1.もうアサシンクリードは卒業しようかと思う。
「……って“奴”が泣きついてきたの。リマスター版3で酷い目に遭ったみたい」
「いきなりなんだ、このタイトルは!言っとくがここに愚痴を書くんじゃないぞ。
ただでさえアサクリネタは使用済みだし知らない人置いてけぼりの自己満ネタなんだ。
わかったら一ヶ月もほったらかしにしてた理由を説明しろ」
「そのアサクリ3にかまけてたこともあるし、
なぜかさっぱり物語が思い浮かばなくなったみたいなの。
待っててくれた人がいるとしたら本当に申し訳ないと思ってるわ。ごめんなさい。
それと、まだスランプが続いてるみたいだからから週一更新に戻れるのは先になりそう。
合わせて謝るわ」
特にやることもなく、ダイニングでお茶しながらただダベるあたしとルーベル。
珍しく二人だけ。ゆっくりとした時間が流れる。
それにしても、ここ一ヶ月更新が途絶えてたのは奴の怠慢であって、
あたしのせいじゃないのになんで謝ってるのかしら。
「もーいいや、話題戻そうぜ。今回はどんな話にするんだ?」
「エリカいじりはもうやったし、
最近あの娘もなんだかんだで出番が多いからやめときましょう。
かったるいバトルは前回やったから今回は遠慮したい。ルーベルなんかない?」
「この企画も100話超えてマンネリ化が著しいからな。
何やってもいつかの話の焼き直しにしかならねえ。
キャラや設定は増えたんだが、
逆にその駒をどう活かしていいか見当がつかなくなっちまってる」
「だからって玄関ノックも勘弁してほしいけどね。
連絡なしに訪ねてきたやつにまともな人間なんて片手で数えられるほどしか……
なにこれ?」
とか言いつつ、ここでいつものノックが聞こえてくるんだろうなぁって思ってたら、
どこからか淡い光を放つ不思議な帯が流れてきた。触れようとしても触れない。
魔力で編まれた幅10cm程度のとても長い何か。
「おいおい、こりゃなんだ?」
「知らない。誰か変な魔法でも使ってるのかしら。こら、ジョゼット!」
「何かあったらとりあえずジョゼットを怒るのはやめろ。
あいつはカシオピイアと買い物中だ。まずはこれ辿ってみようぜ」
「この変なのが今回のゲストってことでいいのかしら」
他にやることもないから、あたし達は光の帯の元へと辿っていく。
辿ると言ってもなんてことはない。ものの10秒で結論が出てしまった。
帯は玄関をすり抜けるようにフワフワと漂っている。
はぁ、ノックじゃなくて変な布になっただけじゃない。
ひとつため息をついてドアスコープを覗く。
……うん、まあ比較的無害な存在が微笑みを浮かべて立っていた。
扉を開けて彼女を迎える。
「リーブラ、遊びに来たなら普通に声かけて……あら?」
「こんにちは。里沙子さん」
「……よろしく」
リーブラはいつもどおり百科事典を小脇に抱えてニコニコしてた。
その足元に不思議な少女が正座してたの。
ドアスコープの視界から外れてて気づかなかった。
巫女装束の女の子だけど、絹織物で目隠しをしてるのはなんでかしら。
髪は暗めの茶色をおかっぱにして五芒星の髪飾りを着けてる。
せわしなく編み棒を動かして指先から発する魔力の糸を編んでいるところを見ると、
変な布は彼女が発生源みたいね。
「はじめまして、里沙子よ。リーブラ、この娘あなたの知り合い?」
「はい。どうしてもあなた達に会ってみたいと」
「……リーブラが、最近しょっちゅう人間界に行くから、何をしてるのか聞いてみたの。
そしたら、面白い人間と事柄を見つけたって。
次元の狭間は静かだけど、時々退屈になるの」
「ふーん。じゃあお前らは、その次元の狭間ってところに住んでるのか?
あ、私はルーベルだ」
「私、カゲリヒメ」
「特に定住しているというわけではありませんが、
そこに集まって静寂の中それぞれの目的に没頭しています。
私は読書、カゲリヒメは編み物と言った具合」
「そこってスマホつながる?よかったら電話番号教えてよ」
「世界が分割されているので無理だと思います」
「そっかー。まあいいわ、とにかく上がってよ。ちょうどあたしらも暇だったの。
字数稼ぎに付き合って」
「もちろん。後でガトリングガンも観察しないと」
「お邪魔するわ」
二人を中に促すと、カゲリヒメという和風テイストな女の子が
正座したまま浮かんで入ってきた。
彼女は目を封じたまま器用に長椅子や調度品を避けてホバーする。
「カゲリヒメでよかったかしら。目隠ししててよくぶつからないわね」
「……前しか見えない眼球の方がよほど不便。
微弱な魔力を四方に放って跳ね返りを肌で感じたほうがよく視える」
「考えるな、感じろ。ってやつ?ちょっと違うかしら。こっちよ」
奇妙な客人をいつものダイニングに通すと、
ジョゼットがいないことを思い出して、あたしは自分で茶を出すことにした。
「リーブラ、カゲリヒメ。コーヒーと紅茶があるんだけど、どっちにする?」
「私は紅茶をいただきます」
「緑茶は、ないの?」
「ごっめーん、こっちの世界じゃ手に入らないの。
外国を探せば見つかるかもしれないけど、
船旅で何度もしんどい目に遭ってるから海外旅行はしたくない。
とにかくサラマンダラス帝国にはないのよ」
「そう……じゃあ、リーブラと同じでいい」
「私は水でいいぞー」
「あんたは自分でやんなさい!」
そんなこんなで全員に飲み物が行き渡ったら、お客さんを加えてダベリ再開。
あたしはいつものブラック。
「それじゃあ改めてカゲリヒメ。
遠いかどうかよくわからないところからはるばるボロい教会へようこそ。
リーブラとはどういう関係なの?お友達?」
「私達、四人の上位魔族にそういった関係はない。人間の言葉で言うなら……顔見知り」
「あら冷たい。
物静かで読書の邪魔をしないあなたには、少しばかり好感を持っていましたのに」
「意外だわ。四大死姫ってグループ名つけてるくらいだから、
クラブ活動で軽音でもやってるのかと思った」
すると二人が明らかに嫌そうな顔をする。
「それはローナが勝手に作った概念です!参照するにも値しない!」
「そうよ!あんなカッコつけたがりの中学生が考えたような枠で括られたら
たまったものじゃないわ……!」
「あはは、やっぱ嫌なんだアレ。
そう言えば当の変態コスプレナースは今なにしてんの?」
「あなた達への復讐の機会を伺っています」
「また奴が攻めてくるってのかよ!?」
ルーベルだけが真面目に受け取ってたけど、多分大丈夫。
「ドクトルが自分の研究に夢中で戦闘用の薬品を作ってくれないので、
何もできそうにありませんが」
「……ちなみに今は、
エニグマ暗号機を針金だけでスーパーコンピューターに改造する研究をしてるんだって。
何の意味かはわからないけど」
ほら。
「でしょ?ルーベル。また来たってあたしが追っ払うから安心しなさいよ。
とまあ、こんな感じでゆるゆるやってるの。あたし達。
少しは退屈しのぎになってると嬉しいんだけど、どう?カゲリヒメ」
「うん……たまには人間と喋るのも悪くない。
実戦タイプじゃないとは言え、ローナを倒した人間がただの少女だったのは意外」
「こう見えてあたし24歳なの。
……ところでさっきから聞きたかったんだけど、ずっと編んでるその帯って何なの?」
カゲリヒメはうちに来てから、紅茶に口をつける時以外はずっと編み棒を動かしてる。
魔力の布もどんどん伸びていって、もうダイニングを何周もしてる。
「……内緒」
「えー、教えてよー。これ見よがしにぐるぐる巻きにしといてそれはないんじゃない?」
すると彼女は目隠し越しに少し困ったような表情を見せ、ふぅと息をついて答えた。
「星々を結んでるの」
「んー?星を結ぶってどういうことだ?」
あたしもルーベルと同じく意味がわからない。更に問う。
「星を結ぶって、この布で?」
「そう。私の魔力で作った帯で夜空に輝く星たちをつないで、私だけの銀河を作るの。
そのためには全宇宙にこの帯を張り巡らせなきゃ。だから何千年も編み物を続けてる。
太陽系はもう編み上げた」
「へぇ……なんだかロマンチック」
「里沙子さん、彼女に気に入られたようですね。
カゲリヒメが編んだ布の使い方を誰かに話すのは初めてですから。
もっとも、こちらから尋ねたこともありませんでしたが」
「相互不干渉が暗黙の了解、だから」
「リーブラにしろカゲリヒメにしろ、ハイクラスな魔族なのに本当おとなしいわね。
昔ロケランでぶっ飛ばした悪魔なんか、勝手に村に居座って生贄まで要求してきたのに」
「そんなの、いちいち外から魔力源を捕食しないと生きられない下等種族の蛮行。
一緒にしないで」
「あはは、ごめん。まー、うちは揉め事やトラブルの類を持ち込まないまともな客なら
最低限のもてなしはするから。今日は予定もないしのんびりしてってよ」
「……ありがとう」
すると、わくわくちびっこランドから“ふぁ~あ”と小さなあくびが聞こえて、
住人2人がダイニングに入ってきた。
「里沙子~。喉渇いちゃった。何か飲ませて……!?」
「パルフェムにもお茶をいただけませんか?お昼寝の後は飲み物が欲しくなりますから。
あら、嫌ですわ。お客様の前で。ごめんあそばせ、パルフェムと申します」
「カゲリヒメ。……よろしく」
「ほら、ちゃんとピーネも挨拶なさい」
「あ、うん……私、ピーネ」
なぜかピーネは若干顔色を悪くしてあたしの隣に座った。
そんで軽く袖を引っ張ってヒソヒソとあたしの耳に小声で話す。
釣られてあたしも内緒話みたいな声になる。
(ちょっと、なんで上級魔族がふたりも並んでるのよ!)
(リーブラの知り合いが遊びに来たの。なんで微妙に怯えてんの)
(あんたには危機感ってものがないの!?
この人達がその気になればハッピーマイルズなんて一瞬で灰になるのよ!)
(大丈夫だって。魔族だけど暴れまわるタイプじゃないから)
(里沙子は悪魔じゃないからわかんないのよ!
一見無害に見えても、気まぐれ一つで世界を滅するような存在が魔界にはいるの!)
「お話しの途中すみません。
本当に私達は土地や支配や生贄と言ったものに興味はありませんので、
そんなに怖がらないでください。
世界がなくなったらガトリングガンを観察できなくなってしまいます」
「だとよ。私もこの姉ちゃんたちが魔王みたいに
人間界を滅ぼすようなタイプには見えないぜ」
「ゲッ、聞こえてたの!?」
「私、視覚を捨てたから耳がいい。全部丸聞こえ。
編み物の邪魔さえされなければ、相互不干渉の原則は、人間にも有効。
……あなたは人間じゃないけど」
「パルフェムはこの方達を信じたお姉さまの判断を信じますわ。
パルフェム自身もお二方とは仲良くやっていけそうな気がしますし。
それで、この帯はあなたがお作りになったのですか?目が細かくてとても繊細ですわ。
魔力を紡いでいるようですが、実体があればさぞ手触りがよろしいんでしょうね」
「ありがとう。ずっと作ってるの」
「完成したら見せていただけますか?」
「それは無理。きっと人類が種としての寿命を迎えるほうが先だから」
「まぁ…それは残念ですわ」
「大体ピーネは肝っ玉が小さいのよ。
仮にリーブラ達があんたの心配してるような存在だとしても、
ここに来ちゃった以上どうしようもないでしょう。
だったら残された時間でコーヒーやらエールを楽しんだほうが有意義だわ。
人生時には諦めも肝心」
「なによ、せっかく人が心配してやってるのに!」
「こらこら、客の前でケンカすんなって。済まねえな、おふたりさん。
うちはいつもこんな感じでさ」
「いい。私だって編み物のことしか頭にないわけじゃない。
たまには人間の行動観察で一息入れるのも乙なものよ」
「斑目動物園へようこそ」
「チンパンジーはあんた1人でしょうが、ふん!」
すねたピーネがお茶菓子の籠からマカロンをひとつ取って口に放り込んだ。
「……私からも一ついいかしら。どうして教会にヴァンパイアの子供が住んでいるの?」
「あ、やっぱ気になる?うーん、どう説明したもんかしらねぇ……」
ちらりとピーネを見る。目が合うと不機嫌そうにそっぽを向いた。
「勝手に言えば!?私はお菓子食べる!」
「わかった。実はね」
あたしはピーネが人間界に来た経緯をかいつまんで説明した。
この世界の安定のためにあえて魔王を挑発して戦いを挑んだ結果、
勝つことはできたけど、無理やり招集された母親についてきたピーネが
あたしの持ち込んだアースの兵器で親を失い、
ミドルファンタジアに取り残される結果になった。
「一言で言えば、まぁ…あたしのせいなのよ」
「それは初耳ですね。
吸血鬼については遥か昔に参照していたので、考えたこともありませんでした」
「おーい、里沙子。お前バカ」
「ちょっ、なによいきなり!
ケンカすんなって言ったあんたがケンカ売ってんじゃないわよ!」
ルーベルから予想外の言葉でツッコまれたから、焦ってコーヒーちょっとこぼした。
「バカだからバカって言って何が悪い。何が“あたしのせい”だよ。
それこそ人類の罪を背負ったイエスさん気取りかよ。
あの戦争はこの国に住むやつ全員が生存競争を勝ち抜くために挑んだ
命がけの勝負だったんじゃないのか?
それをまるで自分ひとりが責任者みたいな面しやがってお前らしくねえ。
いつものお前なら何かのミスは巧妙に隠蔽するか
誰かに責任をなすりつける方法を考えるだろうが。
……おっと、悪い。大きな声出しちまって」
「お気になさらず。人間が魔王を倒した話は魔界にも広まっていますから、
大体の成り行きは知っているつもりです。
ルーベルさんの言う通り、一人で戦争はできませんよね」
「……人間は過ちを繰り返す生き物だけど、過ちから学ぶ生き物だとも聞いてる。
私には関係ない話だけど」
マイペースに語るリーブラと、せっせと帯を編みながらつぶやくカゲリヒメ。
嫌だわあたしったら。このあたりの事情に関しては、いつかジョゼットに怒られたのに。
コツンと自分の頭を小突いて考えを改める。
「ふむむ、そうだったわね。あたしは学ばない人種らしいわ。
同じ勘違いを繰り返すなんて、ありえないミス。今の言葉は忘れて」
「わかりゃいいんだよ」
「里沙子おバカだって。ウプププ~」
「ピーネうっさい。これは没収」
ピーネがかじっていたチョコチップクッキーを取り上げて、一口で噛み砕いた。
「あー!私のクッキー!」
「むぐむぐ。まだたくさんあるんだからケチケチするんじゃないわよ」
「本当最悪!ねえ魔族のお姉さん、里沙子は悪い人間だからやっつけてよ!」
「ごめんなさいね。彼女がいると面白いものをいっぱい参照できるから」
「そうね。彼女はそのままを観察してるほうが、楽しそう」
「ムキー!誰も私の味方をしてくれやしない!」
「落ち着いてくださいな。パルフェムはピーネさんの友達ですから」
「でも結局何もしてくれないんでしょう!?」
「あら、何を語ることなく察してくださるとは、まさにツーカーの仲ですわね!」
「もういい!ここにいるやつなんて、どいつもこいつもろくでなしばっかり!
昼寝してくる!」
「さっき起きたばかりなのに、よく寝られるわね」
癇癪を起こしたピーネが、わくわくちびっこランドに戻ってしまった。
ちょっとからかいすぎたわ。
今度街のパン屋でクイニーアマンを買ってきてあげましょう。
「怒らせてしまいましたねぇ」
「騒がしくて悪いわね。これでも今日は静かな方なの。ここはまだまだ住人がいるから」
「別にいい。急に来たのは、こっちだから」
「ちょっとでも楽しんでもらえてるなら幸いよ。
話は変わるけど、前回の最後に“次回は日常回希望”的なことを書いたんだけど、
願いが聞き入れられて嬉しいと同時に驚いてるわ。
とりとめのない会話だけでもう6千字超えちゃってるんだから」
「お姉さまの願いは往々にして無視される傾向にありますからねぇ、この企画では。
単に今はバトル展開を書く気力がないとか、
新しい展開が思いつかないという事情が大きいんでしょうけど」
「……いつもは、どんな生活してるの?」
「カードのモンスターで戦うしか能がないアホが押し掛けてきたり、
勝手にあたし達を題材にしたエロ本描かれたり、ゲームの主人公と敵が降臨したり、
たまに出かけたら船が大破して孤島に流されて苔の化け物と戦う羽目になったり。
そうそう、家にいただけで対物ライフル撃ち込まれたこともあったわね」
「エ、エロ本!?」
「そ。エロ本。
犯人はもう捕まえてて、二度と全年齢対象以外描かせないようにしたんだけど。
……ん、どうしたの?カゲリヒメ」
「なな、なんでもない」
「あらあら、ひょっとしてカゲリヒメはこの手の話題に免疫がないのですか?」
「相互不干渉っ……!!」
アハハ、図星みたい。
目隠しで表情はわからないけど、指先が震えて編み棒がカチカチ言ってる。
数千年生きた魔族にもかわいいところがあるのね。口には出さないけど。
それを見抜いたリーブラが袖で意地悪な笑みを隠しながら続ける。
「そうですね。では、私達で勝手に話を進めることにします。
里沙子さん、その本の内容について具体的に教えていただけますか?」
「いーわよ、いーわよ。ここは女所帯だからね、必然女の子同士が
電気コードのように絡み合って互いにいろんなスイッチを押しまくって……」
「ふたりとも……!うるさい!」
両手で編み棒を握るカゲリヒメ。目が隠れていてもほっぺが真っ赤。
「もうクライマックスでは見開き2ページで全員同時にスパーク……
ああごめん、悪かった」
カゲリヒメの背中から空間を揺るがす魔力の波動がビリビリと放たれる。
教会が崩れるから強引に話を打ち切った。
「あたしの母校の近所に人工衛星饅頭ってのを売ってる店があったんだけど、
どう見てもただの大判焼きなのよね」
「そうですか一度食してみたいものですね。
ほらカゲリヒメ、怒りを静めて。もうしませんから」
「悪ふざけは……嫌い!」
「ごめんって。お詫びに夕飯食べて行ってよ。
ジョゼットが帰ったらシチューでも作らせるからさ」
「いい。私達は食べなくてもお腹は空かないし、
そろそろ帰って編み物に集中したくなった」
「そっか。まあ気が向いたらまた来て。
さっきも言ったけどまともな客に対しては割とオープンだから、ここ」
「では、一緒に帰りましょうか。
あ、ガトリングガンの様子を見るから少し待っててほしいのですけど……」
「好きにすればいい。じゃあ里沙子、今日は邪魔をしたわね」
「送るわ」
あたしは二人を玄関先まで見送る。
リーブラがガトリングガンのそばに立ち寄り弾薬箱に指を滑らせる様子を、
カゲリヒメが変なものを見るように眺めていた。
やがてリーブラの気が済むと、彼女が左手をそっと前にかざし、
次元の狭間とやらへ続いているらしいゲートを開いて二人共帰っていった。
後に残ったのはサラサラと風が草花を撫でる音だけ。
「マヂでダベリだけで終わるとはね。いつもこうだといいんだけど。
みんなはどう思う?」
何事もなく今日一日を過ごせたことを後ろのマリア像に片手拝みで感謝すると、
ドアを締めて鍵を掛け、あたしも夕食まで一眠りしようと思い、私室へ戻った。
読者の皆さんとしては面白くもないだろうけど、
たまにはこんな日常だけの話も挟まないとあたしの身がもたないのよ。
自分へのご褒美を満喫したあたしはベッドで大の字になり、眠りについた。