けたたましくアラームが鳴り響くなか、ただひたすらに少女を探す。
自分の知る限りただ一人の同僚、自分のことを先輩と呼ぶ、不思議な少女の名を喉が張り裂けんばかりに大声を出して呼ぶ。いや、叫ぶといった方が正しいかもしれない。
足元から聞こえる人の声、そのすべてにガン無視を決め込む。
コイツらは死ぬ、瓦礫に埋もれて。炎に焼かれて。やがて、そろそろ…………まぁ、近いうちに死ぬ。
彼女も同じ状況下に置かれているかもしれない。だとするならば、早いとこ見つけ出さないと。
タスケテ クルシイ イタイ アツイ イヤダイヤダイヤダ ダレカ ダレカダレカ タスケテ タスケテタスケテタスケテ マダ、シニタクナイ シニタクナイノニ
手を伸ばして助けを求める。身体を多い尽くす瓦礫に抵抗して痛みを軽減しようと試みる。
焼けた喉で助けを求めるその声をひたすらに無視する。
自分にはその声に応えることができないから。
その声に向き合えば、自分が殺していると自覚してしまうから。
その多くに応える事無く、彼女を救うことで贖罪としようとしている自分の浅ましさに、どうしようもなく死にたくなるけれど、この声を止めることは出来ない。
彼女を救うと決めたから。彼女だけでも救うと決めたから。どうやってなんか考えない、どうにかするのだと、声を荒げる。耳をすます。
――――聞こえた。
どうしてここにいるんですか。とでもいいたげな、驚きと疑問が。今にも消えそうでも、確かに、先輩と聞こえた。瓦礫が崩れる音が忌々しい。アラーム音がマジでうるせぇ。
でも文句を言っても原状は変わらない、幻聴という単語が脳裏をよぎるが、火災現場でそれは洒落にならない。慌てて彼女の名を呼ぶ。
「先、輩?どう、、し、て」
良かった。幻聴ではないようだ。なら、何処から聞こえたのかを探らなければ。いまだに降ってくる瓦礫に、燃え盛る炎。今は無事でも、いつ手遅れになるか分からない。
しかし、脳に送られるべき酸素が不足して景色が回る。上がった息が、呼吸音が耳につく。
どこだ、何処から?何処から聞こえた?必死になって辺りを見渡す。もう一度彼女の名前を呼ぶ。
居た。カルデアスの近くの瓦礫の下に半身以上埋もれながらも、自分の声に反応してこちらへ視線を向けている。
安堵から来る脱力感に足をとられそうになりながらも、彼女のもとへ駆ける。
「久しぶり、生きてるかい?」
そうでなくては困るし、何のためにここまでやって来たのかも判らなくなるけど。誰に向けるでもなく呟いて。彼女
―――マシュ・キリエライトの救助活動を開始した。
カッコつけてしまったと布団の上でゴロゴロするのは別の話