面倒くさがり女のうんざり異世界生活   作:焼き鳥タレ派

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セーラームーンの人達が結局何と戦ってたのか思い出せない

あたしとジ・エンドは彼我の距離を取りつつ円を描きながら草原を駆け始める。

ジ・エンドはキャバルリーを抜き、あたしは今撃った2発の装填をしながら。

突然始まった決闘。どっちが勝っても再開したばかりの国際会議編はあっという間におしまい。

それだけは避けなきゃね。

 

脚を止めずにピースメーカーから排莢、

ガンベルトから抜いた予備の弾をローディングゲートから装填。

よし、某ゲームのセリフだけどリロードって本当に銃に命を吹き込んでいるようだわ。

よく覚えてないけどメタルギアだった気がする。

とにかく攻撃の準備が整ったあたしは銃を敵に向ける。今度こそ眉間に狙いをつけて。

 

両手でグリップを握り、脇を締めてアイアンサイト越しにジ・エンドを見る。

その瞬間、銃声と共に熱を孕んだ弾丸があたしの顔のそばを通過していった。

あと2.5インチ横にずれてたら彼のファニング・ショットがあたしの眉間を貫いていたわ。

ワンテンポ遅れて足元に、とさっと何かが落ちる。

 

「……帽子のお返しかしら?」

 

「そう思ってもらっても構わない。次は、当ててみせよう」

 

.45LC弾にちぎられた片方のおさげが風で転がっていく。なるほど、彼の言う通り腕は互角ね。

奥の手の特殊能力を発動しないってことは、まだ様子見してるってことかしら。

だからってのんびり本気を出すのを待ってたら自殺するのと変わらない。

こういう場合って先に仕掛けたほうが負けるってのがお約束だからやりたくないけど、

こっちから素早く畳み掛けるしかないわね。

 

少し息を吸って、精神を集中。

体内でマナを燃やし魔力を循環させると、それに気づいたジ・エンドが身構える。

そして一瞬だけクロノスハックを発動して、あたしもファニングで一発放った。

贅沢にヘッドショットは狙わない。

腹に一撃食らわせれば銃も能力も大幅に性能をダウンさせることができる。

 

銃口から飛び出した弾丸が、黒ずくめの男へと突き進む。狙いは正確だった。

だけど弾は命中する直前で速度を失い、彼の足元に落ちてただの鉛の塊となる。

……間違いない。弾が止まる瞬間、ジ・エンドを中心に世界が暗くなった。

 

「ふぅん、それがあなたの能力?」

 

「生命体の活動を除く“全てを、終わらせる”」

 

「それであたしの攻撃もあなたに届く前に終わっちゃったってことね」

 

「お前の能力も、見せてもらった」

 

「こっちだけ秘密ってのもフェアじゃないわね。

そう。体感時間を極限まで遅くして擬似的に時間を止める。

実はもう1段階上があるけどそれは教えてあげない」

 

「それだけわかれば十分だ」

 

「あなたの方も魔法って感じでもなかったわね。詠唱もないし。

ひょっとしてあたしと同じタイプ?」

 

「さあな」

 

「まあ、殺しの相手にベラベラ秘密を喋ってくれるはずもないか。

ところで話は変わるけど、おたく映画は見る?あたし西部劇が好きなの。

さっき“ミスター・ノーボディ”の面白さについて語ってたら仲間に怒られちゃってさあ。

理不尽よね」

 

「……“拳銃のバラード”」

 

「趣味が合うじゃない。若い賞金稼ぎと謎のベテランガンマンの共闘は見ものだし、

劇中で神父が殉職した用心棒に捧げた祈りをそのまま歌詞にしたEDテーマなんて最高よね。

……で、あなたはこのマカロニ・ウエスタンの傑作をいつどこで観たのかしら」

 

「それは……」

 

「やっぱりか。あんた達もあたしと同じく地球から来たのね」

 

「ああ」

 

「どうしてそんなご同類が殺し合いなんかしなきゃいけないのかしらねぇ。ルビアだっけ?

よく知らないけど、訳わかんない国で殺し屋まがいのことやってる理由は何?

本名も教えてくんない?」

 

「知りたければ、聞き出してみることだ。……力ずくで!」

 

お喋りタイムは終わり。

マントのように長いコートを翻し、再びジ・エンドがキャバルリーを構える。

あたしも愛用のピースメーカーのハンマーを起こし、ミニッツリピーターの竜頭を二回押した。

金時計から膨大な魔力が注ぎ込まれる。

彼の言った通り、古き良き決闘が超能力バトルになっちゃった。

でも贅沢は言ってられないわね。ここで死ぬわけにはいかない。

 

ジ・エンドがトリガーを引ききるまで0.27秒。再度クロノスハックを発動。

更に精神を周囲の事象とシンクロさせ、あたしと世界が一体化した瞬間、世界に停止を命じる。

全宇宙の活動を形作る歯車をイメージし、そのひとつを強引にねじ伏せる。

今度は単なる高速移動じゃなくて、完全な時間停止。

世界が色を失いモノクロが支配する静寂が訪れた。

 

──クロノスハック・新世界!

 

森羅万象はあたしのもの。

写真の中の住人のように、ジ・エンドは銃を構えたまま動かない。

動けない人間を撃つのは少々気が引けるけど、急所を外せば問題ないでしょう。

あたしは銃を封じるため、彼の右腕に一発。時間は止まってるけど、時間がない。

新世界で完全時間停止を維持できるのは、今の所6秒程度。この一撃が最初で最後。

 

ピースメーカーが火を噴き、弾丸がジ・エンドに食らいつく。

前腕に命中し、スペード・フォーミュラのトップを無力化……したと思った時だった。

 

「ぐおォオオおオ!!」

 

彼の咆哮と共にジ・エンドの全身から黒の気流が吹き出し、

あたしのクロノスハック・新世界に抗い、身をよじって間一髪で銃弾を回避。

 

「ちょっ、なんで!?」

 

そう口にした瞬間、魔力が尽きて新世界が解除された。

あたしの体内にも金時計の内部にも、魔力はこれっぽっちも残っちゃいない。

少なくとも今日はもう二度目を発動することはできない。

というより、疲労が激しくてこれ以上の戦闘自体が無理っぽい。だけど。

 

「ごほ!…ぜえ、はぁ…。よくわかった。フリーズが押し負けるわけだ。

全力で“この戦闘を終わらせて”いなければ、俺が二の舞になっていたということか」

 

二度深呼吸をしてから彼に答える。

 

「ふぅー、はぁー……困ったわね。射撃だけじゃなくて、能力まで互角だなんて。

これじゃ千日手じゃない。あんまりバトル展開引き延ばしたくないのよね。めんどいから」

 

「案ずることはない。今言ったが、俺の能力で“この戦闘”は終わりを迎えた。

ここでお前を仕留められなかったことは正直、厳しい。

だが、近いうちにまた会うことになるだろう。さらばだ」

 

「あ、待ちなさい!」

 

ジ・エンドの体が透けて空間に溶け込んでいく。もう一度撃ったけど弾がすり抜ける。

重い足を引きずって捕まえようとしたけど、たどり着いた時には完全に消滅していた。

何も掴めなかった手をなんとなく握ったり開いたりしてみる。

 

「ったく、本当にどうしたもんかしらねぇ。ああ面倒くさい。時々東京に帰りたくなるわ」

 

 

 

結局敵を取り逃がしたあたしがダイニングに舞い戻ると、

全員が一斉に問いかけをぶつけてくるもんだから、

なんかもう、腰の物で頭ぶち抜いて終わらない現実逃避に走りたくなる。

 

「里沙子さん!大丈夫だったんですか!?何発も銃声がして、わたくしもう心配で……」

 

「見りゃわかるでしょ。大丈夫じゃなかったら今頃エリカの仲間入りしてた」

 

「お姉ちゃん、三つ編み、片方が……!」

 

「もうちょっと弾道が横だったら額に穴が開いてた。奴さんもなかなかやるわ」

 

「その曲者は成敗したのでござるか!?」

 

「逃げられた。名前はジ・エンド。能力は終わらせること。ターミネーターでもあるまいし」

 

「ふむふむ。すぐ皇帝陛下に報告しなきゃだね。ピア子、一緒に来て。

聖女様、申し訳ないんですけど転移魔法で帝都まで送っていただけませんかね?」

 

「了解しました」

 

「任せてください」

 

「そうそう、リサっち。ジ・エンドとやらの人相や風体を教えてよ。手配書作るのに情報が必要」

 

「やたら背が高くて魔法使いみたいな黒い帽子と同色のロングコート着てた。左頬に傷。

あたしのと似たような銃を持ってる。

それと……連中もあたしと同じアースの人間。昔の映画知ってた。あたしも好きなやつ」

 

「マジなの、それ?」

 

「マジマジ。ジョゼット、コーヒー入れて。一息入れたいわ」

 

「はい……」

 

ガンベルトを外してコートハンガーに引っ掛けると、椅子にだらんと腰掛けて伸びをした。

しばらくなんにも考えずにボーッとしてたいんだけど、

まだまだここの住人はそっとしておいてくれない。

 

「なあ、やっぱそいつもスペード・フォーミュラだったんだろ?勝てそうか?強かったのか?」

 

「ごめん、質問タイムはちょっと待って。休憩したい。新世界ぶっ放すとすごい疲れるわけ」

 

「例の時間停止か!?そいつが要るほど強かったのか?終わらせる能力ってどんな能力だよ?」

 

「あ、マリーさんも知りたいな。情報は全部上に上げないと」

 

「お姉さま、パルフェムにできることがあれば言ってくださいまし」

 

「だらしないわねえ。この私が手伝ってあげるからまた来たら言いなさい。

報酬はいちごショート1つね」

 

「みんな心配してくれてありがとう。待ってという趣旨のお願いをしたと思う」

 

「コーヒーですよ~」

 

「ありがと。やっぱブラックの香りは…いや、今日はお砂糖入れましょうか。ブドウ糖が欲しい」

 

熱いコーヒーに角砂糖を3つ。白いサイコロ状の物体がじゅわっと溶けると、一口飲み込んだ。

うん、たまには微糖も悪くないわね。

集中力を使いまくった脳に栄養が行き渡りリラックスできた。

マリー達が聖堂で出発の準備をしてる。あたしも行かなきゃいけないのかしら。

できれば今日はもう動きたくないんだけど。

 

「ねーえ?あたしも帝都行かなきゃダメー?」

 

“無理ならマリーさんから伝えとくよー。できれば来てほしいけど”

 

「無理―。お願―い」

 

“わかったー。この怠け者―”

 

「うっさいバーカ」

 

聖堂から“神の見えざる手”の光が差し込んできて、3人の気配が消えた。

なんと言われようと冗談抜きで疲れてるから後のことはマリー達に任せようと思う。

さて、コーヒーを飲み終えたら昼寝でもしましょうかしらね。

また一口含んでトントンと肩を叩く。

 

「あー、2階に上がるのも億劫だわ。ここで寝ようかしら」

 

「風邪引いちゃいますよ?ベッドまでは頑張ってくださいね。ファーイト」

 

「そうだぞ。マリーに後始末やらせやがって。お前はもう少し頑張れ」

 

「本当ルーベルはあたしに厳しいんだから。

同じ“頑張れ”でも違う口から出ると全然意味が変わってくるのね」

 

一文の得にもならないどころか無駄に疲れる労働を強いられた上に休養を求めると責められる。

とかくこの世は生きづらい。

あたしはうんざりした気持ちでぬるくなったコーヒーを一気に飲み干した。

 

 

 

 

 

ハッピーマイルズ領とモンブール領の境に位置する、見渡しのいい崖に位置する中古住宅。

拠点を帝都の豪邸から古びた一軒家に移したスペード・フォーミュラは、

引き続き斑目里沙子暗殺の機会を伺いながら、慎ましい生活を送っていた。

 

フリーズはハッピーマイルズを一望できる高い崖から里沙子の教会がある方角を見つめている。

彼女はリーダーの帰りを待っていた。

ままごとをして遊ぶマルチタスク達の声が風に乗って聞こえてくる。

 

「ニンジンとネギをくださいな」

「ニンジンとネギは3Gですよ」

「3Gをどうぞ」

「3Gをありがとう」

 

黄金色の枯れすすきを冬の木枯らしが通り抜け、フリーズの顔に叩きつけた。

強い風に思わず目を閉じる。その時、背後に気配を感じて振り返った。

玄関先に佇む長身の男。小さな庭で遊んでいるマルチタスク達を眺めている。

 

「リーダー。無事だったのね……」

 

「作戦は失敗。お前の報告通り、能力(スキル)が常軌を逸している。時間停止。

どうにか俺の能力で相殺できたが、

一瞬反応が遅れていたらターゲットの世界に飲み込まれていただろう」

 

「そんな!リーダーでも倒せない相手をどうしろと言うの?」

 

「国際会議開催まであと半月。まだチャンスはある。もう後がないとも言えるが」

 

「……そうなれば、あの子達を使うしかないの?」

 

「俺が死ぬことがあれば、そういうことになる。後の指揮は、お前に任せる」

 

「死ぬなんて言わないで」

 

「仮に、の話だ。あらゆる事態を想定しておく必要がある」

 

「そうね……昼食にしましょう。何か作るわ。朝から何も食べてないでしょう」

 

「ああ、もらおうか。デリートはどうしてる」

 

「麓の町にお使いに行ってもらってる。もちろん変装はしてるけど」

 

「そうか。俺達がこの服を着ていられる時間は、もう長くないのかもな」

 

「まだ諦めないで。私達はやれる。マルチタスクー!ごはんよ!」

 

フリーズはジ・エンドと家に戻る前に、まだ遊んでいたマルチタスクを呼ぶ。

 

「お姉さん、お昼ごはんだよ」

「お昼ごはんだよ、お姉さん」

 

双子の姉妹は遊び道具にしていた小石や枯れ葉を放り出して、

フリーズ達の待つ自宅に駆け込んだ。

 

 

 

 

 

たっぷり昼寝をして疲れが十分回復し、遅めの昼食を取っていたあたしは、

白パンを頬張りながら現状について考えを巡らせていた。

 

「もごもご。あたしが思うにはね」

 

「食べながら喋るのはお行儀が悪いですわ、お姉さま」

 

「んぐ、ごめんごめん。大事なことだからつい急いじゃったのよ。

とにかく、スペード・フォーミュラは地球人。

なんでそいつらがルビアで暗殺家業やってるのか考えてみたんだけど、

“飼われてる”んじゃないかと思うのよね」

 

「飼われてるってどういうことかな~。

皇帝陛下に事件の詳細を報告するために帝都まで往復してきたマリーさん達に教えてほしい」

 

「だーかーら、ガチで疲れてたんだからしょうがないでしょ。

スラッシュと戦った時に奴が言ってたんだけどさ、

あたしを殺せば国家予算で一生悠々自適の生活を送らせてもらえることになってたらしいのよ。

今となっては本当かどうかわかんないけどさ。

そこであたしがミドルファンタジアに来た当時のことを思い出してみたの」

 

「そう言えば、里沙子さんがこの世界に転移した時の状況を

詳しく聞いたことはありませんでしたね。どんな様子だったのでしょう」

 

シチューを一口すすってから答える。

 

「ん、まあ、一言で言えば“運が良かった”ってとこね。

まだあの頃は銃も持ってなくて近所の草むらで寝転がってたところを将軍に起こされたんだけど、

偶然彼が通りかからなかったら多分野盗に殺されてた」

 

「まあ……恐ろしい話です」

 

「ボロいとは言えこの家を買って生活拠点を手に入れられたのも

将軍が色々世話を焼いてくれたおかげなんだけど、

仮に同じような状況でアースの人間が転移してきても

ここまでうまくいく例は殆どないんじゃないかしら」

 

「確かにそうかもな。

そういやこの世界はアースの人間が持ち込んだ技術や文化で発展してきたが、

肝心のアース人については里沙子くらいしか知らねえ」

 

「宿もないのにどうしてその人達が生き延びられたのか気になります……」

 

「そこよ。この世界で生まれたジョゼットですら魔女に殺されかけたのに、

身よりもない放浪者がどうやってミドルファンタジアで生きてこられたのか」

 

「つまり知識や技術と引き換えにパトロン的な人に飼われるってことかな~?

どぎつい表現をすれば」

 

「そうなるわ。スペード・フォーミュラの場合は地球からルビアに転移して、

路頭に迷っていたところを国のトップに拾われた。それぞれの特殊能力を目当てにね」

 

「そして今度の国際会議開催に当たって里沙子さん暗殺を命ぜられたと……」

 

「大方そんなところでしょうね。こっちにしちゃ迷惑な話だけど」

 

話が一区切りしたところで、また白パンをちぎって口に放り込む。

首に下げたミニッツリピーターを見る。時刻は2時頃。

妙に腹が減ると思ったらもうこんな時間だったのね。どんどん食おう。

 

「まあ……改めて考えるとこの世界のシステムも因果なものだな。

連中にもアースでの人生があっただろうに、

生きるために殺し屋やる羽目になっちまったんだからな。多分、名前も本名じゃねえ」

 

「大正解。スラッシュ、フリーズ、ジ・エンド。ほか誰がいたっけ?

とにかく、パソコン使ってりゃ必ず出会うIT用語で統一してるあたり、

スペード・フォーミュラが名乗ってるのは偽名っていうかコードネーム。

あとは、人種もバラバラね。今日押しかけてきたジ・エンドはあたしと同じ東洋人。

それにしちゃミキプルーンの人みたいにガタイもよくて顔の彫りも深かったけど。

フリーズは欧米出身ね。ブロンドで肌も白いし」

 

「どうにかならないのでしょうか。

皇帝陛下やお祖父様を説得して彼らをサラマンダラス帝国に迎え入れることができれば、

誰も傷つかずに済みます」

 

「大変失礼ながらすごく微妙なアイデアだと言わざるを得ないなぁ。

根性なしのレプリカはともかく、

スラッシュは“ちょっと”荒っぽい尋問にも絶対口を割らなかったし、

彼らも彼らなりに、自分達を保護してくれた大統領に

それなりの恩義を感じてるのかもしれないよ?」

 

「あ、そうそうレプリカ。そんなやつもいたっけ。影が薄いから存在忘れてたわ。

んで、黒幕が大統領だと思った理由はなに?」

 

「口元に食べかす付いてるよん。里沙子君が言ったんじゃあないか。

スラッシュは作戦成功の暁には国家予算で贅沢できるはずだったって。

一個人を飲み食いさせるしょうもない用途に国の金を動かせるのは

最大の権限を持つ大統領しかいない」

 

「そっかぁ」

 

ハンカチで口を拭いながらマリーの言葉を反芻する。

スペード・フォーミュラのメンバーが地球人だということは間違いないとして、

結構な人数が普通ありえない特殊能力持ちだなんて都合のいいことがあるのかしらね。

人のこと言えないけどさ。

 

そんで、改めて大前提を確認するけど、彼らがあたしを殺したい理由は

国際会議でルビアの立場を確保するため。

正確にはそうしたい大統領からのミッションを成功させるため。

確か国際会議開催まではあと半月くらいだったはず。

そろそろ決着をつけないと破れかぶれになった彼らがどんな行動に出るかわからない。

さっさと手を打たないともっと面倒くさい事態に陥りそう。

 

あたしは静かに暮らしてるだけなのに、なんで厄介事ばかり次から次へと舞い込んでくるんだか。

更に言えば、どうしてあたしは律儀にそれらに付き合っているのかしら。

スルーできるもんならスルーしたい。我が人生の夜明けは遠い。

 

業務連絡。今年もバイク屋は13日まで休みだった。

 

 

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