就職したら世界が滅びそう   作:高菜チャハーン

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就職初日に大災害。うそだろ?嘘だと言ってよDr.


1話 彼女だけでも

けたたましくアラームが鳴り響くなか、ただひたすらに少女を探す。

 

 

自分の知る限りただ一人の同僚、自分のことを先輩と呼ぶ、不思議な少女の名を喉が張り裂けんばかりに大声を出して呼ぶ。いや、叫ぶといった方が正しいかもしれない。

 

 

足元から聞こえる人の声、そのすべてにガン無視を決め込む。

 

 

コイツらは死ぬ、瓦礫に埋もれて。炎に焼かれて。やがて、そろそろ…………まぁ、近いうちに死ぬ。

 

 

彼女も同じ状況下に置かれているかもしれない。だとするならば、早いとこ見つけ出さないと。

 

 

タスケテ クルシイ イタイ アツイ イヤダイヤダイヤダ ダレカ ダレカダレカ タスケテ   タスケテタスケテタスケテ マダ、シニタクナイ  シニタクナイノニ

 

 

手を伸ばして助けを求める。身体を多い尽くす瓦礫に抵抗して痛みを軽減しようと試みる。

 

 

焼けた喉で助けを求めるその声をひたすらに無視する。

 

 

自分にはその声に応えることができないから。

 

 

その声に向き合えば、自分が殺していると自覚してしまうから。

 

 

その多くに応える事無く、彼女を救うことで贖罪としようとしている自分の浅ましさに、どうしようもなく死にたくなるけれど、この声を止めることは出来ない。

 

 

彼女を救うと決めたから。彼女だけでも救うと決めたから。どうやってなんか考えない、どうにかするのだと、声を荒げる。耳をすます。

 

 

――――聞こえた。

 

 

どうしてここにいるんですか。とでもいいたげな、驚きと疑問が。今にも消えそうでも、確かに、先輩と聞こえた。瓦礫が崩れる音が忌々しい。アラーム音がマジでうるせぇ。

 

でも文句を言っても原状は変わらない、幻聴という単語が脳裏をよぎるが、火災現場でそれは洒落にならない。慌てて彼女の名を呼ぶ。

 

 

「先、輩?どう、、し、て」

 

 

良かった。幻聴ではないようだ。なら、何処から聞こえたのかを探らなければ。いまだに降ってくる瓦礫に、燃え盛る炎。今は無事でも、いつ手遅れになるか分からない。

 

 

しかし、脳に送られるべき酸素が不足して景色が回る。上がった息が、呼吸音が耳につく。

 

 

どこだ、何処から?何処から聞こえた?必死になって辺りを見渡す。もう一度彼女の名前を呼ぶ。

 

 

居た。カルデアスの近くの瓦礫の下に半身以上埋もれながらも、自分の声に反応してこちらへ視線を向けている。

 

 

安堵から来る脱力感に足をとられそうになりながらも、彼女のもとへ駆ける。

 

 

 

「久しぶり、生きてるかい?」

 

 

 

そうでなくては困るし、何のためにここまでやって来たのかも判らなくなるけど。誰に向けるでもなく呟いて。彼女

 

 

 

 

―――マシュ・キリエライトの救助活動を開始した。

 




カッコつけてしまったと布団の上でゴロゴロするのは別の話
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