面倒くさがり女のうんざり異世界生活   作:焼き鳥タレ派

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例の魔女と番外編
フグってまんまるなのに、天ぷら食べると結構骨があるのよね。


ダイニングでくつろぎながら社説を読み終えると、あたしは新聞を置いて、

そっちへ呼びかけた。そうそう、これを読んでるあなたの方へよ。

 

「70話も超えた今頃になって申し訳ないんだけど、この企画に出てくる情報には、

作者の知ったかぶりや想像が多分に含まれてる。

誰もしないとは思うけど、うんざり生活を読んで得た知識らしきものは、

他所で披露しないほうがいいわよ。無駄に恥をかく羽目になる」

 

「そんなもんみんな分かってるよ。

図書館に出向く気力すらないあいつに、そんな知識がないことくらい。

色々間違ってても、あえて指摘せずにそっとしといてくれてんだ。

……メタ話はそろそろやめようぜ。前にジョゼットに怒られただろ」

 

ルーベルがコップの水を飲み干した。

ダイニングでは、ジョゼットが野菜を切る包丁だけが音を立てる。

あたし達は、そう、暇だった。

 

「ネタがないのよ。奴の脳みその回路がダンガンロンパにシフトしちゃって、

以前のようにくだらない話題がボロボロ出てこなくなったの」

 

「やめろって言ってるだろう。ネタがないなら無理に書くな。

昔、一月くらい休んだことあるんだろ?」

 

「そろそろ1話くらい投稿して、あたし達の生存報告をしたいのよ。

ルーベルも呑気に構えてないで、話題を提供してよ。

なんかない、なんかない、なんかなーい?ねえお母さん……」

 

「誰もわからんネタも厳禁だ。私はお前のお母さんじゃねえ」

 

「その口うるさいところはお母さんっぽいわよ。ウヒヒ」

 

「んだとー!?」

 

コンコンコン

 

ルーベルが立ち上がってあたしを小突く寸前で、死の呼び声が聞こえてきた。

キチガイ、ろくでなし、厄介者の排出口。すなわち玄関がノックされた。

魔術の力を応用して、そろそろセントリーガンでも設置しようかしら。

 

「あらお客様だわ、すぐ行かなきゃー」

 

「チッ」

 

はぁ。ルーベルの拳から逃げる口実が出来たと、無理に自分を納得させて、

あたしは重い足取りで聖堂に向かった。

コンコンコン。うっさいハゲ出れば良いんでしょ。

今の罵倒はたまたま予測変換に出てきて、あたしの心情をよく表してるから採用した。

一旦ドアの前で立ち止まって、うつむき加減で首を振ってから、

諦めて向こう側に呼びかけた。

 

「……どなた?悪いけど、面白いネタがないなら帰ってちょうだい。

暇だけど、客の相手をする元気もない」

 

“あら、つれないわね。私は……そうね。グリザイユと名乗っておくわ。

少しは話のタネになる自信はあるのだけど”

 

「ああん?一応チェックさせてもらうわよ」

 

あたしは集中力を高めてクロノスハックを発動。

ずいぶん使い込んだから、目安として日常生活程度の動作なら15分。

全速力で走りながらだと2分程度、

身体への負担なしに動きながら時間を止められるようになった。

最近は、こんな風に不審者識別ツールに成り下がってるけど。

 

停止した世界の中で、ドアを開けて訪問者の姿を見る。ダメダメ。

魔女らしく、真っ黒…というより闇が形を持ったような三角帽子。

深い紫と黒を混ぜた色のドレスは、肩口と腰のくびれ、胸元を大きく露出して、

身体のラインを強調してる。履いているのは同じく黒の光沢のあるハイヒール。

唇には明るいパープルカラーの口紅。どんな仕事してるかわかったもんじゃない。

中に戻ってドアを閉めた。能力解除。

 

「五反田のSM嬢に用はないの。帰って」

 

“どうしても、駄目かしら”

 

「こうして喋ってるのもしんどい。ドアに向けた拳銃の引き金に指が掛かってて、

いつ暴発するかわかんないから本当に帰って」

 

そんなもん持ってないけど。

 

“そう……なら、勝手にお邪魔させてもらうわね”

 

同時に、ドアの向こうから闇の思念が吹き込んできた。

色がついた風、なんて単純なものじゃない。

意識を直接黒で塗りつぶすような、負の感情の奔流が、あたしの背後で一瞬渦巻いて、

人の形になった。もっとも、あたしも脇の下から銃口を後ろに向けていたけど。

 

「ふふ、さすがは早撃ち里沙子と言ったところかしら。

ギルファデスのおじさまを倒しただけのことはあるわね」

 

「入れと言った覚えはないし、ギルファデスって魔王の事でしょ?いつの話してんのよ」

 

「今日はその事でもお話があってきたの。勝手に入ったことは謝るわ。

でも、とっても大事な用なの。少しだけ話を聞いてちょうだい。お願い」

 

「……ついてきなさい」

 

「うふ、ありがと」

 

結局こうなるのよね。変な魔女をダイニングに迎えることになってしまった。

例によって暇人達が集まってくる。

 

「ねージョゼット。うちの住人に階級を付けてみようと思うがどうか。

ジョゼットは伍長ね」

 

「ダルいのは分かりますが、お客さんくらいちゃんとお通ししてください。

あと、軍隊のことはわかりませんが、絶対ランク低いやつですよね、それ」

 

「まだ下がいるから大丈夫よ。……ほら、適当に掛けて」

 

「失礼するわね」

 

「おー、また新しいお客さんか?うひょー、大胆な服だな。

おっと悪りい、私はルーベル。よろしく」

 

「うふふ、こちらこそよろしくね。私はグリザイユよ」

 

「追い返そうかと思ったけど、なんか話題提供してくれるっていうから入れてみた」

 

その後、いつも通りどっちのお茶にするか聞いてみたけど、

自称グリザイユは意外にもコーヒーを希望した。

あ、偽名だってことくらい気づいてたわよ。

 

世の女性達は歯が黄色くなるから、

コーヒーを飲んだ後の漂白歯磨き(正式名称がわからない)でのケアに懸命だけど、

お茶を飲むという、人として当然の行為の結果に対して、

ケチをつける悪党どもに鎮魂歌はない。北斗の拳風に言ってみる。

ジョゼットが彼女にコーヒーを出す。

 

「どうぞ」

 

「ありがとう。小さなシスターさん」

 

「それで?あたしに話ってなに」

 

「ええ。その事なんだけどね……」

 

「ああーっ!!あんたは!」

 

ワクワクちびっこランドから現れたピーネが、グリザイユを指差して大声を上げた。

今回のグタグタ具合は異常ね。とりあえず彼女に注意する。

 

「静かにしなさい、ピーネ!お客さんが来てるのよ!

確かに怪しいけど指をさすのもやめなさい!」

 

「あんた、あの時の女ね!」

 

「お久しぶり。小さな吸血鬼さん」

 

「え、なに?二人知り合いなの?」

 

「私がここに来たばかりの時、

力を制御できなくなって、里沙子に襲いかかったことがあったでしょ……

この女に妙な力を注がれたのよ!」

 

「そうなの?」

 

と、言い終わる前に、ショルダーホルスターのM100を抜いていた。

ちなみに本日のコーディネートはM100、ピースメーカー、背中にレミントンM870、

という装いになっております。

 

「そんなに怖いものを向けないでくださるかしら。

確かに少~しだけ彼女に刺激を与えたけど、

あくまで彼女の本来の力を引き出したに過ぎないわ。

あなたが可愛がっている吸血鬼の子供は、

それほど恐ろしい潜在能力を持っているということなのよ」

 

「……今日は、それを伝えるために?」

 

カシオピイアやエレオノーラも銃や魔力を手に、臨戦態勢に入っている。

しかし、グリザイユは意に介することなく、コーヒーを一口飲んでから話を続ける。

 

「さっきも言ったけど、ギルファデスのおじさまを殺したのは、あなた」

 

「魔王とどういう関係かは知らないけど、その意趣返しをしに来たのかしら?」

 

実際息の根を止めたのはエレオだけど、知らないなら念の為伏せておく。けど……

 

「違ぁーう!!」

 

突然激高したグリザイユが両手でテーブルを叩く。

落ち着いた雰囲気を投げ出して突然叫んだ彼女を、みんなは目を丸くして見てる。

あたしは冷めた目で見てる。

デカい帽子のせいで表情はよく見えないけど、なんか怒ってるっぽい。

室内では帽子は脱ぎなさいよ。

 

「何が違うってのよ、馬鹿みたいに大声出して」

 

「いつになったら私のところに来てくれるのかしら!?」

 

「はぁ?」

 

「魔王には頼まれてもいないのに戦いを挑んだというのに、

暴走魔女を束ねる深淵魔女の私は放ったらかし!」

 

「あーい、みんな持ち場に戻って。

どうやら今回は、シリアスでも日常でもない、馬鹿話に舵を切ったらしいわ」

 

全員、時間を無駄にした、と言いたげに渋い顔をしながら、

ピーネ以外それぞれの元いた場所に戻っていった。

 

「待ちなさい!帰らないで!私の話を聞きなさい!」

 

「どうやらあんたにはコイツをぶっ放すより、完全放置で存在を抹消した方が良さそう。

この際、多少のお気に入り減少は覚悟して、

あたしのエール談義で1万字くらい消化したほうがいいわね。……まず、エールとは」

 

「やめなさい!」

 

「比較的高温の約20度で4日程度の短期間で発酵させたビールのこと。

ここで比較に挙げたのはラガービールのことであり、

日本の市場で出回っている大抵のビールはラガーよ。

エールがラガーと異なる点は、上面発酵製法で製造されていること。

この製法では酵母が上面に浮かび上がり、

それが果実のような風味と香りの成分を生み出し、

エールにフルーティーな味わいをもたらしている。

また、歴史的に見ても、エールはブドウの育たない寒冷地で、

ワインの代替品として製造されてきたという……」

 

「やめてって言ってるじゃない!」

 

「なによ。

これからエールの代表的な品種、ペール・エールについて語ろうとしてるのに。

ラガーとは異なり、アルコール度数が低めの銘柄が多く……」

 

「お願いだから、聞いて!5分でいいから!」

 

「しょうがないわね。で、何の話だっけ?」

 

「そこから!?だから、どうして私のところに来ないのか、その理由を知りたいの!」

 

「ちょっと待って。深淵魔女、深淵魔女……ああ、はいはい!

そう言えば昔は最後の方でちょこちょこ出てたわね。

待ってて、奴に電話して聞いてみる」

 

「奴って誰?」

 

あたしは質問には答えず、スマホの電話帳から奴に電話した。

アヤの作った電波塔を通じて奴の携帯に繋がるはず。

いつも家に居るから1コールで出る。プル…出た。早いわね。

 

「もしもしアタシ。ずっと前にさぁ、深淵魔女っていたじゃない?

そう、来てんのよ、今。……忘れた?なんか当時とキャラも変わってるんだけど。

……知らない?本当無責任ね。

計画性のないヤンキー夫婦みたいにポコポコとキャラ作るからそうなるのよ。

相手するあたしの身にもなって!……で、あたしと絡む可能性は?ない、と。

え?…うん、うん……はぁ!?バカアホもういい!!」

 

「……聞こえてたけど一応聞くわ。私のまとまった出演の機会は?」

 

「ないってさ」

 

「ふざけないで!ここまでの話はなんだったのよ!」

 

「あのね。ピーネの件に関しては実害がなかったから聞いてあげてるの。いい?

ハッピーマイルズの住宅地に、ブラウンさんって役場に勤めてる人が住んでるんだけど、

あたしが用もないのに彼を訪ねる理由がどこにあるのかしら」

 

「私、結構撃たれたような気がするんだけど……」

 

「あのね、ブラウンさんとあなたには何の関係もないけど、

私とあなたは見えないところでつながってるのよ……!」

 

「ちょっと面白くなってきたわね。

あんたみたいな露出狂とあたしがどう関係してるっていうの?」

 

グリザイユは両腕をテーブルに押し付けてうなだれたまま、

人差し指に少し魔力を集めた。収束した魔力が空間から一枚の丸めた紙を吐き出す。

あたしの顔が書かれてて、意味不明な文字でなんか書いてある。

 

「なにこれ」

 

「なにこれ、じゃないわよ。裏社会の手配書。あなたのものよ。

賞金・副賞は途方もない額になってる。

まずギルファデスおじさまのお城は、300人を超えるメイドや兵士付きで、

達成者が人間の場合は魔界での居住権もセット。続いて希少なダークオーブ数百個。

最後に現金10億ゴールド。

悪魔、暴走魔女、悪人がそれを目当てにあなたの命を狙ってくる。

それでも、今のようにのほほんとしていられるかしら?」

 

あたしは、少し身を乗り出してグリザイユの三角帽子をそっと手に取り、被った。

彼女の顔がはっきり見える。美人だけど化粧ケバめなのが残念ね。

髪は完全なブロンドじゃなくてブラウンが少し混じってる。

あ、ハッピーマイルズ在住のブラウンさんじゃないわよ。

あたしの行動の意図が読めない彼女が、怪しいものを見るような表情で聞いてくる。

 

「何がしたいの……?」

 

「似合う?」

 

「返しなさい!!」

 

三角帽子を奪い返されちゃった。

つばが広すぎて邪魔だなって思ってたから、別にいいんだけど。

 

「あなたね!人の話はちゃんと聞く、お母様に教わらなかったの!?」

 

「変な人には関わるな、って教わったわ」

 

「言わせておけば!……」

 

「里沙子さ~ん。今夜の夕飯、肉じゃがと豚の生姜焼き、どっちにします?」

 

「肉じゃが一択」

 

「聞け!!」

 

「わかった、わかったから、そう興奮しないでよ」

 

「今度こそ聞くのよ……?あなたが暴走魔女の首魁たる私を倒しに来ないものだから、

私という存在がおぼろげになりつつあるの。

つまり、死にキャラになろうとしているのよ!

しかもどいつもこいつも、あなたに挑もうとすらしない!

このままじゃ、せっかく死ぬ気で工面した賞金もお蔵入りよ!

一人暮らしで相続人もいないし!」

 

「大きな誤解があるようね。

あなたを無視したわけじゃなくて、最初からあなたを知らなかっただけ。

それに、魔王は前書き詐欺の解消という企画上重要な目的があったけど、

別にあなたとは戦う理由なんかないし。一人暮らしで寂しいならペットでも飼ったら?」

 

「……カラスがいる」

 

「よりよってカラス?やーね。変なバイ菌くっつてんじゃないの?」

 

「失礼ね!ちゃんと私がお手入れしてるから大丈夫に決まってる!」

 

「あのさ」

 

ずっと不毛なやり取りを聞いていたピーネが口を開いた。

 

「里沙子に挑もうとした人ならいたよ?……この前までは」

 

「以前はいたような言い方ね、お嬢さん」

 

「悪者の大群が攻めてきたことがあるんだけど、みんな里沙子達にやられた。

特に里沙子は、命乞いする魔女を何度も鉄の棒で殴って、色んな所の骨を砕いて、

窓から投げ捨てた。

そんなことがあったから、今はもう里沙子を狙おうと考えるやつはいなくなった」

 

「なんですって!あなた、それでも人間なの!?」

 

「残念ながら人間よ」

 

「里沙子、並の悪魔より性格悪いもん。私にもしょっちゅう無茶なこと言うし……」

 

「ピーネ。後でちくわと鉄アレイ投げで遊びましょう。今度は本物で」

 

「ほらー!こんな事言うんだもん。あなた、魔女なら里沙子をやっつけて!」

 

「吸血鬼とは言え身内の女の子にここまで言わせるなんて、

あなた一体どういう生き方してるのよ……!」

 

「まっとうな生き方をしてるつもりよ。人を殺したことはないし。

逆に言えば人間以外は必要なら躊躇いなく殺すけど」

 

「あら、魔王は殺せても同族はひとりも殺せない?勇敢な英雄がいたものね」

 

「そうなのよ。プロフィールに“強盗・殺人はやってませ~ん”て書いちゃったから、

殺すわけには行かなくなったのよ。

この縛りさえなければ、今頃R-18のタグが付くぐらい血の雨が降ってたんだけど」

 

「単なる大人の事情!?勇敢な英雄がいたものね!別の意味で!」

 

「それにあんた。自分が一番可哀想だと思ったら大間違いよ」

 

「……どういう意味かしら」

 

「試しにハッピーマイルズ・セントラルに行って、

マーカスっていうスリの少年に、あたしについて聞いてごらんなさい。

出番ナシ歴では一番の古株よ。

なんたって第2話に登場したきり放ったらかしなんだもの」

 

「ええっ!?ちょっと待ってなさい!

光と闇は表裏一体、闇に隠れし求める真実、光の下に照らし出せ!シャドウリープ!」

 

そして、グリザイユは足元から放射された影に包まれて消えていった。

あたしはすっかり冷めたコーヒーを一気飲みし、苦味と渋みを味わう。

ふぅ、もう帰ってこなきゃいいんだけど、そうもいかないのよね。因果な商売だわ。

うんざりした気持ちをコーヒーで紛らわした瞬間、また椅子に影が集まって、

今度はグリザイユが少年を連れて現れた。

 

「里沙子おぉ!お前、まだこんな事を繰り返してるのか!

何人犠牲にすれば気が済むんだ!!」

 

「あら、マーカス君じゃない。お久しぶり。2回目の番外編以来かしら」

 

「黙れー!この女の人から全部聞いたぞ!

またお前がこの世界の住人を使い捨てにしてるってなぁ!」

 

「しょうがないじゃない。あたしが決めてるわけじゃないんだから」

 

「驚いたわ……本当に2話からまともな出番が全く無いなんて!

人間のやることじゃないわ……!」

 

「何度も言うようだけど、出す出さないはあたしが決めてるわけじゃないの。

こっちに文句を言われても姉さん困る~」

 

「お前言ったよな!?魔王編終わったらワンチャンあるって!

それを信じて今の今まで待ち続けた!その結果がこれだよ!

もう俺のこと覚えてる読者がいるかどうかも疑問だよ!」

 

「ワンチャンってのはあくまで可能性を意味していて、

確実性を保証する言葉じゃないの。要するに運がなかったのよ。諦めなさい」

 

「納得できるかよ!」

 

「お姉さま、さっきから何ですの?これじゃ落ち着いて昼寝もできませんわ」

 

「ああ、ごめんパルフェム。今黙らせるから」

 

「なんだ、やる気か!?こうなったら、いっそお前と戦って華々しく散ってやる!

ボニーアンドクライドのように!」

 

「破滅的人生を送った二人に例えるには、年齢差が大きすぎるわねえ。

魔女が何年生きるか知らないけど」

 

「私がオバサンだって言いたいのかしら!」

 

「そんなレベル超越してるでしょ。

とにかく、あたしを殺したら自分で出番を潰すことになるわよ」

 

「どういうことだ?」

 

そこであたしは、椅子ごと身体を回して、再びそっちに向かった。そう、またあなたよ。

 

「かなり短めだけど、今回はこれでおしまいなの。

結局メタネタ全開だったし、全体的にグダグダだったけど、

勘のいい方はお気づきだと思う。次回、また番外編をやるの。

今日のお話はその前哨戦と言うか、前夜祭だと思って。

それじゃあ、ちょっと時間は掛かると思うけど、書くことは書くから、

しばらくこの企画の存在は忘れて、

思い出した頃に来てくれたら出来上がってると思うわ。それではみなさんさようなら~」

 

「おい、誰と話してるんだ?」

 

「世の中。まぁ、そういう訳で次回は番外編だから、

あんたらは聖堂にでも泊まっていきなさい。

長椅子に雑魚寝だけど、あいにくベッドの空きはない」

 

「……本当に出番が来るんだろうな?」

 

「安心なさい。

ガキ使のハイテンション・ザ・ベストテンで、必ずココリコ田中が10位に来るように、

番外編に限ってあんたは必ず登場することになってるの」

 

「私のことも忘れてないでしょうね?」

 

「ええ。あんたも哀れな奴リストにバッチリ名前が乗ってるから、

次回のメインキャスト間違いなしよ」

 

「何よそのリスト!」

 

「今度こそまた次回。さようならー!」

 

「答えなさいよ!!」

 

 


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