就職したら世界が滅びそう   作:高菜チャハーン

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11話 男で女という芸術

プシュー、とスライド式のドアが気の抜けた音を出す。正確には、内部機構であろうの気圧式密閉装置が真空状態にあった所へ空気が入ったことによってドアが開くのだから、気の抜けた。ではなく、気の入ったと表現するのが正しいのだろうか?しかし、ここで言う[気の抜けた]とは覇気の無いモノ又は状態を指すがゆえに[気の入った]つまり空気が入った。とは別物であり、そもそも論点からいって比べる事は間違いなのだが。

 

 

 

目の前にモナリザが居て、喋ってるなんて何かの間違いですよねDr。

 

いや、もしかしたら魔眼使用の影響で頭が混乱しているのかもしれない。いや、そうに違いない。これまでは意識は飛んでも幻覚の類いは見なかった。ここはメディカルチェックを受けたら早々にマイルームへ駆け込み、今日から大変お世話になるベッド様に挨拶もかねて昼寝するしかないそうだろう?そうだと言え。

 

 

「こんな美女を目の前にして急激に目が死んでいくなんて、流石に失礼じゃないかな?」

 

「モナリザ?喋って…いや……え?あの、Dr。メディカルチェックを……って、何笑い堪えてるんですか」

 

 

どこか異常でも発生したのかもしれない。そう思いDrへ視線を向けると手で口を押さえ、肩をプルプルと震わせながら耐えていた。

しかも時々フフッとか漏れてる。

 

「アハハハハハハ!」

 

 

もう大声で笑っちゃったよ。ゴスッ。あ、殴られた。籠手で。大丈夫なのか?血とか出てない?あ、魔術で治すのか。え?そういう問題じゃない?

 

でも魔術師ってそういう所あるからなぁ……結果が全てっていうか。道徳は二の次、みたいな。だから嫌いなんだよ一般的な魔術師。

 

一応、俺も藤見家の次期当主な訳で。横とか縦とかの繋がりの場に顔を出すこともある。しかも両親共に魔術師の家系だからその量も二倍だ。

 

親父の付き合いで会合に行ったこともあるし、母さんの護衛でパーティーみたいなのに参加したこともあるけどさ。耳に入ってくる会話の理解出来ねぇもん。

 

姉妹のどちらもに素質があるから養子に出すとか、魔術刻印の継承のために孤児を引き取ったとか。良質な触媒にウン千万払ったとか。

 

とりあえず価値観が俺とは違うってことは解ったけど、関わりたくは無いな。いや、この施設には魔術師だらけらしいし、そんな事は言ってられないのか。

 

「はぁ、気が重い」

 

「ようし、分かった!君にはダヴィンチちゃん特別講義を開いてあげよう!座学と実技、合わせて10科目の全100コマだ!修学した際には私の事を先生と呼んでいることだろう!」

 

ナニソレウラヤマ……いや、何でそういう結論に至ったかは知らないけど、個人的には大助かりだ。なにせ最終学歴は普通科の高校で、魔術に関しては親の見よう見まねか独学か、きちんとした仕組みは理解できてないからな。

 

「これから宜しくお願いします。モナリザ先生」

 

「違うそうじゃない。だけど、自己紹介をしていないこちらにも非はある。改めて、私は天才にして芸術家。万能の人レオナルド・ダ・ヴィンチ。カルデアに召喚されたサーヴァントだ。自分で言うのもあれだけど、上手く出来てるだろう?」

 

 

レオナルド・ダ・ヴィンチといえばモナリザで有名だが。あれは自画像ではないはず。「つーか男だよねダヴィンチ」伝承がうんぬんではなくれっきとした自画像も教科書で見たことがあるはず?

 

「うん、外見はモナリザでも中身はれっきとしたオッサンだyガフッ!

 

「安心するといい、峰打ちだ。さて、早速だけどひとコマ目は君のマイルームへ行くとしよう。どうせ荷ほどきもまだなんだろう?そのついでに、まずは君がどんな人間でどんな魔術を使うのか。それを教えて貰うとしよう」

 

「まさかのマンツーマン。至れり尽くせりですか?」

 

 

 

それにしても、杖で峰打ち。要はフルスイングでは?

 

 

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