただ興味がないだけだけど。」
政狩の人間はほとんど山籠もり状態なので俗世には全く詳しくない。外来の母さんも魔法には興味がないらしい。
「俺の学校には、二項目ともB以上は俺と後一人しかいないって。先生もなんか喜んでた。」
そのもう一人とは勿論司波のことである。原作じゃ学年代表も務めてたし当然だね。ついでにあいつは両方ともA以上だった。
「それなら、凄いんだろうな。」
「で、どうする?」
「どうするって何が?」
「もちろん、刀弥のこれからの進路のことだよ。」
「今決めることなの?」
「ああ、もう一枚の紙に書いてある。『今回の検査で総合評価D以上の評価を受けた生徒は後日この紙の欄に希望する進路を記入して期限までに提出して下さい。希望する生徒には二学期から「魔法科高校進学カリキュラム」を実施致します。』だって。期限は一週間後の水曜日だ。」
「進路を決めるにはいくら何でも早すぎない?こういうのってもっとじっくり考えるものでしょ?」
「多分、ほとんどの生徒が魔法科高校への進学を希望するってわかってるからじゃないか?魔法師の将来は安泰だってことぐらいは聞いたことがあるし。」
「学校からしても魔法科高校に生徒を送るのは都合がいいんだろう。箔がつくという意味でもな。早くから始めておいて損はない。」
なんか俺抜きで話しがどんどん進んでいく。でも言っていることは間違いではない。実際、先生もそんなこと言ってたし。話し長くて半分くらいしか聞いてなかったけど。こっちは四六時中鍛冶と鍛錬のイメトレで忙しいんだよ。あ、そういえば。
「俺はその紙出さなくていいって。」
「え、なんで?」
「俺はもう、そのカリキュラムを受けることになってるから。」
「はあ!?」
「それは、本当か?」
「うん」
検査が終わった後校長らしき人のところに連れて行かれて「君が望むのであれば先にこのカリキュラムを受けることを受理しよう」なんて言ってきた。
どうやら、カリキュラムを選択した生徒を一つのクラスにまとめて、通常のものとは別の授業を受けることになるだとか。基本的には魔法知識と魔法実技が中心となり、内申もあがるらしい。下校時刻が遅くなることもないみたいなので「それでかまいません」と返事をした。そのことを皆に伝えると、
「そうか・・・。」
「それが刀弥の答えというなら何も言うことはないわ。」
「・・・。」
上から、爺や、母さん、父さん、である。あれ?なんか反応がよろしくないぞ?そんなに俺変なことした?確かに魔法科高校に進学する気なんてさらさらないけど、「内申上がるから高校行きやすくなるぜラッキー」な感覚で受けたんだけど。
「刀弥」
「?」
父さんがようやく口を開いた。その目はまるで何か大きな決意をしたように激しく燃えている。
ど、どうしたんだマイファザー?一体、何を?ゴクリンコ・・・・
「もしこれで、高校を卒業しても政狩を継ぎたいと言うのなら、僕はもう文句は言わない。当主の座を譲り、残りの命を全てお前の望みの為に捧ぐと誓おう。」
・・・え?マジで?
・・・ヨッシャアアアアア!!これは本当に後六年で自由に刀を打てるようになるってことだよな!いやあ心配だったんだよ。頭首になっても「もっと他にやるべきことがある」とか言って自由に打たせてくれないんじゃないかって。でも、もうそんな必要はない!よーしやる気出てきた。この六年で爺やの技を全部習得してそれからゆっくり都牟刈を目指すとしよう。ここまで、本当に長かった・・・!
でも、なんかデジャヴを感じるんだよな。前の魔術刻印は継承させるけど当主にはさせない、みたいな?手に届く場所まできたのに回り道をさせようとしている、みたいな?ま、気のせいか!気にしない気にしない!
後六年、死ぬ気で頑張るぞー
話は纏まり夕食をとった後、刀弥と爺やは鍛錬の為に道場へ向かった。月明かりが照らす中、郁磨とアイナは庭に出て夜風にあたっていた。
「いつ見ても、とても綺麗な星空ね。」
「そうだな。小さい頃は何も思わなかったのに、一度外に出てからは、とても綺麗に見える。」
「外は地上の光が強すぎるのよ。賑やかなのもいいけど、ワタシはこっちの方が好きだわ。」
「そっか。」
「ええ。」
「・・・」
「・・・」
「・・・さっきの、」
「え?」
「さっきのあれは、魔法に興味を持ったってこと、なのかしらね?」
「そうだと、いいなあ。」
「でないとこんなものなんて受けないわよ、あの子は。無駄なことを嫌う人間だもの。」
「・・・どうにせよ、多分これが最後のチャンスだ。これでダメなら、僕は諦める。そして、全力で刀弥を支えるさ。」
「あら?ワタシはほったらかしなの?悲しいわ。」
「え!?いや、そんなつもりは・・・」
「ふふ、冗談よ。」
「うぅ、そんな冗談はよしてくれ・・・。」
「イーヤ、止めてあげないんだから。」
「そうかい、まったく・・・」
「・・・叶うといいわね。」
「・・・ああ。」
夏が近くなってきたからか、どこか暖かい夜風が吹いている中、草原に立つのは子を愛する二人の親。
彼らは星が瞬く夜空の下、たった一つだけの願いを口にする。
どうか我が子が、幸せな人生を歩めますように
『※ カリキュラムを受ける場合の注意
カリキュラムを希望する生徒は、
進学希望校は必ず魔法科高校の中
から選ぶこととなります。
』
ーーーーーーーー
はい、今日も今日とて学校でございます。昨日の父さんの言葉のお陰で俺のやる気はMAXだ。後六年、耐えきるぞ!それはそうと、なんか昨日の夜の鍛錬から爺やの扱きがいっそう激しさを増したんだが。具体的には一太刀だけ入れればいいところを一瞬で三連撃くらい入れてくる。
てか爺や、あんたもう直ぐ燕返し撃てそうになってるんだけど!怒りで強くなるってあんたはスーパーサ○ヤ人か!いやスーパーマサカリ人だったな!あ、やっべ、お腹痛んできた。とりあえず周りに気付かれないように治癒かけとこう。
「あ、政狩君おはようござい・・・って、どうしたんですか!?お腹を抱えて座り込んで!?」
タイミング悪過ぎんだろ司波ぁ!そんでどんだけ俺を虐めるのが好きなんだよ神様!この世界に連れてきてくれたのはスッゴい感謝してるけどさあ!いくら何でも俺で遊びすぎだろ!さてはアンタ愉悦部員だな!(もちろんさあ)
「いや、問題ない。」
「でもこんなに汗もかいているではありませんか!無理をする必要はありません!私もついて行きますから、保健室に行きましょう。」
そういやコイツめちゃくちゃ頑固だったなコンチクショウ!って、いやもういいから本当に大丈夫だから!美人と一緒ならいいとか言ったけど前言撤回!やっぱりコイツとは離れたい!!
ん?どうした?急に気温が一気に下がったような。今はもう夏だぞ・・・っておい、なんか廊下が氷張りになっているぞ!
「さあ、行きますよ!」
「おい司波、まさかお前魔法を・・・!って」
アーーーーレーーーーーー!!!!!
「ん、やけに打撲跡とかは多いけど、特に後遺症が残るような大きな怪我はないよ。」
「そうですか、よかった。」
保健室の先生の言葉に司波は本当に安心したというようにそんなことを呟いた。俺は全然よろしくなかったんですけどねえ。氷の上を引きずられながら移動させられたんだから。今はどっちかっていうとお腹より尻のほうがいてえよちくせう。
「でも、本当に傷の跡が多いな。日常生活でつくようなものじゃないぞ。それも事故とかじゃなくて誰かに傷つけられたものだ」
「ッ、まさか、政狩君・・・!」
「何勘違いしているかは知らないけど、これは爺やがやったものだよ。」
チッ、これだから保健室なんかに来たくなかったんだよ。余計なことしやがって。まあ、俺のことを心配してくれているのは分かっているけども、もう少しその頑固さ直らないかなー司波さんよお。
「やはり、虐待を・・・!」
「違う。武術の鍛錬をしているだけだ。」
「鍛錬?政狩君の家は武術の道場なのですか?」
「ただのしがない刀鍛冶だよ。」
「かたな、かじ。このご時世にですか?」
「そんなものどうでもいいよ。俺の家は刀鍛冶をしている、ただそれだけ。」
「刀を作るのに、どうして剣の鍛錬をするのですか?」
「だからこそだよ。刀についてよく知っていないと刀を作ることなんて出来やしない。」
「そうですか・・・フフ」
「何がおかしい。」
「いえ、そういうわけではなく。初めて政狩君から自分のことを教えてくれたのが嬉しくって。フフフ♪」
「・・・」
なあ、大丈夫だよな?俺何もやらかしていないよな?なんか俺ずっとコイツから離れられないんじゃないかって心配になってきたんだが!?大丈夫だよなあ!?
「はいはい。こんなところでイチャイチャするな、それにとっくに授業は始まってるんだ。早く自分の教室に戻れよ。」
「っ!?い、いえ!そんなつもりは決してなくて……!」
断じてイチャついてなんていねえ!!
嫌だ、もう引きこもりたい。ずっと山の中でひたすら鉄を打って刀を振っていたい・・・。
いや、気を改めろ。よくよく考えるんだ。司波は中学を卒業すれば必ず魔法科高校に行く。そうならないとおかしい。原作が成り立たなくなってしまう。
原作といえば、なんでお兄様が司波の近くにいないんだ?あのシスコンが司波から離れているなんておかしいだろ。そんで俺に敵意を向けてきているだろうに。
・・・今思えば俺って結構危ない橋を渡っていたんだな。あの司波深雪と一緒にいるなんて。こうなるんだったら原作を読んでおくべきだった!まあ、後悔してても意味はない。とりあえず司波は魔法科高校に行き、俺はこのあたりの高校に入る。これで万事解決だ。どこにも穴なんてない。もうこれは決定事項だ。
「そういえば政狩君、進路はどこの高校にするんですか?あそこまでの魔法適性があったんです。成績も数学さえなんとかすれば、どこにだって行けると思いますよ。」
学年主席で魔法適性A+のあなたがいいますかね。朝の授業が終わって昼休み、屋上で昼ご飯を食べている。てかもう普通に司波と一緒に食べてるな。最初は無視していたのに、慣れって怖い。
今じゃ学校にいる間ずっとコイツが隣にいるんじゃないか?しかも二人っきりで。・・・これ以上は止めておこう。これからが心配になってくる。主に俺の進路が。そうだ。今ここでもうズバッと言ってしまおう。俺の意思表示とこれ以上の付き合いの線引きのために。
「魔法科高校には行かない。俺はここの近くの高校を出て家を継ぐ。」
「え・・・?」
司波の目が見開かれる。いや、こっちがえ?なんだけど。そこまで驚くこと?
「な、何故ですか!?そこまで高い魔法適性を持っていながら、何で!?」
声でけえよ!何故叫ぶ!?
「元から俺は家を継ぐつもりだから。他は知らないけど、俺は魔法を使うより刀鍛冶をしていたい。」
「将来のことを考えるならば、魔法科高校をでて魔法師になるべきです!あなたの才能ならば、それは難しいことではありません!
あ?
コイツは今何と言った?
刀鍛冶を、政狩家を
コイツは
ふざけるな。
そして
「図に乗るなよ。司波深雪」
「ヒッ・・・!」
司波に向かって自分の出せる殺気の全てを向ける。腰を抜かして涙目になっているが知るものか。コイツは俺の逆鱗に触れた。
「何故お前が俺の人生に口を出す?お前は神か何かか?それでも俺は聞き入れるつもりはないぞ。俺の人生は誰でもない、俺自身のものだ。そして、俺は自分の夢を叶えるのを邪魔をするやつは全て切り捨てる。それもまた鬼であろうと神であろうとだ。」
「ァ・・・・アァ・・・・・・!」
俺の夢は最高の一本の刀を打つこと。
かつての刀匠、千子村正が目指し、そしてやり遂げた至高の刀「都牟刈」
その名を語るに相応しい刀を打つこと。
「刀鍛冶は俺の夢へと至る道であり、俺の人生の全てだ。そして政狩家は俺を産み、俺に『鍛冶』を与えてくれた。この二つは俺にとって、何よりも大切なものだ。国家魔法師?将来の安泰?そんなものは俺はいらない。だから、口出しするな司波深雪。もしお前も俺の邪魔をするというのなら、」
昼ご飯のパンの袋をゴミ箱に捨て、扉を目指す。もう俺にとってアイツの価値は底をついた。なら、
「その首、切り落とすぞ。」
切ることに迷いはない。
それから、俺達は初めてあった時のようにお互い関わらなくなり、2カ月近く経って夏休みを終えた二学期初日、司波が転校したことが担任の教師から告げられた。
ここから本編の補足をしていきます。
・魔法適性ランク
A~普通の魔法師を逸脱した規格外。ここまでくると、ほぼ
B~平均を大きく上回る適性を持つ、+がつけば万に一人いればいいくらいになる。
C~平均的
D~魔法師になれる最低限の適性しかもっていない。
各ランクの間には、大きな差がある。
最後の深雪の発言は、刀弥の言ったことのショックと四葉のことをよく思っていないことから出てきたものです。もしかしたら「こんなの深雪じゃねえ!」と思う方もいるかもしれません。
ついでに夏休みのあいだに原作通り追憶編の沖縄戦が起こり、深雪は本格的に四葉の次期頭首としての勉強のため中学を止めることになりました。
どうだ!深雪にトラウマを植え付けながら刀弥の原作参加を決定的にさせる!これこそ本物の愉悦だー!!ハーハッハッハッハ!!
アイナと郁磨のシーンはブラックコーヒーを飲みながら書きました。