就職したら世界が滅びそう   作:高菜チャハーン

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所長から感じる魔力の流れは収まっては沸き上がり、精神の乱れを感じさせた。マシュが居なかったら危なかった。


14話 つまりそういうことだ

長い沈黙を破ったのは所長のため息だった。

 

「はぁ~~~~~~~~~~~~」

 

とても長いため息だった。陰鬱な気持ちがこれでもかと詰め込まれたそれは、貴方も私に悩みの種を持ってくるの?。そう言外に物語っていた。

 

ホントにご迷惑おかけしますすみません。

個人的には、所長みたいな厄介事に巻き込まれる体質の人には少しでも休んで貰いたい。命じられれば何でもするのだが、「貴方のためなら何でもする」と言われてもドン引きというか警戒されるだけだろう。

 

俺の顔がイケメンだったらそこから少女漫画的な物語が始まるのだろうか。いや、道端でぶつかっただけでもラブコメが始まるくらいだから多分始まる。

 

 

「今回、貴方を呼び出したのは貴方の魔眼についてです。戦闘データもいくつか貯まってきたので、改めて貴方自身から詳細を聞くためです。とりあえずそのままの状態で聞きなさい」

 

「了解です」

 

「貴方の戦い方は、奇襲と強襲による臓器破壊を中心とした一撃必殺。それを補う形で我流の武術があり、魔眼は奥の手。そういった見解でいいかしら」

 

「はい。一体のかける時間が多くなるほど囲まれる危険性は高まります。また、半端にダメージを与えることも同様です。しかし、それだけでは足らなかった場合は魔術鉱石を用いてリーチを変動させながらの戦闘に移行し、再び強襲の機会を作ります。魔眼はデメリットがあるので基本的に使わないようにしています」

 

 

魔眼はデメリットが目立つし、反撃を食らいたくないから、最小限の接触で成果を出せる戦闘スタイルになった。

実家に居たときは魔猪に遭遇することも稀では無かったし。洗濯が面倒だから返り血を浴びるなと母さんに愚痴られたことも要因のひとつだ。

最初は魔術鉱石をレインコートみたいに変形させてみようとしたが、当時の俺にはフルアーマーが限界だった。魔術操作も上達してきたし、明日はレインコートに挑戦してみよう。

 

 

「それで、ドアを通るときに目が青白く光っていたように見えたのですが。日常的に使用してるんじゃないでしょうね?最近マシュに貴方の様子を見てもらっていたけど、貴方。魔眼殺しは身に付けないの?視ることで他者に影響を与える魔眼を所持している以上。そう言った物を身に付けることはマナーだと思うのだけど、反論があるなら言ってみなさい」

 

 

ヤバーーイ!魔力の流れが超激しくなってる!台風直撃レベルで大荒れしてる!所長マジギレしてる!

土下座の状態で良かった、顔を上げてたら動揺が即座にバレてた。

「ファルムソローネ、頼みます」

とりあえず魔眼の魔術回路を閉じてこれ以上起こらせないようにしないと…うおっ!?

 

 

「はい。事象・照準固定(シュフェンアウフ)、私はその目が変わる様を見ない!」

 

 

急に顎を手で引っ張り上げられると、そこには右目が輝く美少女が。

 

あ、この人さっき土下座にドン引きした人だな?所長は椅子に座ってるしマシュは若干気まずそうに目を逸らしてるからそうだな。

 

ピントを合わせるわけにはいかないからぼやけて見えるけど、綺麗だな。魔眼の輝きも、顔も。自分でも判るくらい俺の顔真っ赤なんだけど、免疫無いんだから止めてくれない?美少女は全員、童貞特効持ちなんだぞ?

 

 

 

 

それより、さっきから魔眼の魔術回路閉じようとしてるのに全然反応しないんだけど。もしかしてさっきの死刑宣告?

 

 

 

 




勿論童貞だとも、なんなら引きこもりボッチだ。

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