就職したら世界が滅びそう   作:高菜チャハーン

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あ、そろそろ山道も終わりですね。
お疲れさまでした。
魔獣もゴーストも出てきませんでしたし、今回はラッキーですね。
ところで、カルデアまでどうやって行くんです?

飛行機を乗り継いで………え?


6話 寒い

外国、とは聞いていた。けど、詳しい位置は教えてくれていなかったし、それも当然だと考えていた。契約が締結するまでは部外者な訳だし、大きな組織というのは敵対者の影を気にするものだ。情報の流出を怖れるのは当然だと思う。

 

 

けど、せめて寒冷地だってことくらい教えてくれても良かったじゃないですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山道を抜け、そういえばカルデアってどこにあるんだろうと思って質問したのが4時間前。

 

その後はバスとか徒歩とか飛行機とかでやっと日本の玄関口へ。この後はカルデアが保有する飛行機で向かうらしい。

 

 

 

 

そこで問題が一つ。

 

それは圧倒的暖房不足。いや、Drもオルガマリーさんもそんなに荷物もって無かったし、リュックの中もそんなに入ってないようだったから、そんなに準備が必要な訳じゃないだろうと思ってたし、厚めのコートもマフラーも、手袋にカイロにいたるまで全く持ってきてない。

 

この問題を解決するため、俺の凍傷を避けるため。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本からの空の旅、その機内で、大量のカイロを制作しています。オルガマリーさんに観察されながら。

 

 

 

いや、唐突に作り始めたら不信に思われるかな?と思って確認したら。自らの魔術の仕組みを公開することになるけれど、それでもいいの言うなら勝手にしなさい。とのことだったのでせっせと作っていたのだが。

 

長旅の暇潰しか、新入社員の実力を計るためか。少し離れたところからチラチラ様子を窺ってくる。それも小声でブツブツ言いながら。

 

機内はDrがキーボードを打つ音、パイロットの二人が安全運転のための現状確認のやり取り、それ以外は俺が作業をしている音くらいしかしないし、そもそも機体もそれほど大きい訳ではない。

 

つまり、何が言いたいかと言うと。

 

 

 

オルガマリーさんの声めっちゃ聞こえる。

 

いや、もしかしたら、俺が山育ちだからかもしれない。ほら、腕力とか体力とか、視力や聴力にいたるまで、山育ちってだけで、あぁ、だからか。なるほど。ってなるらしいし。学校通ってた頃も、「流石、山育ちは違うな」「いい意味でサル」とか言われたし。

 

いや、それ悪口じゃね?いい意味でサルってなんだよ。『いい意味で』って付ければ許されると思うなよ?

 

いかん、脱線した。まぁ、あれだよ。オルガマリーさんは所々の仕草とか言葉使いに育ちが良さそうな雰囲気あったし、実際、ウチがおかしいだけで魔術師の家系って基本的に貴族や華族みたいなとこあるし、オルガマリーさんも例に漏れずそうなんだろうけど。

 

そんな人がこんなガッツリ覗きをする?しかもオルガマリーさんの方に向くと何事も無かったかかのように読書してる感出すし。

 

でも2時間くらい前からずっと同じページなんだよな。何でわかるかって?本に貼ってある何枚ものカラフルな付箋、そのページに貼ってる位置も色もずっと変わって無いからだよ。

 

俺が作業をしている最中に聞こえてきたオルガマリーさん

の呟きがこちら。

 

 

「そうやって魔術道具を作っていたのね。お宅にお邪魔したとき、様々な属性の魔術が用いられているようだったから、触媒の方に工夫がしてあるのだと思っていたけれど。低級魔術の組み合わせだったのね」

 

 

「カルデアに集められる候補生はマスター適性の有無ではなく、レイシフト適性を持っているかを重要視しているから。その集められた48人が全員、前線で戦えるとは思っていなかったけれど」

 

 

「彼のように特殊技能を持っている候補生が他にも何人かいるなら、部隊に分けて訓練すれば。Aチームの補佐や援助がスムーズになるかもしれないわね」

 

 

「Aチーム以外の候補生の能力はあまり関心がなかったけれど、そうなってくると、単なる補欠としてではなく、48人の能力をしっかりと確認するべきかしら」

 

 

「いえ、協会から許可された使役サーヴァントの数は7体。別動隊を組むなら、Aチームの中から何人か保険のために同行させた方がいい。けれど。そうなると前線で活動するための戦力を削ぐことになってしまう」

 

 

「その結果、部隊の導入がデメリットになるようなら実用的ではないけれど。レイシフト先で何が起こるかわからない以上、藤見練のように応用性の高い能力の補佐があることはオーダーの達成率やAチームの安心感にも影響を与えるはず」

 

 

「Aチームは自らが48人の中から選ばれた7人であるという自信は有るでしょうけど。だからといって支援の重要性がわからない訳じゃない」

 

 

「とはいえ、藤見練のように応用性の高い能力を持つものが何人いるのかまだわからない以上。あまり実用的ではないわね」

 

 

聞き取れたのはこのくらいだけど、いくつか重要な情報が出てきた気がする。

 

マスター適性。レイシフト適性。48人の候補生。Aチーム。サーヴァント。レイシフト先。そして、オーダー。

 

レイシフト、というものがどういったものかはわからないが、レイシフト先では何が起こるかわからないらしい。レイシフトを単純に意訳すると粒子化、だろうか。いや、英語の成績悪かったからよくわからないけど。

 

たぶん、移動手段みたいなものだろう。

 

サーヴァント。使役とか聞こえたし、使い魔のことだと思うけど。カルデアという魔術師の家系からその子孫を預かることができるほどの大きな組織でも、7体しか運用を許可されていないようだし、それほどに強大な影響力を持っている。ということだろうか。

 

それにしても、日本を出発してから一時は暖かかったのに、ここ数時間は寒くなる一方なんだけど。エアコン仕事してる?

 

 

 

 

 

 

 




黙々とキーボード打って書類作ってるDrマジリスペクト。マジ社畜。
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